南山一桂樹,
上有雙鴛鴦。
千年長交頸,
歡愛不相忘。
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古絶句
南山の 一桂樹,
上に 雙の 鴛鴦 有り。
千年 長(とこしな)へに 頸を 交らし,
歡愛 相ひ 忘れず。
◎ 私感註釈 *****************
※古絶句:雜歌謠辭。この作品は、『玉臺新詠』第十巻にある。如何様にも考えられる詩である。更に淫らな意味にも、とろうとおもえばとれる。おかしな感じがする詩である。『玉臺新詠』第十巻のこの詩の掲載されている二つ前の作品には「山上復有山」の句がある。「山の上に復た山が有る」つまり、「」になり、「出」字のことである。ここは、言葉の遊びがされている可能性が高い。
※南山一桂樹:南の方の山の一本のカツラの木(の)。 ・南山:南の方の山(に)。なお、「南」と「男」は、同音。 ・一桂樹:一本のカツラの木。「桂」は「桂男」「肉桂」を聯想させ、「龜」に似た音(現代音では、声調のみ異なる)でもある。上代の歌謡『烏鵲歌』に「南山有烏,北山張羅。烏自高飛,羅當奈何。」がある。 ・樹:木。
※上有雙鴛鴦:(桂樹の)上には、つがいのオシドリがいる。 ・上有:上には…がある。 ・雙鴛鴦:つがいの鴛鴦。番のオシドリ。鴛鴦は、夫婦仲の睦まじさを表す鳥でもある。 ・雙:二つの。一対の。
※千年長交頸:とこしえにいつまでも首を絡ませ合い。 ・千年:千年。末長く。 ・長:いつも。いつまでも。永遠に。 ・交頸:(鴛鴦が)首を絡ませ合う。「交」は、まじわる。「頸」は、たて長い。人間の頭部で謂えば細長くなった首の部分。また、たて長いもの。細長いもの。何だか伏羲・女を聯想させられる。
※歡愛不相忘:(その「千年長交頸」の)よろこびいつくしみあうことは、忘れられない。 ・歡愛:よろこびいつくしむ。 ・不相忘:忘れられない。互いに忘れられない。
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◎ 構成について
韻式は「Aa」?。韻脚は「鴦忘」で、平水韻でいえば下平七陽?。次の平仄はこの作品のもの。
○○●●●,
●●○○○。(韻)
○○○○●,
○●●○●。(韻)
2004.2.17 2.18完 2.19補 2.25 |
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