『詩經』 召南
維鵲有巣,
維鳩居之。
之子于歸,
百兩御之。
維鵲有巣,
維鳩方之。
之子于歸,
百兩將之。
維鵲有巣,
維鳩盈之。
之子于歸,
百兩成之。
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。
鵲の巣
維れ鵲に 巣 有りて,
維れ鳩の 之に居る。
之の子 于に歸ぎ,
百兩もて 之を御ふ。
維れ鵲に 巣 有りて,
維れ鳩の 之を方つ。
之の子 于に歸ぎ,
百兩もて 之を將る。
維れ鵲に 巣 有りて,
維れ鳩の 之に盈つ。
之の子 于に歸ぎ,
百兩もて 之を成す。
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◎ 私感訳註:
※鵲巣:カササギの巣。君主夫人のコを詠ったものという…。 ・鵲巣:カササギの巣(す)。この詩から、派生した諺に「鵲巣鳩占」があり、「カササギの巣に、ハトがとまる(横取りする)。」(女が嫁して夫の家に住む、他人の財産などを横取りする)意がある。後世、清・袁枚は『春日雜詩』で「C明連日雨瀟瀟,看送春痕上鵲巣。明月有情還約我,夜來相見杏花梢。」と使う。
※維鵲有巣:カササギが巣をもてば。(君主が一家を構えれば)。 ・維:〔ゐ;wei2○〕これ。発語の助字。 ・鵲:〔じゃく(しゃく);que4(qiao3)〕カササギ。チョウセンガラス。 ・有:もっている。ある。
※維鳩居之:ハトがそこ(カササギの巣)に同居する。(夫人が同居するようになる)。 ・鳩:ハト。 ・居:棲(す)む。いる。上掲の『詩經』の写真(左の方)では「去聲」と註がある。去声の「居」〔きょ;qu4?●〕は、憎しみを懐いて親しくしないさま。 ・之:これ。
※之子于歸:その女性が嫁いでくる(ので)。 ・之子:このこ。 ・之:この。指示代詞。 ・子:女子。むすめ。 ・于歸:ゆき嫁ぐ。ここに嫁ぐ。『詩經』周南の『桃夭』に「桃之夭夭,灼灼其華。之子于歸,宜其室家。 ・于:動詞の前に置く助字。また、ここに。発語の助辞。桃之夭夭,有其實。之子于歸,宜其家室。 桃之夭夭,其葉蓁蓁。之子于歸,宜其家人。」とある。 ・歸:嫁ぐ。
※百兩御之:百台の車で、これを出迎えた。 ・百兩:百台の車。「百乘」=諸侯の軍馬の威儀。兩≒輛。 ・御:〔が;ya3●〕迎える。≒迓〔が;ya4●〕迎える。出迎える。蛇足になるが、「御〔が;ya3●〕迎える」は『詩経』の場合などの例外的な用法で、普通は〔ぎょ(ご);yu4●〕。
※維鵲有巣:カササギが巣をもてば。(君主が一家を構えれば)。
※維鳩方之:ハトがそこ(カササギの巣)を占拠する。(夫人が同居するようになる)。 ・方:占拠する。占有する。たもつ。
※之子于歸:その女性が嫁いでいく(ので)。
※百兩將之:百台の車で見送った。 ・將:送る。
※維鵲有巣:カササギが巣をもてば。(君主が一家を構えれば)。
※維鳩盈之:ハトがそこ(カササギの巣)に満ちてくる。(夫人のお付きの人も多い) ・盈:〔えい;ying2○〕みちる。充満する。
※之子于歸:その女性が嫁いできて。
※百兩成之:百台の車で(婚礼が)遂げられた。(御成婚なさった)。 ・成:なす。
◎ 構成について
韻式は「aaBBCC」。韻脚は「居御 方將 盈成」で、平水韻でいえば、去声六御、下平七陽、下平八庚。なお、第二、四句末の「之」は韻脚に準ずる虚字脚(之字脚)。虚字脚の一つ前が韻字。構成は次の通りで、繰り返しの妙である。
維鵲有巣,
維鳩居之。
之子于歸,
百兩御之。
維鵲有巣,
維鳩方之。
之子于歸,
百兩將之。
維鵲有巣,
維鳩盈之。
之子于歸,
百兩成之。
次の平仄はこの作品のもの。
○●●○,
○○●○。(韻字+之字脚)
○●○○,
●●●○。(韻字+之字脚)
○●●○,
○○○○。(韻字+之字脚)
○●○○,
●●◎○。(韻字+之字脚)
○●●○,
○○○○。(韻字+之字脚)
○●○○,
●●○○。(韻字+之字脚)
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