Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>D51北海道タイプの組み立て

D51北海道タイプの組み立て その3-D61

少し遅れて2軸従台車を持ったD61も発売されました。
キットは従台車を除き、前ページまでの北海道タイプとまったく同じ内容です。

1 2 [3]


車体の組み立て

車体の組み立て

今回は以前保存機を取材?したことのある、D61 3をイメージしました。
基本はキットのままですが、キャブに丸穴をあけ、逆止弁はカバーなしのタイプとしました。オイルポンプ箱の上の調整ネジもカバーのないものです。

実物のタービン発電機はキット付属のパーツとは前後が逆についていますが、台座を逆にする加工が面倒だったので、キットのままとしました。

過去に自分が作ってみたD61では、後方のバランスが重めになりがちだったので、今回はその他の部分も意識的に濃い目にしました。ただなるべくシルエットが悪化しないよう、配管の取り付け高さや位置関係を実物と変えた部分があります。

従台車(D61)の組み立て

従台車のパーツ構成

従台車の取り付けパーツには、ベース車両に合わせてマイクロエース・KATOの両方が含まれています。ロスト製の従台車自体は共通です。
横に長い金属製のドローバーは、KATO製品に取り付けるためのものです。

説明書では従台車交換にあたりドローバーを加工し、テンダーからの集電機構をとりやめるよう書かれています。しかしマイクロエース製品がベースの場合、従台車さえきちんと絶縁すればドローバー側の加工は不要で、もとのテンダー集電の機構はそのまま活かせます。もっとも機炭間隔を詰めたので、ドローバーの切り詰め加工はしました。

KATO製品を使うときも、リード線を併用するなどして、テンダーからも絶対に集電することをおすすめします。模型の個体差によってはエンジン部だけでもよく走るものもありますが、たいていはテンダー集電をやめると走行性能が著しく落ちて、遊ぶどころではなくなります。過去のワールド工芸のD52(旧製品)で経験済みです。

従台車の組み立て

従台車本体は、中央の軸受けに左右の台車枠を差し込むだけで簡単にまとまります。

注意しなくてはいけないのは車輪です。キットには従輪が付属していません。薄型車輪・両側絶縁の先輪パーツを別途購入するよう書かれています(KATOのC11の先輪が例示されています)。
しかし、何の準備もしていなかったので、余っていたワールド工芸のプレート輪心車輪を使いました。

車輪押さえの取り付け

付属の車輪押さえ板を上からネジ止めします。
このパーツはKATO用・マイクロエース用の2種があり、車体への取り付け穴の位置が違っています。

写真で赤く塗ったあたりは、最終的にテープを貼るなどして絶縁します。プラワッシャーなどを挟んでもよいですが、薄いものでないと動輪が浮き気味になってスリップすることがありました。

動輪押さえ板の加工

従台車は、動輪押さえ板の後方のピンに刺し通して固定します。
このピンの周囲を説明書に従って削り取り、従台車が首を振れるようにします。

従台車を合わせたところ

写真のように、従台車前方のくぼみに削った動輪押さえ板がはまり込みます。

ドローバー取り付け部をカット

動力ユニット下部から出ているドローバー取り付け部を、説明書に従って3mm程度削り取ります。
あまり短くすると、取り扱いのときにドローバーが抜け落ちやすくなって具合が悪くなります。

従台車の取り付け

削ったドローバー取り付け部に、絶縁した従台車を置き、動輪押さえ板を差し込んで固定します。
試運転のときはショートしないかドキドキしますが、問題ありませんでした。

ボディーとの干渉をチェック

ボディーをかぶせてみて、従台車と干渉する部分がないかチェックします。必要に応じて各部をカットするなどして調整します。
キャブ下のパイピングを施す場合(特に非公式側)、この段階で位置を決めて取り付けるほうが確実です。

密閉キャブ用 切り詰めテンダー

テンダー前妻の切り取り

気が向いたので、北海道型密閉キャブ機の特徴である、テンダー前方の切り取り(後退角)を作ることにしました。
ただし見た目に大変化はありません(笑)。

まずはテンダー妻板をデザインナイフで切り取りました。
ほぼ無傷で切り取れたので、これを再利用することにしました。

前妻の折り曲げ

妻板の下側のモールドを全部削り取り(上側もちょっと違いますが利用しました)、裏側にPカッターで溝を入れて折り曲げました。
あまりきれいではありません。

前妻の取り付け

曲げ角度自体もてきとうですが、元のテンダーに取り付けて削り合わせました。

標準タイプのテンダーでは、妻板の下部に横に長いステップのようなものがついていますが、切り詰めテンダーにはそれがありません。また左右の角に付いている手すりもありません。とにかく、密閉キャブに当たる恐れのあるものは何も付いていないという感じです。

前妻ディテールの簡易工作

失われた各種給水コックや手ブレーキハンドルなどを作りました。
連結すると見えなくなるので、真鍮線の貼り付けおよびハンダ付けで、作りやすいように作ったという程度です。

石炭皿はキャブの中に入り込むのですが、カーブで干渉したため切り詰めてしまいました。

テンダー間隔の確認

機関車に連結し、曲線通過の具合をテストして、約3mmドローバーの長さを切り詰めました。

R280の通過を意図して調整しましたが、後退角が奏効して結構切り詰めても大丈夫でした。しかし、実はR280ではたまに当たっているようです。

テンダーの残りディテール

ついでなので、後方のディテールも実物にやや近いものに作り替えました。
これも、走らせて遊ぶという用途においては、それほど効果はありません。
後部ステップは接着取り付けの面積をかせぐため、やや高い位置からベタッと付けています。

ステップ形状が複雑なので、本体に取り付けつつハンダ付けしましたが、本体を溶かさないように神経を使いました。 なにしろ300℃のハンダごての0.5mm先にプラの本体、1mm右にホワイトメタルの標識灯があるので、ちょっとの手先の震えも致命的です。
始めに瞬間接着剤で固定していたところが、ハンダごての熱で一瞬で気化して周りじゅう白化しています。
明らかに手順が不適切です…。

テンダー後部ディテールの塗装後

塗装前だと多少どぎつい感じがしますが、塗ればちょうどよく見えるように線材の太さなどを選びました。

台車を取り付けてみると、金属製のステップが短すぎ(高すぎ)て失敗でした。元の製品と同じはずなのですが、プラの厚みがないので感じが変わったようです。未熟者でした…。

暖房管

反対側は暖房管を付けただけです。布巻管の模様は、大きいカッターの刃先で転がしただけの安易なものですが、エアブラシ塗装なら塗膜が薄いので、塗装後もそれなりには見えます(もっとも、塗装をすると配管自体が少し目立たなくなるので、やってもやらなくてもそれほどの違いはありません)。
筆塗りなどで厚塗りしてしまうと、埋まってしまうことがあります。
カッターの刃を長く出して転がすと、刃が全長に渡ってダメになってしまうので、先のほうだけを使って何度も転がしたほうがよいと思います。

ちなみに、なめくじのテンダーを利用するなどして鋳鋼製台車にすると、5号機風になります。

小ネタはいかがでしょう

ドローバーに真鍮線を取り付ける

機炭間のホースのように見えているものは、真鍮線を曲げてドローバーに沿わせているだけです。
安直にできますし、シルエット的には何となくそれっぽく見えますから、ずぼらな私には最適です。

ホースのようなもの

このように1本の真鍮線を曲げ、ゴム系接着剤でドローバーに貼り付けています。
集電線に触れてショートしないように形を決めますが、かなり手軽です。

完成

いつもは1週間ぐらいで完成できる程度にまとめるのですが(走らせて遊ぶのが目的の場合)、なぜか3週間ぐらいかかってしまいました。

完成・側方

完成・上方

これで、やえもんデザインのD51キットの全6種の組み立てが終わりました。
ちょうど、用意したマイクロエースのD51とBトレモーターも使いきりました。

部品構成が細かいのでそれなりに大変でしたが、ワールド工芸とはまた違った組み立て手順で、新しい工作方法も経験でき勉強になりました。


[←前ページへ]

1 2 [3]

「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る