Nゲージを始めるには(6)

Nゲージを始めるには、最初にレールシステム(レール+パワーパック)をKATO・トミックスのどちらにするかを決めなくてはなりません。あらかじめ「A君のと同じにする」などと決まっていればよいのですが、そうでなければ少し悩むかもしれません。


レールシステムはどちらがいいのか

どちらにも使いよさがある

トミックスのファイントラックとKATOのユニトラックは、それぞれ多くの長所と少しの短所を持っていますが、いずれも多くのユーザーがいる2大レールシステムです。Nゲージ鉄道模型のメーカーとしてはKATOが先輩で、現在のレールシステムは海外でも使われていますが、国内でのプラ道床付き線路はトミックスが先駆者です。一体何を基準に選べばよいのでしょうか。

接続の自由度が高いのはトミックス

ターンテーブル

長らく国内オンリーワンだったTCS電動ターンテーブル。当初から薄型で、床に置いて使うことができました。

トミックス(ファイントラック)は、発売されているレールの種類がとても多く、接続の自由度が高いのが特長です。道床の幅が狭いので、分岐や接続の際に道床どうしが干渉せず、レイアウトの制約が少なくなっています。ポイントだけでも分岐角度や長さの違いで10種類以上発売されており、カーブの途中で分岐するカーブポイントや、3方向に分岐する3方ポイントなどもありますから、狭い場所でも思い切ったレイアウトが作れます。通過車両は限られますが、ミニカーブレール・スーパーミニカーブレールといった極小スペース用のレールも揃っています。

蒸気機関車の好きな人なら欲しくなる「ターンテーブル」も昔からあり、これに適合する扇形機関庫もあります。扇形機関庫には、機関車が奥まで入ると自動的に扉が閉まるという楽しい仕掛けもあります。

また、線路の基本寸法が140mmとなっており、これが客車1両にほぼ等しくなっています。線路の長さを「客車○両分」のように考えることができ、わかりやすくなっています。接続部は道床側とレールジョイナーの2箇所でしっかりと結合し、緩みがありません。

外観重視のKATO

6番ポイント

6番ポイント(手前)。分岐半径が大きく、一般的な大きさのポイントに比べ実感的で、車両を高速で通過させても安定しています。

KATO(ユニトラック)は道床幅が広く、枕木も長いので、線路の外観が実感的です。複線間隔はトミックスより狭く、お座敷運転をしても間延びした感じがありません。 反面、道床が広いため、小型ポイントの分岐側には通常の線路をそのまま接続できず、間に付属の「補助線路」を挟む必要があります。

基本的な線路は揃っていますが、ポイントの種類は通常の片側分岐とY分岐、渡り線のみです。ただし大型の6番ポイントや複線片渡りなど、KATOだけのものもあります。線路の基本寸法は直線で248mm、186mmなどとやや覚えにくいものですが、古くからの固定式線路に馴染んだ方には慣れた寸法です。最近は電動ターンテーブルも発売され、トミックスのミニカーブレール等に相当する、ユニトラックコンパクトという製品群も登場しました。

接続部のジョイナーは「ユニジョイナー」という着脱可能なもので、道床側からも完全に取り外すことができるため、道床のジョイントが折れる心配がありません。接続部には少し可動性があります。

外観と複線間隔はかなり異なる

ファイントラックとユニトラックの外観はかなり異なります。下の写真は、それぞれの線路を規定の複線間隔で並べたものです。

ファイントラック複線 ユニトラック複線

KATOは道床幅が広く、複線間隔もリアルなので、まず模型の外観を大切にしたい場合に向いています。このまま固定式レイアウトに使用しても違和感の少ない道床幅です。 一方トミックスは道床幅が狭いため、線路単独の外観には限界がありますが、小さなレイアウトでも線路外の空間が広く見えて圧迫感がありません。
どちらのレールシステムを選んでも、どのメーカーのNゲージ車両も相互に走行することができますから、あとはカタログや模型店で調べて決めてみてください。 最終的にどちらを使うかは、結局は使う方の好みや用途の問題になります。迷うようなら両社のレールを少しずつ買ってきて比べるのがよいと思います。

ユニトラックとファイントラック

カント付きレールの違い

カントとは、実物同様、曲線区間でレールが内側に少し傾いている構造をいいます。列車が内側に傾斜しながらカーブを通過します。

KATO 複線線路

この分野の先発はKATOの「複線線路」「複線高架線路」シリーズです。いずれも上下線が一体化された複線構造で、曲線部はカント付きとなっています。

写真の「複線線路」は地上線向きのPC枕木です。半径の違うペアを並べて複々線が作れます。このほかカント付きの「複線スラブ軌道」や、高架側壁の付いた「複線高架線路」も用意されています。

トミックス ワイドPCレール

トミックスは「ワイドPCレール」で曲線部のカントに対応しています。KATOと違い基本は単線ですが、道床の左右に広い張り出しがあり(そのためワイドの名称があります)、写真のように2本をぴったり接続して複線として使えます。

複々線は4種の曲線を並べて作り、付属パーツでそれらを結合して一体化することもできます。ほか各種オプションパーツを取り付けて、単線高架・複線高架としても使えます。

どちらのメーカーも、カントの付いた曲線線路の手前には、「アプローチ線路(アプローチレール)」という線路を挟み、水平状態から徐々にカントを付けていくようになっています。これらの製品群は複雑なので、購入の前に製品カタログやメーカーサイトでよく確かめることをおすすめします。

プランをあれこれ試行錯誤して決めていきたいときは、近所の(またはよく行く)模型屋さんで多く扱っているものにすると便利です。レール1本、ジョイナー1個が足りなくなったときに、遠くまで出かけるのは面倒です。


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