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薤上露,
何易晞。
露晞明朝更復落,
人死一去何時歸。
薤露(かいろ)の歌
薤上の 露,
何ぞ 晞(かわ)き 易(やす)き。
露 晞(かわ)けば 明朝 更に復(ま)た 落つ,
人 死して 一たび去れば 何(いづ)れの時にか 歸らん。
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◎ 私感註釈
※薤露歌:漢代の葬送の歌。王侯貴人の葬送に用いられる。なお、士大夫や平民の殯(もがり)の時に歌うのは、『蒿里曲』「蒿里誰家地,聚斂魂魄無賢愚。鬼伯一何相催促,人命不得少踟。」になる。なお、曹操にも『蒿里行』「關東有義士,興兵討群凶。初期會盟津,乃心在咸陽。軍合力不齊,躊躇而雁行。勢利使人爭,嗣還自相。淮南弟稱號,刻璽於北方。鎧甲生虱,萬姓以死亡。白骨露於野,千里無鷄鳴。生民百遺一,念之斷人腸。」がある。 ・薤露:〔かいろ;xie4lu4●●〕ニラの葉の上の露。=はかない。 ・薤:〔かい;xie4●〕にら。おおにら。らっきょう。 ・露:つゆ。
※薤上露:ニラの葉の上の露は。
※何易晞:なぜ容易にかわくのか? 何と容易に乾くことか! ・何:なぜ。何と。疑問、詠嘆の辞。 ・易:容易に。たやすく。・晞:〔き;xi1○〕かわく。日の出。日光にさらす。
※露晞明朝更復落:露がかわいても、明日の朝になれば、また再び(露は)おりる(が)。漢・古樂府『長歌行』では、「青青園中葵,朝露待日晞。」と、時間の経過を詠って使われている。 ・明朝:明日の朝。 ・更復:さらにまた。 ・落:下りる。
※人死一去何時歸:(露は乾いても、翌朝になれば、また再び降りるが、それに反して)人が死んで、一たび去ってしまえば、いつ帰ってくるのだろうか。 ・人死:人が死ぬ。 ・一去:ひとたび去る。荊軻の『易水歌』「壯士一去兮不復還。」と文型は同じ。 ・何時:いつ。 ・歸:かえる。本来の場所である自宅や故郷、墓所にかえること。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「晞歸」で、平水韻上平五微。この作品の平仄は、次の通り。
●●●,
○●○。(韻)。
●○○○●●○,
○●●●○○○。(韻)
2003. 9.23 9.24完 9.26補 2004. 2.26 2005.11.29 2007. 4.26 |
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