夕殿下珠簾, 流螢飛復息。 長夜縫羅衣, 思君此何極。 |
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玉階怨
夕殿 珠簾を 下し,
流螢 飛びて 復た 息(いこ)ふ。
長夜 羅衣を 縫ひ,
君を 思ふこと 此こに 何ぞ 極(きは)まらん。
◎ 私感註釈 *****************
※玉階怨:楽府相和歌辞・楚調曲。『古詩源』巻十二にも録されている。
※夕殿下珠簾:夕方の宮殿では、玉で作ったスダレが下され。 ・夕殿:夕方の宮殿で。 ・下:おろす。 ・珠簾:玉で作ったスダレ。
※流螢飛復息:飛び交うホタルが、飛んだり、とまったりしている。 ・流螢:飛び交うホタル。 ・飛復息:飛んでは、また、とまる。飛んだりとまったりすることの繰り返しをいう。
※長夜縫羅衣:夜もすがら貴男のうすぎぬのころもを縫っている。 ・長夜:夜もすがら。普通、秋の夜長や冬の長い夜をいうが、ホタルが飛び交い、羅衣を縫っているのだから、ここは、前者の意になろう。 ・縫:ぬう。 ・羅衣:うすぎぬのころも。
※思君此何極:貴男を思い焦がれる気持ちは、いつ終わる時があるのだろうか。 ・思君:貴男を思い焦がれる。 ・此:ここ。これ。 ・何極:終わる時があろうか。
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◎ 構成について
韻式は「aa」。韻脚は「息極」で、平水韻でいえば入声十三職。次の平仄は、この作品のもの。
●●●○○,
○○○●●。(韻)
○●○○○,
○○●○●。(韻)
2004.2.24完 3.11補 |
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