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綠遍山原白滿川, 子規聲裏雨如煙。 鄕村四月閒人少, 纔了蠶桑又插田。 |
郷村 四月
綠は山原 に遍 く 白は 川に滿ち,
子規聲裏 雨 煙の如し。
鄕村 四月 閑人少 に,
纔 かに蠶桑 了 りて又 た插田 。
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◎ 私感訳註:
※翁巻:南宋の詩人。生没年不詳。字は続古。また、霊舒。永嘉(現・浙江省温州楽清市柳市鎮)の人。「永嘉四霊」の一人。一度、科挙に応じたが果たせず、平民で終わる。
※郷村四月:村里の(旧暦)四月(=新暦・五月=初夏)。 ・郷村:村里。村落。田舎。農村。 ・四月:旧暦・四月のことで、新暦では四月下旬から六月上旬頃に該る。初夏。
※緑遍山原白滿川:緑(色の葉)が山や原にあまねく(茂り)、白(く輝く陽光)が川(面)に満ちて。 *「緑遍山原白滿川」の句は、句中の対「緑遍山原+白滿川」となっている。 ・白:明るく輝く陽光や照らし出された風光を謂うか。
※子規聲裏雨如煙:ホトトギスの鳴き声の中で、雨は煙のようである。 ・子規:ホトトギス。哀しげな啼き声(=「不如帰去」=「帰った方がいいよ」の意)がする鳥とされ、夏の季節を表す鳥である。また、蜀王の霊の化した鳥で、蜀の人は蜀の王を思うという。幽冥界との往復をする鳥でもある。盛唐・李白の『聞王昌齡左遷龍標遙有此寄』に「楊花落盡子規啼,聞道龍標過五溪。我寄愁心與明月,隨風直到夜郎西。」とあり、同・李白の『宣城見杜鵑花』に「蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑花。一叫一廻腸一斷,三春三月憶三巴。」
とあり、同・李白の『蜀道難』に「噫吁嚱危乎高哉,蜀道之難難於上青天。蠶叢及魚鳧,開國何茫然。爾來四萬八千歳,不與秦塞通人煙。西當太白有鳥道,可以橫絶峨眉巓。地崩山摧壯士死,然後天梯石棧相鉤連。上有六龍回日之高標,下有衝波逆折之回川。黄鶴之飛尚不得過,猿猱欲度愁攀援。青泥何盤盤,百歩九折縈巖巒。捫參歴井仰脅息,以手撫膺坐長歎。問君西遊何時還,畏途巉巖不可攀。但見悲鳥號古木,雄飛雌從繞林間。又聞子規啼夜月,愁空山。蜀道之難難於上青天,使人聽此凋朱顏。連峰去天不盈尺,枯松倒挂倚絶壁,飛湍瀑流爭喧豗,砯崖轉石萬壑雷。其險也如此,嗟爾遠道之人胡爲乎來哉。劍閣崢嶸而崔嵬,一夫當關。萬夫莫開,所守或匪親。化爲狼與豺,朝避猛虎,夕避長蛇。磨牙吮血,殺人如麻,錦城雖云樂。不如早還家,蜀道之難難於上青天,側身西望長咨嗟。」
とあり、中唐・武元衡の『望夫石』に「佳人望夫處,苔蘚封孤石。萬里水連天,巴山暮雲碧。湘妃涙竹下成林,子規夜啼江水深。」
とあり、清末・秋瑾の『昭君怨』に「恨煞回天無力,只學子規啼血。愁恨感千端,拍危欄。 枉把欄干拍遍,難訴一腔幽怨。殘雨一聲聲,不堪聽!」
とある。
※郷村四月閑人少:村里の(旧暦)四月(=新暦・五月=初夏)は、閑(ひま)な人は少なく。
※纔了蚕桑又挿田:たった今、養蚕と桑の植樹をおえた(かと思うと)、またしても、田植えだ。 ・纔:〔さい;cai2○〕やっと。いましがた。たった今。*時間の短いことを表す。 ・了:おわる。おえる。 ・蚕桑:養蚕と桑の植樹。 ・挿田:田植え(をする)。「田に(秧(なえ)を)挿(さ)す」意。 ・挿:〔さふ;cha1●〕差し挟む。差し込む。現代語でも、“挿秧”で「秧(なえ)を挿(さ)す」=田植えをする意。
◎ 構成について
2016. 7.13 7.14 7.15 7.16完 2017.10.21補 |