夜雨題寒山寺寄西樵禮吉　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　王士��

楓葉蕭條水驛空， 　離居千里悵難同。 　十年舊約江南夢， 　獨聽寒山半夜鐘。

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夜雨　寒山寺に題し　西樵、禮吉に寄す

楓葉（ふうえふ）　蕭條（せうでう）として　　水驛（すゐえき）　空し，
離居　千里　　同じく し難（かた）きを　恨（なげ）く。
十年の舊約（きうやく）　　江南（かうなん）の夢，
獨（ひと）り 聽く　寒山　　半夜の鐘。

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◎　私感訳註：

※王士�メF清代の詩人。字は貽上、また子眞、王士禎、号して漁洋。士禎と名を賜る。１６３４年（明・崇禎七年）〜１７１１年（洪煕五十年）。王士禎。王漁洋。

※夜雨題寒山寺，寄西樵，禮吉：夜の雨の中で寒山寺にて詩を作り、（共に江南に来るはずだった兄の）西樵と禮吉とに、この詩を書いて送る。　*二首からなり、これは其二。唐・張繼の『楓橋夜泊』「月落烏啼霜滿天，江楓漁火對愁眠。姑蘇城外寒山寺，夜半鐘聲到客船。」に基づいている。其一は「日暮東塘正落潮，孤篷泊處雨瀟瀟，疏鐘夜火寒山寺，記過呉楓第幾橋。」になる。　・題…：…の詩を作る。　・寒山寺：江蘇省蘇州市の西郊で現在は市内西部、曾ての楓橋鎮にある寺。梁代に創建された禅宗寺院。寒山寺の鐘は何回か紛失と再鋳造とを繰り返しているが、この詩の時代には何代目の鐘があったのだろうか。　・寄：手紙を出す。…に寄（よ）す。　・西樵：王士�モﾌ上の兄。　・禮吉：王士禎の次の兄。

※楓葉蕭條水驛空：カエデの葉がものさびしい船着き場の宿場で。　・楓葉：カエデの葉。詩で「楓葉」といえば、秋になって色づいた楓の葉を想像させるが、ここは「楓橋」の近くなので、そちらも意識させることばなのだろう。　・蕭條：〔せうでう；xiao1tiao2○○〕ものさびしいさま。東晉・陶潛の『挽歌詩 其三』に「荒草何茫茫，白楊亦蕭蕭。嚴霜九月中，送我出遠郊。四面無人居，高墳正嶕嶢。馬爲仰天鳴，風爲自蕭條。幽室一已閉，千年不復朝。千年不復朝，賢達無奈何。向來相送人，各自還其家。親戚或餘悲，他人亦已歌。死去何所道，託體同山阿。」とあり、盛唐・岑參の『山房春事』に「梁園日暮亂飛鴉，極目蕭條三兩家。庭樹不知人死盡，春來還發舊時花。」とあり、王士�ヮｩ身も即目三首其二で「蕭條秋雨夕，蒼茫楚江晦。時見一舟行，濛濛水雲外。」と使う。　・水驛：船着き場の宿場。

※離居千里悵難同：遥かに離れて暮らしているのでなかなか一緒に過ごすことが出来ないのが恨（うら）めしい。　・離居：離れて暮らす。　・千里：遥かな道のりを謂う。　・悵：うらめしい。　・難：…がむつかしい。　・同：ともにする。共に過ごす。

※十年舊約江南夢：十年前からの昔の約束である江南で（共に過ごして、共に）夢を見ようということは（果たせずに）。　・十年：ここでは､十年前からの、ということになる｡　・舊約：昔の約束。　・江南：長江下流地帯の南岸部。風光明媚なところ。　・夢：夢を見る。

※獨聽寒山半夜鐘：（今宵、兄弟と共に過ごすこともないままに）寒山寺の鐘に、ひとりで聞き耳を立てている。　・獨聽：（兄弟一緒ではなくて）ひとりで聞き耳を立てている。　・寒山：寒山寺のこと。　・半夜：夜半。張繼は「夜半」とする。両方の表現が多い。

◎　構成について

２００７．１．２４ 　　　　　１．２５ 　　　　　１．２７

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