我是唯一有傘,仍然淋濕的人嗎。 向來縁淺,奈何情深。 如花美眷,似水流年。 有些事,一轉身就是一輩子。 年輕時我們放棄,以爲那只是一段感情, 後來纔知道,那其實是一生。 我還在原地等你,你卻已忘記曾經來過這裡。 想你的時候有些幸福,幸福得有些難過。 你走天橋,我走地下道。 經不住似水流年,逃不過此間少年。 原來地久天長,只是誤會一場。 熱鬧都是他們的,與我無關。 蝴蝶飛不過滄海。 我愛你,與你無關。 聽悲傷的歌,看幸福的戯。 人生若只如初見。 回望燈如舊,淺握雙手。 年少輕狂,幸福時光。 無處安放,我們遙遠的青春。 眼睛在爲你下雨,心卻在爲你打傘。 你的幸福路人皆知,我的狼狽無處遁形。 等待,是一生最初的蒼老。 最初不相識,最終不相認。 看著別人的故事,流著自己的眼涙。 我在懷念,你不再懷念的。 午夜夢回,你的笑臉燦爛依然 |
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傘がありながら濡れているのはわたしだけなのだろうか
傘がありながら濡れているのは,わたしだけなのだろうか。
これまで縁が浅かったのに,どうして情が深いといえようか。
花のような美しいつれあいにも,流れる去る水のように年月は去っていった。
いささかの事柄は、身を翻した僅かな隙(すき)が,一生涯のこととなってしまった。
若い時、わたしたちは、あきらめていた、(というのも)それは一時の感情だと思っていたのだが,後(のち)になって、実際は一生ものであるということが、やっと分かった。
わたしは、なおも元の所であなたを待っているが,でも、あなたはここに来たことをとっくに忘れている。
あなたを恋しく思う時、少し幸せになるが,幸せになった結果、少しつらい思いになる。
あなたは(陽光の射す)歩道橋を行き,わたしは地下道を行く。
流れ去る川の似(ごと)くに歳月は去って行くのに耐えきれないで,この間の若者にも(歳月の推移は訪れ)逃げおおせられないでいる。
元もと天地のように久しく変わらないはずなのが,一度の誤ちを犯してしまった。
賑やかなのは、すべて彼等のものであり,わたしとは関係がない。
蝶々は、青い海原を飛び越せない。
わたしはあなたを愛しているが,あなたとは関わりがない。
悲しい歌を聞いて,幸せな劇を見る。
人生がもしも、ただ初めての出会いだけのようであれば。
ふり返って灯(ともしび)を見れば昔のままのようで,軽く両手で握った。
若い時の軽はずみ、幸福な時間。
どこにも仕舞っておく場所が無い,わたしたちの遙かで遠い青春。
目はあなたに降る雨を見つめて,心では反対にあなたに傘をさしかけている。
あなたの幸せは、あかの他人もみな知っているが,わたしは姿を隠すところが無いのでうろたえている。
待つ,それは人生での最初の老(ふ)けこみになる。
最初は知り合いではなかったし,最後は(関係を)認め(ようとし)ない。
他人の物語を見て,自分の涙を流している。
わたしは懐かしく思いだしているが,あなたはもはや懐かしく思いだすことはないだろう。
夜の十二時に夢から覚めれば,あなたのえがおが輝いて、ずっと…
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◎ 私感註釈
※我是唯一有傘,仍然淋濕的人嗎:傘がありながら濡れているのはわたしだけなのだろうか。 *作者の女性は、曾て愛した男性が礼儀として遺していった傘をさすことなく、雨に濡れながらも、その傘を男性に返した。失った愛情。さしかけて包み込んでくれる愛情は、もはや無い。流す涙に似た雨に濡れて、懷憶の中にいる作者…といった詩ということだ。この詩は、中国のネット上で伝播している短句で、中国の読者であるGrassFish氏から紹介があって、ここに採り上げることができた。この詩形式は現代版の聯句体の一と謂える。一句、一句がそれぞれに作られ、合わさったもので、各句の間には、特別の関係はなく、各々の一句がそれぞれ独立した短句になっている。 ・我:わたし。 ・是:…は…である。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔“A是B”:AはBである〕。 ・唯一:ただ一つであること。ここでは、「わたし」=女性側自身のこと。「唯一か?」として、去っていった男性のことに考えが及んでいる。 ・仍然:なおも。依然として。 ・淋濕:ぬれる。 ・的:…の。 ・嗎:…か?文末に附いて、疑問を表す。
※我是唯一有傘,仍然淋濕的人嗎。傘がありながら濡れているのはわたしだけなのだろうか。
※向來縁淺,奈何情深:これまで縁が浅かったのに、どうして情が深いといえようか。 ・向來:これまで。今まで。 ・奈何:どうして…か。
※如花美眷,似水流年:花のような美しいつれあいにも、流れる去る水のように年月は去っていった。 ・眷:〔juan4●〕ここでは、わたしのいい人。つれあい。愛侶。また、家族。親族。ここは、前者の意。 ・似水流年:光陰流れる水の似(ごと)し。
※有些事,一轉身就是一輩子:いささかの事柄は、身を翻した僅かな隙(すき)が、一生涯のこととなってしまった。 ・有些:少し。いささか。ある部分の。ある。少しある。 ・一轉身:身を翻した隙(すき)に。 ・就是:「一+動詞+“就是”+数量」…する(しだす)と長い。話し手が、数量が多いと思っていることを表す。一度身を翻すと、一生ずっとだ。 ・一輩子:一生。一生涯。
※年輕時我們放棄,以爲那只是一段感情,後來纔知道,那其實是一生:若い時、わたしたちは、あきらめていた、(というのも)それは一時の感情だと思っていたのだが、後(のち)になって、実際は一生ものであるということが、やっと分かった。 ・年輕:年が若い。 ・我們:わたしたち。 ・-們:…たち。…ら。人称に附き、複数を表す。「わたし達(たち)」の「達(たち)」に該る。 ・放棄:あきらめる。放棄する。 ・以爲:…と思う。 ・那:それ。あれ。 ・只是:ただ…だけだ。 ・一段:一段落。一区切り。 ・後來:後(のち)になって ・纔:やっと。 ・知道:分かる。 ・那:それ。あれ。 ・其實:実際は。その実は。
※我還在原地等你,你卻已忘記曾經來過這裡:わたしは、なおも元の所であなたを待っているが、でも、あなたはここに来たことをとっくに忘れてしまった。 ・還在:なおも。 ・原地:もとの所・ ・等:待つ。 ・你:あなた。 ・卻:かえって。逆に。その実。でも。反対に。 ・已:とっくに。 ・忘記:わすれる。 ・曾經:かつて…したことがある。 ・來過:来たことがある。 ・-過:〔動詞+“過”〕…たことがある。動詞の後に附いて、完了や過去の経験を表す。 ・這裡:ここ。この場所。
※想你的時候有些幸福,幸福得有些難過:あなたを恋しく思う時、少し幸せになるが、幸せになった結果、少しつらい思いになる。 ・想:なつかしく思う。恋しく思う。 ・時候:…時。 ・得:〔形容詞+“得”〕…した結果。形容詞の後に置き、動作などの程度・結果・方法を表す。 ・難過:つらい。
※你走天橋,我走地下道:・走:あなたは(陽光の射す)歩道橋を行き、わたしは地下道を行く。 ・走:行く。 ・天橋:歩道橋。
※經不住似水流年,逃不過此間少年:流れ去る川の似(ごと)くに歳月は去って行くのに耐えきれないで、この間の若者にも(歳月の推移は訪れ)逃げおおせられないでいる。 *時の流れは、あらゆるものの上に訪れ、その頃若々しかった者にも訪れた。時は流れた…。 ・經不住:こらえきれない。耐えきれない。 ・-不住:…えられない。…えきれない。動詞の後に置き、その動作の結果が不動性・安定性・確実性を持ち得ないことを示す。元は、とどまらない。停止しない意。 ・似水流年:(前出)光陰流れる水の似(ごと)し。 ・逃不過:逃げおおせない。 ・此間:ここ。この辺。当地。当方。
※原來地久天長,只是誤會一場:元もと久しく変わらないはずなのが、一度の誤ちを犯してしまった。 ・原來:元もと。…というのは…だから。なるほど。=元来。(蛇足になるが、「元來」〔yuan2lai2〕を「原來」〔yuan2lai2〕と書き表すようになったのは、「元王朝を開いたモンゴル民族が再び来る」という字義の「元來」を忌んだからだという…)。 ・地久天長:天地が永遠であるように、久しく変わらないことを謂う。=「天長地久」。中唐・白居易の『長恨歌』に「天長地久有時盡,此恨綿綿無絶期」とある。 ・誤會:誤解する。 ・一場:一度。一回。
※熱鬧都是他們的,與我無關:賑やかなのは、すべて彼等のものであり、わたしとは関係がない。 ・熱鬧:賑やかである。 ・都是:すべて。 ・他們:彼等。 ・的:(ここでの用法は、)…のもの。 ・與我無關:わたしとは関係がない。
※蝴蝶飛不過滄海:蝶々は、青い海原を飛び越せない。 ・飛不過:飛び越せない。
※我愛你,與你無關:わたしはあなたを愛しているが、あなたとは関わりがない。
※聽悲傷的歌,看幸福的戯:悲しい歌を聞いて、幸せな劇を見る。 ・的:〔形容詞+的〕…な。 ・戯:劇。ドラマ。 ・悲傷:悲しみ悼む。 ・的:〔形容詞+的〕…な。 ・戯:劇。ドラマ。
※人生若只如初見:人生が、もしもただ初めての出会いのうちだけのようならば(初々(ういうい)しく、お互いに魅力的に感じて求め合うものだが…)。 *清初・納蘭性コの『木蘭花令・擬古决絶詞』「人生若只如初見,何事秋風悲畫扇。等陜フ卻故人心,卻道故人心易變。 驪山語罷C宵半,涙雨霖鈴終不怨。何如薄倖錦衣カ,比翼連理當日願。」 ・若:もしも。 ・只:ただ…だけ。 ・如:…のよう。 ・初見:初めての出会い。
※回望燈如舊,淺握雙手:回望:ふり返って灯(ともしび)を見れば昔のままのようで、軽く両手で握った。 ・回望:ふり返って見る。 ・燈:ともしび ・如舊:昔のまま。 ・淺握雙手:軽く両手を握る。
※年少輕狂,幸福時光:若い時の軽はずみ、幸福な時間。 ・年少:年若い。 ・輕狂:軽はずみである。 ・時光:月日。年月。時間。
※無處安放,我們遙遠的青春:どこにも保存する場所が無い、わたしたちの遙かで遠い青春。 ・無處:どこにも(その場所が)無い。 ・安放:置く。保存する。
※眼睛在爲你下雨,心卻在爲你打傘:目はあなたに降る雨を見つめて、心では反対にあなたに傘をさしかけている。 ・眼睛:目。 ・爲你:あなたに。あなたのために。 ・下雨:雨が降る。 ・卻:反対に。却(かえ)って。 ・打傘:傘をさす。
※你的幸福路人皆知,我的狼狽無處遁形:あなたの幸せは、あかの他人もみな知っているが、わたしは姿を隠すところが無いのでうろたえている。 ・路人:あかの他人。 ・狼狽:うろたえる。慌てふためく。また、困り果てる。ここは、前者の意。 ・遁形:姿を隠す。
※等待,是一生最初的蒼老:待つ、それは人生での最初の老(ふ)けこみになる。 ・等待:待つ。待ち合わせる。 ・蒼老:老(ふ)ける。年寄りじみる。
※最初不相識,最終不相認:最初は知り合いではなかったし、最後は(関係を)認め(ようとし)ない。 ・相識:知り合う。 ・相認:(親戚や友人関係を)認める。認知する。否定文に多く用いられる。「不相認」認め(ようとし)ない。
※看著別人的故事,流著自己的眼涙:他人の物語を見て、自分の涙を流している。 ・看著:見ている。 ・-著(-着):〔動詞+“著”〕…している。…しつつある。動詞の後に置き、継続・進行を表す。 ・別人:他人。 ・故事:物語。お話。 ・流著:流している。 ・眼涙:涙。
※我在懷念,你不再懷念的:わたしは懐かしく思いだしているが、あなたはもはや懐かしく思いだすことはないだろう。 ・在懷念:懐かしく思いだしている。 ・在:〔“在”+動詞〕…ている。動詞の直前に置いて、持続状態を表す。 ・懷念:懐かしく思う。 ・不再:もう…ない。もはや…ない。
※午夜夢回,你的笑臉燦爛依然:夜の十二時に夢から覚めれば、あなたのえがおが輝いて、ずっと…。 ・午夜:夜の十二時。夜半。 ・夢回:夢から覚める。 ・笑臉:えがお。
◎ 構成について
聯句体。押韻は推測で「淺深眷年 事子(棄) 情生 你裡 福過 橋道 年年 長場… …舊手 狂光(放)春傘… …事涙」になるだろうか。押韻は、後半部分ではあまり意識されていない。平仄には配慮していない。
2009.5.21 5.22完 5.23補 |
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