4. B型オーバーコール |
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本章では,図のように,パートナーがパスして,レスポンダーがビッドしている場合のオーバーコールについて,ビッド条件,注意事項等を説明します. この状態でのオーバーコールとテイクアウトダブルを,欧州では,「サンドイッチ」といいます. それで,ここでは,このタイプのオーバーコールを「B型オーバーコール」と呼ぶことにします. 「B型オーバーコール」の場合,オポーネントは,1回目の情報交換を済ませているので,自分達の力関係やフィット情報を知っています. したがって,オーバーコールでオポーネントの情報交換を妨害するする効果は少なくなります.しかし,サクリファイス効果とオープニングリードの示唆は依然として残っています. また,オーバーコールのレベルは大体2以上となり,ペナルテイ・ダブルをかけられる可能性が大きくなります.したがって,目的に合致した,強いハンドでのオーバーコールが要求されます.
ダイレクトシートで使うコンベンションは,この場合も有効ですが,B型オーバーコール特有の慣用ビッドがあります.これらは,事前に,パーオナーと打ち合わせておく必要があります. |
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4.1. レスポンスのパタン |
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オプナーのLHOがパスした時,オポーネントのビッドシーケンスは次の4パタンになります.
(A),(B) はSのハンドは6〜9ポイントです.(C)はSのハンドは6ポイント以上で,上限は不明です.そして,(D) はSのハンドは10ポイン以上です. (D)では,明らかにオポーネントのHCPは23以上ありますから,このパタンは彼等が優位です.他の3つは,彼我の力関係は均衡状態ある可能性があります.しかし,こちらが優位という事はありません. オーバーコールのレベルは,1-O-1の時,1レベルのことがありますが,普通,2レベル以上になります. バルネラブルでのオーバーコールは,パタン(A)を除けば,目的に合致した強いハンドでコールした方がよいでしょう. |
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4.2. シングル・レイズの場合 |
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バランシングでは,「オポーネントにフィットがあれば,こちらにもフィットがある」という考え方で行動します.この場合も,オポーネントはフィットを示しているので,こちらにもフィットがあると仮定し,自分の良いスーツでオーバーコールします.
レイズのパタン(A)〜(C)では,オーバーコールのレベルは2で済むこともありますが, (D)ではレベルは3になります. レベル2の場合は,HCPやSQTが若干下回っても,ODRが高ければ,積極的にオーバーコールします.
バルの,レベル3の場合は,ペナルテイダブルを考慮にいれ,有力なスーツでオーバーコールします. ■ 慣用ビッド
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4.3. 1NTの場合 |
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この場合,レスポンダーのポイントは6〜10で,まだ,フィットが見つかっていません.即ち,サポートがなく,上位の4枚ス−ツがないと考えてよいでしょう.力関係は均衡か,均衡以下です. まだ,オーバーコールによる妨害の効果があり,こちらでコントラクトを買う可能性もあります. 有力なスーツがあれば,オーバーコールします. ■ 慣用ビッド
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4.4. 1-O-1の場合 |
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この場合,レスポンダーのポイントレンジの上限は不明ですが,ミニマム・レンジなら,彼我の力関係は均衡している可能性があります. オポーネントは,まだ,フィットを見つけていません.妨害の効果があります.しかし,オーバーコールするスーツをもっているかもしれません. 1レベルなら,良いハンドで良いスーツがあれば,ビッドします. 2レベルなら,バルネラブルに注意して,安全に,オーバーコールしましょう. ■ 慣用ビッド
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4.5. 2-O-1の場合 |
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この場合,オポーネントは23HCP持っているので,力関係はオポーネントが優位です.ゲームもあるかもしれません. したがって,バルネラビリテイ関係が良い場合は,サクリファイスや妨害の効果があるので,ODRの高い,強いスーツでオーバーコールします. 中途半端なビッドは,HCPとスーツの所在をオポーネントに知られ,利敵行為になります. 有力なスーツがなければ,デフェンスに徹して,オポーネントのオーバートリックを防止しましょう. ■ 慣用ビッド
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4.6. HARRISのコメント |
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B型オーバーコールを説明している本は余りありません.
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参考図書:
ACBL: "The Official Encyclopedia of Bridge " M.Lawrence:"The Complete Book on OVERCALL in Contract Bridge" L. Harris:"Bridge Player's Companion" |
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