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参加作品
開催予定:2014年8月-9月
見た作品のコメントを加えました。
休暇却下期間中、それほど仕事が詰まっている様子も無く、結局あれは何だったんだろう。私は早朝からいつも通り仕事をし、休み時間を15分短縮して、その足でファンタへ。2週目の5日間初回と2回目の10枠をパス。しかし疲労困憊状態で、この週の作品は見たと言う自信がありません。見ている最中に目は開いていてもブラックアウトになっていたり、眠った時間もあります。なので今年のファンタ速報はストーリー、プロットでは正確さを欠くかもしれません。悪しからず。
普段ですと13時から開始で、帰宅は午前2時頃。すぐ眠り、朝8〜9時頃から起き出して来て、朝食。その後食料と飲み物を準備し、身支度を整えて昼頃会場に向かいます。今年は朝5時頃起きて朝食と身支度を整えて会社へ。食料の準備は前の夜にしておき、朝は鞄に詰め込むだけ。7時半から働き始めて、16時過ぎに会場に向かいました。アドレナリンのせいか、私の初回に当たる17時の回はまだしゃんとしていることが多かったですが、その後はほぼ全滅状態。隣の人の観察によると目は開いていたことが多いですが、頭がブラックアウト状態で、どうやら音声だけは頭に入っていたらしく、終わり頃にはそれを察知して目が覚めるといった状態でした。途中ちゃんと目が覚めて内容を把握できた回もあれば、壊滅的な回もありました。短くまとめて言うとこの週はゾンビ状態。その週の週末も疲労がたまっていてあまり内容を理解できませんでした。
会社の仕事がなぜできたかと言うと、数字だけに集中していればいい作業だから。数字は10個しかなく、一定のパターンもあるので、条件反射のようにいつも通りできてしまい、自分でも驚きました。映画はお遊びだからそっちの方が楽だろうと思っていたのですが、結果は真逆。映画では外国語の台詞を聞き取り(字幕の場合は読み)、ストーリーの前後関係を理解し、かつ推理も必要な時があり、加え画面の景色などを見、音楽や物音も理解するという総合的な作業なのだと改めて思いました。それを理解するのに連日睡眠時間が平均2時間では能力の限界を超えてしまいます。
主催者側の期間変更で9日でなく12日になりましたが、いつもなら通しのパスを使う仲間が激減。普通50人以上でわいわいがやがややるところ、今年は20人強から30人程度でした。聞くところでは通しのパスは100人分ほどあるらしく、そのうちの50人前後が長年続けて参加。いくつもの小さなグループに分かれてグループごとに一緒の席に座りますが、皆他のグループとも仲が良く、今年のようにグループが小さくなってしまうと、いくつかのグループが近くに寄って来ます。
通しのパスを買わなかった人が増えたためか、今年はガラガラの回が非常に多かったです。通しのパスを持っていると、おもしろいかどうか予想がつかない作品でも行ってみようかと思い、結構座席が埋まります。最初の週の初回、2回目に秀作で再上映の無い作品が入っており、その回ががらがらだったのは残念です。
主として問題になったのは職業についている人たち。私たちもかつては学生でしたが、20年もすると皆それぞれ何かしらの仕事に就いています。ちなみに今年のファンタは28回目。大抵の会社は年が明けるとその年の休暇計画を立てるので、ファンタのために8月に1週間ほど休暇を取る人が大半。ファンタの日程発表がやや遅いので困る人もいます。それでも春先には決定。今年は急に期間が延びてしまったので、そこで困った人が続出。結果、通しのパスを止めて、個々のティケットに切り替えた人が多く出ました。
今年参加した作品は62本(うち1枠は短編集)とプログラムに載っていない短編1本で、その気になれば全部見られたそうです。となると1本が4ユーロほどなので、個別に買う9ユーロと比べると非常に安く見られることになります。ただ仲間の様子を見ているとやはり12日間はきつく、見ることができても来ないということがあったようです。
初日2本、2日目から11日目までは1日6本、最終日5本の上映でした。今年も2館を使いましたが、例年と違い、2つ目の館は17時と22時の回のみ上映。なので両方の館を行き来する手間は少なくて済みました。
職業に就いている人は時間を捻り出す苦労がありましたが、学生はお金を捻り出すのが大変。お金持ちの子女は別として、計画的に貯金しておかないと出せる金額ではありません。なので今後主催者がどういう決定をするのかが注目です。それまでにフォーラムで議論があるでしょう。ちょっと気になるのは30周年記念を3週間通しでやるという話が主催者から出たこと。この人、これまでも言った事は実行しているので、本気だったら私たちは覚悟を決めないと・・・。
7月上旬から馬鹿っ風邪を引き、6週間以上仕事以外全ての活動から手を引くことになりましたが、ようやく回復に向かい、こちらにも復帰。来週の今頃はファンタに入っています。私がどの程度参加できるかは今もって不明。ただ平日の2日は確保できたので、夜に始まるオープニングの日、平日2日、週末1回は確保できそうです。2つ目の週末に差し障りが出る可能性が否定できないのと、メインの1週間は全部通常勤務を終えてからしか参加できないので、頭を抱えているところ。社長は好意的なのですが、その下にいる部長がいじわる爺さん。怒りや不満を原因のある所で出さず、横っちょで変化球を投げる人なので、ストレートな対処ができません。ま、そういう人と付き合うのも仕事の一部だから仕方ないでしょう。過去に経験したとんでもない話に比べれば、普通のいじわる爺さん、それも何年も続く話でもないようなので、ここは我慢。
今年はよその町の知り合いが初めて参加してみようということになり、1日か2日行動を共にします。数年前から私がファンタに参加することを知っていて、ベルリンに来た折には参加できればなどと言っていましたが、なかなかスケジュールが合いませんでした。今日本来の用事でベルリンで会い(8月中旬)、たまたまファンタのプログラムを見せたら、わざわざ新幹線のような列車で1日か2日参加するためにベルリンへ来ると言うではありませんか。
後記: 結局現われませんでした。
カテゴリーが最終的に決まりました。参加作品も決定。新しいスケジュールでは本数がわずかに減りましたが、休みがもらえて通しのパスを買うと全部見られます。
理由不明ながら今年はアジアの参加に偏りが出ました。例年通り参加の年には1本持ち込むのがインド。今年も出ます。それ以外のアジアの国は日本が協力しているインドネシア作品が1本。
残りは韓国が劇映画3本で最多。日本はアニメと劇映画1本ずつ。
中国の仰々しい歴史ドラマは時代考証をせず、内容も大味でつまらないので、減ってもいいと思いますが、今年は本当にゼロ。
もっと驚くのは香港映画がゼロなこと。中国は現在政変の真っ最中なので忙しくて映画なんか作っている場合ではないという事なのかもしれませんが、低予算、こじんまりとでも話を上手にまとめてしまう能力のある香港から何も来ないのにはちょっと驚きました。香港ならちょっとどこかの事務所、レストラン、通りを撮影するだけで立派な犯罪映画を構成できてしまいますからね。演技の達者な俳優もぞろぞろいますし。
冬にでもアジア映画特集をやるのかなと期待してみたいですが、映画を作れそうなアジアの国の多くが政変か領土問題に巻き込まれているので、どの国も映画どころではないのかも知れません。ま、国あっての映画ですから、優先順位は明白です。
これまでは48枠でしたので、再上映があっても20本弱がスケジュールの関係で見られませんでした。今年は参加本数は前回までに比べて数本減ったのですが、枠が67に増えます。枠の数より参加作品が数本少ないので、本当にその気になれば全作品見られますし、数本は興味があれば2度見られます。年長組はおそらくその時間をパスして2時間長く眠るでしょうね(笑)。
休暇がほとんど却下状態なので、私の参加は危ぶまれています。通しのパスは払い戻しができないので、週末などだけ一部参加してはどうかと考えているところですが、そうなると1本ずつ個別にティケットを買うのに比べ1本あたりが非常に高くつきます。体調が普通なら、仕事が終わってから最終回まで参加すれば1日2、3本見られる計算になるのですが、休暇を決定する人物から月始めに病気を移され、救急に出向くような騒ぎに発展中。現在までで給料2か月分の費用がかかっているところです。なので直前までに体力を回復できるかが大きな課題。最終判断では体調を優先します。
カテゴリーがさらに決まりました。現在54本弱。例年ならあと20本強と短編特集。
スケジュールの発表が無いので今年はどうなるのか不明。去年のミュンヘンのモデルで行くとすると、ベルリンで上映されていた77枠に比べ期間が延長されても10本ほど減ります。近年きらめくような作品が減っているので、駄作を削って67本でもいいような気もしますが、一見駄作に見える作品に面白い物が混ざっていることもあるので、たくさん紹介してくれた方がいいのかなとも思います。バイヤー主体ではなく、ファン主体ではありますが、この催しは一種の見本市ですからね。
カテゴリーが決まり始めました。確定した所は分類しました。オープニングや注目の作品に豪州の作品が入っています。
今年はリメイクが非常に少ないです。小説の映画化がわずかに入っている程度で、監督が考え出した筋が多いです。
今年もファンタのシーズンが来ました。少しずつ参加作品が発表になります。
今年は大変な年になりそうです。休暇が取れることになりますので、開催中は休暇を取るつもりでいたのですが、
・ ファンタの開催日が変更になった(8月中だったのが、9月に引っかかるようになった)
・ ファンタの開催期間が延長になった(12日)
・ 会社の重要な予定に引っかかる
ことになり、開催中にも出社する日が出そうです。
ファンタ側の変更が支持されるかは微妙なところです。料金が高いので、支払えるのは高年齢の常連組。その人たちの多くは働いているので、休暇を長期に取る事ができるか・・・。
若返りを狙って学生層をターゲットにする場合は3ヶ月に及ぶ夏休みの終わり近くに開催するのが正解なので、この変更は理解できます。その人たちに支払い能力があるかがまた微妙なところ。若年層の失業者、生活保護受給者にはちょっと大変な値段。
変更のきっかけは映画館の貸切が難しくなった都市が出たこと。その町だけ映画館を1館に絞り、開催を延長して、通しのパスで全部の作品が見られるようにしようってな事になったようです。
そのアイディアが生き残り、他の都市でも2館を借り、やはり全部見られるようにプログラムを組んだようです。無職でお金のある人や、私のように失業中で2年前から計画的に貯金していた人間には天国のような話だったのですが、私は昨年非正規の仕事が入り、今年からは正式社員。つい最近、そのテスト期間も終わり、この夏からは準社員でなくなりました。フルタイムではなく、4分の3職ではありますが、せっかく仕事が入ったので、やはり仕事優先。10年以上探していたのですよ。なので、今年は100%見られる年ではありますが、一部分パスするかも知れません。それでも60本以上が参加するので、多少欠けても記事のネタは十分あると思います。悪しからず。
毎年の事ですが、タイトルが先に発表になり、作品のカテゴリーは最後に発表されます。それまではアルファベット順にして、 公式プログラムに載せて置きます。ナビゲーションは徐々に調整して行きます。
オードブル(2014年3月)
参加予定作品
オープニング
経済破綻が原因で無政府状態になっている。頼りになるのは武器と奪う気力。主人公は車を取られてしまう。道中車を取った一味の1人を拾い、人質にしながら他の犯人を追いかける。
トレイラー: 主人公はこういう役にぴったりのガイ・ピアス。
日本人ならもう少し物を分け合って、こんな世界が来ることを防ぐのに、あんたたち何やってんのと問いたい作品。
感想: オープニングにふさわしい作品か疑問。作品自体は手堅い作りできちんとまとまっている。俳優が頑張っている。人間不信が表に出た作品で、最後のシーンでそこが改めて強調される。
今年は政府、社会、個人がやるべき事をやらずに来て、その結果トラブルに巻き込まれたり、問題に直面し、それがとんでもない事件に発展したり、自分(の社会)にツケが回って来たという状況の作品が多かった。作品の最後に、ではこれからどうしようかという提案があるわけでもなく、先の見通しが暗いままで終わる作品が多かった。
現実の世界ではその先の対策に取り組む国も出始めているのに映画がこういう状態では、《映画が時代を先取りする傾向》が崩れ始めたのかとも思う。映画が遅れ、現実が対策に乗り出すのだから嘆く必要は無いけれど。
特別上映
数々の有名な作品を作ったベテラン監督。主演もスターをそろえている。シリーズ化の可能性あり。
トレイラー: ボンド映画の横で諜報員と政治についてメルヘンを語るのは嫌だという姿勢を見せていたブロスナンらしい作品。
感想: ファンタにはブロックバスターはあまり来ないのですが、見ごたえがありました。諜報員の明るい面ばかりを強調したボンド役を降り、裏の面を見せながら、ボンド映画と同じぐらいの規模で悪を暴くという、諜報員メルヘンに胡椒と山椒と辛子をかけた作品。
アクションはステイサムの作品に迫る。事件の展開はテンポが速く、1つの秘密が長持ちせず、すぐ次の段階に移る。結果身内の不祥事に行き当たるというところは現在の世界情勢に合っている。
注目の作品
主人公は現代に生きるバンパイア4人。共同生活をしていて、話が合わないこともしばしば。1人は379歳の洒落男。1人は862歳のロシア風な名前のサディスト。もう1人は187歳の若僧。タイトルの通り、日光に当たっては行けないところは私の生活とも似ている。私はまあ怪我の場所以外が当たっても燃え尽きて死ぬような事はありませんが、彼らにとっては深刻。加えて血を調達するために時々心ならずも人を殺さなければならない。そこへ新たな友達ができてしまい、話がややこしくなる。
監督2人は主演もしている。2人で書いた脚本にはいろいろなオマージュも含まれている。
トレイラー: 凄く間の抜けたバンパイアが現代に適応しようと努力する映画のよう。トレイラーだけでもおかしくて笑える。
感想: ファンタらしい上、色々な作品へオマージュ、尊敬の念が伺える作品。その点だけ取っても非常に豪華。フィナーレに持って来ても良かった。
ホームビデオでバンパイアの日常生活をつづる形式。何百年、何千年も生きている中で必死に現代に適応しようとしている姿だけでも笑える。加えてひょんな事で仲間に入ってしまった新人バンパイア、バンパイアになっていないのに仲間に入ってしまった人間、その男にコンピューターの技術などを教えてもらう姿がおかしい。後半は別なグループとの対決に発展。ベースになるアイディアがおかしいので最後まで笑える。
2度、3度見てもいい。変にリメイクなどせず、この作品自体が世界公開になってほしいところ。
注目の監督
夏休み直前に学校をサボって用済みで放置された映画のセットに遊びに行った3人組。そこで車のトランクの中から縛られている女性を発見。覆面をした男が3人に気づき・・・。
トレイラー: ・・・を見る限り普通のホラー映画風。ただ、フランスとスペインは時々スマッシュヒットを飛ばすので、見るつもりでいます。仕事と重ならなければいいんだけれど。
感想: パッとしなかった。監督に注目するほどのことあったんだろうか。ABCs of Death 2 に採用されているけれど。過去の作品のポスターを見ると、そちらの方が怖そう。
アジア特集
アニメ一つ筋の監督。地下の世界からこの世に現われた少女は蝙蝠のようにさかさまで暮らしており、地上の重力にうまく適応できないので、気を付けないと空に向かって落ちてしまう。そういう少女とこの世の少年が知り合う。
アニメでないと描けないような奇想天外な設定だけでもおもしろそうです。
トレイラー: 日本が異質な文化を取り入れる形と違い、非常に西洋的は発想で作られています。アニメには時々こういう形式の作品があります。全体は子供向けの仕様。
囲碁博打に絡む怨念と復讐の物語。グループ活動でこっぴどくやられた男が、ブルース・ブラザーズのように人材をかき集めてやり返す。
トレイラー: 囲碁で博打をやるなんて、何と罰当たりな人たち。
感想: アクションが多く、スプラッターのように多く血が流れる。パクりまくりだけれど、嘘を上手に語るのが映画だとすると成功している。
待ってました!陽気なインドの作品。
トレイラー: 会社名からして世間をおちょくっています(エロス社、いるみなティー映画だそうで)。残念ながらミュージカルではないようですが、愉快そう。トレイラーだけでも笑えます。
感想: 過去のインドの作品に比べると落ちる。とは言っても笑えるシーンが適度にばらまかれていてそこは愉快。もう少し音楽シーンが欲しかった。この作品は全くミュージカル系ではない。
ファンタで採用される傾向の強い作品。自分が男か女かはっきりしていない刑事が女装して捜査に当たるところから巻き込まれる騒動。
トレイラー: 自分の性のアイデンティティーに悩む刑事の物語のはずだが、作品の印象は非常に男性的で、日本のやくざ映画と香港の刑事・やくざ映画の美学を大々的に取り入れている。ストーリー以外の部分でも楽しめそう。
感想: トレイラーや解説でミスリードしている。話は違う。韓国ではゲイのテーマはこなれていない。
香港映画、やくざ映画からかなりパクっているが、結果としてシーンにうまく溶け込み上手に料理している。
キャスティングにミスがあり、他の俳優ならもう少しそれらしくまとまった可能性あり。
立場の違う2人が違う国でインターネットに殺人をアップした事から繋がりができるというストーリー。
アジアの映画というとこれまでは東アジアとインドに集中していたが、インドネシア、ベトナム、タイなどにもおもしろい作品を作った過去がある。国内ではワン・パターンの作品の多い日本とこういった国が組めば何かおもしろい物が生まれるかなとちょっと期待。
トレイラー: 他のトレイラーに比べると出来が悪いが、物語はおもしろそう。
感想: 出来が悪く失望。
2006年に愛情の欠乏が二人の男に及ぼす影響というコメディーを作った監督。
同じ時期に妻から三行半をつきつ受けられ、母親に死なれ、職場では横領の内部調査で調べられる羽目になる刑事。母親の葬儀への道中ひき逃げ事故を起こしてしまう。死体の隠し場所は母親の棺。そんなことが上手く行くはずはなく・・・。
トレイラー: コメディーではないが時々ちらっとユーモアらしき雰囲気がある。画面に工夫があり、面白そうにできている。
感想: 見られなかった。
劇中劇。ある映画の内容。契約内容をよく考えずに契約を結んでしまった男が、解約できず、家族が巻き込まれるので当惑する話。契約の内容が宅配の SM 契約だったため、内容が異常に見える。勘違いが元で、客の男が派遣された女性を殺したように思われ、客の男は追われるようになる。この映画を観終わった人たちからは批判が出るが、監督は100歳になっており、気にしない。
トレイラー: タイトルは笑えるのにトレイラーはあまり効果的ではない。
感想: ファンタ会場では大受けで、笑いが絶えなかった。私には松本の前の作品の方がおもしろかったが、当時のファンタの客には理解されなかった。勢ぞろいした女性は皆出がらし風で、精彩を欠く。せっかくいい場所で撮影しているのに画面が暗いため、建物の良さが消えている。日本家屋も暗いため印象が悪い。
さすが監督出演のシーンは笑えた。
血の滴るコーナー (コンペ)
監督は長編デビュー。自作短編 Monster のリメイク。
夫に先立たれた母子家庭。息子は家に出入りするモンスターを怖がる。絵本の影響なのか。母親は当初普通に子供の思い込みだと考えて学校や医師と相談。しかしやがて彼女にも息子の言う事がもしかしたら本当ではないかと思えて来る。ミニ集団ヒステリーなのか、本当に何かあるのか・・・。
トレイラー: 前半は問題行動を起こす子供の紹介、後半は子供以上にオカルトに取りつかれてしまう母親の紹介。このオトシマイはどうつけるのか。父親の死に母親が絡んでいて、心理的な問題に発展しているのか、エクソシスト的な展開が現実となるのか、誰かがこの親子を犯罪的に攻撃しているのか・・・。
感想:
今年はオセアニア地方が積極的に参加している。この作品は英国や、北米東海岸風の雰囲気を持っている。
見る前の期待を良い方に大きく裏切った。母子を演じる俳優の力量が生かされている。脇役もよく溶け込んでいる。母親役はオスカーに演技派としてノミネートされるような女優より力量がある。子供も今こんなにできてしまうと、成人してから苦労するのではないかと思うぐらいの演技。最後のオトシマイもこの種の映画としては珍しい形。
コンペで3位に入ったのも納得。2位でも良かった。
両親、妹と普通に暮らしていた男に不幸が襲う。地元やくざに両親が殺害される。ちょうど今犯人が釈放になるところ。男は犯人を殺す。次はやくざがこの男に復讐を始める。妹が狙われると計算して男は妹をその土地から遠ざけてある。男は安全のためやくざの跡継ぎを人質に取りるが、そこからはびっくりの展開になるとか。妹がやくざの息子の恋人だったなんて話になるんだろうか。
トレイラー: 悲劇を強調する順当なトレイラー。いったいどんなサプライズが出るんだろう。
感想: タイトルとトレイラーのおかげで全然違うイメージを抱いていた。大サプライズではないが、サプライズはある。
イヴァン・アッタルが演じたらいいような役が主人公。人殺しなどこれまで全く関わったことの無い素人が、死んだ両親に代わって復讐を試みるため、プロの殺し屋と違う苦労が伴う。そのシーンで作品の個性が出せている。後半の展開は当初の予想(上参照)と近かった。
コンペで2位。3位といい勝負。
30年前に幽霊に出くわした女性。老女となってその家に戻って来る。彼女は呪いの謎を解くつもり。
トレイラー: 地味ですが幽霊の雰囲気は出ています。私はこういう正統派のスタイルが好き。
感想: 南米は本数は少ないが近年良い作品も来る。その中では中程度。作品として必要最小限の条件はクリア。安易な作りではない。俳優もちゃんと役目を果たしている。ストーリーがやや平凡。
休暇を過ごす5人の友達。到着の翌日入った洞窟から出られなくなり、後はサバイバル・ホラーに・・・。
解説を読む限りはつまらなそう。
トレイラー: ・・・を見ると解説よりはおもしろそう。解説通りあまりおりこうでない若者が年相応にちょっと無軌道な、でもまあ、この程度ならちょくちょくあるかなという行動を取る。その後は「後で反省しても遅い、何とか生き延びなければ」という展開。私はこの種の話は好きでないが、ロケに使った場所の景色と、撮影がいいので、そっちの方で楽しめそう。
感想: 予想通りつまらない作品。観客の神経に触るような作り。「そんな事をしたらダメ」と分かり切っている事を登場人物に次々やらせてトラブルを起こして行く。観客の神経を逆なでするような行動をやらせておいて、取り返しのつかない事態に自ら入って行く。「君たちは馬鹿か」「馬鹿だ」で映画の解説は終わり。
ロケの景色を楽しもうと思ったが、岩穴ばかりで、美しい海のシーンはわずか。
新婚旅行中の若いカップルが森のヒュッテで2人だけの時間を過ごすことにする。新婦の過去の話が出た後、新婦失踪。新郎が発見したのは全裸で錯乱状態の新婦。何とかヒュッテに連れ帰っては見たものの彼女の行動はどんどんおかしくなって・・・。ここまでの説明では SF に見えないので、多分彼女がおかしくなるところに SF が絡むのではないかと予想。
トレイラー: ・・・を見ただけではおもしろいかつまらないか判断できませんでした。
感想: トレイラーと解説を見た時の予想よりおもしろかった。新婦がおかしくなってから向かう方向が予想外。確かにSF、恋愛、ホラーとジャンルが明かされているが、前半を見ているとSFだという事を忘れてしまう。演出と出演者にうまく引っかかる。後半確かにSFだと分かるが、宇宙船が出て来たりはしない。今年は大がかりなSFとは違う形のSFがいくつかあり、この作品も工夫が見られる。
銀行強盗未遂で9か月自宅監禁の刑。その家には幽霊が出る・・・。
トレイラー: 内容がさっぱり伝わらないトレイラーです。
感想: 全然期待していなかった作品。スケジュール上見られたので見に行っただけ。ところが、登場人物のキャラがものすごくおもしろくて、幽霊もたじたじ。
トレイラーではさっぱり分からなかった内容: 共犯者もドジ、自分もドジで、夜間現金支払機を狙ってお縄。懲役刑の代わりに足に発信器を付けて自宅軟禁の罪に。自宅周囲の一定の距離を超えると警報装置が鳴り、セキュリティーの男が飛んで来るという仕掛け。
その家に住んでいるのは折り合いの悪い母親と幽霊。なので彼女はそれこそ刑務所にいる方が居心地がいい。幽霊の話をしても誰も信じてくれないと思ったら、セキュリティーの男がオカルト・オタク。その後起こるドタバタ。出演者のキャラクターが独創的な上、会話が個性たっぷり。幽霊が出て来てもこの2人にかかると「黙れ!」と怒鳴られ、しゅんとなりそう。
その結果コンペで1位。納得。
19歳の少女が男の子たちと週末に湖に遊びに行く。セックスの後付け回されているように感じる。
トレイラー: 無し。説明だけ読むとあまりおもしろそうではないが、すでに見て、感想を書いている人の評価は100点中85点。地味な作品だが、このジャンルでは出来がいいような書き方。音楽、登場人物の描き方も含み雰囲気がいいらしい。
感想: ちゃんと見たが、なぜか記憶に残らない作品だった。上に書いた内容に加え、ババ抜きのように、追いかけまわされることから逃れたい場合は他の人に移すしかないと言った話。
苛められっ子ジェイミー・マークスが死体で発見される。 関心を持った人物が彼について調べ始める。その後ジェイミーの幽霊が出没。ジェイミーは主人公を死の世界に連れ込もうとする。
トレイラー: アメリカ映画としては緻密に作られている。
感想: この種の地味さを特徴とした作品は、ファンタがブロックバスターを避け、地味な作品を多く扱うようになってからいくつか見たが、1番失望した。ロケーションや俳優は一応いいのだが、ストーリーがこれでは演出もやりにくいだろうし、俳優もベストを尽くしてもこのぐらいしかできないだろうと思う。この種のいくつかの作品を継ぎ接ぎしたような印象になる。
唯一の取柄は大スター、リブ・タイラーの女優としてのきちんとした演技を見られた点。普通のおばさんを演じていた。
低速度撮影を使って時間をいじった話。
トレイラー: メメント、プライマー風にややこしい話だけれどおもしろそう。ただ、こういう現象を利用して金を儲けよう何て事を考えるとろくな結果にならないだろうなと思う。
感想: 元々は普通の友達だった3人が、事件に巻き込まれて行くうちに本性を現わすという筋の作品が今年は何本か出ている。これもその1つ。タイムマシンとは言わないが、ごく僅かな時間だけ未来を先取りした写真を撮影できる大型写真機を発明した男がいる。本人は行方不明になっており、住宅の管理人をしている男女3人が男のアパートに入って発見。写真機は向かいの3人組の家を撮影していたため、3人の暫く後の未来が撮影されている。最初はおもしろがっていた3人だが、やがて欲が突っ張る者も出て来るという話。マシンはウォレスとグロミットのウォレスが発明しそうな代物で、ティーンエイジャーあたりの観客を狙って作られているが、それなりに楽しめる。
真夜中の狂気
2人が2001年に助監督として作った同じタイトルのビデオのリメイク。
脚本も2人が執筆。
別な作品でベルリンに来、監督の1人と、その時の主演女優と1時間ちょっと話し込んだことがあります。監督は自分が俳優になれるようなイケメン。女優は次の映画でベルリンに来た時も話したことがあります。大型予算は貰えないようですが、両者とも映画作りにまじめに取り組んでいるという印象を受けました。
トレイラー: そのまじめさはどこに仕舞ったんだろうと思える、お色気ハチャメチャホラー。
感想: 一応観客席に座っていたが、疲労困憊でストーリーを理解するまでに至らなかった。残念。
死んだと思っていた父親が生きていたと知り、子供の頃過ごした、放棄されたままになっている屋敷に出向く。
トレイラー: チープな感じで、知恵と演技だけで怖さを出そうと工夫した様子が見られる。
感想: 確かに低予算のチープな作品。特殊効果にもお金を割けなかった様子が伺える。その狭い枠の中で随分工夫していた。長いマントを着て、蟹歩きをする斧を持った幽霊軍団とか(斧は本当に刺さり、死者が出る)、良く考えると普通の顔をしたおっさんが演技で無表情を通しているための怖さとか、煙と声しか出て来ない悪魔とか。チープだと馬鹿にしてもいいのかも知れないが、家が洪水で流されて別な場所にあるとか、監督が意図したかどうか分からないところに謎の雰囲気が出ていたり、まあ、1本ぐらいこういう作品があってもいいかな。
見てくれ最高、能力優秀の若い看護婦が実は殺人鬼で大活躍中。そこに入った新人の美人看護婦。殺人鬼看護婦はかいがいしく新人の面倒も見るものの、新人の心をとらえるまでには至らない。
トレイラー: 出演者一同コンセプトを正しく理解して極端な演技をしている。
感想: 私は大笑い、大満足。ファンタの仲間の間ではパス・デ・ラ・ウエルタが美人でないとか、あまり評判が良くなかったのだが、私には彼女がアメリカ人好みの美人に思えた(ウィットニー・ヒューストン型)。とにかく何もかもを極端に強調する演技で大笑いした。エンター・ザ・ボイドより生き生きと演じている。
ファンタにはたまにミュージカルが出る。どうやらスリラー・ミュージカルのよう。アメリカ人のような印象で、実は英国人のドライバーはアメリカのある問題ありと言われる宗教団体との関わりが噂され、出演作品に恵まれないようなのだが、根性でカナダ映画の主演を取った。
トレイラー: 珍しいミュージカル・スリラーのジャンルを紹介するには十分なトレイラー。
野心家の美人女優がある映画にスカウトされ、富と名声を引き換えにという話に乗る。
トレイラー: 嫌な感じのするトレイラー。映画の内容はさっぱり分からない。
感想: 少し頭の弱い女優が、同じようにスターを目指す売れない俳優たちと一緒にアパートに住み、毎日せっせとオーディションに行く。失望の日々。仲間は業界を正しく理解し、幻想を抱いていないが、主人公はまだ幻想を抱いている。なので、おかしな話に乗ってしまう。プロデューサーに会えるところまでこぎつけたのはいいが、ある要求をされて怒って断わり帰ってしまう。考え直してもう1度出向き、話に乗るとその結果行き着いたのは・・・というわけで、荒唐無稽な結末にたどり着く。ばかばかしい結末。実話に基づいているのだとしたらもっとあほらしい。
女優の演技などを競う作品でなく、事情を一般人に知らせるために作ったのか。
元々は何をやってもうまく行かずアル中気味の制服警官。仕事中に殴られ、機を失う。その後体の異変に気づき、満月の夜は落ち着かない・・・。いつの間にか狼男になっていたわけだが、警官としての義務も忘れることなく・・・。
トレイラー: ・・・を見ただけで笑ってしまった。ハチャメチャの狼男警官の物語。
感想: 疲労困憊で何も分からず仕舞い。
無声映画
10回近く映画化された中の1番最初の作品。監督はポーランド生まれで、フランス人とポーランド人の間に生まれた人。映画ではフランス語圏で活躍。
脚本にルイス・ブルニエが加わっているので、理屈っぽいのかなと、ちょっと心配。
子供時代の友人のアッシャー家の1人から招待されてアッシャー家に来る人が主人公。アッシャー家の友人は家庭内で頻繁に起こる神経の病気にかかっている。この人の妹も病気で死にかけている。妹が死亡し、兄は病状が悪化。訪ねて来た友人は屋敷に妙な音がすることに気づく。妹は実は生きたまま棺桶に入れられたため、こじ開けようとしていると言う。犯人は兄。実際生きていて、血だらけになった妹が現れ、兄を殺す。その後屋敷が崩壊する。
ポーは実在するアッシャーという屋敷からヒントを得て小説を書く。ポーの周辺にはアッシャーという名前にまつわるエピソードがいくつかある。実話の方のアッシャー家も小説にできるぐらいホラー要素を備えている。
トレイラー: ・・・を見る必要は無く、インターネットに全編乗っている。
感想: テクノ系の音楽がひどく、仲間内ではけちょんけちょん。音楽の責任者が来ていて、観客は礼儀を守り、ひどい事は言わなかった。そのためか主催者は好評と考えた様子。仲間内では映画を見て音楽を考えたのではなく、もう何か作曲してあって、それを無理やり映画にくっつけたのではないかと勘ぐっていた人もいた。一理も二理も三理もある意見。主催者は今後もこういう実験を続けるべきだが、この作曲家は失敗と思う。無声映画に後から音楽を付けた作品を何度か見たことがあるが、これまでの人は映画の場面に合わせて盛り上げたり、幽霊が出そうな雰囲気を静かに出したり、画面に合わせていた。テクノでもジャズでも民謡でもアカペラでも何でもいいが、作品を尊重してもらいたかった。
公式プログラム
リメイク作品。父親や弟に医療費もかかるところに、できちゃった婚でお金が必要なニュー・オルリンズのセールスマンが折悪く会社から首を言い渡される。そこへ未知の人物からゲームの当選を知らされ、言われた通りの事をやると金が振り込まれるという甘い話の電話が入る。実際試してみると金が入って来る。条件は、13段階をクリアすると莫大なお金になるというもの。降りるとゼロ。先方はなぜか彼の個人情報を全部つかんでいる。
しぶしぶやり始めるが、やばい内容も含むので警察が追って来ることもある。刑事はロン・パールマン(!)。なので正義の警官なのか、悪徳警官なのか、はたまたゲーム主催者からよこされた監視役なのか、油断はできない。
人間のの弱みに付け込む典型的なストーリー。嫌なタイプのストーリーだが、パールマンが出るのでは見なければ。
監督はハンブルク出身。学校はドイツで、映画専門学校の後、アメリカでも映画の勉強。比較的知られた作品はドキュメンタリー風の劇映画ラスト・エクソシズム(2010年のファンタ参加)。
トレイラー: サム・ロックウェルに似た頼りない、役にぴったりの主人公と、ジェームズ・コバーンを思わせるかっこいいロン・パールマンがたっぷり見られるトレイラー。
プライベートなパールマンはこの映画と違い、穏やかな話し方をする。
感想: パールマンは娘を大学にやるためにどんな役でも引き受ける人。近年は売れて来たので役は選べるのではないかと思うが、この作品は失望。姿はいいし、役も重要。ただ作品の出来が悪い。話を聞く限りではオリジナルの方が良さそう。主人公もパールマンもできるだけの事はしているが、リメイクが上手く行っておらず、不完全燃焼。代表作にはなり得ない。
ハイダーのデビュー小説《死を啼く鳥》から続く話で、同じ警部が登場する。小説では両親が監禁され、10歳にならない息子が暴行後行方不明になるというパターンの連続事件を扱う。今回の事件では両親が瀕死状態で発見され、息子は連れ去られ、後に遺体で発見される。被害者夫婦はあまり証言したがらない。子供を狙った性犯罪の姿をした事件で、実はという展開になるらしい。映画と小説でどのぐらい一致しているのかは不明。暗い展開らしい。
ベルギーは作品数は少ないが、時たま非常に出来のいい作品を持ち込む。子供を狙った犯罪の作品でも上っ面をかする作品でないことがあるので一応期待。
トレイラー: ・・・は大げさに怖がらせるような演出。ストーリーの深刻さが上滑りした感じ。ベルギーはもう少し抑えの利いた作品も作れます。
感想: 主人公の刑事があまりにも主観的、感情的で、観客の神経に触るが、テーマになっている事件は奥が深く、謎がたくさんあり、結末も捻ってある。刑事にもう少し抑えが利いていればすばらしい作品になったと思うが、事件の経過を追っているだけでも十分スリラーとして機能している。ベルギーの実際の事件を思わせるエピソードが何人かの人物に分けて表現されており、当時の事件報道を読んでいる人には「ああ、あの話か」と納得が行くのもこの作品の強み。
《下》というタイトルは、《地下》という意味。具体的には炭鉱の地下で、事故が起きてそこで働いている人が地底に残されてしまったという話。父親と娘を中心に話が進むらしいです。解説には閉所恐怖症の人は避けた方がいいとあった。
監督は短編、テレビと進み、長編の経験は浅い人。しかしテーマの選択はいいのではと感じる。
邦題がビニースとなっている同じ年の作品とは別物。怪物やエイリアンではなく、酸欠状態の人間が狂気に走るらしい。解説を読んだだけだが、佳作のような印象。
トレイラー: セットだとはすぐ分かるが、作品の内容をよく伝えている。
映像のアーカイヴの仕事をしている夫が妻の浮気を疑っていて、心労の多い日々を送っていた。そこへ同僚が1902年に起きた殺人事件の映像の仕事を持って来たため、さらに心労が重なり、妻が実際に不倫しているところに居合わせてしまう。その直後に妻が失踪。・・・とこのあたりまでは普通の刑事事件の様相だが、その後異次元の話に移って行くらしい。
トレイラー: 一応謎がたくさんあって面白そうではあるが、トレイラーの展開だけを見るとわざとらしい印象。
感想: ネタが簡単に見抜けた。最近心理学的な筋を持ち出して来ておきながら、分析が浅い作品が増えている。アイルランドや英国からはもう少し奥の深い作品を期待していた。
キャストの紹介でネタがばれてしまうのが残念だが、平穏な仕立て屋の生活を送っているカンニバリストの物語。ニナという女性が現われるまでは人を食うという裏の姿もばれず、何もかもが上手く行っていた。
トレイラー: 俳優、セット、衣装、ロケ地の風景、撮影バランスがいい。最近のスペインの調子の良さを垣間見る事ができる。もしストーリーがカンニバリストや吸血鬼など月並みな展開だったとしても(見ないと分からないが)、少なくとも映像的には感じのいい作品で、そこだけでも楽しめそう。
感想: The Canal と同じ程度の期待しか抱いていなかったが、こちらの方がずっと良かった。主人公の描き方が良く、全体のバランスが良かった。普通多くの国が制作に参加すると虻蜂取らずになるものだが、この作品はスタイルが一貫しており、観客が主人公の行動に集中できる。俳優の抑えの利いた演技とロケーションがいい。
彗星が通ることで人間がおかしくなる。まず携帯が使えなくなり、壊れる。人がいないのにノックの音がする。明りのついている家に行くと自分たちがそこでパーティーをしている場面に出くわす。彗星、彗星と騒ぎ過ぎて集団ヒステリーをおこしたのか、シュレーディンガーの猫現象が起きているのか(となると私の小さな脳では理解できないけれど)。
トレイラー: 解説と全く同じ内容。
感想: エイリアンも宇宙船も妙な生物も何も出て来ないSF。予算節約のために考え出したストーリーかも知れないが、見終わってみると捻りが利いていて、成功している。舞台劇にできそう。一定の人数の人間が1か所で出たり入ったりするだけのストーリー。
彗星通過の影響で、あちら側にこちらにいる主人公たち8人のコピーができてしまう。それに気づいた8人が様子を探りに家の外に出て見る。その時こちら側のグループは青い色の蛍光ランプを持っている。あちら側の人間は赤いのを持っている。後になってメンバーの一部が入れ替わっている。その上別な8人のコピーが別な所にできている。合計3人ずつ全く同じ人間が存在してしまい、かつ時間のずれが生じている。3グループそれぞれ皆が戸惑っている中で全体を正しく理解した人間がいて・・・。
最初はブルジョワっぽい8人がスノッブな感じであれこれ言い争うのでうんざりしながら見ていたが、話の焦点はSFの部分の置かれていて、だんだん謎に引き込まれて行く。秀作。
家宅侵入者を射殺した男が、犯人の父親と対決せざるを得なくなる。ところが話がさらに展開し、2人が協力せざるを得なくなるらしい。
トレイラー: 家宅侵入の部分を紹介。
感想: 私の見たトレイラーは話の冒頭を紹介したに過ぎず、舌足らず。3人が主人公になる。自宅に強盗に入られた中年男リチャード、リチャードに息子を射殺された老人の父親ベン、リチャードの家族を守るために依頼を受けて仕事を引き受けた探偵ジム。元々は暴力を好み息子の復讐を誓うベンと普通の家庭の父親リチャードの争いになるはずが、ジムが調査しているうちに、ベンの息子の死に疑義が生じ、実際に埋葬されたのは別人と判明。保安官の様子がおかしい。
3人は仲直りし、一緒に事件を追い始める。息子は警察に協力しマフィアを不利にする証言を行ったため、それ以降新しい身分を貰って身を隠していた。3人は息子を発見し、「ご対面」となるはずが、事件はとんでもない方向に発展する。井上さんが時々送ってくれた小説のような雰囲気の物語。
3人の俳優のバランスが良い。ドン・ジョンソンが揉めるはずの2人の間にコメディーの乗りで入り、暗い話を愉快にしている。それが無いとあまりにも悲惨な話。
キャリアに紆余曲折の多いドン・ジョンソンだが、3度目の浮上が可能かと思えるような冴えた演技。他の出演者も手堅い演技で、締りのある作品に仕上がっている。お勧め。
生活の荒廃した元警官が怪しげな話を引き受ける。空の事務所で電話を受け、言われた通り黒いアタッシュケースを言われた場所に届けることになる。条件は「中身を見たら絶対あかんよ」・・・だそうで。
トレイラー: やっぱり、そんな話を引き受けると死人が出る・・・。
感想: トレイラーと解説を見てほどほどの期待を抱きながら見始めたが、期待よりおもしろかった。元警官の生活が荒れたのは妻が死んだことが原因。警察に対して不信感を抱き、辞職。警察以外の仕事で才能が無かったのか、ビルの窓ふきの仕事さえ首。子供を学校に行かせるため借金がかさんでいた。そんな中、地元やくざの借金を肩代わりしてくれた男がいた。脳腫瘍を患い、自分の仕事の後継者を探していた。白羽の矢が立ったのが主人公。
仕事は簡単で、上に書いた通り。ただ、ちょくちょく仕事があり、時には海外出張になるので、子供との約束が果たせないことがしばしば。ある日ちょっと依頼の時間に遅れたら殴り倒される。アタッシュケースを開けようとすると、誰かに監視されていて「開けたらあかんよ」と忠告される。とは言うものの礼金はがっぽがっぽと入って来る。何度聞いても「法は犯していない」との返事が返って来る。それでも元警官としては疑いを抱かざるを得ず、元同僚と相談を始める。結末は時々ファンタの映画にあるような話だが、展開が早く、活劇としてはおもしろかった。
妻が失踪。探偵に依頼して調査。その結果表に現われたのはアパートの秘密・・・。
トレイラー: 妻の失踪、夫が「妻は秘密を知っている」という電話を受ける、その後は血みどろ。確かに秘密はありそう。
ちょっと安っぽい作り。
感想: トレイラーが安っぽい印象を与えたのと違い、今年のファンタで1番豪華な作品だった。ある美術のスタイルで全体を統一してあり、視覚的な面だけでも楽しめる。監督2人がベルリンに来ていたので少し話す機会があった。ポランスキーのテナント 恐怖を借りた男をある程度意識して作っている。
作品は非常にスタイルに凝っていて、癖があるのに、作った2人は学生のように気さくで自由な感じだった。普通こういうスタイルの作品を作る人はドグマのような物に固くこだわり、理屈っぽい人が多く、年齢的にもこの2人より上の人が多い。2人は14年来一緒に仕事をしているそうで、それぞれ主張が違うのに、作品の中では流れるようにうまく繋がっていて、切れ目が見えない。
今年はゲストが少なく、この2人の他にもう1人ドイツ人の監督が来ただけ。しかもサイン会などで行列ができるでもなく、すぐ話ができた。この種の映画が嫌いな私にも珍しく気に入り、そのことを伝えた。
周辺で失踪、動物殺しが起きていると知らず、週末を一緒に過ごそうとしたカップル。そこへUFOが墜落。やがてエイリアンとのいざこざに発展。
トレイラー: トレイラーのサウンドがやたら大げさで悪い印象を与えます。出演者はこれと言った特徴が無く、セットや筋の設定に従っているだけ。ストーリーは見てもいいかなという感じ。
感想: チープな作り。チープだということ自体は別に構わないが、話がおもしろくない。冒頭電話ボックスで助けを求める女性がボックスごとぶっ飛んでしまうので期待をしたが、その後のストーリーに説得力が無い。今年はエイリアンや宇宙船の姿が見えなくても捻った筋の作品が出ており、負けている。
大学生の友達が数人山小屋でパーティー中に空から何かが落下する。好奇心から調べに出て見ると宇宙船とエイリアンの痕跡が。危険を感じ山小屋を防御しようとするが、力及ばず捕らえられてしまう・・・。大人向けの作品ではなかった。これで満足する若者もいないのでは。
監督は長編デビュー。
かつて著名なカルト集団から脱退した人を洗脳から解放する専門家だった人物。現在は彼のテレビ番組が打ち切られ、妻には去られ、財産も失い、車で路上生活中。新しい本は評判が悪く、マネージャーからは金を稼げとせっつかれる。
折悪くかつてカルト集団から脱退させた人間が発狂して死ぬ。そこへ娘を取り戻してもらいたいと両親が相談に来る。
前評判良好。
感想: 見られたのは最後の15分強。見た人の話だと、それで事足りるとか。私が見た部分では、主人公が患者(カルト集団から脱退する目的で手当を受ける人)に追い詰められており、娘を取り戻してほしいと主人公に依頼した両親はカルト集団に取り込まれていた。春に見たサクラメントとセットで見るといいのでは。
法廷から息子に近づくことを禁じられた父親が息子を誘拐して森に隠れる。会いたがっていた父親と違い、息子は父親に全く関心が無い上、自分が囚人のように感じる・・・。
どうやら元々は父親が子供に暴力をふるったので、母親が訴えて接見禁止になった様子。解説を読むと子供にも何か問題がありそうで、ファンタ向きの作品ではなく、社会問題を扱った作品を上映したがるインテリ向きの映画館で上映した方がよさそうな雰囲気です。
英語のタイトルは囚人状態を表し、フランス語のタイトルは保護する人というような意味。
トレイラー: あらすじを紹介するトレイラー。何かの不条理を訴えたいのかなと思うが、魅力のあるトレイラーではない。
感想: ファンタ向きの作品ではなかった。親子関係がガタガタになり切ってしまうまで社会は家族崩壊や、離婚を放置していた。その結果子供の教育は二親だけとか片親だけに任され、かつてのように親戚や近所の人、学校の先生も加わって行われることが無くなっている。負担が親だけに集中し、職業に就いている親だけでは十分に目が届かない上、子供は1つの意見しか聞くことができなくなった。そういう親子関係に追い込んでおきながら放置しておいた結果、親子のみならず、人と人が直接ぶつかり異なる意見を認め合うような機会が無くなった。それを反省するような内容の作品。今頃こんな映画作っても間に合わないんじゃないか。
両親が離婚。母親に引き取られた息子。1度暴力をふるったが故に訴えられ、息子に接近することを禁じられた父親。父親は我慢できず息子を拉致。連れ去った先は山小屋。暫くキャプをして過ごす予定。息子はふてくされており、機会があったら逃げ出そうとする。父親は銃の使い方や、山での過ごし方を教えようとする。ところが反抗してもみ合った結果父親が大怪我をする。それまで反抗的だった息子は自分を見捨てて下山しろと言う父親をどうにかして車の通る所まで運ぶ。母親が警察に訴えていたので手配書が回っており、トラックの運転手が警察に通報。しかし親子関係は信頼と友情になっていたという話。狼は出て来るが、エイリアンも狼男もゾンビも出て来ず、犯罪と言っても所謂人質事件でもなく、家庭裁判所の問題。
元ネタのこの作品が一般公開される前からハリウッド・リメイク決定。
元来真面目な覆面捜査官が汚職上司に嫌気が差し、同僚と強盗を試みる。低予算でもきっちりまとめてあるとのこと。
トレイラー: 元気のよさそうな兄ちゃんが集団で登場。南アフリカがいかに荒れた社会かを強調。スタイルはフランスのゲットー物風で、軽快なラップ・ミュージックが流れる。
南アフリカ、いいんかい、こんなで。豊かな国に作り替えるチャンスはたくさんあると思うけれど。
感想: 凄い。物凄くお金がかかっているように見えるが、制作者の話だとお金が無いのでありとあらゆる物を節約したとの事。その結果がこの豪華なアクション映画。すばらしい。どちらかと言うとフランス系のアクション、ノワールっぽい作り。フランスより気合が入っていて作る側のエネルギーを感じる。こんな映画を作るノーハウ、どこで仕入れたんだろう。
監督は長編デビュー。マッキントッシュは若い監督の作品を好むようです。彼女とは2度ゆっくり話をする機会がありました。2度目に会った時私を思い出してくれたのには感激。1度目に一緒に来た監督も今年別な作品で参加しています。ベルリンを訪ねてくれるかはまだ分かりません。
スコットランドの小さな町。初の夜勤に当たった刑事。偶然自動車事故を目撃。犠牲者は消えてしまう。暫くして犯人と思しき男が警察署に出頭したので逮捕。この男、実は悪魔だった・・・。
トレイラー: このレベル、タイプのホラーとしてはクラシックな印象。
後記: 仕事を8時間終えてからの参加で疲労困憊のため、この回は諦めて帰宅。マッキントッシュの役は個性があったらしいです。残念。
車を乗り回して無軌道な生き方をし、こっぴどい目に遭う若者の物語。前にも映画としてはまじめに作ってあるが、ファンタ向きでないドラマが出ていたが、これもそういう作品なのか?
トレイラー: ワイルドスピードと60セカンズを合わせたような話から始まり、最後は裁判所かどこかに落ち着くような展開らしい。
感想: 今年は男女3人の関係がおかしくなる作品がいくつか参加しているがその1つ。夜中に一般道路で違法レース行った若者が人身事故を起こし、4か月の刑になる(軽過ぎる)。しかもこの青年、借金もあり、仲間で夜プールに強盗に入りまとまった金をつかむ。しかし人間関係がおかしくなり、揉め事の末もう1度人身事故を起こしかける。男2人はそれをきっかけに仲直りはするが、事故を起こした若者はそのまま自殺。残った男女はどうにか関係はつながるが、苦い後味を残す。
若者向きに手堅く作られているが、ファンタ向きの作品ではない。去年もこの種の作品があったが、出品場所が違うような気がする。今頃こんな教育映画を作るより、繁栄していた過去何十年間の間に手を打つべきだったと思う。今年はそういう作品が多い。
変なポスターだと思ったら、これ一発で内容を表現していた。麻薬の取り締まりが厳しくなったため、近年麻薬を詰めた小袋を飲み込み、密輸をする方法が盛んになっているが、それを扱った作品。初心者の主人公はすぐつかまってしまう。
感想: この作品は2通りの反応を生むだろう。元々麻薬などに手を出さない人には、いい警告になり、その後も麻薬には一切手を出さないだろう。麻薬に手を出す人にはこんな映画を見せても何の効果も無いだろう。
主演は前のファンタで 100 Bloody Acres に出ていたアングス・サンプソンで、このひどい映画の監督もやっている。彼の演じるドジ男レイは冒頭でフーゴ・ウィーヴィング一派の警察に麻薬密輸容疑で捕まってしまい、空港のホテルに閉じ込められてしまい、こっぴどい目に遭う。空港はオーストラリアの法律が通用せず、7日とか一定の時間内なら缶詰にして尋問ができる。警察はレイが体内に隠した麻薬を出させたい。レイと警察のギリギリの攻防戦に加え、警察だからと言って正義の味方ばかりではないという醜い面も出て来る。
100 Bloody Acres でも、こちらでも血の巡りの悪いドジ男に見える役を演じているサンプソンは本当はかなり緻密な計算のできる人物らしく、かなり気合を入れてドジ男を演じている。この作品を見る場合は食事は4時間ほど前に済ませておくことをお勧めします。
国がごっそり外国に買われてしまったと言われるアイスランドで映画を作る余裕があるのは良い方向の驚き。数は少ないが、過去にもいくつか映画を作っている国。
アイスランドはは元々苗字の無い国。苗字らしき最後の名前に -son とかd -óttir とついているのは、そのすぐ前にある名前の人物の息子、娘だと言っているだけ。英語の son と daughter に当たる。
農家の息子がトラクターに轢かれて死んでしまう。家族はそれぞれの形で息子の死を悼む。娘は少女風のファッションを止めて、ヘビメタの世界に突入。農家の納屋にエレキギターなどを持ち込む・・・。
かつては壮大な物語を生み出したアイスランドだが、映画になると人間の内面に入って行く話が多い。
トレイラー: 家族関係を描く社会ドラマ風。ファンタより、インテリ向けの映画館でかけた方がいいような作品。まじめに作っていることは伝わる。
感想: 疲労困憊というほど疲れていなかったが、居眠り。疲れていても作品が冴えているとちゃんと終わりまで見ていられることを考えると、この作品は退屈だったと推測される。最初の兄があっけなく死んでしまうシーンは印象に残ったが、その後妹が荒れるところは退屈で、眠ってしまった。
冒頭5分ほどの短編が入った。インターネットにもアップされている。これもつまらない。
子供の頃殺人罪に問われ、少年向けの収容所に入っていた少年が釈放になり、11年後に帰宅。弟の無実を信じる姉はある鏡が妙な作用をお越し、弟はその騒ぎの結果ああいう事になったと信じている。家族はこの11年の間に崩壊状態。当時問題だった鏡を競売で競り落とし、事件の科学的究明に乗り出す2人。
トレイラー: 必死に客観的、科学的に究明しようと試みる姉と、それに反するような出来事が列挙されている。
あこがれのスタート食事ができるというコンテストに当選した主人公。ところが彼女の方から約束が反故にされ、代わりに関係者と名乗る男から彼女の日常生活をPCで監視でき、命令で支配もできるという話を持ちかけられる。
話に簡単に乗ってしまう主人公。おかげであこがれの彼女を救うために身を張って戦う羽目になるが、もしこの時、主人公が話に乗らなかったらどうなって行くんだろうという興味もわく。
トレイラー: イライジャ・ウッドが悪人でないことが分かるトレイラー。もし彼女ごと全部がグルだったらどうなるんだろうなんて疑問も。
感想: ウッドはこれまでメジャーの作品と同時に個性あるマイナーな作品も選び、おもしろい作品にも出ていた。ここでもその方向を狙ったと思われるが、今回は空振り。トレイラーを見た時に起きた疑問にも答える作品だが、これまでのウッドの出演作のようなきらりと光る物が無かった。
今年のテーマの1つ、「変な話に乗るな」シリーズに該当する。昔なら親兄弟、先生、近所の人、友人の誰かが「この話怪しいぞ、乗らない方がいいよ」と言ってくれそうな話に疑いも無く乗ってしまう現代人を描いている。
南米のジャングルにある植民地スタイルの豪華な邸宅で、男が文書を焼却している。直後に怪しい影が現れ、男はパニックになって死亡。20年後父親の残した家を受け継ぐ家族。何も知らない者にとっては素晴らしい場所。男が20年前血まみれで死んだ場所は子供の遊び場になっている。大人は仕事に忙しくて子供を構っている暇が無い。ところが子供は重病になり、両親は20年前の出来事について恐れを抱き始める。
主演でスターになるチャンスを何度か逃したジュリア・スタイルズとヒュー・ジャックマンほどではなくても一応スターになったスコット・スピードマンが主演。
感想: 所々いい面もあるが、全体的には不発弾、不完全燃焼。冒頭の謎の提示はうまく行っている。ジュリア・スタイルズが現われてからテンションが落ちる。彼女の責任ではなく、セットが狭いような印象を与え、彼女の一家の描写も焦点がぼけ、事件からやや目が逸れる。妻が事業を取り仕切り、夫が家庭を見るという夫婦のあり方を示したかったのかも知れないが、2人のキャラクター描写が舌足らず。スタイルズも豪華さを出したいのか庶民性を出したいのかはっきりせず、父親の大きな会社を継ぐにしてはちょっと貧相。そういうセット、衣装、演出になっていたから、スタイルズ自身の責任とは言えない。父親の会社と工場の規模に比べ、スタイルズ一家が住む家は小さい。また、かつて使っていたらしき工場もかなり規模が大きいので、バランスがおかしい。
以下ネタバレ - どうしても読みたい方は左マウスを押さえながらたどってください。
工場が水銀を含んだ排水を川に流していたため、地元住民が水銀中毒の被害を受けていた。冒頭の事件ではその書類を燃やそうとした人物が殺されている。幽霊の姿で登場する子供たちは日本のホラーのパクリで、水銀中毒に犯された恨みを表現している。
水俣病などを知っている日本人が見ると、現実はあんな感じではないと違和感を抱くが、映画の主題は公害を出すなというキャンペーンだから多少変でもいいという事か。最後にハッピーエンドに持って行くための伏線は見え見え。
ネタバレ終了。
かつては愛され、後に捨てられた玩具の人形ジョン。今はオートメーション工場の労働者に戻り、1日中子供が作られて行く。新しく作られた子供たちは新しい母親の元に引き取られる。自分が愛されていた時代を思い出して悲しくなるジョン。ところが子供をさらうユリという男の存在を知り、何とかしなければならなくなる。家族を救い、安心をと言った趣旨の作品のようだが、全体がファンタジー。
トレイラー: トレイラーの冒頭から惹きつけられる。これぞファンタという感じ。
感想: 期待していたが、作品としては失望。典型的なミュージカル形式で、映画の目指したテーマが現代に合うように消化しきれていない。カナダからはミュージカルが2本来ていて、1本はパスした。まさかこれもミュージカルとは思わなかった。
もったいないのは俳優。歌がしっかり歌える上に俳優としても手堅い演技のできる人が多く、ハリウッドの有名俳優が怪我でもしたらすぐピンチヒッターに入れ、スターよりいい演技をしそう。小柄、太り過ぎ、イケメンや美人でないということで恐らくこれまでいい役を貰っていなかったのではと思われる人たちをメインに据えているのはいい。実力のある人材がたくさん日の目を見ないという点は残念。その傾向に待ったをかける作品だが、この作品自体が有名にならない恐れがある。
ストーリーだけを聞くとコメディーのような話。4人の友人がロンドンで防弾警備されたカジノを襲い、金を盗む。予定ではマレーシアに高跳びし、そこで女、酒三昧の生活が待っている。たまたまアイスランドの火山が噴火したため欧州の全ての航空機は着陸を余儀なくされ、4人はどこか分からず、言葉も分からない東欧に突然着く。地元やくざとのもめ事も絡み、4人はバラバラになり、しかもそれぞれ窮地に。こうなると強盗をする前の生活が素晴らしく思えて来る・・・。
注目は最初にクレジットされているジョーンズ。
トレイラー: ・・・はハチャメチャ暴力コメディー。
トレイラー: 老女と孫ぐらいの年のティーンエイジャーが雪の残る道路で話をし、直後に老女が大型トラックに轢かれる。事故の現場検証後少年は警官に近くの田舎町に連れて来られる。近所の少女と仲良しになる。彼女の履いているウサギのデザインのスリッパが愉快。少女とは恋仲に。町に死者が出る。よその町からいやらしい感じの男がこの小さな町に探りを入れに来る。科学の研究所からやって来たらしい。少年少女は吸血鬼の話を始める。死人の出るトラブルも・・・。
感想: 2分半ほどのトレイラーをたどると物語が分かるが、それでも作品を見ることをお勧め。小ぶりで地味だが、愛情のこもった作品に仕上がっている。少年は吸血鬼で、探りに来た男は彼を使って生体事件をやっている研究所の者。老女は彼の行く末を考えて、小さな目立たない町に隠そうとする。田舎町の人間はよそ者を嫌うが、少年を自分たちの側の人間として守ろうとする。それに今年のファンタに多い男2人女1人の人間関係の揉め事を絡めてある。
ジャンル分けで吸血鬼物に分類していなければ、中盤ぐらいまで謎を保てる。ファンタの観客は吸血鬼物と知って見るから、一部分ネタバレになってしまう。オチはメジャーの映画とやや違う。佳作。
切れやすい不良少年の扱いに困り、当局は大人の刑務所に送る。そこでも看守といざこざを起こすため、セラピストは彼を所内の重鎮受刑者の元へ送る。実はその男は不良少年の父親だった・・・という社会派のドラマ。
トレイラー: エンターテイメント性は無さそう。
感想: エンターテイメント性ゼロ。ストーリーのほとんど全てが刑務所の中だけで進む。社会派の親子関係物で、La Garde 同様、最後に親子関係のもつれが解れる。感想としてはこれまで何十年も社会を放りっぱなし、荒れ放題にしておいて、今頃こんな映画を作っても遅い、いくら力作、気合を入れた作品を作ってもダメ、今頃脚本家、監督、俳優が全力投球してもダメという結論になってしまう。今頃こんな作品を作るぐらいなら、金のあった60年代、70年代に手を打てよと言いたくなる。
もう1つのテーマはセラピー。やる気のあるセラピストが苦労して凶暴性のある囚人に規律や礼儀を教えていた。ようやく効果が目に見えるようになったところで打ち切り決定。このパターンが現実社会に多いらしく、脚本はそこにも焦点を置いている。他の作品と違い、3つの焦点を据えているが、虻蜂取らずになっていなかった。
3つ目はある程度きちんとしているような印象を与えていた所長が、どうしても手におえない囚人をどう扱い、どうオトシマイを付けるか。三浦事件を思わせるそぶりが見える。これも重大なテーマで、この3つがどれも相殺されずに生きていた。
なので高い点をあげたい佳作だが、ファンタには全然向いていなかった。
タイトルは優位という意味。
トレイラー: ある一家がギャングに押し入られたような内容。
感想: トレイラー、解説より良かった。実話に基づいているとか。
暴力事件で15年間服役し、釈放されたばかりの人種差別主義者が、こういう運動のグルーピーのような女に車で迎えられる。ドライブをしているうちに黒人警官の職務質問に腹を立て、目撃者もいる中射殺してしまう。まだ出所してから24時間経っていなかった。手配を逃れある民家に押し入り、家族を人質に取る。その一家は全員黒人。信仰心の深い家長、幼子を抱えた母親など数人が同居している。
観客は長い間白人黒人の対立かと思わされているが、徐々に白人男の本当の激情の理由は人種でないところにあることが見えて来る。主演の2人の男性に加え、白人で人種差別主義者にくっついている女の存在感も強く、監督、脚本、主演の3人に気合が入っている。
優秀作だが、ファンタには全然向かない。ちなみに犯人の男は映画製作中は死刑囚として拘留されており、今年の夏執行と予定されていたとか。グローバーは3人の主演の1人だが、彼の出演リストには載っていなかった。
この世の終わり物。地球最後の数時間に何をするか問われた男が、少女の世話をすることに決める。
トレイラー: 内容をちゃんと伝えるトレイラー。
話題はスカーレット・ヨハンソンの裸。モニカ・ベルッチには負けそうだが、なかなかボリュームがある。珍しく黒髪。いつものブロンドよりいい印象。
スコットランドに着陸したエイリアンは、うら若い女性の体を占領。セクシーな彼女は男をたぶらかすのが上手。彼女はエイリアン上司の命令に従っており、上司は監視している。たぶらかされた男たちは漬物にされる。ある日獲物のつもりで近づいた障害を持った男と知り合い、エイリアンなのに同情心を持ってしまう。
スコットランドの英語だそうで、それですとドイツ語を話人には分かり易い。
トレイラー: 映像がきれいで、見る価値がありそうです。
感想: 疲労困憊していて、楽しめなかった。ちゃんと見た人の感想を聞くと、ロケーションもヨハンソンも良さが出ていなかったとか。ストーリーもぼやっとしていたそうで。
高校が終わり、後少しで大学に向けて地元を発つという頃農場のボスの金をくすねた少年の末路。
トレイラー: この年になると思慮の足りないティーンエージャーの話に付き合う元気が出ない。手堅い作りで、映画としてはまじめに作られているが。
感想: 男女3人組で関係がきしむ。ハードボイルド系だが、身から出た錆の発端なので感情移入ができない。
フランスで休暇中の一家が大男に殺される。弁護士と警察は男が特殊体質だと気づき、科学的な調査を始める。男には遺伝子異常があり、狼男だと判明。人権派の弁護士は男には罪がない、体の異常が行けないんだと考える。調べて行くうちに男が古い血筋の謎の家族の一員だとか、色々面白そうな話になって行き、人権派のお姉ちゃんがバカに見えて来るらしい。
ちなみに were/wer は男という意味の古い英語。
トレイラー: 面白そうな印象をもたらすトレイラー。ちょっとキングコングを思わせる暴れ方をする狼男はダイナミック。
感想: 人権派を揶揄するという点もおもしろいが、狼男自体も他の類似映画に比べずっとダイナミックで見ごたえがあった。新しい路線を狙ったとすれば成功している。
仲の良かった母子。娘が17歳の時に母親失踪。
トレイラー: ・・・という設定をなぞっただけのトレイラー。エヴァ・グリーンが相変わらずのミステリアスな雰囲気を出している。
感想: ネタバレになるので、どうしても読みたい方は左マウスをクリックして上をなぞってください。
エヴァ・グリーンがエキセントリックなイメージを振りまく女優だという事を利用して作られている。彼女の役目は往年のベット・デーヴィス的。グリーンの女優としての印象を利用して観客をまんまとひっかけている。父親が家族思いの温和な人柄に描かれており、彼女の失踪はそういう夫に不満を持っての事かと、観客はミスリードされる。
母親は確かに地味な夫に比べ近所でも浮いた存在、夫は自分が見劣りすることを承知で、こんな美人が自分の所へ嫁に来てくれた事に幸せを感じている・・・という印象操作がされていて、本当の事件が結末が明かされるまで隠されている。
もっとネタバレをご希望の方はこちらをどうぞ。
犯人は温和なおとうちゃん。グリーンは殺されている。ばれないように新しいガールフレンドと公に付き合うまでに十分時間をおいている。
ネタバレ終了。
監督は過去にもファンタに参加して観客を煙に巻いたクエンティン・デュピュー。話題はマリリン・マンソンが素顔で出演しているところ。
トレイラー: 警官がめちゃくちゃをやっているシーンが続く。
感想: デュピューの前2作の集大成だとのこと。確かに前2作のスタイルを継承している。うまく乗れた人には楽しいが、M・ナイト・シャマラン同様、スタイルについて行けないとつまらない。私は1作目はユニークだと思ったが、2作目あたりからリタイヤしたくなった。好き嫌いが分かれる作品。
短篇
感想: かなりお金がかかっている。ザ・コミットメンツのバーニーが母親役で出演している。
感想: Málmhaus の前に上映。インターネットで事前に見ていたが、つまらない。キリスト教徒でないと意味が分からないせいだと思うが、あほらしく見える。
監督はポーランド人らしく、神とか悪魔を扱った短編を作っているらしい。
フィナーレ
ガールフレンドが突然蛇に噛まれて死んでしまい、後に残された若者。どういうわけか暫くして彼女が生き返るが、所々記憶喪失。実はゾンビになっていたが、婚約者一家は大喜びで彼女を受け入れる。しかし彼女の帰還がばれてはまずい・・・。
トレイラー: ・・・を見る限りベテラン俳優が枠をきっちりまとめ、中であまり知られていない若い俳優が活躍する感じ。会話を聞いているだけでおかしそう。
主演の若者はディ・カプリオとマシュー・リラードを足して、良い所だけを取ったような顔。
感想: オープニングとフィナーレには別な作品の方が良かった気がするが、この作品自体はおもしろかった。ユダヤ人一家の愛娘が蛇に噛まれて死んでしまい、葬式から始まる。真向かいの家の息子が彼女のボーイフレンドで、娘の両親と息子は本当の親子のように仲が良く、息子は自分の家族とはあまり仲が良くない。その設定が微妙にストーリーに(愉快な)影響を与えている。功労者は娘の両親役と、ボーイフレンドの俳優。
タイトルのリスト
数字 |
あ |
う |
か |
さ |
な |
は |
A
(A, An - 英、葡
B |
C |
D
(
Der
De - 蘭、ベルギー、デンマーク) |
E
(Een 蘭) |
F |
G |
H
I
J |
K |
L
(L'
La
Les
) |
M |
N |
O
(O
葡) |
P |
Q |
R |
S |
T |
The |
U
V |
W
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