huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




                     
賀新郎
                    

           寄李伯紀丞相
            
         南宋 張元幹

曳杖危樓去。
斗垂天、滄波萬頃,
月流煙渚。
掃盡浮雲風不定,
未放扁舟夜渡。
宿雁落、寒蘆深處。
悵望關河空弔影,
正人間、鼻息鳴鼓。
誰伴我,醉中舞。


十年一夢揚州路。
倚高寒、愁生故國,
氣呑驕虜。
要斬樓蘭三尺劍,
遺恨琵琶舊語。
謾暗澀、銅華塵土。
喚取謫仙平章看,
溪、尚許垂綸否。
風浩蕩,
欲飛舉。



    **********************

              賀新郎

杖を曳き 危樓に 去
(ゆ)く。
斗は 天より垂れ、 滄波 萬頃,
月は  煙れる渚に 流
(さ)す。
浮雲を 掃き盡す  風 定まらず,
未だ  扁舟 夜に渡るを  放たず。
宿雁は 落つ、 寒蘆の  深き處。
關河を 悵望して 空しく 弔影す,
正に 人間
(じんかん)、 鼻息(いびき) (だこ)を 鳴らす。
誰か 我を 伴ひ, 醉中に 舞はん。


十年 一夢  揚州の路。
高寒に 倚れば、 愁ひは 故國に 生じ ,
氣 驕虜を 呑む。
斬るを 要す  樓蘭 三尺の劍にて,
恨みを遺
(のこ)せり  琵琶の 舊語。
(みだ)りに 暗く澀し、 銅華 塵土。
(よ)び取る 謫仙  章を平して 看よ,
(てうけい)に 過し、 尚ほ 綸(いと)を 垂らすを 許すや 否や。
風 浩蕩として,
飛舉せんと 欲す。


             ******************

◎ 私感訳註:

※賀新郎詞牌の一。詳しくは「構成について」を参照。蘇軾の『水調歌頭』快哉亭作(落日繍簾卷)を意識して作られたようだ。

※寄李伯紀丞相:李伯紀丞相にこの詞を郵送する。 ・李伯紀:李綱のこと(名)。字が伯紀。号は梁溪居士。北宋期の抗金政治家。丞相に任命された。しかし、対金政策を巡って、職を辞めさせられていた。対金強硬派なので、除かれた。詩詞も強硬な「會當掃蕩豺狼穴,國恥乘時須一雪。酒酣拔劍斫地歌,心膽開張五情熱。中關之逐期我皇,江漢更灑累臣血。」や『梁溪詞』集に「古來夷狄難馴,射飛擇肉天驕子。唐家建國,北邊雄盛,無如頡利。萬馬崩騰,幇旗氈帳,遠臨清渭。向郊原馳突,憑陵倉卒,知戰守、難爲計。」と雄々しいのが残っている。張元幹も、同じく対金強硬派で、やはり引退した。この点で二人の意見は一致していた。そのような二人の間の詞なので、裏の意味も多いものになっている。

※曳杖危樓去:杖を引きずって高楼に行く。 ・曳杖:杖を引きずる。 ・危樓:高楼。 ・去:行く。

※斗垂天、滄波萬頃:北斗星が空から下がって見え(る位置に来て、江の)青い波がはるかに広がっている。 ・斗垂天:北斗星が空から下がって見える位置に来ている。 ・滄波萬頃:青い波がはるかに広がっている。 ・萬頃:限りなく広大な面積を謂う。 ・頃:1頃=100畝=1.82ヘクタール(周代)。蘇軾の『水調歌頭』快哉亭作「落日繍簾卷,亭下水連空。知君爲我、新作窗戸濕紅。長記平山堂上,欹枕江南煙雨,渺渺沒孤鴻。認得醉翁語,山色有無中。   
一千頃,キ鏡淨,倒碧峯。忽然浪起、掀舞一葉白頭翁。堪笑蘭臺公子,未解莊生天籟,剛道有雌雄。一點浩然氣,千里快哉風。」にもある。

※月流煙渚:月光が霞むなぎさに射し込む。 ・月:月光。 ・流:(月光が)射し込む。 ・煙:霞む。 ・渚:なぎさ・

※掃盡浮雲風不定:風が吹いて、浮き雲をすっかり、掃き清めてしまった。 ・掃盡:(風が吹いて、雲を)すっかり、掃き清める。 ・浮雲:空に浮かんでいる雲。 ・風不定:風が止まない。

※未放扁舟夜渡:(風が止まないので、)未だに夜に渡る小舟を出せないでいる。 *この頃、作者張元幹は、江の河口の三山(現・福州市)に隠居しており、この詞の送り先になる李伯紀は、江を夾んで三山(現・福州市)の対岸(南側)に隠棲していた。 ・未放:未だに(舟を)出せない。 ・扁舟:小舟。 ・夜渡:夜に(江を)渡る。

※「掃盡浮雲風不定,未放扁舟夜渡」この裏の意味を考えれば、「風が激しく、情況が安定しないので、未だに夜にこっそりであっても、河を渡って、対岸にいらっしゃるあなたの許へ、舟を出すことができません。」になろう。

※宿雁落、寒蘆深處:巣くっているガンが、舞い降りる晩秋のアシ繁み。 ・宿雁:巣くっているガン。 ・落:おりる。 ・寒蘆:晩秋のアシ。 ・深處:(アシの)繁み。(アシが)深く生い茂っているところ。

※悵望關河空弔影:祖国のの失われた旧山河を悲しく眺めやり、空しく孤りで細々と暮らしている。 ・悵望:悲しく眺める。うらめしげに見やる。 ・關河:とりでと河。(祖国の)山河。ここでは、宋の失われた山河、旧版図をいう。 ・空:むなしい。 ・弔影:孤り細々と暮らすさま。

※正人間、鼻息鳴鼓:ちょうど今頃は、世間の人々は(まるで)ヨウスコウワニの皮を張った太鼓の(ような)高いびきだ。 *ここでは、人々は仮の泰平の眠りを貪っている、ということ。 ・正:ちょうど。 ・人間:〔じんかん;ren2jian1〕世の中。ここでは、世間の普通の人々、になる。 ・鼻息:いびき。 ・鳴:(いびきを)かく。 ・鼓:〔だこ;tuo2gu3〕ヨウスコウワニの皮を張った太鼓。

※誰伴我,醉中舞:一体誰がわたしと一緒になって、漢民族のふるさとである中原恢復という酔余の舞いに、乗ってくれるのだろうか。 ・誰伴我:誰がわたしと一緒になって(くれるものがいるだろうか)。 ・醉中舞:酔いの上での舞い。漢民族のふるさとである中原恢復の言動。

※十年一夢揚州路:揚州での抗金作戦は、失敗に終わった。語句は、唐の杜牧の『遣懷』「落魄江南載酒行,楚腰腸斷掌中輕。
十年一覺揚州夢,占得樓薄倖名。」からきていよう。 ・十年一夢揚州路:この作品のできる十一年前、靖康之変の後、南京で、高宗が、即位、その後、李伯紀丞相の下で、北伐を試みるが、金軍の侵攻で、揚州に逃れる。そこでの経験をいう。

※倚高寒、愁生故國:高殿の手すりに寄り添って遠くを眺めやれば、(敵の領土となった)故国を思って悲しい思いが起こってくる。 ・倚高寒:表面の意味は、「高殿の手すりに寄り添って」。裏の意味は、「朝廷では」、になる。蘇軾『水調歌頭』「明月幾時有?把酒問天。不知天上宮闕,今夕是何年。我欲乘風歸去,又恐瓊樓玉宇,
高處不勝寒。起舞弄C影,何似在人間!」 がその用例。 ・愁生:悲しい思いが起こる。 ・故國:ふるさと。ここでは、漢民族のふるさとである中原、旧国土を指している。

※氣呑驕虜:精神的に驕り昂ぶっている異民族を圧倒する。 ・氣呑:精神的に相手を圧倒する。 ・驕虜:驕り昂ぶっている異民族。天驕。ここでは、金を指す。

※要斬樓蘭三尺劍:夷狄に対しては、(傅介子が楼蘭王を斬り殺したように)断乎とした対応をすべきである。 ・要斬:(刀で)斬るべきである。斬り殺さねばならない。 ・斬:(刀で)斬る。斬り殺す。 ・樓蘭:〔ろうらん;lou2lan2○○〕天山南路(現・新疆ウィグル自治区東南部)のロブノール湖の畔にあった漢代の国。都市名。原名クロライナ。天山の東南で、新疆ウイグル自治区中央部のタリム盆地東端、ロブノール湖(羅布泊)の北方にあった。漢代には已に繁栄しており、そこに住む人種は白人の系統でモンゴリアンではなく、漢民族との抗争の歴史があった。四世紀にロブノール湖(羅布泊)の移動により衰え、七世紀初頭には廃墟と化した。現在は、楼蘭古城(址)が砂漠の中に土煉瓦の城壁、住居址などを遺しているだけになっている。王昌齡に『從軍行』「青海長雲暗雪山,孤城遙望玉門關。黄沙百戰穿金甲,不破樓蘭終不還。」があり、岑参に『胡笳歌送顏真卿使赴河隴』「君不聞胡笳聲最悲,紫髯濠瘡モ人吹。吹之一曲猶未了,愁殺
樓蘭征戍兒。涼秋八月蕭關道,北風吹斷天山艸。崑崙山南月欲斜,胡人向月吹胡笳。胡笳怨兮將送君,秦山遙望隴山雲。邊城夜夜多愁夢,向月胡笳誰喜聞。」 南宋・張元幹『賀新郎』「寄李伯紀丞相」「曳杖危樓去。斗垂天、滄波萬頃,月流煙渚。掃盡浮雲風不定,未放扁舟夜渡。宿雁落、寒蘆深處。悵望關河空弔影,正人間、鼻息鳴鼓。誰伴我,醉中舞。   十年一夢揚州路。倚高寒、愁生故國,氣呑驕虜。要斬樓蘭三尺劍,遺恨琵琶舊語。謾暗澀、銅華塵土。喚取謫仙平章看,過溪、尚許垂綸否。風浩蕩,欲飛舉。」 、岑参の『胡笳歌送顏真卿使赴河隴』「君不聞胡笳聲最悲,紫髯濠瘡モ人吹。吹之一曲猶未了,愁殺樓蘭征戍兒。」がある。 ・三尺劍:前漢の昭帝の頃、傅介子が樓蘭王を殺したことを指す。『漢書』本紀・昭帝紀に「平樂監傅介子持節使,誅斬樓蘭王安,歸首縣北闕,封義陽侯。」とある。『資治通鑑』では、「陳湯之斬單于,傅介子之刺樓蘭,馮奉世之平莎車,班超之定西域,皆爲有漢之雋功。」と、その事績が残っている。李白の『塞下曲』の「五月天山雪,無花只有寒。笛中聞折柳,春色未曾看。曉戰隨金鼓,宵眠抱玉鞍。願將腰下劍,直爲斬樓蘭。」がある。

※遺恨琵琶舊語:漢の宮中より匈奴の王に嫁いだ王昭君の故事は、忘れられない恨みである。夷狄に対して(「昭君出塞」のような)屈辱的な外交を展開したことは、遺憾千万である。 *ここでは、南宋朝廷の対金宥和政策を批判している。 ・遺恨:恨みを残す。忘れられない恨み。うらめしく思う。 ・琵琶舊語:王昭君の(琵琶を抱えた出塞の)物語。王昭君は、前漢の元帝の時、匈奴との和睦を図るため、漢の宮中より匈奴の王、呼韓邪單于に嫁いだ故事。なお、伝説では、この時王昭君は琵琶を抱えていたことになっており、後世彼女の絵姿はみな、琵琶を抱えている。それ故、この句も「琵琶舊語」といっている。「昭君出塞」のこと。

※要斬樓蘭三尺劍,遺恨琵琶舊語:夷狄に対しては、(傅介子が楼蘭王を斬り殺したように)断乎とした対応を取るべきであって、漢の宮中より匈奴の王に嫁いだ王昭君の故事は、忘れられない屈辱である。そのような屈辱的な外交を展開することは、遺憾の極みである。

※謾暗澀、銅華塵土:(今、傅介子が楼蘭王を斬り殺した宝剣には)とりとめなく暗くはっきりしないで(輝きが失われて)、サビと塵や土が(一杯になっている)。 ・謾:とりとめなく。みだりに。=漫。 ・暗澀:暗くはっきりしない。 ・澀:〔しふ;se4〕はっきりしない。 ・銅華:金属のサビ。 ・塵土:チリと土。

※喚取謫仙平章看:ねえ、ちょっと、謫仙さん。後批評をして頂きたい。 ・喚取:ねえ。呼び止める。 ・謫仙:謫仙人のこと。ここでは、相手の李綱になる。賀知章が李白の『蜀道難』を見て李白を誉め称えて「謫仙人」と言ったように、本来は李白のこと。李白も「青蓮居士謫仙人」と自称している。ここは、李伯紀(李綱)自身が、『水調歌頭』で「
太白乃吾祖,逸氣薄青雲。開元有道,聊復乘興一來賓。」と李白の子孫といっていることに基づく。  ・平章:評論。批評の文章。この語句を使って同じ憤りを示したものに陸游の『訴衷情』「青衫初入九重城,結友盡豪英。蝋封夜半傳檄,馳騎諭幽并。    時易失,志難成。鬢絲生。平章風月,彈壓江山,別是功名。」がある。  ・看:…してみる。

※過溪、尚許垂綸否:(隠居して)溪で、釣り糸を垂れて、(のんきな日々を)過ごすことは、はたして、許されることなのかどうか。ゆるされまい。 *金を打倒する行動を直ちに取るべきではないのか、と言いたい。 ・過:(月日を)すごす。(場所を)通り過ぎる、よぎる、すぎる。ここは前者の意。 ・溪:〔てうけい;tiao2xi1〕川の流れの名。天目山より流れ出して、北流して太湖に注ぐ流れ。臨安の北にある風光明媚なところ。 ・尚:なおも。 ・許:ゆるす。 ・垂綸:釣り糸を垂れる。釣りをする。気楽に時を過ごすこと。 ・綸:釣り糸。 ・否:…かどうか。…やいなや。

※風浩蕩:風が遥か彼方から吹いてきて。 ・浩蕩:広大で果てしないさま。広く大きなさま。前出蘇軾の『水調歌頭』「一點
浩然氣,千里快哉。」でもある。

※欲飛舉: ・欲:…ようとする。 ・飛挙:風に乗り高らかに舞い上がる。前出蘇軾『水調歌頭』に「
欲乘風歸去 に似たもの。





◎ 構成について

 双調 (百十六字)金縷曲ともいう。仄韻一韻到底。 韻式は「aaaaaa aaaaaa」韻脚は「去渚渡處鼓舞 路虜語土否舉」で、詞韻七麌(舞鼓土虜)、六語(語渚處去)。

    ●○○●。(韻)
    ●○○、●,
    ●○○●。(韻)
    ○○●,
    ●○○●●。(韻) 
    ●●、○○●。(韻)
    ●○○○●, 
    ●○○,
    ●○○●。(韻)
    ○●●,
    ●○●。(韻)


    ●○○●。(韻)
    ●○○、 ○●●

    ●○○●。(韻)
    ○○●,
    。(韻)
    ●、○○○●。(韻)
    ○○●,
    ●○○、●○○●。(韻)
    ○●●、●○●。(韻)


      賀新郎は領字が多いので、注意を要する。
2003.11. 3
     11. 4
     11. 5完
2019. 7.29補

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