Nゲージ蒸気機関車>2023年のメモ>C58 239(トミックス)
C57の安定した動力ユニットからC11 325(旧・真岡)という小型機になったとたん、つかみどころのない動力になった印象があったので、今回のC58がどうなるのかは最も気になっていたところでした。
感想を先に書きますと、なかなか良くて一安心でした。初めてパワーパックのつまみを回すときはドキドキしました。ポイントを1箇所通過するたび、第一関門クリア!なんて心の中で数えていました。
5両試しましたが、集電・スロー走行性はどれも同程度でした。
(注:KATOの8620のような別世界物とは違いますヨ)
キャー
メリメリ(怖)
という感じで、割と普通にボディーは外れます。
KATOの現在の蒸機と異なるところは、KATOはランボードが動力ユニット側に残るのに対し、トミックスはボイラー側に付いていくところです。
途中ちょっと、ボイラーからランボードの一部がめくれそうになりますけども。
ボディーを大まかに分離してみたところです。
ランボードは後部を火室脇から外すようにすれば簡単に外れてきました(そこが分離しているのか融合しているのか、ちょっとわかりにくいですが)。
一番神経を使うのがフロント部分の分離です。上部のデフステーが大変細く、それがボイラー(煙室)のくぼみにはまっているため、そこを引っ掛けないように注意しました。
給水温め器を抜くときも、逆止弁などの配管が一緒についてきたりするので、無理がかからないよう注意です。まあ改造を除いて分解する必要は全然ありません。
今回の動力ユニットです。
モーターはM-10(交換用パーツ0620)で、コアレスモーターではありません。大きめのフライホイールが1個付いています。
実際に走行してみた感じ、フライホイールによる惰性は特に感じませんでした。これだけ大きいので回転の安定には寄与しているのでしょうけども。
なおフライホイールのないマイクロエースのC58も同程度にスムーズだったりします。今回20年ぶりぐらいに動かしましたが非常に滑らか、音も静かでびっくりしました。C58の最初の頃の製品は、別なところでちょーっと問題がないわけではなかったんですけどね。
写真の上が「きかんしゃトーマス号(C11)」の動力ユニット、下がC58の動力ユニットです。きかんしゃトーマス号のほうは、伸び悩んでいた旧C11 325の動力ユニットをやめて面目を一新したものです。
同じ小〜中型のC型機であることから、うまくいったきかんしゃトーマス号の動力ユニットの小変更かと思ったら別物です。ここ7年ぐらいでトミックスはずいぶん新しい動力ユニットを作っているんですね。かなり忙しかったのではないかしら。
その一方で主力製品がずっとC57 135の動力ユニットの派生であったところもすごいと思いますが。
ともかく、中身は全然違っていました。モーターの高さもC58のほうが1mmぐらい低くなっているようです。
実物のC11とC58の動輪直径は同じ1,520mmですが、模型ではC58のほうが少し小さいのと(C11は10mmでほぼ1/150、C58は9.8mm)、モーターを第三動輪よりも後ろに置けるため微妙に低くできたのかもしれません。ウォーム径もそれに応じて小さいようです。
ヘッドライトの基板は特に変わったところはなくダイキャストブロックの前端にあり、黒いプラスチックの留め具で留められています。
このとき、基板の2つの接点(赤い矢印)がダイキャストブロックに通電する仕組みなのですが、うまく接触せず点灯しない個体がありました。
適当に曲げ直して通電するようにはなりましたが、どう接触させるのが正しいのかよくわからなかったです。
トミックスは通電部の接点を「重ねて押える」構造が多く、しっかりくわえる構造が少ないように思います。
まあ、接触しているうちはいいです。
走りの感想ですが、低速から非常にスムーズで滑らかに加減速します。またトミックス純正のN-600やN-1000-CLで走らせると音も大変静かで、最初無音じゃないかと思ったほどするすると動き出していきました。
KATOのいくつかのパワーパックで複数個体を試したところでは、動き出しにザラザラ・ジリジリしたノイズっぽい音が乗ることが多く、これはC11と同様の傾向でした。動きはスムーズです。
パワーパック・スタンダードSXが比較的ノイズ音が大きく、場合によっては加速の途中で急に音が鳴り出すようなこともありました。ジョイント周りにもう少し精度が追求できる余地があるのかもな、と思いながら動かしていました。
私は構わずKATOのKM-1+KC-1で走らせていたのですけども、何か不思議なことに当初ジリジリ・ザラザラ言っていたのが次第に静かになり、もう気にならないんですよね(笑)。トミックスのN-1000-CLに比べれば硬い感じの音ではありますが。
トミックスの先輪の粘着バネの仕組みは、C11 325の頃から大きく変わってはいないような気がします。先台車の付け根あたりに、バネでペコペコ上下に動く板が入っているやつです。カーブで先台車を内側に傾きながら押す感じになりそうですが、大体は間に合っているのでしょう。
なお先輪の脱線傾向のあった車両は、改善を狙ってKATOのスポーク先輪に交換してみました。
(そのままでは先台車にうまく入らず、車輪裏側のボスを削り取って付けました。R280で回転が止まったりはしていないようです)
写真左が元の先輪、写真右がKATOの先輪に交換したものです。直径が違うのでちょっと先台車持ち上がっていますよね。
効果はあったのですが完全には解消しなかったので、いったん元の先輪に戻しました。先台車バネを付け直したり、引っかかりそうなバリやステップ内側を削るなど細々やっているうちにいつの間にか直っていました。
走行中、かすかにカチカチ音がするときは、合併テコの上端がオイルポンプ箱に引っかかっていることがありますよ。
以上のように、細かいところは何かあったりはしますが、一番心配していた走りが安定しており大変嬉しいです。
今までのトミックスよりも、格段に攻めの姿勢を感じたのはいいです。多少の難があろうと新しくしていきませんとね。他社に比べて新しくなったかというとそうでもありませんが、変化の中でトミックスらしい特色がきちんと残っているのもまたよいところかと思います。
私が気づかないところで、メーカーが試みにやってみてうまくいったこともあるでしょうし、逆に「しまった」と思われるところもあるかもしれませんが、地道に潰してまた新しいものを作っていってほしいです。これからどんな風にこのC58で遊んでいこうかと楽しみに色々考えているところです。
ところでもう「意外と短いC58の車体を再現」とはアピールしないんですね(笑)。いずれまた競争にさらされるかもしれませんが。
以上、日が浅い時期での感想ですので今後変わっていくかもしれません。理解や検証が足りず間違ったことを書いているかもしれません。
(おわり)