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参加作品
開催予定:2009年8月
9日目 実質8日目 フィナーレ
あちらこちら工事があって報告が遅れました。ファンタは昨日(9月9日)全都市で終了しました。
最終日は4本。再上映が多い日です。初回をパスし、次の回はロン・パールマンの作品をもう一度見ました。ガラガラだろうと思ったらほぼ満員。その次の回は特に大きな期待もせずにジョニー・トウのリメイクを見ました。意外にも丸々リメイクなのに出来が良かったです。
今年は優秀作と言えるものが少なかったです。所々佳作はありました。それほど以前の作品が良くて、私たちの標準値が上がってしまったのだと思います。全部を見られるわけではないので、残りの半分の中に良い作品が潜んでいた可能性もあります。
今年のまとめを言うと、子供、女性の扱いが負の方向を向いた作品、不条理テーマなどを扱ってみてもうまくこなれておらず、ショーダウンに向かって思ったような効果が現われなかった作品、メッセージが押し付けがましい作品が目に付きました。映画にはよく作る側のメッセージが込められているものですが、上手にこなれて、見る側に押し付けがましさを感じさせない作品が過去には多かったです。
もう1つの特徴は今年シリーズ化された作品の第2弾が多かったことです。ファンタは主催者もファンもあまりシリーズ物は好まない傾向があり、そういう意味では今年はちょっと異例です。同じ年に一挙に2作、3作出すようなことはあり、その場合は観客も見に行きますが、去年パート1、今年パート2とやられると行かない人もいます。というか私の仲間内にはそういう人が多いです。
大作、有名な作品で見逃しているのは新宿事件、赤壁、キャビン・フィーバー2、ディセント 2、ベルリンに来なかった作品はザ・ファイナル・デスティネーション(4)。
8日目 実質7日目
3ホール目が近くで、1コマにつき3本の中から選べるようになったため、今週に入ってからは再上映を見ることが増えています。日によっては既に見たものが3本重なる人もいて、1コマは休憩すると言う人も出ています。こういう形の3ホールでやる場合、プログラムの組み方は今後の課題になりそうです。しかし初めての試みとしては上手く行ったように感じました。新しい会場の人も親切でした。
主催者がどういう風に感じているかは分からないのですが、一観客として見ると今年はやはりいくらか下降気味の年。年によってはフェスティバルの半ばにして映画館に置いてあるパンフレットが無くなってしまうこともありましたが、今年はまだかなり余っています。
観客動員数がどうだったかは分かりません。私が入ったホールは平均して見るとあまりガラガラという印象ではなく、初回のプログラムだけ毎日空席が目立ちました。それは毎年のことで今年だけの話ではありません。
さて、この日初回は見る予定でなかった作品が消去法の結果余ってしまい、それを選びました。見終わって、家で2時間昼寝をしていた方が良かったと思いました。
その次は自分では見ない予定にしていたのですが、巷から良い評判が伝わったので見たスペインのコメディー。確かに色とりどりで、話はひどく傾いていておもしろかったです。
3作目は日本のアニメ。押井(押尾ではありません、再び念のため)監督なのでちょっと期待していましたが、だめでした。この監督は作品の出来に斑があり、うまく行くと絶賛、下手をすると退屈になります。
この日のハイライトはその次の ロフト.。仲間はほとんど全員がスニーク・プリビューのディセント 2 に背を向け、 ロフト.に集合しました。ディセント 2 は上映の発表があったその日から皆「見ない」と決めていました。その裏側についたプログラムですが、すばらしい出来です。
最後はエディソン・チャンの最後の作品になりそうだというので神鎗手。仲間は半分ほどが来ていました。同時上映は Largo Winch。私ももしエディソン・チャンが出ていなければ Largo Winch をもう1度見てもいいと思っていました。
7日目 実質6日目
疲労困憊状態から抜け始める時期です。体が慣れて来る時期。
今年はやはりあまり盛り上がっていません。長年の友人から同じ意見が何度も出ました。立地条件は良くなったように思われ、以前なら諦めなければ行けない作品も再上映で見るチャンスが増えたように感じます。なので、あとは出品作品の選択にかかっているようです。ところが制作側は業界全体でスランプに陥っているような印象。
これまで15年以上連続して見ていると、主催者はいい作品がある年にはちゃんと獲得しています。ピーター・ジャクソンがまだアマチュアで週末に友人と一緒にホラー映画を取っていた頃の作品もちゃんと出品されています。メジャー作品ゼロで、出された無名作品がほとんどファンタのファンに大絶賛された年もありました。
希望はゼロではありません。実はこの日、連続でぱっとしない作品を見た後、最後にロー・バジェットのホラーを見たらとても楽しく、仲間も皆大喜びしていました。帰り際一緒にバスに乗った、ファンタ参加10年以上のベテランの友人と話していたら、彼女もこの一見お粗末な作品が大いに気に入った様子。
この日は短編集も見ました。今年の作品からは1つが直前に抜けました。全体としてはまとまりの良い作品が多数派でした。
6日目 実質5日目
技術的な問題でアップが滞っていますが、こちらは日付順に進んで行きます。日曜日まで終了。今年は毎日がゆっくり進むような印象です。
最初の作品 Push 光と闇の能力者 は入場無料。この日からアジアの作品が並びますが、今日はドニー・イェン、金城武、ソン・カンホの作品、そして欧米の映画ですが舞台が香港という作品もありました。ハイライトは Largo Winch で、他はぱっとしませんでした。
主催者側狂喜乱舞の監督招待作品コウモリはあまりの質に唖然。韓国からは良い作品がぞろぞろ来た時期もあり、この監督、この主演俳優でも佳作があったので、落差に驚きました。監督の誕生日でもあり、会場からはハッピー・バースデー・トゥー・ユーの歌声も。インタビューに答える監督は穏やかで私はいつのまにか眠り込んでいました。
5日目 実質4日目
今日は凄く良い作品とぱっとしない作品の他に観客や主催者が絶賛している作品で私がけっつまづく日でした。
メモ
討論会があったのですが、出席者は約20人。主催者側がフィルム入手の苦労話をしたり、今後どういう枠を続行するか、過去にやった枠を止めるかなどの話が中心でした。
以前の討論会の方が観客から積極的な意見が出て活発な討論になっていましたが、ここ暫くやっていなかったので、今回は静かだったのかも知れません。討論会は続けてもらいたいです。
4日目 実質3日目
ようやくファンタらしい作品が並ぶようになりました。今日はそれぞれのジャンルのファンが喜ぶような作品がありました。
3日目 実質2日目
持ち直して来ました。昨日話を聞いても「オープニングから何作か弱い」という印象を語る人がいました。
しかしその後持ち直して来ました。
まず再上映の The Tournament を見たのですが、オーバーキルの暴力、アクション。その次が予想を裏切る佳作。次が他愛ないコメディーのように見えてひねりが効いているロン・パールマンの作品。その次はどんなに技術的に優れていても最低の評価になってしまった暴力映画。最後は愉快なゾンビ映画。1つ前の作品を見て健康状態が悪くなった人には薬として役に立ちます。
ファンタ3日目、実質は2日目終了。
質が落ちたという話を冒頭しましたが、いくらか持ち直して来ました。地味なのに非常に工夫された作品が出ています。
参加者によって選ぶ作品がまちまちなので、これは私個人の感想ですが、初日は子供がテーマの作品が多かったです。また、監督が何を伝えたいのかがよく定まっていないという感想も。2日目は暴力とユーモア。暴力の方はオーバーキル、ユーモアの方は楽しめるという印象でした。
2日目 実質の初日
オープニングの日は1本だけなので水曜日が本来の意味では初日です。
オープニングの日に皆プログラムを検討して来ていたのですが、「初日はあまり興味の沸く作品が無い」という意見でした。私も最初の2本はファンタのレベルに達していないという感想です。というかここ数年の間にレベルがかなり上がってしまったので、観客の目が贅沢に慣れてしまったと言うのが正しいのかも知れません。20周年記念の前後は佳作が並んでいました。
私個人の意見は、「ハリウッドもサンダンスもおもしろい物が出尽くして、今年はファンタ以外の映画でも食指の動く作品が少ないのだからファンタがこうなるの仕方ない」というものです。
今日は3本目あたりから持ち直し、3、4、5本目は一応見ていられました。最初の2つはオープニング作品同様時計を見て、いつ終わるかばかり考えていました。後半の3本は強いて文句をつけるならテーマに強い偏りがある点。アンチ○○といった姿勢を決めて作っています。なので、そういうのが嫌だという人は消化不良を起こします。その辺を大らかに見る人だったら、技術的、俳優の演技、脚本などは一応のレベルに達しているのでそれなりに楽しめます。
1日目 オープニング
始まりました。昨日はオープニング作品1本のみ。残念ながらあまり良くありませんでした。友人の1人は「今後が期待できる」と外交辞令を述べていましたが、他がこれ以上のレベルであることを祈っています。
オープニング作品は世界初公開なので厳しい(携帯や録音機の)検査があるという話だったのですが、作品のレベルに合わせてか、結局検査はありませんでした。
ベルリンのプログラムからは The Final Destination が抜かれたのですが、代わりにディセント 2が加わりました。他の場所で行われる世界初公開の前に公開されるためプログラムには載せてありません。今年は続編が多いです。
今日の作品には仲間全員が困っているところです。あまりぱっとしない作品がずらっと並んでいます。皆「本格的になるのはその次の日からだ」との発言。
開催直前
プログラムにさらに変更が出ました。作品が時間までに仕上がらず引っ込められた作品 Forget me not に代わって出るのが The House Of The Devil です。その他にベルリンでは The Final Destination が引っ込みました。劇場では9月に一般公開のようです。
参加予定作品
オープニング
パンデミックのビールスから逃れようとした4人のアメリカ人の若者がメキシコ湾に近い孤立した土地を目指し車で旅立ち、そこでビールスが収まるまで待つつもりなのですが、ホラー映画が作られるのですから、そうそう話は上手く行くはずがありません。
去年からパンでミックを予想していくつか映画が作られています。途中で豚インフルエンザなるものも流行し始め一時はどうなるかと思いました。強毒性と言われていた物もそれほどでもないらしく、このまま行くと映画が先走りし過ぎたのではないかという話になりそうです。怖いのはワクチンの副作用の方だという説もあり、映画でせっせと予報を出してくれていても外れてしまうかも知れません。とは言うものの皆が健康でいられれば、別に予想が外れても私は文句は言いません。
後記: 前半からいつ終わるかと時計ばかり見ていました。オープニングとは思えない質です。上に書いたようにパンデミックで世界中の人が伝染病で死に絶え、ほとんど健康な人はいません。そういう状況の中男女4人が男2人(兄弟)が子供の頃過ごしたことのある小さな海岸の村に向かいます。かつては仲が良かった2人、そして平時なら立派な人間の4人が、状況に押されて人間としてやっては行けない事を次々にやって行くというストーリーでした。伝染病はただそのためのだしに使われただけ。
同じあらすじでも監督が良ければもう少しおもしろい作品にできたと思いますが、うまく行っていませんでした。終わった時は「ああ、やっと家に帰れる」と喜びました。
実際のパンデミックに関しては現在日本ではニュースが錯綜していて、見聞きするたびに両極端に走っているようにも思えます。本当にかかっている人、本当に死んでいる人の数に注目しながら考えるのが1番のようです。ワクチンの副作用も怖いらしいです。ドイツでは政府も人も冷静で、ちょっとしたニュースが出たからといってパニックに煽られる様子はありません。
特別上映
血の滴るコーナーの枠の特別上映作品。短編映画の長編版。南アフリカに宇宙から難民が来るという珍しいテーマ。記録映画形式のフィクション。District 13 とは無関係のようです。
後記: 主催者はこの作品を入手できたので鼻高々。観客は大いに期待して見に来ており満員。ところが私はあまりの過剰暴力に急性の鬱に襲われ、発作に近い状態になってしまいました。エイリアンと人間の兵隊が戦闘するシーンがあまりにも長く、その上人間の側の凶暴性が狂気のようで、滅多に途中で席を立たない私が会場から出たくなりました。ところが大きなホールが満員で動きが取れません。仕方ないので目をつぶっていましたが、それでも言葉は聞こえて来ます。英語だったので意味も分かってしまう。時たま目を開けるとまだ狂気のように殺しまくっています。
それだけならまだここまで体調を崩さなかったと思いますが、主人公が未来世紀ブラジルに出て来るサムといい勝負の性格。その落差も行けなかったのではないかと思います。
今年のファンタで神経が持たず体調を崩したのは2度目。前代未聞の経験です。この間は胃痛、今回はこれまで経験したことが無いような鬱が突然物凄い力で襲ってきました。描き方のあまりの冷たさに圧倒されてしまいました。
これがあの初期にはユーモアを持った作品も作っていたピーター・ジャクソンとは信じられませんでした。彼は制作に関わっています。
ファンタお馴染のシリーズですが、ベルリンからははずされました。予告を見ましたが、お馴染みのイメージです。
後記: 後で見ました。いつものパターンですが、楽しく見ていられました。
スニーク・プリビューに飛び込んできました。また地底の物語です。
後記: パート1を見ていないのでパス。
ベルリンに The Final Destination が来なかったので代わりに入ったようです(正確なところは不明)。今年はファンタで世界初公開の作品が2、3あったのですが、外国の他の都市で初公開という触れ込みなため、ファンタでは言うわけにいかず、こっそり先駆けて上映されました。ディセント 2 もプリビューという形にしていました。
注目の作品
大金持ちが香港で殺され、フランスに相続人がいることが判明。しかしこういう相続には派閥がつきもの。となると争いが生じ・・・。
後記: この日のハイライト。クロージング・ナイトの作品に選ばれる寸前まで行った作品ですが、そう言われるのにふさわしい変化に富んだ作品です。
上に書いたあらすじ以外には何も無いのですが、冒険、アクションに富み、舞台が世界中移動。しかしアクションに気をそらされず、企業の陰謀や家族の秘密もしっかり描かれています。主人公は言わばスーパー・ヒーローですが、フランスの映画らしく、ブラッド・ピットばりのイケメンを選ばないところがまた上手く行っていました。
お勧め作品。できれば大きなスクリーンがいいです。
注目の監督
父親が家族を連れて故郷に戻って来ますが、異文化、外国恐怖症に直面。
後記: デンマークは私が見た作品では質が下がり始めています。Fri os fra det onde も先に人工的、作為的な筋、結論を決めてしまって、他は後で辻褄を合わせたような作品。見ていて退屈してしまいました。同じテーマを扱い、同じ俳優を使ってももう少し作為的な面を削れば良い作品になったと思います。俳優は全員人物の役柄を理解して演じていたので、俳優の責任ではないと言えます。伝えたいメッセージは人道的でも、それに目が眩んで設定や展開がわざとらしいと興醒めしてしまいます。以前はいくつか出来のいい作品を出した国なので適度な充電期間があれば盛り返すかも知れませんが、最近はあまり良い作品を眼にしていません。たまたま私の運が悪いだけの話かも知れませんが。
アジア特集
ウィルスだ、ワクチンだと言っているうちに登場するのが吸血鬼。血の滴るコーナーに出しても良さそうな作品です。
後記: 韓国が誇る優秀な監督と国民に好かれている大俳優にこんな作品を作らせるのかと驚きました。ハリウッド資本がサポートしたそうで、お金は十分あったのかも知れません。しかしそれほど大金のかかる作品とも思えませんでした。
職務で十分人の役に立っているとは思えなくなっているスランプ気味の牧師が、外国に出て新型ウィルスの人体実験に参加。その時の手違いで輸血を受け、それ以来バンパイアになってしまいます。人を殺しては行けないと感じた牧師は輸血中の患者の血を横取りしたり、妙な事を思いつきます。
周囲の人には良い方に誤解され、自分は血に飢えたバンパイアなので困っているうちに知人一家と再会。その家の妻にむやみやたらに惹かれ、そこから生じるスプラッター・コメディー的なトラブル。それが延々上映されるので133分になってしまいます。見たくも無い前から、後ろから映した男性ヌードが出て来て、およそ品位とはかけ離れたシーンも連続。長いのなんのって。途中時々居眠りしましたが、目が覚めて見ると、まだ同じ事をやっています。
監督が上映の後出て来て長々とインタビューに応じていましたが、それが静かなしゃべり口で私はまた居眠り。結局映画2本分ぐらいの時間をロスしました。
この監督、主演を含め韓国からは日本をはるかに越えるおもしろい犯罪映画やアクションがいくつも来ていたので、ちょっとこの変貌振りには驚きました。主催者は2、3日前から大はしゃぎで、満足していましたが、観客の意見は割れたようです。まだ上映直後なのでどの程度の評判なのか結論を出すのは早いかとは思います。
イノセンスの監督なので期待してもいいかと思います。でもアヴァロンはつまらなかったから下手をするとこけるかな。
後記: こけました。設定は Moon にそっくり。クローンに人間がやりたがらない仕事をやらせるというテーマです。未来版3Kですが、未来の3Kは《危険・危険・危険》のようです。そこを誤魔化すためにクローンの記憶は操作されています。 Moon がスカイ・クロラをパクったか、スカイ・クロラが Moon をパクったかという次元の話ではありません。クローンが実現してしまうと、誰でも似たような問題にたどり着いてしまいますし、この話題はファンタに作品を出すような監督には以前から興味があったのでしょう。
こけた1番の問題は戦闘機乗りがあのように鬱状態ではまともな戦闘は無理だろうという点。あまり詳しく過去の事は考えず、ただ黙々と戦争行為を行うという設定では不自然な人工的な戦争が起きるだけで、人間の持つ凶暴性を代理戦争で解消するなどというテーマに持って行くのが難しいです。その難しさは最初から露呈していました。
押井はイノセンスではスカイ・クロラも狙っただろうと思われるクローンの悲しみを上手に表現していました。àでも静かなトーンの中で観客に考えることを要求し、似たような結論「こういう事はやっては行けない」に持って行きたかったのでしょう。崇高な目的は分かりますが、あと1歩というところで、がくっとレベルが落ちています。
韓国版のグリム童話。
後記: 今年はさすがの韓国も息切れのようです。鐘や太鼓で来たコウモリに続いて、ヘンゼルとグレーテルもこけました。長過ぎます。作風にお国柄があり、問題点をインパクトを込めて一瞬で表現する国もあれば、長々と時間を取って繰り返し表現する国もあります。映画館を出た後観客にどちらの方が長い間印象を残すかは作品によって違いがありますが、私はインパクト派の方が効果があるように思います。 時間をかけてセットを作ったり調度品を揃えたので長時間撮影したい気持ちは分かりますが、一瞬でも十分に話は伝わると思えるシーンが多かったです。
今年のメイン・テーマの1つは子供(世代)が親(世代)を攻撃するという話です。これもそれに属するのですが、成長が止まった元子供という点も扱っているので、そちらももう少し中心に持って行ったらよかったのにと思います。
この監督の3作目ですが、過去の2作もたまたま見ています。劇場用として一応通用する出来です。ラスト・ブラッドは舞台が横田基地なのだそうで、ちょっと変わったテーマです。元ネタは有名なのでそちらのファンが大挙して押し寄せるかも知れません。
映画はなかなか良い出来のようなのですが、主演があの問題を起こした人。芸能界ではこういう話は良くあるのかも知れませんが、それでもやった事は許し難いです。惜しい人を・・・とは思いますが、芸能活動を止めるというのは妥当かも知れません。
後記: 上映直前までに内容が弱いという話は耳に入っていたので、そこにはこだわりません。たまたまエディソン・チャンの最後の作品になるらしいということなので、見ました。
典型的な香港の警察、やくざがらみの作品で、警察のスナイパー・ティームの活躍に主眼が置かれています。
日本、香港のスターが共演。ジャッキー・チャンは演技でたいそうがんばったそうです。ある香港出身のドイツ人でチャンとたまに会ったことがあるという人の話によると、まだ私たちが彼をアクション・スター現役と思っていた頃すでに体は相次ぐ怪我のためにガタガタで、部屋で普通の話をする時でもまともに座っていられない状態だったそうです。ま、事の真偽はともかく、年齢的に言ってもそろそろアクション・スターから演技派に転向するのは悪い考えではありません。コメディアンなどでは人が気づかない間に演技を積み重ねていて、高齢になってからいきなり驚くようなシリアス・ドラマの役が務まってしまう例もありますから、期待。
井上さんはもう見たんでしたっけ。
後記: 井上さんは見ていますね。私は三国志を読むのを端折ろうと思って見る予定にしていたのですが、あまりの長さに後退。
ベルリンに来たのは2008年版なのですが、これが146分。調べて見ると井上さんが見たパート2がさらに142分。合計するとおよそ300分=5時間。インドの映画なら4時間を越えても楽しいですが、赤壁はどうなんでしょう。予告編を見る限りでは白い鳩ポッポは飛んでいるようですが、鳩が飛んでも戦争映画なんでしょう?
ドニー・イェンのカンフー・ドラマ。すでに続編があるようです。
後記: 反日映画だという情報が入っていたので「なるほど、そういうものか」と思いながら見始めたのですが、バランスを取る努力が見え隠れします。主人公を演じるドニー・イェンにはほとんど偏りの無い発言ばかりさせています。某世界的大スターは思い切り良くアンチ・ジャパンの方向を選んだようなのですが、イェンはこの作品を見る限り控えめです。本人の選択なのか、スタッフの選択なのかは分かりませんが、日本のファンに背を向けるまでには至らなかったようです。加えて日中双方にほぼ同じ割合で嫌〜〜〜な奴や、一応フェアな奴を配置し、バランスを取っています。
香港の置かれた複雑な立場が垣間見える作品ですが、ドニー・イェンのカンフー・シーンはたっぷりあります。イェンはやはりギャングや暴力刑事を演じている時や、ハチャメチャ・コメディーの方が楽しいですが、ジョニー・デップが演じたディリンジャーのようにイェンの演じる葉問も本人の実像をメイクに取り入れてあります。
第二次世界大戦にならなかったと想定しての日本。怪人二十面相が鼠小僧の真似をして、金持ちばかりを狙う。警視庁では手に負えず、明智小五郎に助けを求める。さらに怪人二十面相に引っ掛けられた男が事件に巻き込まれる・・・。明智小五郎と言うとどうしても天知茂が浮かんでしまいます。
後記: 金城武が日本語を話すという点しか期待していなかったのですが、正解でした。
時代が未来になっていて、史実を事前に公表して歪曲するのは構いません。大戦回避という大胆なアイディアは事によればおもしろい発想かも知れません。少なくともそのために現代の科学技術も取り入れながらレトロの雰囲気をたっぷり出せます。
しかし最後にばれる明智と二十面相の関係、金城に2代目を継がせるという発想は、わくわくしながら小説を読み、テレビ・シリーズを見た年代の人間には大きな失望でした。作品全体を選挙に焦点を合わせたマニフェストにしてしまっているのもちょっと行き過ぎではないかと考え込んでしまいました。日本で公開されたのは2008年ですが、当時の首相が急病で辞任してからは解散、総選挙が秒読みなどと言われ続けていましたから、タイミングとしては絶好であり最悪でもあります。
その中で主人公の金城はコミカルな演技で非常な才能を披露。何かやってみて「ありゃ」と本人が驚くシーンが絶妙です。ちょっと不快だったのはれっきとした成人の役を演じる役者が子供っぽかった点。スタイルだと言われてしまえばそれまでですが、もう少しとっちゃん坊や色を減らした方が良かったのではと思います。
色々こだわり、凝ろうとした点も垣間見えますが、あまり成功したとは言えません。
血の滴るコーナー (コンペ)
このコーナーの作品の内容については責任は持たないといきなり主催者に言われてしまいましたが、新設コーナーです・・・と言ってから何年でしょうか。今では常設コーナーになりました。
60年代の実話の映画化。
後記: 予告を見て見るのをやめました。
後記: 競合した作品にも食指が動きませんでした。
声でヴァンサン・カッセル他スターが出演。
後記: 第9地区 を見た直後で私はとんでもない状態だったのですが、次が Lascars で救われました。出来のいいアニメで、一場面一場面の絵がそれだけで芸術に見える上に、ユーモアたっぷり、そして音楽が盛りだくさん。フランス語の全く分からない私でも笑えるシーンの連続。これで直前に発作に襲われて大変なことになっていた私の神経はほぐれました。
Prime Time と合わせて上映される短編。地球温暖化、人類滅亡を扱っているそうです。
テレビで衆人が見る中、テレビ局スタッフに拉致された7人が2週間どこかで24時間テレビカメラが回っている中共同生活を強制されます。メンバーが仲良くなって楽しく共同生活を始めないようにするため色々な挑発が行われるそうで、かなり意地の悪い作品のようです。
ハロウィン物。
荒野のジョナサンという変わった名前の監督です。ドイツ人ならたまには地名が苗字になっている人もあり、こういう形式もありなのかも知れませんが、良く分かりません。作品はオーストラリアからで、監督がどこの国の人なのか分かりませんでした。
後記: ジョニー・トウの丸ごとリメイク。とても良い出来で、すぐ記事にしました。そちらを参照して下さい。
真夜中の狂気
またかよのアルジェントです。これまでファンタの観客は何度も騙されて来たので用心していますが、コメディーですとおもしろいか・・・と今年も私は騙されかかっています。
The Mo Brothers については資料がまだ見つかっていません。シンガポール、インドネシアという珍しい参加国。
後記: 予告を見ただけでは殺人の動機が分からなかったのですが、カンニバリスト一家の話でした。私はこのジャンルのファンではないので感心しませんでしたが、スプラッターのファンの方は大喜びだと思います。ファンでない私が見ても以前日本から来たスプラッターより出来がいいと感じました。
アジアの作品で大量の血が滴るのですが、なぜか真夜中の狂気に分類されています。確かに事件は真夜中に起こりますけれど、チェーンソーも出て来るので、私なら血の滴るコーナーにします。
今年はスペインの参加が比較的多いのですが、どの程度の物かは不明。
後記: ハチャメチャのコメディー。ハチャメチャ物として良くまとまっています。主人公に選ばれた女優のクレージーな視線が役にぴったり合っています。ハチャメチャなので最後にはゾンビまで登場。カラフルな画面、予想外の展開など、ふざけ方もいいです。
XXTREME
この3本は2枠取って一挙に上映されます。一旦入ったら出られないお化け屋敷のようなもの・・・。
公式プログラム
背後にリュック・ベソンが控えているアクション映画。これは続編で、Ultimatum がつかない方の作品を見ましたが、なかなか見ごたえがありました。
後記: フランスの佳作が続く日だったので満員になるかと思っていたら意外とガラガラでした。私は Banlieue 13 を見ていたので大いに期待してこの日を待っていました。期待は全然裏切られませんでした。この日のハイライトです。
興味のある方には先に Banlieue 13 を見てからアルティメット2 マッスル・ネバー・ダイを見ることをお勧めします。でないと事情が分かりにくいです。
史実を読んでいる方が映画を見るより怖いのではないかというような話です。ハンガリーの貴族エルジェーベト・バートリの600人を超える殺人物語。「血も滴るような物語」ではなく「血が滴る物語」です。
ハンガリーを中心にした東欧圏では今日でも有名な事件。事実かどうか、どの程度が事実かはまだしっかり研究を重ねた方がいいようで、全く事実無根説、極端な歪曲説もあり、謎はマイケル・ジャクソン事件と同じぐらいの規模です。というのはこの女性の家系はハプスブルク家と対立する立場だったことと、彼女の家族は代々巨大な財産を保持していたため、家の中にもかなり対立する意見があったようなのです。
後記: 失望覚悟で見ました。欧州で起きた史実で、かなりの長期に渡る話なので、映画を1本見て時間の節約をというせこい事を考えました。そういう目的のためには良かったです。主演の女性は超美人。エリザベスのホラー版とも言え、陰謀の可能性も十分示唆しています。
Shaft のパロディー。ジャクソンの Shaft はつまらなかったですが、予告を見る限りこちらはコメディー部分に力が入っている様子。
後記: 今年はプログラムの組み方のせいで、ファンタの常連は時として見る作品が主催者側から決められたような形になってしまいます。ファンタのファンならこういう優先順位だろうというところを見透かされています。で、見る羽目になった作品がいくつかあります。
Black Dynamite は70年代のレトロ作品で、テンプテーションズもどきの音楽、テンプテーションズもどきの俳優が出て来ます。チープな線をわざと狙って作られていて、こういうのが好みの人にはたまらなくおもしろい作品です。趣味の問題なので、関心の無い人には「何じゃこれは」という評価になってしまいます。
郵便局を襲って刑務所で服役している男。元々は7年の刑。ところが実際には独房での30年を加え34年になる。その間に彼の頭の中は憧れのチャールズ・ブロンソンに占領されて・・・。
後記: 俳優ががんばってもだめだったのか、がんばり過ぎてだめになったのかという疑問が1つ。1つ1つの要素に力を入れ過ぎた脚本だったのかというの2つ目の疑問。各要素をもう少し滑らかにつなげなかったのかというのが3つ目の疑問。音楽を何とかできなかったのかというのが4つ目の疑問。同じキャスト、同じ要素で、もう少し焦点を絞りメリハリをつけたらかつて見たエリック・バナのチョッパーのレベルには行けたと思います。残念でした。
Ti West 監督の作品は今年2本来ています。2003年のファンタに出ていた作品の続編。
オスカー・スターのルネ・ゼルヴェーガーが家庭問題のケースワーカーに扮して登場。幼い子供を虐待する行けない両親の家庭からスタート。こういう筋ですと後でとんでもない子供だったという話になるのがホラー映画の常識ですが、さて、今回はどういう運びになるんでしょうか。
後記: 今年のファンタはオスカー俳優のボロが出る年です。オスカーを取っても大根振りを露呈してしまっています。ゼルヴェーガーはブリジット・ジョーンズではオスカーをあげてもいいと思いましたが、他の役はこれまで感心したことがありません。またブリジットを演じるそうですが、ケース39 ではかなり年を取ったことが分かります。大丈夫かな。
ちょっと不思議だったのは、彼女があるシーンで見せた大根演技が、ジェニファー・ティリーの大根演技とそっくりだった点。ああいう演技のスタイルというのがあるのかなと思うほど似ていました。
監督は2005年に Antikörper を発表したドイツ人。Antikörper の出来がかなり良かったので、ケース39 の出来が悪いのが意外でした。
ケース39 は ファンタの作品としては落第。予告を見たり紹介の文章を読んだだけで親ではなく子に非があることが見えてしまいます。オーメンみたいな話なのですが、見え見えで謎らしきものが成立していません。ショーダウンも月並みです。少女の演技も小憎らしいところはそれでいいのですが、裏があまり無くて全体的に薄っぺらい作品になっています。
クリスマスのサバイバル・ストーリー。
子供のできない女性をめぐる心理スリラー。
後記: まあひどい作品です。カメラ、俳優、ロケは及第点。まずいのはストーリー。以前ホラー映画をパロディー化したホラー・コメディーが世界的にヒットして、いくつか続編までできましたが、ああいうのをシリアスにやってはあほらしくて見ていられません。具体的に言うと、パロディーなら主人公が「やっては行けない事」をやってどんどん話を悪い方向に持って行っても構いません。何と言ってもパロディーなのですから。しかしシリアス・ドラマの場合はそれをあからさまにやっては行けません。「後で良く考えるとあそこでこうしておけばよかったのに」という伏線を張るのは構いませんが、さりげなくやらないと。そこを堂々とわざわざ、次々とやっては、まずい。3回目あたりから後はばかばかしくなって「まじかよ・・・」、「本気かよ・・・」となってしまい、間もなく「いいかげんにしてくれ」という気持ちになってしまいます。
失踪した弟をめぐる幽霊話。
後記: Eyes などに近い幽霊話ですが、それまでに続いていたファンタとしてはレベルの低い作品の後に置いたのは成功。普段あまりマジなトーンの幽霊話は好まないのですが、The Disappeared は上手にまとめてあり、見て損をしたという感じではありません。
2005年のファンタに来た同監督の Evil Aliens は愉快でした。
後記: デビューでこれほど気合の入った作品を作るのは大したものです。脚本、監督、俳優の演技など一応それなりのレベルに達しています。ところがそういうプラスの得点を全部ゼロにしてしまい、さらにマイナスに持って行けるほど負の気合が入っていて、主催者から評価をしてくれと言われ、つい最低点をつけてしまいました。この作品がなぜ「血の滴るコーナー」に入っていなかったのかは今もって理解できません。
上映中非常に嫌な気分を味わったのですが、直後次の作品を見に行った会場で強い胃痛に襲われ1時間ほど続きました。それほど負の影響のある作品です。この種の作品が嫌だという方は是非胃腸薬を用意してご覧下さい。ちなみに胃痛の原因は次の作品ではありません。
生活苦の売れない役者。どうしようも無くなって同じアパートの住人と相談。その男は売れない脚本家。売れない2人の運命は・・・。ブラック・ジョーク満載のコメディー。
2007年のファンタに出た Fritt vilt の続編。あちらは「スノーボードをやるためにノールウェイの山にやって来た5人の若者が、20年前の出来事にこだわる頭のおかしい男につかまる」というストーリーでした。どうやらあの時助かったのは1人だけだったようです。その1人から2作目が始まります。
後記: 後で見ましたが、このシリーズは当分カバーする予定です。そもそもの出来事のオトシマイがまだきっちりついていません。
臨月が近い女性が事故。生まれる前の赤ん坊グレースは・・・。
Cabin Fever 2 も出している監督。
予定されていた Forget Me Not が制作側の都合で出せなくなったため、差し替え。
ファンタではお馴染みのアニメ作家。
後記: 意外な拾い物でした。明らかにロー・バジェットで、スパイダー・パニック!といい勝負のアホは話なのですが、スパイダー・パニック!は越えています。私の嫌いな実験物なのですが、人物の配置、描き方が手際良く、まとまりがいいです。
地方に映画の撮影に来ているスタッフ、キャストと地元の住民。俳優の1人が死体を見たと言い出す。映画出資者の1人は地元のやくざ。地元警官が事件を調べ始めるとまずい過去に行き当たり・・・。
後記: 大物が出演しているので、いずれ見る機会があるだろうと考えてパス。
18世紀の墓泥棒2人組の話。死刑になる直前に話した驚くべき内容。コメディーです。パールマンにはコメディーが合うと以前から思っていたので楽しみにしています。
後記: 疲労困憊でかなりの部分眠ってしまいました。残った部分だけでも大いに笑えました。ちゃんと見た人の話だと、ストーリーにひねりもあったそうです。ファンタ開催中に再上映を見るべきか検討中。
以前佳作ザ・ヒットマンを出した監督。
5人の既婚男が不倫目的でアパートを借りるが、ある日そこで女が死んでいた。5人は疑心暗鬼になり、仲間内の誰かが犯人だと思い始める・・・んですって。
後記: 今年は「おーっ」という作品が少ないのですが、これは「おーっ」です。常連のほとんど全員がディセント 2 を蹴ってこちらを選択した上に満足していました。
ザ・ヒットマンの監督なのである程度のレベルは期待していました。驚いたのはザ・ヒットマンとはかなり違うジャンルなのに大成功している点。
ミステリー・クラブの関係者なら大喜びするような古典的な推理小説形式のプロットです。古典推理小説などきれいに忘れられている現代なのに、正攻法で、ストレートに成功しています。井上さん必見。
後記: この日のハイライトでもあり、恐らくはファンタ全体のハイライトにもなるかも知れません。有名人なのに俳優は大根で、音楽はひどかったのですが、ストーリーが優れていて、よく持っていました。加えて月のシーンがいかにもという感じで、本当に月を見た人など(ほとんど)いるわけが無いのにリアリティーがありました。
ストーリーはどの程度優れているかと言うと、2001年宇宙の旅とブレードランナーを加えてさらに倍ほどレベルアップしたような出来です。原作の小説があるようなのですが、それがどんな作品であるにしてもプロットと脚本は賞賛に値します。俳優の演技がそこそこでも観客は納得してしまいます。
伝えたいメッセージが非常に良い分量伝わって来ます。今年はメッセージが押し付けがましい作品が多い中、 押し付けがましくありません。ケビン・スペーシーの役は事前に分かっていて、期待してたのですが、ダグラス・レインに完敗しています。この役はパトリック・スチワートかピート・ポスレスウェイトに任せた方が良かったのではと思います。 ロックウェルが大根だったのは幸いしています。ここで彼がほぼソロの演技で気合を入れてしまうと、作品が言わんとしている焦点がかすんでしまいます。なので、もしかしたらロックウェルは考えた末にほどほどの演技にしたのかも知れません。
エジンバラが舞台の社会派作品だそうです。
今年は子供をテーマにした作品がいくつか出ています。
後記: 一見2007年のファンタに出た Joshua と似ているのですが、結末にたどり着いて見ると全然違う話です。
1989年にカナダで起きた事件(モントリオール理工科大学虐殺事件として知られている)の再現。アメリカでは時々銃乱射事件などが起きていましたが、当時は欧州やカナダはまだ穏やかな時代で、そういった国でのこの種の事件は大変な事件と受け取られていました。そんなカナダでは珍しい出来事を20年後、極力センセーショナルな描き方を避けて撮った作品。
2007年のファンタにニュージーランドを舞台にした乱射事件を扱った Out of the Blue というのがありました。事件は1990年に起きています。描き方は興味本位さを避けてあり、好感が持てました。
後記: このあたりからファンタのレベルに達する作品が出始めました。フェミニズムに非常に反感を持っている学生が、リトルトンやエアフルトの事件のように銃を乱射して大量の女性の死者を出してから自分は自殺するという話です。実際の事件が1989年ということで、フェミニズムがちょうどカナダで広がっていたのでしょう。
パンフレットにもあったようにセンセーショナルな描き方を避けており、白黒も奇をてらった様子は無く、よくマッチしています。この日は1作目から3本続けて激怒を自分で抑えられない性格の犯人が描かれています。テーマに偏りがあります。
後記: まあ、驚いたの何のって。作品がおもしろそうだという理由以外で選んだ作品だったのですが、この日のハイライトと言えるぐらいのレベルです。中で語られる理屈や内容は「アホ」の一言で片付くのですが、それをたった3、4人の俳優で、カメラアングルもほとんどワン・パターンで、撮影されるセットもほぼ1箇所で撮っています。よくまあこうもうまくまとめ上げたものだと感心しました。この数人の中の1人がとんでもない詐欺なのか、本当に言われている通りの事が起きているのかという原則的な点もぐらつき、スリル満点です。こんな単調な語り口でスリルをここまで盛り上げたのは凄い。
入場無料。
後記: 天才名子役ダコタ・ファニングをじっくり見たのですが、先が思いやられるなあと思いました。これ1作で判断しては行けないので、結論は保留します。
必然性は感じられないのですが、中国が舞台。超能力を持った人間を政府の機関が管理したがり、それを嫌がる勢力との追いかけっこがメイン・テーマです。ヘルボーイではここまでもめなかったのですが、エスカレートしたらこういう具合になるのでしょう。セルマ・ブレア似の女性も出て来ます。
フランスはこの種のスリラーが最近好調なのでできれば見たい作品。
後記: 以前カッセル夫妻主演のスパイ・バウンドを見たので Secret défense にも期待していましたが、見事に外れました。プロの筋金入りのスパイを扱うはずが、信じられないほどナイーブでアマチュアなのです。背後の人間もそういう人を訓練し、将棋の駒のように使うという設定なのが、スイス・チーズのように穴だらけ。ずっこけました。
後記: 見ている時はテンポがありおもしろいストーリー展開なので気づかなかったのですが、見終わってからあほらしく感じました。北野の GONIN 2 を完全にパクっています。その上女性に何度もブロウ・ジョブをやらせてフェミニズムを強調しています。なんとも矛盾をはらんだ視点。男性が女性の味方をしたつもりになって描くとこういう風になってしまうのでしょう。
心臓移植をした男がドナーが殺された事件に巻き込まれて行くという話。最近移植の問題がよく話題になります。私も移植手術は経験していますが、あげたのも貰ったのも自分。他所の人が絡むとなかなか大変な問題に発展します。病気の我が子を救うために、移植用の臓器調達目的でもう1人子供を作るなどという呆れた話も出ます。
後記: 駄作と言えますが、この日は体調を崩していたので、この程度でもあまり文句は言いません。表向き幽霊話かなと思えるように話が進行、後半実はその裏にちゃんとした犯罪が隠されていたという構成です。有名な俳優が何人か出ていますし、カメラは一応きれいに撮っているのですが、力不足。しかし劇場公開されるかも知れませんし、テレビには売れるのではないかと思います。入院でもして、病院のベッドで退屈しながら見るのにちょうど適した作品です。しかしこれから移植手術を予定している人は見ない方がいいかも知れません。
ラッセル・クロウ主演。
カーライルを出しておいてアクションというのはちょっと不思議な感じがしますが、バトル・ロワイヤルの焼き直しだそうです。暗殺者として7年に1度行われるトーナメントを勝ち抜けば1の後にゼロが7つついた$が約束されるそうです。
去年までと違って今年は1の後にゼロが7つついても$の値打ちが下がっているので、賞金としてはあまりうれしくないのではなどと考えているところです。世界1の暗殺者としては賞金を手にして悠悠自適の生活をするにしてもかなり警戒が必要。このまま$の値打ちが下がり続けるとそういう生活を維持するのも大変なのではなどと余計な心配をしてしまいます。
後記: この種のスターを動員したオーバーキルのアクション映画としては珍しい残酷さと、納得の行く終わり方です。メジャー系でどこまで暴力シーンを出せるかはドイツの自主規制の範囲によります。ファンタでは全部見せるのが原則。一般公開されるのではとは思いますが、どこかしらカットされるかも知れません。。
普通はおためごかしの理屈をつけて行き過ぎアクションを出すものですが、The Tournament では納得の行く説明になっています。キャスティングも最初カーライルなんか連れて来てどうするんだろうと思いましたが、良い選択でした。他のキャストも有名、無名を問わず良く特徴を生かせるようになっています。できればノーカットでご覧下さい。
バーティカル・リミットとその辺のホラー映画を組み合わせたような作品だそうです。
後記: 元々は見ないつもりで避けていました。予告編を見て決めていました。ところがこれを除いた2つのうち、1つは前日までに見てしまっており、残ったのはメジャーのスターの出る作品。で、こちらを選びました。
結局うちで2時間昼寝をするか、Vertige を見るかの選択で、私は間違った選択をしてしまいました。「仲間が数人で森や島に出かけて行って、そこで・・・」という話が好きな方には向いていますが、本格推理小説とか本格スリラー、ミステリーなどを好む方は昼寝を選んだ方がいいです。
ゾンビ映画
後記: まあアホとしか言いようが無いのですが、プログラムの良い位置に置かれていて、楽しめました。この直前に最悪の作品を見た観客がかなりいたはずなのです。口直しとしては何ともかわいらしい佳作。是非意地悪く、いや〜〜〜〜な気分を味わった後にこの作品を選んで下さい。
短篇
今年は2館3ホールなので短編は避けざるを得ないかと思っていたら、見ざるを得ないようにプログラムが組まれていました。まあまあ及第の作品が多く、1つはすばらしかったです。
後記: アメリカの田舎の話。モテルを経営している家族と、ガソリン・スタンドをやっている若者の話。モテルの家族はちょっと変わっていて、親父さんが泊り客に自分の妻を1晩20ドルでリースなんてサイド・ビジネスもやっています。砂漠のど真ん中で他にする事も無い客がその話に乗ったのが彼の最後。彼の体は世のため人のためにリサイクリング。そのためのインフラは整っていて、宗教系の職業の人物が定期的に依頼を持ってやって来ます。
モテル主の娘がガソリン・スタンドの若者とラス・ベガスへ行く予定だったのが、彼女が遅れて来たためおじゃん。若者の運命もそこで決まります。
後記: ドイツ映画はファンタではほとんど自動的に避けられてしまうのですが、それも仕方ないと思える作品が多いのも事実です。そしてたまにファンタに出してもいいかなと思える作品が出ると、なぜか制作側か配給会社の都合でファンタには出て来ません。
しかし短編、クレイ・アニメなどの部門では注目に値する作品や一定のレベルに達している作品が無いわけではありません。例えば今年は去年に続き楽しいファンタ・トレイラーが作られています(なぜか上映は2回のみ。主催者からコピーを貰ったので、井上さん、送ります)。
短編コーナーに出たドイツの作品は一応見られます。
Escape は以前ファンタにオープニングとして出たアイデンティティーの超コンパクト版。
後記: おばあさんが孫に就寝前に御伽噺を語ってあげるのですが、子供はすっかりおびえてしまいます。御伽噺というのは元々怖いものなのです・・・。
後記: ショーダウン直前まではいかにもドイツの映画らしく、登場人物がどうでもいい話をだらだら。自分が世界で1番すばらしい人物だと思い込んで、人前で携帯電話で話をして見せ、周囲を苛つかせるなんてのもドイツ人お得意の所業。しかしショーダウンに至るためには事前に観客を苛つかせておかないと行けないので、ここではそういうのありです。
後記: 開催直前に技術的な理由でキャンセル。デジタル版が届いてしまったらしく、他のフォーマットと合わなかったそうです。
後記: この監督は注目に値します。今年出た長編も佳作でした。しかし特に抜きん出ていたのが、長編、短編というカテゴリー分けを無視して Next Floor。こんな発想、こんな演出はまだ見たことがありません。似たようなテーマはミシェル・ピコリやマルチェロ・マストロヤンニ主演のドイツ語のタイトル「大食らい」(最後の晩餐)。しかし Next Floor の前では最後の晩餐でも完敗。
大金持ちだと思われる一団がただひたすらグルメ用に特別に作られたらしいご馳走にぱくついています。ある程度食べ終わると、給仕のチーフらしき人物が 「Next Floor!」と言います。一段階下に行って、そこでまた最初から食べ直し。極上のご馳走が次々と運ばれ、セレナーデも奏でられます。ある程度食べ終わるとまた次の階へ。なのでタイトルは次のフロアというわけです。
非常にユニークな作品なので、機会があったら是非ご覧下さい。
後記: 結婚式シーンから始まるゾンビ映画。「楽しい時も苦しい時も・・・」というお決まりの文句を牧師が語り、教会で挙式。苦しい時は直後にやって来ます。周囲をゾンビに囲まれ、即座に戦いが始まります。そして夫になったばかりの男もゾンビに・・・試練の時です。
蛇足ですが、次の混乱の地は東京です。
後記: 主催者から見る前に警告がありました。ストーリーはゼロ。ただひたすらスキンヘッドの強そうな男が、鋭そうなカッターナイフで自分の体を切り刻んで行く、それだけです。意味無く自分を傷つける究極の作品。腕から始めますが、リスト・カットなどという生易しいものではありません。これからリスト・カットをやりたいなどと思っている人は先にこの作品を見て、もう1度考え直したらどうでしょう。
会場では意外なことに自分もスキンヘッド風でタフそうに見える男が見ていられなくて顔をそらしていました。パンカーもそうですが、スキンヘッドなどにしている人は意外とまともな神経なのかも知れません。
私は別な意味で腹を立てながら見ていました。数年前事故でちょっと大き目の負傷をし、EUでも最新技術を持つ医学関係者が1週間以上かけて私を修理してくれたのです。おかげでかなり良くなり、あの時医者が何をしたのか大体分かっています。 Snip はそうやって医者がせっかく治してくれた個所、あるいは幸いにも事故も無く、健康な体の部分を自分で破壊するアホの話です。ま、ラテックスを使って撮ったトリックには違いありませんが、とてもリアルで、こんな患者だと医者は手術する気にもならないのではと思ってしまいました。
後記: 犬猫がハンバーガーにされるのを助けるヒーローの話。
フィナーレ
前回大爆笑だったパロディーの第2弾。
後記: かなり疲れていたのであまり楽しめませんでしたが、おもしろそうで、いずれ見直そうかと思っています。主人公がポリティカル・インコレクト連発で、「空気を読む」などという言葉は生まれてから聞いたことも無い人。それをどんどん推し進める技は、元ネタの1つとして参考にしたかも知れないそれ行けスマートを見事に追い越しています。
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