Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>C61の組み立て

C61の組み立て(ワールド工芸 リニューアル製品)

C61 東北形Aタイプ

2011.8.13/2011.8.15

ワールド工芸から約10年ぶりにリニューアル登場したC61です。今回は晩年の東北形で、煙突デフのあるAタイプと、それのないBタイプが発売されました。
とりあえずAタイプを組み立てました。2両目を組むときのために、自分が実際に組み立てた順番を書いております。現在形で書いておりますが、実際にはやった結果にすぎません。

[1] 2 3


旧製品はまだバックプレートのない時代のもので、動力も組み立て済みの旧仕様でした。
今回は最新の仕様となっており、牽引力増強装置を装備し、加減リンクも可動式、少し長かったテンダーも変更されています。
組み立てやすくするための小さな工夫があちこちにありますし、標準のディテールはあっさりしたものなので、あまり苦労せずに完成させることもできます。

キャブ

キャブ外板
  1. キャブの左右の側板が平行になっているか確認し、ゆがみがあれぱ直します。
    (R側は前に傾いているのに、L側は後ろに傾いているというようなことがないように)
  2. 側板を重ねてハンダを流し固定します。
  3. 妻板を重ねて裏のスリットや合わせ目からハンダを流し固定します。
  4. 助手席側の旋回窓がいらないときはカットします。ただし、ニッパーで雑にカットすると、細い外枠が歪みます。私はやってしまいました。
  5. ひさしを固定。しっかりハンダを流さないと根本から曲がりやすいです。
キャブの組み立て(前方)
  1. 妻板をキャブ本体に固定。
  2. キャブ天窓の部品3個を固定。
  3. 信号炎管は屋根にドリルで穴あけして取り付けます。※ここではストーカーの安全弁のつもりで後方に付けました。キャブの外にはみ出しているんですが。
  4. ひじ掛けを外側に起こします。
  5. キャブ窓のひさしを固定。少し下向きに付けますが、あまり下に向けると上に隙間ができて見苦しいので、まあ上を向いていなければいいという程度でよいと思います。
  6. 手すり1対を両側に取り付けます。
キャブの組み立て(後方)
  1. 最初に屋根の後端のふちをハンダ付けします。
    自分向けコメント:絶対これを最初に付けること。後妻との間隔が狭いから、後妻を先に付けてしまうと内側からハンダしにくい。 時々間違えます。
  2. 散水管を屋根のふちに取り付けます。
  3. 最後に後部妻板を重ねて断面にハンダを流し、キャブ本体に取り付けます。

ここで前後左右に歪みがあると、最後までずっと響きます。私の場合、今までの経験からみても歪んでいないはずがありません。

キャブは全体の中では小さい部分なのに、部品構成が複雑なので組み立てには大変手間がかかります。もうロスト一発でボロッと入っていてくれまいかと何度思ったことか(笑)。

ランボードとボイラー

ランボードの折り曲げ
  1. ランボード前側を、付属のゲージで角度を合わせて曲げておきます。
  2. 空気溜めの取り付け部を少し起こしておきます。完全に起こしてもOKです。
  3. 歪みがないように修正してからランボードの網目を折り重ね(写真では網目が下側になっている)、裏の数箇所のスリットからハンダを流してまっすぐに貼り合わせます。

なお後ろ側の細いブリッジ部は、完成時まで残しておいても構わないようです。

ランボード表側
  1. 貼り合わせたあと、水平部が一直線になるようによく確認して気長に修正します。
  2. デッキ部の網目板を貼り重ねます。左右2箇所ずつのステップの入る穴をふさがないようにします。
  3. 端梁を折り重ね、折り目からハンダを流して固定します。
  4. カプラー取り付け部の板は裏側に折り重ねて固定します。取り付け穴は給水温め器を付ける前に1.2mmタップを立てておきます。※通常は1.4mmネジですが、ここだけ1.2mmです。
ボイラーの組み立て
  1. ボイラーを丸く合わせ、ボイラーボスを差し込んでハンダ付けします。裏側には補強板が付きます。
  2. ボイラー後部をぴったり重ね、安全弁の穴と後部の切り欠きがずれないように、クリップやテープなどで仮止めします。
  3. 安全弁の後ろの仮留め穴に少量のハンダを流し、ズレがないか再度確認します。
  4. OKならボイラー後部が浮き上がらないように注意して、中央2箇所のハンダ穴にハンダを流します。
  5. 次いで側面のハンダ穴に順次ハンダを流します。火室下部は垂直に降りるように形を修正しながら固定していきます。
ボイラーとランボードの組み合わせ
  1. ボイラー下部の4箇所のスリットに、ランボードのブリッジをぴったりはめ込み、水平になっていることを確認しながら少量のハンダで仮付けします。
  2. キャブの中央の突起をボイラー後部の切り欠きに合わせます。
  3. ランボードの後部を、キャブ妻板下部の左右のスリットに差し込みます。これで全体がほぼ正確な形にまとまります。
ランボードの水平の確認

キャブをまっすぐに固定するまでは、バックプレートをつけないほうが正確に組み立てやすいです。写真のように前後から各部の水平・平行を確認しやすいからです。 この写真ではランボードの最後部からキャブ側にかけて少し傾いているのがわかりますが、もし先にバックプレートをつけていたら、恐らく気付きません。

キャブの本付け
  1. キャブが傾いていないか確認しながら、中央と妻板左右のスリットの3箇所を少しずつハンダ付けして固定していきます。

このランボード・ボイラー・キャブの合体が正確にできないと、いくらディテールで飾ってもへんてこりんなものにしかならないので、蒸機のキットでは最も難しいところです。一度もうまくいったという実感がありません。しかしこのキットは組み合わせに工夫が凝らされているため、今までのワールド工芸のキットの中で一番簡単でした。

キャブ床板前部
  1. バックプレートを取り付けます。
  2. 前部床板を折り曲げ、キャブ左右のスリットにぴったり落とし込んで固定します。
    先に左右の部品を固定しておいたほうが付けやすいかもしれません(この時点ではわかりません)。
  3. 後部床板を折り曲げて組み立てます。
  4. 中央にある上下合体用の穴には、先に1.4mmタップを立ててネジを切っておきます。あとでやると、タップの先で自動給炭器を持ち上げてしまうことがあったためです。
  5. ネジを切ったら自動給炭器を取り付けます。
床板後部
  1. 後部床板をはめ込んで固定します。これが台枠に密着するので、水平になっていないと機関車が傾きます。
  2. キャブ支持板を貼り重ねてハンダ付けします。
  3. 前部床板左右に配管パーツなどを固定します。
  4. ストーカーエンジンをつづら折りにして断面にハンダを流し、キャブ支持板に固定します。
ランボード屈曲部
  1. コンプレッサー上部のランボード屈曲部を貼り重ねて取り付けます。
  2. 反対側の給水ポンプ上部も同様にしますが、非公式側ランボード上の送水管などを付け加えるときは、あらかじめ必要な穴を開けておくと楽です。
  3. ランボード側面に残っている、数箇所のつなぎ目をヤスリ落としておきます。

上廻りのディテール

煙室扉
  1. プレスされている煙室枠に穴を開けます。手すり用0.4mm、主灯0.6mm、ハンドル用0.3mmで開けました。
  2. 付属の穴開けガイドを使って副灯の穴を慎重に開け、副灯を取り付けます。
  3. 手すりを棒などに巻きつけて丸め、4つの足を差し込んでハンダ付けします。あとで主灯の付く上部と、左右の余分な部分を切り取ります。 足の1つが副灯と当たりそうになるのですが、そこだけ足の形状が微妙に変えられているので無加工でOKでした(こういうちょっとした配慮はすごく嬉しい)。
    なお説明書にある手すりの丸め方の説明では、「へこみ側が外側」とありますが、「内側」の誤りかと思います。
  4. 主灯を取り付けます。
  5. ハンドルの軸を取り付け、どれかの形状のハンドルを選んでハンダ付けします。
  6. 裏側にボイラー取り付け用のガイドをX字形に組み合わせて固定します。このときボイラーのデフ取り付け穴などをふさがないように角度を決めます。

組み立てた煙室扉はまだボイラーには取り付けません。

前デッキの組み立て
  1. ステップ4個をハンダ付け。
  2. シンダー除けは2タイプとその薄型の計4種入っているので、好きなものを付けます。薄型はちょっとしたことで曲がりやすいので、取り扱いに注意します。
  3. 給水温め器を折り曲げて組み立て、ランボードの角度にぴったり合うように削り合わせて固定します。
  4. カプラー開放テコ受けを90度曲げ、開放テコをはめ込んでハンダ付けします。
  5. エアホースを固定。
  6. 左右ステップを組み立てて固定。車体幅から外側にはみ出す部分を少しカットしました。また、スノープローを付ける場合はステップを付けません。
  7. ダミーカプラーを下側からネジ留め。今回はカプラーがベース部も含めて一体のホワイトメタルになっており、今までのようにベースプレートに接着する必要がないので簡単です。マグネ・マティックカプラーの#903/#905を使うこともできます。

ランボード傾斜部の側面に出ている突起は、前方暖房管を取り付けるステーだと思います。今回は暖房管は付けなかったので切り取りました。せっかくランボードがまっすぐになっても、暖房管が曲がっていると機関車が曲がって見えるので、意外と難しいのです(でもその逆もあるでしょう)。

ボイラー上の部品
  1. 煙突を取り付けてから、煙突デフを組み立てて取り付けます(Aタイプの場合)。
  2. ボイラー脇のステップを左右3箇所ずつ取り付けます。
  3. ドームをハンダ付け。
  4. タービン発電機・ATS発電機を固定。
非公式側ボイラーのディテール
  1. 砂撒き管を0.25mm線で作って取り付けます(左右3箇所ずつ)。
  2. 汽笛引き棒を0.2mm線で作って取り付けます。
  3. 発電機排気管を取り付け。消音機の部分はつづら折りの3枚重ねになります。断面に多めにハンダを盛って、ヤスリで軽く角を落とすようにすれば筒型に見せることもできます。
  4. 清缶剤挿入装置を固定。
  5. 小型オイルポンプ箱を固定。ランボードの下側についているものもあります。ここでは何号機にするか特に検討していません。
  6. オイルポンプ箱調整ネジを固定。
  7. ハンドレールを固定。
公式側ボイラーのディテール
  1. 逆転機箱は、使う空気作用管の形状によって2種類あるので、どちらかを選んで付けます。
  2. 空気作用管はここで付けました。ボイラーバンドなどと重なる要所をハンダで留めています。
  3. 砂撒管の空気作用管をドーム前方から差し込み、2.の空気作用管の枝部と重ねて留めます。
  4. ドーム前ステップを固定。
  5. 小型オイルポンプ箱を固定。
  6. 逆転機ロッドを折り重ねて貼り合わせ、ランボードに差し込んでハンダ付けします。
  7. 加減弁ロッドを固定。
  8. ハンドレールを固定。
  9. デフの上部を少し曲げてから(裏側も少し曲げておく)貼り重ね、ランボードに固定。デフ手すりはデフと板状に一体化しており、間が抜けていません。強度的に難しいのでしょうか。
非公式側ランボード下
  1. ボイラー下側に、給水ポンプとコンプレッサーを取り付ける台座を取り付けます。
  2. 給水ポンプを1の台座に固定。送水管の部分は、あらかじめ後ろ側に回しておき、8の配管とつながるような位置関係にします。
  3. 給水管を0.5mm線で作り、給水ポンプと二子三方コックに固定。
  4. チリコシを固定。
  5. 放熱管を曲げてランボード下にハンダ付け。ランボード下に当たる折り曲げ部はすぐに取れてしまうので、曲げたらすかさず補強ハンダしておきます。今回の部品は非常に細く、簡単にぐにゃぐにゃになってしまうので扱いにくいです。
  6. ホワイトメタルの空気溜めの上部を少しヤスって、放熱管を押し広げないようにしてから、ランボード下部の取り付け部に固定。その後、取り付け部を完全な直角にして固定。
    ※先に取り付け部を直角に起こして固定してから、空気溜めを整形して取り付けてもOKです。
  7. オイルポンプ箱を模様が表になるように組み立てて、ランボード下に固定。
  8. 説明書にありませんが、送水管を付属の0.5mm線で作って取り付けました(旧キットには指示されています)。
  9. こちらも説明書にありませんが、逆止弁のロストパーツが付属しているので、ボイラー側面に穴を開けて取り付けました。
  10. 煙室扉を接着。
公式側ランボード下
  1. 複式コンプレッサーを固定。
  2. 後部配管を固定。説明書の「上から見る」の取り付け位置に1箇所怪しいところがあるような気がしますが、普通に組めば間違うことはないと思います。
  3. ドロダメを固定。あとで裏側に火室下部を固定するので、裏側の余分なハンダは削り取っておきます。
  4. 分配弁を固定。
  5. 非公式側と同じ要領で放熱管を固定。
  6. 空気溜めを固定。
  7. 火室下部は上部の爪を折り曲げておきます。赤系の色で塗装後、裏側から本体に接着します。本体と一緒に黒で塗るときはここで取り付けておきます。
機関部上廻り組み立て終了

以上で機関部上廻りは終了です。
ただキットは自分の好きなように作り上げていくものなので、ここで終わりという基準はないと思います。

次は下廻りとテンダーです。


[次ページへ→]

[1] 2 3

「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る