漢楽府
蒿里曲
漢・樂府
蒿里誰家地,
聚斂魂魄無賢愚。
鬼伯一何相催促,
人命不得少踟蹰。
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。
蒿里曲
蒿里 誰
(た)
が家の 地ぞ,
魂魄を 聚斂して 賢愚 無し。
鬼伯 一
に何ぞ 相ひ 催促し,
人命 少
(しばら)
くも 踟蹰するを 得ず。
******************
◎ 私感訳註:
※蒿里曲:〔かうりきょく;hao1li3qu3〕士大夫や平民の葬送の際の歌。殯(もがり)の時に歌う
。貴人の葬送には『薤露歌』「薤上露,何易晞。露晞明朝更復落,人死一去何時歸。」
を歌う。蒿里の本来の意は、泰山の南にある山の名。人が死ぬと魂がここに来るという。墓地のこと。なお、曹操にも『蒿里行』「關東有義士,興兵討群凶。初期會盟津,乃心在咸陽。軍合力不齊,躊躇而雁行。勢利使人爭,嗣還自相。淮南弟稱號,刻璽於北方。鎧甲生虱,萬姓以死亡。白骨露於野,千里無鷄鳴。生民百遺一,念之斷人腸。」
がある。
※蒿里誰家地:泰山の南にある蒿里の山はどのような者の居場所であるのか。 ・蒿里:泰山の南にある山の名。人が死ぬと魂がここに来るという。墓地のことでもある。後、墓地の意で使われる。 ・誰家:どこの。だれの。 ・地:ところ。
※聚斂魂魄無賢愚:賢者も愚人もあらゆる者の霊魂が集めて収められている。 ・聚斂:集め収める。(税を)取り立てる。 ・魂魄:たましい。霊魂。 ・魂:天から受ける陽のたましい。また、精神の働きを司る。 ・魄:地から受ける陰のたましい。また、肉体の生命を司る。 ・無賢愚:差異がなくなる。平等である。賢者も愚人も同様になる。
※鬼伯一何相催促:百鬼のかしら、ひっきりなしに急き立ててきて。 ・鬼伯:百鬼のかしら。英雄の亡魂。鬼雄。ここは、前者の意。 ・一何:なんと。実に。なんたる。程度の甚だしいことをいう。 ・一:意味を強める働きをする語。 ・相:…てくる。動作が対象に及んでくる状態を表す副詞。 ・催促:せきたてる。うながす。
※人命不得少踟蹰:人の命は、しばらくでも猶予し、待ってもらえることはできない。 ・人命:人の命。 ・不得:できない。 ・少:しばらく。 ・踟蹰:〔ちちゅう;chi2chu2〕ものが行き悩むさま。ためらう。躊躇する。物が連なるさま。漢魏の蔡文姫『悲憤詩』「邊荒與華異」
、前漢の李陵『與蘇武詩』に「良時不再至,離別在須臾。屏營衢路側,執手野踟
。」
とある。
◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「愚
」で、になる。次の平仄はこの作品のもの。
○●○○●,
●●○●○○●。(韻)
●●●○○○●,
○●●●●○○。(韻)
2004.2.28
2.29
3. 1
4. 3
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