Nゲージ蒸気機関車2009年のメモ>2009.4.4(ターンテーブルの全周留置)

ターンテーブルの全周留置

電動ターンテーブル

2009.4.4

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トミックスの電動ターンテーブルで、仮に全周にわたって動力車が留置されているターンテーブルを作ろうとすると、向き合った2本のレールに同時に通電しないような工夫がいります。

上の写真は全周ではありませんが、向き合ったレールがあるので同じ状況になります。D51が機関庫に進入しようとしていますが、真後ろのDD51も一緒についてきてしまいます。また、機関庫に入っているC50を転車台に出そうとすると、同じ直線上にある手前のC58が一緒にバックしてしまいます。

ただ、メーカーの純正部品だけで解決しようとすると、線路が増えるにつれて大げさになります。ちょっとご質問をいただいたので考えてみました。


配線の考え方

DCCならすっきりしますが、トミックスは現在に至るまでDCCをサポートしていませんし、TCS電動ターンテーブルは転車台から走行用にDCが供給されるので、工作上は別な課題があります。ここでは伝統的なアナログ運転で考えてみます。

●1線路1ブロックではスイッチが23個?

普通は留置線路それぞれにギャップを付けて、中央の転車台と電気的に分離します。そしてそれぞれにフィーダーとスイッチを取り付け、個別に電流をON/OFFします。

本線とその向かいなど、向き合っている線路が少ないうちは特に問題ありませんが、本当に全周23本(本線を除く)すべてに動力車を留置できるようにしようとすると、両ギャップ・フィーダー・純正スイッチを買い揃えるだけで、定価は最大で6万円を越えてしまいます。向き合った留置線に同時に通電する必要がなければ、スイッチは12個でできますが、それでも3万円です。

純正スイッチ(セレクタースイッチボックスN・1,785円)のかわりに、通常品のトグル・スイッチを使えば安くできますが、線路が増えるとスイッチがかなり増えます。つまみをパチパチ回転させるチャンネル式のロータリースイッチを使えば1個ですむので、4線以上ならこちらのほうが安いですが、いずれにしても各線路からスイッチまでいちいち配線が伸びるのでかなりごちゃごちゃします。

●2個あれば間に合いそう

もともと転車台の方向が一致していないレールには通電しませんから、同時に動力車が動いて困るのは常に向かい合った2線だけで、全線を個別に制御する必要はありません。そこでターンテーブル全体をざっくりと右半分・左半分に分けて考え、右半分をまとめて受け持つスイッチと、左半分をまとめて受け持つスイッチの2つがあれば間に合うだろうと考えました。

単なる思い付きのひとつなので、とても唯一の最善策をご紹介しているとはいえませんのでご了承ください。

机上シミュレーション

…といいますか、絵を描いて考えただけだこりゃ。

図1

まずターンテーブルを好きな位置で半分に分けて考えます。ここでは緑色の点線で左右に分けています。

次に、それぞれの支線に片ギャップを作り、片フィーダーを付けます。左側の片フィーダーは全部まとめて左のスイッチに、右側の片フィーダーは全部まとめて右のスイッチに接続します。

そして、ターンテーブルのセレクタから延びるD.C.出力を、それぞれのスイッチにつなぎます。極性は図のようにしておきます。

図2

左のスイッチをオンにすると、ターンテーブルの左半分の片ギャップの区間が、すべて本線の一方と同じ極性(ここでは青)になります。しかし、それぞれの他方のレールには通電しないので、動力車は動きません。

唯一、転車台が一致している線路には動力車は進入できます。図でピンクと水色で示している電流は転車台からの供給です。ターンテーブルに接続されたフラットケーブルから流されています。

図3

転車台を動かしてみます。

先ほど左にまっすぐ進んだ車両は、転車台がズレると両極が揃わないのでもう走りません。

新たに転車台が向いた方向のみ、きちんと電流が供給されるので、動力車は進みます。
しかし、同じ直線上でも右下の動力車は、右スイッチがオフになっているため動きません。片側のレールに決して通電されないからです。

図4

先ほど動かなかった、右下の車両を転車台に進入させるには、左スイッチをオフにし、右スイッチをオンにします。今度は右半分の線路の片側が、本線の一方と同じ極性(赤)になります。

これにより、右下の動力車が動けるようになります。その他の線路は両極が揃わないので動きません。

図5

そのまま、ぐるっと転車台を回してみます。

転車台の向きが反対になると、その先の線路の極性(本線と同じ)が左右揃ってしまうので、もしそこに動力車があっても動きません。また、転車台の動力車も、片ギャップから先に進めません。ギャップを乗り越える瞬間にショートするからです。

これは通常の使用で、動力車を180度転回させて本線に向かうときにも発生する現象ですが、この配線では本線以外に進入するときにも発生の恐れがあるので、慣れるまでは一定の注意が必要です。

図6

セレクターの逆転スイッチを切り替えて、転車台の極性を反転させます。これで転車台と支線(=本線)の極性が揃います。パワーユニットの逆転スイッチを切り替えて、動力車を進めます。

もし左側の線路に動力車があっても、左スイッチがオフのため動きません。

スイッチを1個で済ます方法もあります。このときは6Pの両切りスイッチを使います。右・左にパチン、パチンと倒して、それぞれの側にだけ通電できます。しかし、左右同時に通電することができなくなるので、一方の線路から出た動力車が、そのまま転車台を横切って向かいの線路に入るようなときは、通過中にスイッチを切り替える必要があります。ここでは図の通り、2個使ってみました。

さて、実際に作ってみます。


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