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ミッシング・ハイウェイ / Octane

Marcus Adams

2003 UK / Luxemburg 91 Min. 劇映画

出演者

Madeleine Stowe
(Senga Wilson - 離婚した女性)

Mischa Barton
(Natasha Wilson - センガの娘)

Bijou Phillips
(ヒッチハイカー)

Jonathan Rhys-Meyers
(カルト集団の親分)

Norman Reedus
(事故車の処理係)

見た時期:2004年8月

2004年 ファンタ参加作品

ファンタのレベルから見ると低い方です。なぜ見たかと言うと、あまりにもひどい批評が出ていて、却って興味を引かれたからです。その期待は裏切られず、ひどいプロット、ひどい演技を堪能しました。なぜこの作品が今年のファンタに入ったのかが不思議なぐらいです。

うがった見方をすると、今年のファンタは欧州の作品に力を入れているからとか、処刑人ボーナスがあったからなどの解釈も成り立ちますが、ちょっとこじつけがひどいかも知れません。

制作は一応英国とルクセンブルクということになっていますが、出来はアメリカ製のB級作品の中かそれより下。主要な出演者にはアメリカ人が何人か入っています。B級でも良い作品を持ち込むこともあるアメリカと比べてもあまり上の方へ切り込んでいません。まして佳作続きの英国の作品だと言われると、「本当かよ・・・」考え込んでしまいます。

処刑人ボーナスというのは助演の1人ノーマン・レーダスが処刑人マクマヌス兄弟の1人を演じていたからです。以前のファンタで上映され非常に受けた作品です。同じ出演者3人で処刑人II というのも制作されているらしいのですが、公開されたという話は聞きません。ウィレム・ダフォーは参加しておらず、親子3人だけが前のメンバー。共演に Clifton González Gonzá'lez の名が挙がっています。作っているのは前と同じダフィー兄弟。果たして柳の下にどじょうが何匹いるか。(後記: すったもんだの末2009年についに完成。)そのノーマン・レーダスはアラン・ドロンの後継ぎになったとか言われるモデル業の他に俳優業にもいそしんでいますが、大ヒット作品にはそれほど出ていません。ほとんど知られていない作品の主役、助演などをやっており、作品数だけは増えています。私の見た作品ではファッション・モデルという職業が信じられないぐらいもさっとした服装で、あまりはっきり物を言わない男の役が多いです。

ミッシング・ハイウェイは筋を説明するのも面倒なぐらい意味のはっきりしない作品。簡単に言うとマンソン・ファミリーの亜流のようなグループが若い女の子をさらって、カルト・グループに入団させたりする話。グループは手段を選ばず、殺人もありです。主人公の母娘が巻き込まれ、娘拉致、母親が追跡という図式になります。娘は拉致とは言っても本人はすてきな誘いに乗っているつもりで、自分からは逃げ出そうとしません。婦人警官の格好で登場する女性も、交通事故の現場処理班もグルで、事故現場を片づけているのはいいのですが、死体も怪我人もこのカルト集団と共に消え失せます。それを追っている謎の男というのがおり、結局事件は本物の警官の手は借りずに起き、解決するという次第。途中何度もプロットに大穴が空きます。主人公の母親があり得ないような行動を取ったり、事故現場を大々的に封鎖しているのに連絡が本当の警察や担当の役所に届かないままで済んでいたりするので、見ていて腹が立ちます。

最も目に付くアラが主演のマデリン・ストーヴェ(ドイツ読み)。この人はもっと上手な演技を他で見たことがあるのですが、ミッシング・ハイウェイでは動作からしてアホらしく、意地悪女、ヒステリー女、あるいは欲求不満女に見えるような台詞の連続です。全体のコンセプトから行くと、自分の娘を自力で大きな危険から救い出すスーパーヒロインなのですが、悪い面ばかりが目立つ演出で、本人も役者としてのキャリア上得をするような演技は見せていません。この役を誰か他の女性にやらせるか、あるいは演出をがらっと変えるかすれば、残りの部分はB級作品として上手に収まったのではないかと思います。

カルト集団のボスをしている男の顔、というか目に見覚えがあって、まさかと思ったらやはりあの人でした。このサイトでも取り上げたベッカムに恋してで女子サッカー・チームのコーチをつとめた人です。あの時スポーツマンの役なのに目が変だなと思っていましたが、こちらのカルトの親分役ではそれがぴったりです。しかしそんな目をあちらこちらで見せて回っていたら役者としてのキャリア上あまり利点は無いように思えます。

とまあ、あまり取り柄の無い作品。ファンタの中でこれよりレベルの落ちる作品は見ませんでした。横に並びそうな作品が1つプリビューの出て来た程度です。私が見られるのは80本近い作品の中の40本程度。その中では最下位に入ります。

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