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     宴城東莊
              
                  崔惠童 

  一月人生笑幾回,
  相逢相値且銜杯。
  眼看春色如流水,
  今日殘花昨日開。


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  城東莊に 宴す   
一月(いちげつ) 人生  笑ふこと 幾回ぞ,
相ひ逢
(あ)ひ 相ひ値
(あ)はば  且(しばら)く 杯を銜(ふく)まん。
(ま)のあたりに看る 春色  流水の如きを,
今日の殘花は  昨日 開けり。

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◎ 私感註釈

※崔惠童:玄宗の皇女の夫。

※宴城東莊:長安の東郊にある庵の玉山草堂で宴(うたげ)をした。 ・城東莊:玉山草堂のことを指す。崔敏童に『宴城東莊』「一年始有一年春,百歳曾無百歳人。能向花前幾回醉,十千沽酒莫辭貧。」がある。後世、白居易は『對酒』第五首の第四首に「百歳無多時壯健,一春能幾日晴明。相逢且莫推辭醉,聽唱陽關第四聲。」とうたう。

※一月人生笑幾回:ひと月に人が生きて過ごすうちに、笑うことは、何回ほどあろうか。(それほどあるまい)。 ・一月:〔いちげつ;yi1yue4●●〕一ヶ月で。 ・人生:人が生きていて。曹操の『短歌行』「對酒當歌,
人生幾何。譬如朝露,去日苦多。慨當以慷,憂思難忘。何以解憂,唯有杜康。」や、後世、韋莊の『菩薩蠻』其四に「勸君今夜須沈醉,樽前莫話明朝事。珍重主人心,酒深情亦深。   須愁春漏短,莫訴金杯滿。遇酒且呵呵,人生能幾何?」 に同じ。ここは「主人」ともする。 ・笑:わらう。歓娯。「當歌對酒時」、白居易の『逢舊』「久別偶相逢,倶疑是夢中。即今歡樂事,放盞又成空。」とあるのに同じ。 ・幾回:何回か。

※相逢相値且銜杯:(玉山草堂で、このように)出逢ったからには、しばし酒を飲もう。 ・相逢:であう。 ・逢:であう。その時節にあう。 ・値:ぴったりであう。いきあたる。 ・且:しばし。しばらく。短時間を表す。 ・銜杯:さかづきをふくむ。酒を飲む意。

※眼看春色如流水:春の景色も、みるみるうちに流れ去る水のように(過ぎ去ってゆく)。 ・眼看:見ている間に。みるみるうちに。蛇足になるが、現代語に通じる表現。 ・春色:春の景色。 ・流水:流れ行く川の水。年月の経過を云う詩詞の常套表現。『論語・子罕』「子在川上曰:逝者如斯夫!不舎昼夜。」からきている。李白の『把酒問月』「天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人相隨。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B古人今人
流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」

※今日殘花昨日開:きょうの色あせ、くずれた花も、先日に開いたばかりであったのに。(時は経ったのだ)。 ・殘花:そこなわれた花。すたれた花。色あせくずれた花。必ずしも「散り残った花」ではない。 ・昨日:以前。昔。「今」に対しての表現。 ・開:咲く。




◎ 構成について

 韻式は「AAA」。韻脚は「回杯開」で、平水韻上平十灰。平仄はこの作品のもの。

●●○○●●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●◎○●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2007.4.11
     4.14

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