Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>C59戦前形(3Dプリンター)
1 [2]
一体造形のため、平面部分を水平造形して平滑にする方法がとれません。目立つ平面部に積層痕が露出しますので、どの程度の酷さになるのか心配なところです。
水性塗料でつや消し黒に塗装しました。表面の平滑化などの加工は何もしていません。そのまま塗っています。
キャブ側面の平面部分です。平面部分がそれほど広くないこともあり、縞模様が乱れやすい積層ピッチ0.025mmでもまずまずの結果でした。
これなら、無理にキャブ側面を別パーツにして水平造形しなくても良さそうです。
実はもう少し窓を小さくしたかったのです。造形時に樹脂が膨張するので、開口部が少し小さくなるのを見込んで寸法を決めたのですが、ちょっと見込みがハズレました。
ディテールの様子は、塗装済の模型をさらに缶スプレーでボテ塗りしたような感じですが、厚さ0.05mmとか幅0.1mmとかの部分も結構「あることがわかる」程度には出ています。
デフの表面にはキャブよりも縞模様が見えます。つや消し塗装なので、角度によっては目立ちませんが、この写真はまあまあ軽めに見える角度です。
これは最も縞模様が目立つ角度です。
反対側には特にきつい線が数本加わっていて邪魔です(笑)。何回か再出力しても大体同じでして、原因は未解明です。
テンダー側面は最大の平面部です。積層の厚さをエンジン部の約2倍の0.047mm(≒0.05mm)にしたので、ズレが起きる割合が半分であり、縞模様はそれほど目立ちません。
ただこの写真は予想外にきれいに写っています。あとに載せました完成時の拡大写真の感じのほうが、実際の印象に近いかと思います。この側面は業務用プリンターと比べても悪くないレベルでした。
安全弁を取り付け、汽笛に金色を、ライトに銀色を入れて組み立てました。組み立て自体はすぐです。
ボイラー部は元のC57と同様、動力部に被せるだけですが、シリンダーブロックを一体にしているため、バルブギヤー部をその都度付け直す必要があります。
一度組み立ててしまえばそれほど何度も分解するものではなく、バルブギヤーの取り付けも各部を差し込むだけなので、許容しています。
ナンバープレートは、銀河モデル製のものが1/140サイズ強だったので、それを使っています。
テンダーの組み立ても元のC57と同じです。
ドローバーと台車をはめ込み、ウェイトを付けた石炭部をはめて台車をネジ留めすれば、ウェイトと石炭部が固定されます。
(拡大写真)
もともとC59は全長が長いのですが、出力してみると本当に長く感じました。そう感じるスタイルなのでしょうね。
データをこう作ったら、こう造形されました。
ボイラー側面の元データです。 ボイラーバンドの厚さは0.05mmです。
細かい部分も何となく造形されており、まったく出ないものはなかったようです。ハンドレールやランボード下の冷却管など、細い部分は一回り以上太くなるので、データはあらかじめ細く作ってあります。
空気作用管の下部のボイラー表面や、ドームの中段あたりに比較的はっきりした横線が見えますが、これは「垂直に近い傾斜面」に出る、避けられない段差です。
液晶パネルの水平解像度が0.047mmで固定なので、いくら積層ピッチを細かくしても、垂直に近い傾斜面は0.047mm単位でガタガタになるからです。積層ピッチによって滑らかにできるのは、水平に近い傾斜面です。
このような意味のことです。
3Dプリンターを選ぶときはどうしても積層ピッチに目がいきますが、現在売られている低価格プリンターでも十分に積層ピッチは細かくなっています。
形状によっては水平解像度(液晶の画素サイズ)が物を言いますので、積層を細かくすれば何でもOKというわけにもいきません。造形時間が無駄に長くなったり、物理的な誤差によって別な積層縞も目立ってくるなどのデメリットも出てきます。
レーザー式など、他の造形方式の場合はまた別の要素も関係してきます。
ドーム前方のボイラー上です。
リベットは直径0.2mm×高さ0.12mm、外板の継ぎ目は幅0.1mm×深さ0.1mmにしています。データ上ではちょっとどぎついですが、私は表現上大体これに決めています。
空気作用管は間が埋まるのを恐れ、1本1本の直径はデータ上で0.11mm(この端数に意味はないかもしれません)、隣との間隔は0.1mmにしています。
とてもプラ完成品のようにシャープには出ませんが、リベットや継ぎ目の筋彫り表現はかすかにわかります。
空気作用管の間は幸い完全には埋まりませんでした。粘り気のある樹脂がどの程度間に滞留するかも関係するので、使用する樹脂や車体の傾斜角度などにも影響を受けると思います。樹脂にも色々ありまして、割とさらさらなものもあります。
ボイラーの上部は「水平に近い傾斜面」なので、積層ピッチを細かくしたことにより、段差の横線は入っていません。
前面です。今回はカプラーや解放テコ、エアホースなども一体造形し、別パーツの取り付けが必要ないようにしました。どこまでズボラなんだか…。また、ようやくカプラーを自分でモデリングしました。
デフは上部の太いステーで本体に結合してありますが、途中は薄い壁がサポートなしに積み上がっていくので、表面に積層の乱れが出やすいのかもしれません。
細い部分は各部一回り太くなりますが、しっかり造形されており、強度的な不安はあまり感じません。
このプリンターは、インクジェット式のHD3500Maxと違い、積層面が剥離するように折れてしまうことはあまりないようです。
実際の造形物は、PC画面で見るこの画像よりもずっと小さいため、前面特に煙室扉の縞模様は無視できるぐらいです。ただ、ディテールにカチッと出るところはひとつもありません。このボテ具合や細い部分の太り具合は、使う樹脂によっても変わると思いますが、今のところあまり熱心に調べておりません。
こういう造形結果が模型として使えるかどうかは人それぞれ、また用途次第ですが、画面上で作った「絵(3Dデータ)」が、実際に手に取ることができる「物体」になるのは面白いです。
斜め造形時は、細かい凸部の中にも、空中にいきなり出現して造形が欠ける箇所が出てきます。
小さいことなので多少欠けるぐらいなら無視できますが、個別に小さなサポートを付けてみました。欠けないのがよいか、余計なもの(小サポート)が付かないのがよいか、どちらかを選ぶことになりますが…。
案の定、このような再現具合なので、大して効果がわからない箇所が結構あるのでした。この写真の横幅は、実寸では2センチ程度ですからね…。
以上でこのお話は終わりです。ようやく、エンジン部のボディーを分割なし・組み立てなしで作る長年のズボラな夢がかないました。
しかし、下廻りは市販品に頼りっきりです。世の中には下廻りも動力も作ってしまう方もおられ、中にはそれを他の人が使える商品にして販売できる方もいらっしゃるのが本当にすごいところです。
●関連リンク
→C55流線形(3Dプリンター)
1 [2]