Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>C53
A7002 C53 45 デフなし 2001年 |
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A7001 C53 43 流線型 2001年 |
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C53のプラ量産品はマイクロエースが初めてでした。中村精密の製品が発売されてから20年後のことです。2022年現在も他社のプラ製品はありません。
プロポーションはマイクロエース標準の上下伸長形で、ランボードより上が1.5mmほど高い感じです。テンダーもそれに合わせて少し上下に伸ばされています。
高い位置にある前面やデッキ周辺は若干様子が違う印象があるかもしれませんが、C53の局所的な特徴はひととおり網羅されています。
流線型は標準型(デフなし)と同じ下廻りを内部に収めています。プラスチックの肉厚があるので、横幅は各社の中で一番広くなっています。レイアウトによってはホームなど線路脇のアクセサリに引っかかることがあるので、込み入ったレイアウトで走らせるときは、試運転は慎重にしたほうがよいと思います。
ただC55流線型と違い、プラの肉厚がもろに見える部分が少ないので、同じマイクロエース製品の流線型で比べれば、C53のほうが印象がよいように思います。数々の制約を考慮すれば、デフォルメもなかなかうまくいっています。実物の形が頭に入っている人はほとんどいないと思うので、多少の形の違いは許容される形式ではあります。
これらの初期製品には、数年で動力部のダイキャストブロックが変形し、走行不能を引き起こすものがありました。メーカーに連絡して修理してもらうことができました。ただ特に耐用年数も保証されていない趣味製品ですし、初期製品の発売は2001年ですから、そろそろ無償修理してもらうことは難しそうです。メーカーの修理規定に従って判断されるでしょう。
マイクロエースとワールド工芸のC53をひっくり返すと、次のようになっています。左がマイクロエース、右がワールド工芸です。
ボディーの厚さのほか、ロッド・クランクの出っ張りや厚みにも違いがあります。ワールド工芸はボディーが薄い以外にロッド類も薄いため、左右へのはみ出しを抑えられています。
A7004 C53 30 前期型 2005年 |
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A7005 C53 65 後期型 2005年 |
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2005年にデフ付き2種が発売されました。前期型・後期型と称していて、汽笛の位置で両者を分けています。65号機ではコンプレッサーの位置のランボード形状にも違いがあります。
扱いとしては再生産を兼ねたバリエーション追加なので、基本のスタイルは変わっていません。モアと同じ30号機も製品化されていますが、全体の様子はずいぶん違います。一見背中の高い箱みたいな印象ですが、デフにより前方のシルエットは隠れており、マイクロエース的なスタイルとしては格好いいように思います(何だかわからない書き方ですみません。機会があれば実物をご覧ください)。
値段は1,300円高くなってしまいましたが、この前には客車や貨車との抱き合わせのようなバリエーション展開が目立った時期もあるので、単品で追加発売されたことは良かったと思います。
初回製品では動輪が右90度先行になっていたのに対し、二次製品では左120度先行となっています(次の改良品では元に戻ってしまいます)。また煙室扉の手すりが、前回の上方2本タイプから、下側を通った1本タイプに変更されています。
諸般の事情でそのまま出したのだと思いますが、非公式側デフの後方ステーが通風管と干渉して曲がっています。ここだけ無理に組んだようで雑な感じに見えます。しかし、限られたコストの中ではどのように処理するのが一番良かったのでしょう。わざわざ通風管を短くするか、デフのステーを短くするのか、考えてしまいますね。 …それで、結局こうなってしまったのかもしれません(見なかったことにした、という感じでしょうか)。 |
蛇足ついでですが、いつも出来具合が楽しみなパッケージ裏のイラストは、前期型・後期型でそれぞれバラバラに塗り残しされていて、相変わらずのアリイ製品らしい味があります(注:私はこのメーカーのこういった味わいは大好きです)。下書きをそのまま印刷してしまったというような感じです。ただ前回のデフなしと流線型のイラストに比べれば、箱の中身を意識したものになっています。
A7008 C53 45 デフなし・改良品 2008年 |
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A7007 C53 43 流線型・改良品 2008年 |
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初回製品を改良再生産したものです。ついでに初回製品のダイキャスト崩壊の交換部品を製造する意味もあったのではというのが適当な想像です。主な変更点は次のとおりです。
詳しくはこちらにまとめてみました。→C53 マイクロエース改良品
今回のパッケージ裏のイラストは、模型のサイドビューのCAD画像といった感じのものになっていて、中身そのものという感じです。
流線型のほうには、「付属品 重連用カプラー1個」の印刷を、上からシールを貼って消した(訂正した)痕跡があります。全部刷り直すのはもったいないですが、結構手間もかかっているようです。
今回は動力も少し変わり、ウエイトが省略されて全体が連続したダイキャストブロックになりました。
マイクロエースの蒸機の多くは、火室下部あたりを少し広げて持ち上げればボディーを外すことができますが、C53流線型ではシリンダーブロックを真下から留めているネジが、そのままボディー側にねじ込まれています。これを最初に外さないと分解できません。
C53はいまや各社から個性的な製品が多数発売されており、どれかを選べと言われたら迷うかもしれません。
余談ですが3シリンダーであるC53の左右動輪と内側クランクの位相は、図面を見ると120度+127度30分+112度30分=360度となっています。
クランクとしての作用は120度ずつですが、中央シリンダーが第一動軸を避けるように少し傾いているため、その分が補正されているのだそうです。
弁装置周辺の構造については、文献によって色々な見解があって興味深いです。単なる図面集に見えるものでも、形式ごとにどのあたりがピックアップされているかにより、背後に発達史感も絡めた何らかの主張が見られることもあるように思います。