『詩經』 王風
彼采葛兮。
一日不見,
如三月兮。
彼采蕭兮。
一日不見,
如三秋兮。
彼采艾兮。
一日不見,
如三歳兮。
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。
葛を采る
彼の葛を采る。
一日 見ざれば,
三月の如し。
彼の蕭を采る。
一日 見ざれば,
三秋の如し。
彼の艾を采る。
一日 見ざれば,
三歳の如し。
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◎ 私感訳註:
※采葛:クズを採る。 *女性を詠う。讒言を懼れることの歌というが…。
※彼采葛兮:あのをクズを摘む(人)に。 ・彼:あの。かの。 ・采:摘む。採る。=採。 ・葛:〔かつ;ge3(ge2)●〕クズ。くずかずら。山野に自生する蔓草の一種。 兮:〔けい;xi1○〕語調を整える(歌のリズムを取る)助辞。押韻に似た音楽的な働きをするか。古代の詩歌に多く見られ、特に『楚辞』、『詩経』に多い。
※一日不見:一日、会わなければ。 ・見:(顔を合わせて)会う。
※如三月兮:三ヶ月(経ったかの)ようだ。 ・如:…のようである。ごとし。 ・三月:三ヶ月。〔さんげつ;san1yue4○●〕と読む。盛唐・杜甫の『春望』「國破山河在,城春草木深。感時花濺涙,
恨別鳥驚心。烽火連三月,家書抵萬金。白頭掻更短,渾欲不勝簪。」とある。また「三月」:〔さんぐゎつ;san1yue4○●〕陰暦・三月で、季春。春の最後の月。この例では盛唐・李白の『黄鶴樓送孟浩然之廣陵』「故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。孤帆遠影碧空盡,惟見長江天際流。」や、盛唐・李白『宣城見杜鵑花』「蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑花。一叫一廻腸一斷,三春三月憶三巴。」や、盛唐・杜甫『絶句漫興』「二月已破三月來,漸老逢春能幾囘。莫思身外無窮事,且盡生前有限杯。」がある。
※彼采蕭兮:あのをヨモギを摘む(人)に。 ・蕭:〔せう;xiao1○〕ヨモギ。カワラヨモギ。
※一日不見:一日、会わなければ。
※如三秋兮:三年(経ったかの)ようだ。 ・三秋:三回の秋。三年。
※彼采艾兮:あのをモグサを摘む(人)に。 ・艾:〔がい;ai4●〕ヨモギ。もちぐさ。もぐさ。
※一日不見:一日、会わなければ。
※如三歳兮:三世・百年(経ったかの)ようだ。 ・三歳:普通の意では「三年」だが、その場合、第二章の「如三秋兮」の「三秋」と同じになり、「三秋」よりも一段上のものと考えれば、「三生涯」「三世」の意。一世を三十五年と見れば、三世で約百年になる。
◎ 構成について
韻式は「aaBBcc」。韻脚は「葛月 蕭秋 艾歳」で、平水韻でいえば、入声七曷(葛)、六月(月)。下平二蕭(蕭)、下平十一尤(秋)(この「蕭」と「秋」は、後世、異なった韻部として扱われる)。去声九泰(艾)、八霽(歳)。なお、「兮」は虚字脚。兮字脚。構成は次の通りで、繰り返しの妙である。
彼采葛兮。
一日不見,
如三月兮。
彼采蕭兮。
一日不見,
如三秋兮。
彼采艾兮。
一日不見,
如三歳兮。
次の平仄はこの作品のもの。
●●●兮。(韻) 兮=○
●●●●,
○○●兮。(韻)
●●○兮。(韻)
●●●●,
○○○兮。(韻)
●●●兮。(韻)
●●●●,
○○●兮。(韻)
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