今日もぶつぶつ〜番外編〜
「耳が痛いんだ・・・」



2000年3月10日番外編「脳神経外科体験記」

2000年3月31日番外編「ビースト・メタルス病の治療」

2000年6月24日番外編「濃い夜」

2000年9月9日番外編「カナブン―果てしなき戦いの日々―」

2001年1月5日

新世紀になったとはいえ、去年から持ち越している事は山ほどあります。そのうちの一つが「耳痛(みみいた)」です。
年末に右耳の奥に激痛が走り、我慢できずに病院へ行ったところ、
「原因は分からないけどリンパ腺が腫れている」
と、藤岡琢也もどきに言われ、抗生物質と鎮痛剤をもらいました。
が、耳痛は治らず、薬がなくなった頃には病院なんて開いていません。最初ほどずきずきしないので風邪薬やら頭痛薬で凌いできたのですが、やっぱりこれは病院へ行った方がいいと思い、近所の耳鼻科に行って来ました。
その耳鼻科は最近新しくできた病院。でも、駅から近いので、今後通う事になった場合、便利です。
待合室に入ると、中から中年男性らしき患者さんと先生の会話が聞こえてきます。
患者「鼻に力を入れると目から白い液体が出て来るんですけど、大丈夫でしょうか?」
医者「目と鼻はつながってますからねぇ。ま、そういうこともありますから。」
患者「でも、目から・・・。」
医者「ま、気になるようでしたら眼科に行ってください。私は耳鼻科医ですから。それか、鼻に力を入れるのをやめてはどうでしょう。」
なんかくぐもった声ではっきりしない。・・・おい、この医者大丈夫か?その前に目から白い液体って一体・・・い、いや、眼科へ行けというのはある意味ものすごく適切なアドバイスだし・・・・・・。初めての病院を、原因不明の症状で訪ねる場合、人は良い方に考えたいものです。
そうこうしているうちに、目から謎の白い液体を出す患者の診察は終わったらしく、私の番になりました。
声はしわがれた感じだったので年を取った先生かと思ったら、意外に若いです。多分30台半ば。そして、爆笑問題の太田を一回り大きくして人間らしくしたような人だった。
「どうしました?」と聞かれたので、私は年末から痛くなった事、別の病院でリンパ腺が腫れていると言われて抗生物質をもらったこと、それでも未だに痛いことなどを話していた。
が、そこへ飛び込んできたのは目から白い液体を出す患者。
「先生、ビタミンBかCをください!」
・・・なんでそんなに切実そうな声なんだろう?
医者「でも、ビタミンCを出さなきゃいけない病名がないですからねぇ。きちんとした病名がないと、お薬は出せないんです。どうしても欲しければ、市販の健康食品とか、買ってください。」
ま、まあ、まっとうといえばまっとうかもしれない・・・。いくらビタミン剤とはいえ、無理に薬を出してもしょうがないもんな。
そして、「そうですか・・・。分かりました。無理を言って済みませんでした。」
と深深と頭を下げる患者。そして、
「お力になれなくて申し訳ありません。」と頭を下げる医者。
なんだかなぁ・・・ある意味立派な会話だとは思う!思うけど、ビタミン剤を出すか出さないかでお互いに申し訳ないと言い合っていたら、日が暮れるぞ。
肩を落とした患者が去って行ったあと、力になれなかったことを落胆しかけていた爆笑問題・太田は思いなおしたようにこっちを向きます。
「で、何でしたっけ?」
「・・・耳の奥が痛いんです。」
本当に大丈夫か、この医者・・・。
が、私の心配をよそに、設備は結構最新式です。診察台の上にはモニターが3個くらい付いていて、超小型カメラで耳を見たり喉を見たりできるのです。
というわけで、取り合えず耳の奥を見てみます。当然モニターに映し出されるので、私も自分の耳の中というものを初めてみることができました。
が・・・き、汚いよ・・・だって、前に行った耳鼻科で、当分耳掃除はしないでくれ、って言われてたんだよ〜私はそれをきちんと守っていたんだよ〜だから汚いのは仕方ないんだ。
そんな私の狼狽をよそに、太田医師(仮名)は冷静に、
「きれいな鼓膜ですよ。別に傷もないみたいですし、耳が原因じゃありませんね。」
と言い放つ。さすがは耳鼻科医。以前、美容師さんは、お客さんの髪がどんなに汚くて、泡立たなかったとしても、何食わぬ顔でシャンプーを続けると聞きました。これがプロというものなのでしょう。
「じゃあ次、鼻と喉見せてもらっていいですか?鼻に管を入れるのでちょっと気持ち悪いですが・・・。」
そう言われても、このまま原因不明で帰るわけにも行かない。仕方ないので承諾すると、直径5mmくらいの長〜いホースを取り出しやがった。まさか、これを・・・?
「これを入れるんですよ(にやり)。」
そんなことは言わんでいい〜〜〜〜!!!
「じゃ、入れてる間はモニターでも見ていてください。」
言われなくてもそんなホースは直視できないよ!とモニターに目をやり、新世紀になって5日目で、一生のうちでもはじめての、自分の鼻の奥を見た。
鼻の中とかじゃないよ、鼻の奥だよ。小学校の頃、保健室のポスターで見かけた写真の世界が広がっているよ。
しかも、ホースはどんどん奥へ入り、もう数ミリで口の中だろう!ってとこまでやってきた。これを読んでいる人、ちょっと痛くなってきたでしょ?私はもっと痛かった。鼻からうどんを食べたらさぞかし痛いだろうなぁ。(しみじみ)
しかも太田医師は、「エーって言ってみてください。」と言う。
鼻から喉にかけて管が入っているというのに声を出せというのか?コワ・・・イけど仕方ない。がんばって声を出してみると、以外に簡単に声が出た。ついでにモニターに映っている鼻の内部もパクパク開く。
い、痛いよう・・・。でも、ちょっとおもしろい・・・。面白いけど、そろそろやめてくれ、右目から涙が出てきたよ・・・。
耐えに耐え、やっと管は出ていってくれた。しかし、太田医師は首を傾げた。
「鼻の中も、喉の中も別に異常はないですよ。きれいなもんです。」
・・・・・・内面を誉められるのはいいことなのかもしれないが、内部をはめられるのはどういうものだろう・・・。汚いと言われるよりはいいんだろうけど・・・。
しかしこれでは原因不明なままだ。せっかく鼻からうどんを食べる疑似体験をした意味はなんだったのか。
「ちょっと、首さわります。」
と、今度は耳の下から顎までをぎゅうぎゅう抑えられる。あんまり痛くなかったけれど、それが耳より1センチくらい下になると、ちょっと痛い。
「じゃあ、やっぱりリンパ腺とか、扁桃腺のあたりでしょうねぇ。耳や鼻が原因でないのは確かです。喉が腫れて、炎症を起こしているのでしょう。」
行きつく先は藤岡琢也と同じ結論だった。
「これ以上は、血液検査とかしないと分かりませんが、お金もかかりますし、そこまでするほど重病でもないと思いますよ。だから、抗生物質と鎮痛剤ですね。痛みが続いたら、また来てください。」
最終結論を通告されて、私は以前から引っかかっていたことを聞いてみた。
引っかかっていた事・・・それは、「脳神経外科体験記」に詳述している首の神経の痛み。腹筋やらストレッチで今はかなりましになったものの、耳や鼻、のどにまで異常がないなら、神経通の一環なのかもしれないと思ったのだ。
「神経痛は、時々ズキーンとするんです。だから違いますよ。」
ううむ・・・確かに1日目は十数分感覚で鋭い痛みが来ていたけど、そのあとはまんべんなく軽くて鈍い痛みが続いている。じゃあ、神経通の影響でリンパ腺が腫れるとか・・・?
なんにせよ、二つの病院での診断結果が一緒なのだから仕方ない。
『200X』年だと、ここで驚くべき病名が発表されるところだが、そんなものは願い下げ。取り合えず、ちょっとさぼりがちだった腹筋とストレッチにもう少し力を入れようと思ったのでした。
さて、お会計。前の病院では薬も込みで1000円でした。一体今回は?と思っていると約2000円。倍だよ、倍・・・なんでだ?って、間違いなく鼻からうどんを食ったせいだよな。診察代の明細をもらったので見てみると、検査料がいやに高いです。耳の中だってモニターで見たもんな・・・。でも、藤岡琢也の倍だ・・・。
と思っていると、「処方箋出しますから、お薬は薬局で買ってください。」
・・・薬代、別?保険点数1万円近い・・・一体あの最新式設備にいくらかかっているんだよ〜
嘆いていても仕方ないので近くの薬局へ行きます。処方箋には「薬局ならどこでも購入できます。」って書いてありますが、位置関係から言って、どう考えても隣で買えってことでしょう。思う壺で抵抗はありますが、やっぱろ隣の薬局へ入ってしまいます。
で、処方箋を渡すと、「アンケートをお願いします。」と、病院で初診時に書く申し込み用紙のようなものを渡されました。
住所やら名前やら電話番号やら・・・質問事項は「今までお薬を飲んでアレルギーを起こしたことはありますか?」とか、
「持病はありますか。」
とか、一般的なことが書いてあったので面倒だなーと思いつつも記入していったのだけれど、ある質問で、私の手は止まった。
「よく口にするものはどれですか。」と書いてあり、選択肢として、
@酒 Aたばこ Bコーヒー・お茶 C栄養食品 Dあとは忘れました・・・。
と書いてある。@とBだよ・・・でも、酒って・・・書きたくないんだ・・・なぜならこのところ毎晩飲んでるから・・・ではなくて、(いや、それもある。痛いところを突かれて辛い)初対面のほとんどの人は、私を見て、「お酒を飲めない」と判断する。
それは多分、しょっちゅう道を聞かれたりキャッチセールスや宗教勧誘の人に声をかけられるのと共通項の理由だろう・・・だから嫌なんだ・・・。
とまあ、誰だか分からない薬局のおばちゃんに見えを張っても仕方ないので、正直に書きましたけど。
もう1個、「はぁ?」って質問があったのに、忘れちゃいました。な、なんだったんだろう。なんか、放っといてくれ!って感じの質問があったのになぁ・・・。
こうして、薬局でも新たに700円取られ、えらくお金を使ったわりに原因不明のまま耳鼻科の診察は終わりました。私の右耳は、これからも無事に今年を過ごせて行けるのでしょうか?ものすごく不安です。
今まで、行って良かったと思えた唯一の病院、脳神経外科の教えを守り、とりあえずは腹筋とストレッチ、そしてついでだから背筋と柔軟体操も毎日やろう、と遅れ馳せながら今年の目標を決めてみました。

2000年3月10日番外編「脳神経外科体験記」

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