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十六字令 | ||
伊勢丘人 | ||
過。 一葉浮沈無定波。 都如夢, 想起幾山河。 |
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過ぎたり。
一葉の浮沈 定まる無き波。
都て 夢の如く,
想起す 幾山河を。
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◎ 私感註釈
※伊勢丘人:1943年生。備後福山在住。
※十六字令:詞牌の一。填詞中最短の詞牌
。
※過:すぎさってしまった。 ・過:すぎさる。すぎる。
※一葉浮沈無定波:一枚の葉(=作者)は、(人生の流れに)流されて、落ち着くことのない波に、浮いたり沈んだり(と栄枯盛衰の変化を辿ってきた)。 ・一葉:一枚の葉。孤舟のように(人生の流れに)流されてゆく落ち葉。人生の譬喩。 ・浮沈:浮いたり沈んだりすること。栄枯盛衰。 ・無定波:落ち着くことのない波。波は過ぎ行く時の流れの変化。川の流れを詠うが、川は流れ去るものであり、歳月等の時間で一度去って再び帰らないことでもある。川の流れは、古来、時間の推移を謂う。『論語・子罕』に「子在川上曰:逝者如斯夫!不舎昼夜。」(子 川上に在りて曰く:逝く者は斯くの如きか! 昼夜を舎かず)。
※都如夢:(それらは)すべて、夢のようであり。 ・都:すべて。 ・如夢:夢のようである。
※想起幾山河:(今)いくつかの(辿ってきた人生の道程にあった)山や川を(懐かしく)思い起こしている。 ・想起:思い起こす。 ・幾山河:いくつかの(辿ってきた人生の道程にあった)山や川(できごと)。
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◎ 構成について
十六字令。単調。十六字。平声一韻到底。韻式は「AAA」。。『十六字令』は、『歸字謠』、『蒼梧謠』ともいう。この『歸字謠』は、『歸自謠』
や『歸國謠』とは異なる。韻脚は「尋深心」で、詞韻第十三部平声。
○(韻)。
●○○
●○(韻)。
○○●,
●●○○(韻)。
平成22.4.8(4.17掲載) |
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