Nゲージを始めるには(8)

パワーパック付きレールセットと車両を手に入れたら、どのように走らせるのかをみてみましょう。ほとんどのセットには詳しい説明書がついています。


レールセットの準備

線路の組み立て

セット説明書

レールセットを買ってきたら、早く走らせたいのをぐっとガマンして、添付の説明書にしっかり目を通しましょう(これができないうちは、まだNゲージを与えるのは早いと思います)。 このセット「トミックス マイプランLT」には、ふりがな付きで子供にも読める、カラーイラストの豊富なスタートアップガイドも付いており、Nゲージの取り扱いについて必要な知識が大変分かりやすく述べられています。昔のそっけない説明書とは大違いです。

線路は説明書に従って平らな場所に並べ、1本1本確実に接続していきます。なるべく畳や毛足の長いじゅうたんの上に線路を敷くのは避けてください。車両の姿勢が不安定になって脱線したり、車軸にゴミを巻き込んだりすることがあります。

前にご紹介したトミックスとKATOのレールセットは、どちらもほぼ同じ「エンドレス」のレイアウトになります。エンドレスとは終わりのない周回コースのことで、レイアウトの基本形のひとつです。 なお、現在のKATOのエンドレス基本セット「マスター1(M1)」は、トミックスよりも曲線の半径が一回り大きいものがセットされているので、レイアウトの寸法もいくぶん大きくなります。下の写真はそれぞれの設置例です。

トミックス レイアウト例 KATO レイアウト例

フィーダーの取り付けとパワーパックの配線

線路に電流を供給するフィーダーの位置にはいくつかルールがあるのですが、エンドレスの場合は電気的にどこに設置しても同じです。 KATOの場合は「フィーダー線路」という長さ62mmの短い直線線路がフィーダーになっているので、手前の直線部分の端に取り付けます(曲線に取り付けたければ、別売の「ターミナルユニジョイナー」を購入します)。 トミックスの場合は、「D.C.フィーダーN」という部品を好きなレールの中央の取り付け溝に差し込んでフィーダーにしますから、曲線にも簡単にフィーダーを設置できます。

パワーパックの方向切替スイッチ(逆転レバー、ディレクションスイッチ)が中央の停止位置になっていることと、速度調整つまみが最低(停止)になっていることを確かめてから、フィーダーのコネクタをパワーパックの出力端子に接続します。車両を載せる前に、線路のジョイナーが確実に接続されていることを点検してください。

車両の準備

機関車の取り出し

破損しやすい箇所の多い蒸機機関車は特に、ケースのウレタンや発泡スチロールの中にきつく収められていることがあります。取り出しの際に壊さないように十分注意してください。 次の写真のように、デフをつかんで引っ張り出したりすると、デフやデフの取り付けステーを壊してしまうことがあるので絶対にやめましょう。

説明書に取り出し方が書かれている場合はそれに従います。以前のKATO製品はケースと車両の間に余裕があったため、ケースに手のひらを当ててそっとひっくり返し、機関車を手のひらで受け止めることが推奨されていました。トミックス製品は今もこの方式です。手を滑らせて機関車を落とさないように気をつけてください。慣れると難しいことを考えずに、ひょいと取り出せるようになります。

機関車の悪い取り出し方 機関車のよい取り出し方

2024年現在、最も取り出しに注意を要するのはKATOの蒸気機関車です(一部除く)。
ウレタンの中敷を包んでいる台紙ごとケースから取り出して平らなところに置き、デフの間に挟まっている中敷の前側を、水平に前方に開いて抜き取ります。
要注意なのは、中敷の手前側に切れ目があって、開くようになっていることです。平らなところに置かず、手に持ったまま取り出そうとすると、機関車が急に滑り落ちることがありますから、くれぐれも慎重に扱ってください。

中敷ごとケースから取り出す 中敷を前側に引いてデフの間から抜き取る

模型によっては、機関車の下側にはめ込まれている床板を引き出しながら取り出すものや、あらかじめ機関車の下に敷かれているビニールや紙で車体を包むようにして引っ張り上げるものもあります。

底板ごと引き出すもの ビニールで包んで取り出すもの

機関車のナンバープレートなどの小物パーツは、購入時は取り付けられておらず、自分で付けなくてはならないものがありますが、取り付けは走行テストのあとにしたほうがよいと思います。万一新品不良で走らなかったときは、そのままお店に持っていって交換してもらう必要があるからです。

線路に載せる

リレーラーの使用

まず、パワーパックの速度調整つまみが最低(停止)になっていることをもう一度確かめます。万一全開になっていたりすると、車輪がレールに接触したとたんに最高電圧がモーターにかかって、モーターやギヤを傷める恐れがあります。

蒸気機関車は車輪がたくさんあるので、すべてを正しくレールに載せるのは難しいのですが、「リレーラー」という補助スロープがセットに付属しているので、それを使います。リレーラーを直線の上に正しくはめ込み、その上に機関車のすべての車輪をはみ出さないように載せ、静かにレールに滑り下ろします。このとき、動輪のどれかにはゴムタイヤがはめ込まれていることが多く、レールの上を滑らせると少し抵抗があるので、ゴムを傷めないように注意してください。

リレーラーを使っても、うまくレールに載らないことがあります。滑り下ろす途中で、「カタカタ」「ジャリジャリ」という音がしたら、車輪がレールに載らずに枕木の上を引きずられているので、もう一度やり直します。

電車の場合

このサイトは蒸気機関車中心にご紹介していますが、電車の場合も基本的に同じです。電車の場合、1編成のうち、中間車の1両が動力車(モーター付き)となっているのが普通ですから、買ってきた編成全体を正しく線路に載せて、連結してからテストしてください。

ライト付きの車両は、動力車を連結せずに単独で長時間通電すると、ライトなどを傷める場合もあります(特に電球式の場合。ただ、少し点灯テストするくらいなら大丈夫です)。また、車番などのインレタを自分で貼るものも多いですが、これも試運転して動作に支障のないことを確かめてから貼ったほうがよいでしょう。

これで準備ができました。走らせてみましょう。


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