皐亭來往省年時, 香飮蓮筒醉不辭。 莫怪花容渾是雪, 看花人亦髩成絲。 |
臨平道中 人と同 に白荷花を看る
皐亭 來往して 年時を省 す:
蓮筒 に香飮 し醉 ひ 辭せず。
怪しむ莫 かれ 花容渾 て是 れ雪なるを,
花を看る人も亦 た髩 絲と成る。
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◎ 私感訳註:
※王又曽:清代の詩人。康煕四十五年(1706年)〜乾隆二十七年(1762年)。字は受銘。号して谷原。秀水(現・浙江省嘉興)の人。乾隆十九年(1754年)の進士で、官は禮部主事に至る。秀水派の重要詩人。
※臨平道中 同人看白荷花:臨平への旅の途中。(ほかの)人とともに白いハスの花を看て。 ・臨平:地名。現・浙江省杭州市余杭区臨平。杭州市の中心より東北30キロメートルのところ。昔の浙西の要地。嘗て臨平湖があったが、そこでの詩か。なお、臨平湖は、現在は埋もれてなくなっている。臨平は地図では「Linping(临平)」と表記されている。 ・道中:旅の途中。 ・同:…とともに。 ・看花:花見をする。「看」(意図的に)見る。ながめる。 ・荷花:ハスの花。
※皐亭来往省年時:皐亭山(こうていざん)(のところ)を行き来した(ので、)昔を思い出した。 ・皐亭:〔かうてい;Gao1ting2○○〕皐亭山のこと。杭州市中心より北北東15キロメートルのところにある低い山で、東西9キロメートル、南北2.5キロメートル。西から、半山、黄鶴山、元宝山、皋亭山、桐扣山、佛日山等があり、その中で皋亭山が最も高く、海拔361.1メートルで、これらの峰をあわせて皋亭山ともいう。要地。臨平湖に近い。 ・来往:行き来する。動詞。 *なお「往來」も、動詞としては似た意味があるが、平仄の関係上、ここでは「來往」しか使えない。「来往」は○●で、句中○●または●●のところで使い、「往来」は●○で句中●○または○○のところで使う。ここの詩句は「○○●●●○○」とすべきところで、「来往」を使って「○○○●●○○」とし、平仄を合わせた。 ・省:〔せい;xing3●〕かえりみる。 ・年時:往年。過ぎ去った年。長い年月。
※香飲蓮筒酔不辞:(あの当時は、)ハスの香りの附いた酒をハスの茎から飲んで、酔っぱらうことも厭(いと)わなかった。 ・香飲:碧筒酒は、ハスの香りの高い酒になるという。魏の鄭愨が避暑の際、ハスの香を附けた酒の飲み方を考えたと云う(『酉陽雜俎』)。 ・蓮筒:切ったハスの葉を漏斗とし、酒を葉の上に入れ、茎から流れ出るハスの香り高い酒。碧筒酒。象鼻杯。蓮酒。 ・不辞:いとわない。…を辞さない。
※莫怪花容渾是雪:(今、水面は白い花で満ちており、)花の顔がすっかり雪(のように白く)なってしまったのも、無理もない。 ・莫怪:…は無理もない。…を疑わない(で)。あやしむなかれ。 ・花容:花のかんばせ。=花貌。 ・渾是:すっかり…だ。まったく…だ。すべてこれ。
※看花人亦鬢成糸:花を看ている人(=作者たち)もまた、鬢(びん)が白い絹糸(のように)なっている。(あの時から、長い時間が流れたのだ)。 ・亦:…もまた。 ・髩:鬢(びん)。=鬢。 ・成糸:白い絹糸のように白くなる。 *歳をとったさま。南宋・陸游の『聽雨』に「髮已成絲齒半搖,燈殘香燼夜迢迢。天河不洗胸中恨,却頼檐頭雨滴消。」とある。 ・糸:絹糸。
◎ 構成について
2017.8.4 |
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