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      宴城東莊 
              
                  崔敏童 
一年始有一年春,
百歳曾無百歳人。
能向花前幾回醉,
十千沽酒莫辭貧。


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城東莊に 宴す    
一年  始めて 一年の春 有り,
百歳  曾
(かつ)て 百歳の人 無し。
(よ)く 花前に向かひて  幾回(いくくゎい)か醉(ゑ)はん,
十千 酒を沽
(か)ひて  貧を 辭すること 莫(な)かれ。

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◎ 私感註釈

※崔敏童:盛唐の詩人。

※宴城東莊:長安の東郊にある庵の玉山草堂で宴(うたげ)をした。 ・城東莊:玉山草堂のことを指す。崔惠童に『宴城東莊』「一月人生笑幾回,相逢相値且銜杯。眼看春色如流水,今日殘花昨日開。」がある。この詩と同様のモチーフのものに杜甫の『絶句漫興』「二月已破三月來,漸老逢春能幾囘。莫思身外無窮事,且盡生前有限杯。」などがある。

※一年始有一年春:一年経ってやっとはじめて一年の春があり、(自然はこのように確実に繰り返される)。後世、元稹は『歳日』で「
一日今年始,一年前事空。淒涼百年事,應與一年同。」と使う。  ・一年:一年経つ。 ・始:やっと。はじめて。

※百歳曾無百歳人:(しかしながら、人では)百年経ったからといって、百歳の人がいるわけではない。 ・百歳:人の寿命の上限。陶淵明は「鼎鼎百年内」と詠う。 ・曾無:今までに無い。

※能向花前幾回醉:(春の)花の咲く下で、何回ほど(花見酒に)酔うことができるのだろうか。(それほど多くはあるまい)。 ・能:よく。…できる。…が可能である。 ・向:…に。…にて。…に於いて。 ・花前:(春の)花の咲く所で。 ・幾回:何回。 ・醉:酒に酔う。

※十千沽酒莫辭貧:(ならば、今を楽しく過ごすために)万銭で酒を買おうではないか。そのために貧しくなるのを恐れてはいけない。 ・十千:万。千の10倍で一万。多額を謂う。唐・王維の『少年行』に「新豐美酒斗
十千,咸陽遊侠多少年。相逢意氣爲君飮,繋馬高樓垂柳邊。」とある。李白に『將進酒』「君不見黄河之水天上來,奔流到海不復回。君不見高堂明鏡悲白髮,朝如青絲暮成雪。人生得意須盡歡,莫使金尊空對月。天生我材必有用,千金散盡還復來。烹羊宰牛且爲樂,會須一飮三百杯。岑夫子,丹丘生。將進酒,杯莫停。與君歌一曲,請君爲我傾耳聽。鐘鼓饌玉不足貴,但願長醉不用醒。古來聖賢皆寂寞,惟有飮者留其名。陳王昔時宴平樂,斗酒十千恣歡謔。主人何爲言少錢,徑須對君酌。五花馬,千金裘。呼兒將出換美酒,與爾同銷萬古愁。」 とある。 ・沽:〔こ;gu1○〕買う。前出・李白に『將進酒』 の紫字部分に同じ。 ・酒:(今を楽しく過ごすための)酒。 ・莫:…なかれ。禁止の辞。 ・辭:辞退する。断る。恐れたり、避けたりしない。 ・貧:(酒代に多額の金銭を使った挙げ句の)貧しさ。




◎ 構成について

 韻式は「AAA」。韻脚は「春人貧」で、平水韻上平十一真。平仄はこの作品のもの。

●○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●○○●○●,
●○○●●○○。(韻)
2007.1.12
     1.13
     1.14

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