Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>日車Cタンクの組み立て(トーマモデルワークス)
上廻りは黒成型のプラキット、下廻りは黒着色済みの金属キットという、今までにない構成のNゲージ蒸気機関車です。
せっかく金属キットを完成させても、塗装で台無しにしてしまうとがっかりするものですが、無塗装完成という選択肢も加わるために抵抗感がぐっと下がります。
2017.6.25
この記事は正しい組み立て方法の解説ではなく、自分の遊びのご紹介ですので、その点ご理解いただけますと幸いです。
特に何の根拠もなく進めております。
動力付きキットと、動力がダミーのプラモデルの2商品があります。
キット自体が初めての方には、迷わず後者をおすすめします。レイアウトの片隅に設置できる立派なものができます。
前者の動力付きキットは、ぐっと様相が変わり、折り曲げ・接合・ヤスリがけ・ネジ切り・カシメ・ハンダ付け等、様々な工作をする必要があります。それぞれの工具も必要です。
初めての方でも、そのほうが面白そうと感じられましたら止めません。でも簡単には許してくれそうにないですヨ。
以下は動力付きキットです。動力付きキット(#0621)には、プラモデル(#0622)が内包されているので、途中で動力化が厳しそうと感じたら方針を変更することもできます。
透明のケースに入っていて、中身のプラスチックパーツの様子が見えます。
驚いたのは、¥12,900+税 という値段の安さです。
ワールド工芸の金属キットでも、タンク機で2万円を超えるものがありますし、テンダー機だと3万円をとうに超えています。膨大な数が出るわけではないNゲージの蒸気機関車キットでプラ成型の金型を作るのですから、4〜5万円ぐらいまで行ってしまうのではないかと覚悟していました。
それでは売れないでしょうけど…。
とにかく、ありがたいです。逆に言えば、そのぶんユーザー側でしなくてはならない工程も増えるのかもしれません。
動力部の金属パーツは、中の小箱に入っています。動力付きキットをプラモデルから隔てているのはこの箱(と説明書)です。
まずプラモデルを組み立てた人が、あとで動力のみ買うという流れがあれば美しかったのですが、残念ながら動力部分のみの発売はありません。プラパーツ付きの動力付きキットを丸ごと買う必要があります。
ともかくプラパーツ部分がどんどん売れていかないことには、この商品は成立しそうにないですものね。だからまあ、仕方ないと思います。
早速組み立てます。
私自身、初めての構造のキットなので、初めてキットに取り組むつもりでメモをとりました。
アリイのモータープラ模型(自称C62のB62など)や、アルナインの標準型Cタンクのように、前後を貫くシャフトについているウォームギヤで、動輪ギヤに連動する方式です。
まず、そのシャフトの端に、モーター側と連動する平ギヤ(大)を固定しました。
シャフトは直径1mmの洋白棒です。一方にペンチの切りっぱなしのようなバリがあるので、バリのない側からギヤの穴に通し、バリ側で留めることにしました。この要領はメーカーのツイッターにありました。
ギヤは回転中、軸受け(A1)に直接当たるので、軽く表面を紙やすりで磨いておきました。歯の部分に少しカエリが出るのでそれも取り除きました。
中央の穴も、1.0mmドリルや細い丸ヤスリでかるくさらって、シャフトが通るようにしているところです。
このとき、まだあまりシャフト側の先端を削っていなかったので、もしかしたら穴はあまり削らなくてもちゃんと入ったのかもしれません。
ギヤがシャフトに通ったので、接着固定しているところです。
やはりちょっとぐらつきが出てしまったので、なるべく垂直に付くよう、シャフトを万力で加えてギヤを載せています。ペンチの先のギザギザでシャフトをくわえても同じことができるかもしれません。
接着剤は、嫌気性接着剤が指定されています。私の場合、瞬間接着剤でもエポキシでも良さそうに見えましたが、それに従いました。
ロックタイト263を買い、それをつまようじの先に少し付けて接合部に垂らしました。これで万力まで接着されたら笑えないでしょうね…。
10分待ってから、表についた部分はふき取りました。
次に、取り付けた平ギヤの隣に軸受け(A1)を通します。部品はエッチング板(着色済みの真鍮板)にあります。
エッチングパーツには、色々な箇所にネジ留めを行うため、ネジを切っておく必要があります。学校で習った通りタップを使います。
柔らかい真鍮なので、タップがなくても穴を軽くヤスリで広げ、ネジそのものをゆっくりねじ込んでも留められますが、ネジの頭をドライバーでナメてしまったり、エッチング板が曲ったりすることもありますし、時間もかかります。
というわけで、タップがないときはすかさず買うことをおすすめしますが、何でもかんでも買っていたら仕方ないというのもあり、あるもので工夫するのも大事だということもあり、…ですね。
タップを回すためにタップハンドルというものもありますが、小さいのでピンバイスで代用可です。
私はタップ立てをここで一度に行わず、パーツを切り離すつどやりました。
軸受けのA1部品をニッパーで切り離しています。
ニッパーはプラモデル用で、刃の平らな側を部品側に向け、ぎりぎりの位置でカットしています。プラモデルの場合、こんなにぎりぎりの位置でカットすると、部品の一部がちょっと欠けてしまったりします。
カットした軸受けA1です。
先の三角のほうには、あとで平ギヤ(中)をネジ留めするため、M1.0タップで慎重にネジを切ります。ここは特に大事なところです。私の場合、調整の際に何度かギヤを取り外す必要がありました。
M1.0タップにもネジにも、ものによって寸法のばらつきがあるので、タップはあまり根元まで通さずに様子を見るのもいいと思います。他のキットでも結構、M1.0ネジ穴がバカになってがっかりしたことがあります。
反対側のやや大きい穴は普通のM1.4ネジです。
M1.4ネジを切った側は、折り溝を内側にして(谷折り)、90度折り曲げました。
説明書にあるとおり、折り溝は90度曲げのときは内側、180度曲げのときは外側になります。ただ、たまに例外があるので、部品と組み立て図をよく見て考えます。
間違えても問題ないこともあります。かえって、曲げ直すとちぎれることがあります。ちぎれたら、塗装をはがしてハンダ付けするしかありません。
曲げには小さいヤットコやラジオペンチを使っています。先端にギザギザがないものが使いやすいです。
90度折り曲げたところ。
ギヤの噛み合わせやスムーズな回転に影響するので、正確に90度になっているかどうかは大事なのですが、まあ目分量でした。
というのは、あとでフレームに取り付けるときも、結構ガタは生まれてしまいます。
こちらは、もう一方の軸受けである、A2部品です。
ネジを切る箇所はないので、1箇所の穴にM1.4タップを立て、折り曲げるだけです。
念のため、A1・A2とも、折り溝の部分に瞬間接着剤を流して固定しておきました。
軸受けA1の前側に通すスペーサー(A3)です。1枚の板をつづら折りにして、厚さ3倍のワッシャーにします。
3つの輪をつないでいるところに折り溝があるので、それぞれを山折りにして180度折り返しました。
…と、ここではそのようにしましたが、3枚をばらばらに切り離してシャフトに通してもいいのかもしれません。
先に平ギヤ(中)を軸受けA1に留めておくことにしました。実はここが私の作例ではあとあと難物でした。
平ギヤ(中)は、真鍮カラー(実はギヤ軸)の周りを、スムーズに回る必要があります。
1. ギヤの回転の状況により、平ギヤの表面や歯先が、軸受けA1に直接当たったり引っかかったりする可能性があるので、軽く両面をヤスっておきました。歯にカエリが少し出たのでそこも紙やすりで整えました。
2. 真鍮カラーが平ギヤの穴に軽く入るよう、細い丸ヤスリを通してギヤを軽く転がし、少しずつ調整しました。
やりすぎるとギヤががたついて、噛みこんでしまう恐れがありそうです。
3. 本当は、M1.0ネジを切った面のカエリも平らにヤスっておくべきなのでしょうが、このときは「まあ、大丈夫だろう」みたいな感じで、そのままねじ込みました。
もしかしたら、あまり考えすぎずに、そのまま取り付けてもよかったのかもしれません。
ほか、軸受けA1の一番下の面は、あとで平らにヤスってネジ穴のカエリを取っておきました。
平ギヤ(中)に真鍮カラーを通し、M1.0ネジで留めているところです。
しっかり留めたいところですが、軸受けが真鍮で柔らかいので、締めすぎるとネジ山を壊してしまいます。
ネジは反対側にも結構出っ張るので、ちょうどよいM1.0ナットがあれば、反対側からそれで留めてもよいのかもしれません。ただナットの外径って意外と大きいんですよね。
なお真鍮カラーの長さのほうが、平ギヤ(中)の厚みより少し長いので、ネジをきちんと留めてもギヤは軽く回るのが正常です。留めたギヤが指で軽く回らなければ、何か失敗しています。
使うネジはすべて細かいので、家庭用ドライバーセットのドライバーでは先が合わないことがあり、より細い精密ドライバーを使います。模型店等にあります。
使うのはほとんどプラスドライバーですが、たまにマイナスドライバーも使います。このキットの場合はロッドピンを回すのに使います。
精密といいながらあまり精密ではないこともあり、マイナスドライバーの先端が家庭用ドライバーより厚く、ネジの溝に入らないものもありました。
これからドライブシャフト全体を組み立てますが、その前にウォームがシャフトに通ることを確かめておきます。
最初は通らなかったので、再度、シャフトの端をヤスリで削って角を落としました。
うまく通りました。ここでは通るのを確かめるだけで、固定はしません。
全部で3個あるウォームが全部通るのを確認し、いったん外しました。
いったんウォームを外したシャフトを、軸受けA1に差し込み、2枚のギヤを噛み合わせました。
この段階では軸同士が平行になりにくいので、スムーズに回転しないかもしれませんが、少なくとも回ることは確認しておきました。
ギヤが細かいこともあり、何となく噛み合わせが固めに見えたのですが、だとしてもここでできることは特にありません。まあ、ギヤのピッチ外周を削るぐらいはできるかもしれませんが、私がやると歯に変なカエリが出て失敗しそうでした。
軸受けの裏側には、3枚重ねのギヤスペーサー、切り込みを入れたコピー用紙、ウォームをひとつ通しました。
コピー用紙は、ギヤを接着する際、適切な間隔を保つために挟みます。ちょうど付属の取扱説明書がコピー用紙のような感じですが、両面無傷で採取できるところが少なかったので、別に不要な紙を探しました。
通した部品を、軸受けA1側に寄せたところです。ここでウォームを接着することになっています。
再び、嫌気性接着剤をつまようじに少量付けて、ウォームの端に少し付けました。
これが軸受けまで回ってしまうとアウツなので、ワールド工芸のようにエポキシで接着しようかと思いましたが、いつもと違うことをしようということで嫌気性接着剤にしました。
10分後…。
紙1枚の隙間を開けたつもりが、3枚ぐらいは開いているではないの(笑)。
まあ、大丈夫かなと思い、そのまま進めました。もし、平ギヤ(中)の厚みよりも開いているようなら、シャフトの前後のずれによって、噛み合わせが外れてしまいます。
残りのギヤと軸受けも、通すだけ通しておきました。
まず中間ウォームを差し込み(接着しません)、次に軸受け(A2)を通しました。
軸受けを挟んで、残りのウォームを差し込みました(接着しません)。
あとは、フレームに動輪を入れて、その位置に合わせてウォームをずらし、それから接着することになります。
フレームはエッチング板のA4部品です。
合計9箇所の穴(説明書に印があります)に、M1.4タップを立てました。
あとでモーターや、集電板を取り付けるためのネジ穴です。
フレームの左右の板は、折り溝を内側にして90度谷折りしました。
使っているのは先の長いラジオペンチです。
こういうときに便利そうな「エッチングベンダー」という道具もありますが、私が持っているものは先が柔らかくて、あまりうまく使えていません。
左右とも折り曲げたところです。なるべく直角になるようにがんばります。
もし上のほうが左右に広がってしまうと、モーターの取り付け位置が微妙に下がって、具合が悪くなる可能性があります。…まあそんなに心配するほど変わらないとは思いますが、細かいことが積み重なって不具合が出ることがありますので。
左右にウィング状に出っ張る部分があるので、そこを90度外側に倒すように折り曲げました。
左右とも、外側に折り曲げたところです。
さらに、その前方を裏側の折り溝に沿って90度下に谷折りします。
ここはあとで、スライドバーの後端を支える働きをします。
一応、折り曲げたあとの折り溝の部分には、瞬間接着剤を流して補強しておきました。