漢詩 陸放翁
秋懷
南宋 陸游
園丁傍架摘黄瓜,
村女沿籬采碧花。
城市尚餘三伏熱,
秋光先到野人家。
**********************
秋懷
園丁 架に 傍
(そ)
ひて 黄瓜を 摘
(つ)
み,
村女 籬に 沿
(そ)
ひて 碧花を 采
(と)
る。
城市 尚
(な)
ほ 餘す 三伏の熱,
秋光 先
(ま)
づ 到る 野人の家。
******************
◎私感訳注:
※秋懷:秋の思い。後世、清の呉錫麒は『訪秋絶句』で「豆架
瓜
棚
暑不長
,
野人
籬落
占
秋光
。
牽牛花
是隣家種,痩竹一莖扶上墻。」
と使う。
『歴代絶句類選』一 卷之一
第二十五葉 天明六年
※園丁傍架摘黄瓜:畑をつくる人は支柱沿いにキュウリを摘んでいき。 *この聯「園丁傍架摘黄瓜,村女沿籬采碧花」は、対句になっている。 ・園丁:畑をつくる人。庭師。 ・傍:そう。 ・架:苗を支える柱。 ・摘:つむ。 ・黄瓜:キュウリ。
※村女沿籬采碧花:村の女性は、かきねに沿って、アサガオの花を採っている。 ・村女:村娘。村の女性。 ・沿:そう。 ・籬:〔り;li2○〕かき。かきね。 ・采:とる。 ・碧花:アサガオ。食用か染料にでも使ったのか。
※城市尚餘三伏熱:都会ではまだ三伏の余熱が続いていることだろうが。 ・城市:街。都市。都会。 ・尚餘:なおも余している。 ・三伏:猛暑の候。酷暑の頃。陰陽五行説に基づき、@夏至後の第三庚(かのえ)
を「初伏」、A第四の庚を「中伏」、B立秋後初めての庚を「末伏」の三つの伏。その「初伏」「中伏」「末伏」の「-伏」の総称。酷暑の間。太陽暦で七月中旬から八月上旬にかけてになる。晩唐・杜荀鶴の『夏日題悟空上人院』に「
三伏
閉門披一衲
,兼無松竹蔭房廊。安禪不必須山水,滅得心中火自涼。」
とある。 ・熱:暑さ。「熱」字(語)で気候の暑さを表すことは現代語にまで(形容詞として)続いている。蛇足になるが、「暑」は現代語では名詞となり、夏季の「暑気」、「暑さ」を謂う。
※秋光先到野人家:秋の気配は、(季節の変化を表す自然に囲まれた)田舎者の家に先に訪れた。
*唐・劉禹錫の『秋風引』に「何處
秋風
至
,蕭蕭送雁群。朝來入庭樹,
孤客最
先
聞
。」
の影響があろうか。 ・秋光:秋の景色。秋の気配。 ・先到:まずさきになる。 ・野人:庶民。田舎者。
◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「瓜花家」で、平水韻下平六麻。次の平仄はこの作品のもの。
○○○●●○○,(韻)
○●○○●●○。(韻)
○●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2007.9.15
9.17完
2014.6.28補
(写)
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