西風無意嫪纖雲, 掃盡千峰雨脚痕。 一片秋光C似水, 家家空翠滿柴門。 |
雨後
西風 意 無く纖雲 を嫪 ひ,
掃 き盡くす千峰 雨脚 の痕 を。
一片 の秋光 Cきこと水 に似て,
家家 空翠 柴門 に滿つ。
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◎ 私感訳註:
※張著:清朝の官吏。高郵州の人。康熙十一年に本州州判に任じられた。
※雨後:雨の後。
※西風無意嫪繊雲:秋風は、無意識に繊細な雲を恋いしたって(吹いてくるので)。 ・西風:秋風。西の方から吹いてくる風。 ・無意:無意識に。故意ではなく。 ・嫪:〔らう;lao4●〕恋いしたう。したう。惜しむ。 ・繊雲:繊細な雲。北宋・秦觀の『鵲橋仙』に「纖雲弄巧,飛星傳恨,銀漢迢迢暗度。金風玉露一相逢,便勝卻人間無數。 柔情似水,佳期如夢,忍顧鵲橋歸路。兩情若是長久時,又豈在朝朝暮暮。」とある。
※掃尽千峰雨脚痕:多くの峰々の雨の形跡(けいせき)をはらい尽くした。(西風が、雨のあとかたを消してしまったことを謂う) ・掃尽:はらい尽くす。 ・千峰:多くの峰々の意。 ・雨脚:雨脚(あまあし)。雨が糸筋のように見えるもの。長い筋のように降り注ぐ雨。 ・痕:あと。跡形。
※一片秋光清似水:一面の秋の景色は、清らかなこと水のようで。 ・一片:一ひらの。一面の。広くちらばっているさま。盛唐・王之渙の『出塞』に「黄河遠上白雲間,一片孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春風不度玉門關。」とあり、盛唐・李白の『子夜呉歌』に「長安一片月,萬戸擣衣聲。秋風吹不盡,總是玉關情。何日平胡虜,良人罷遠征。」とある。 ・秋光:秋の景色。秋の日光。
※家家空翠満柴門:どの家も、したたるような緑が雑木(ぞうき)で編んだ粗末な門に満ちている。(どの家の木々も雨に洗われた後の清々(すがすが)しい緑色に満ちている)。 ・家家:どの家も。家ごとに。 ・空翠:〔くうすゐ;kong1cui4○●〕空に聳え立つ山の木々の緑。したたるような緑。 ・柴門:しばで造った門。雑木で編んだ粗末な門。隠者や貧しい人の家を謂う。
◎ 構成について
2016.9.1 |
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