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0:34 レイジ34フン /
Creep /
Creep - Il chirurgo /
La criatura /
Plataforma do Medo

Christopher Smith

2004 D/UK 85 Min. 劇映画

出演者

Franka Potente
(Kate - ロンドンに住むドイツ人)

Vas Blackwood
(George - ケイトのボーイフレンド)

Sean Harris (Craig)

Paul Rattray (Jimmy)

Kelly Scott (Mandy)

Jeremy Sheffield (Guy)

Ken Campbell (Arthur)

Craig Fackrell (Tramp)

見た時期:2004年8月

2004年 ファンタ参加作品

要注意: ネタばれあり!

監督はこれが第1作で、有名な作品のリメイクなのだそうです。どんな理由をつけられてもこんなひどい作品を映画祭のスニークに持って来て、目線の鋭い黒装束のおにいさんたちに観客全員のバッグを調べさせるというのは納得が行きませんでした。しかし主催者がブロックバスターをメジャー系の映画会社から公開前に受け取るためにはそういう条件を呑まなければ行けないという事情があるようです。しかしこれがメジャー系のブロックバスターとあっては映画界の将来は暗い。この作品では途中退場者が何人も出ました。ファンタには珍しいというか普段は絶対に無い現象です。

逆にこれ以外の作品には優秀作品、佳作がゾロゾロ並んだということを喜ぶべきでしょう。中身の濃いフェスティバルでしたが、その中で論外というのがこの 0:34 レイジ34フンでした。

ネタがばれても誰も損をしたと感じないような薄いネタです。しかしそれでも絶対に見に行く、見る前には話は聞きたくないという方はどうぞここで退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

ロンドン滞在中のドイツ人女性ケイト(ドイツにはケイトなんて名前ありません)が居眠りしたために地下鉄の駅に取り残されてしまいます。最終に乗り遅れ駅に閉じ込められたはずなのですが、どういうわけかもう1本列車が来ます。ここは Kontroll をもう見てしまったファンタの常連には、《何じゃ?》という印象になってしまいます。Kontroll では終電の後にもう1本列車が通る理由がちゃんとあるのですが、0:34 レイジ34フンはつめが甘い。そう言えばマシニストにも地下のシーンがあったなあ。あっちの方が雰囲気出ていたなあ。そしてもしこれがミッドナイト・ミートトレインだったら絶対に危ない。乗るんじゃないぞ。

ホラー映画ですから主人公が危機に瀕し、叫びながら逃げ出さなければなりません。この作品のユニークなところはスクリーム・クイーンがあまり景気良く叫ばないところ。しかし賢明にも逃げ出します。なぜかと言えば理由が良く分からないまま連続殺人が起きるからです。妙な気配がしたので、とっさに逃げ出し、線路をつたって行きます(Kontroll が日本に来たらぜひ参照して下さい)。さらに賢明にも駅の監視カメラを見ている職員と非常連絡用スピーカーを使って連絡を試み、話にこぎつけます。しかし仕事熱心でない職員はケイトの話をマジに取る理由が見つからないので、無視したいというスタンス。ここは必ずしも職員を非難することはできません。カメラに映らなければ、話を信用するのも難しい。Octane に負けないぐらいお粗末なプロットの中でポテンテちゃんは馬鹿に見えないように奮闘。

地下鉄構内に住むホームレスの薬中の若者カップルの助けを借りようとしますが、女の子の方はその妙な人だか怪物だか分からない存在にやられてしまいます。ここではケイトは愚かにも貧乏人を金で釣ろうとします。ケイトの男友達もやられ、監視カメラの職員もやられます。なぜこういう事になったのかについては後半まで説明無し。

最後には一応このモンスターが誰なのか、ここはどこなのかなどの説明がありますが、マジに受け取りにくい。モンスターのようなクレイグはラース・フォン・トゥリアのキングダムギレルモ・デル・トロデビルズ・バックボーンエイリアン4を合わせたような様子で、私たちは気の毒なモンスターに同情すべきなのですが、どっこい、映画というのは表現が命。そこが上手く行かないと、《アホくさ!》となってしまいます。俳優は演技などというものを見せる機会が無く、ただただ見せられるのはオープニング作品だった Kontroll のパクリや、アナトミーのパクリ。ポテンテちゃんは似合いもしないブロンドに脱色して、ローラ(下までスクロールして下さい)のように走りまわっていて、ボーン・アイデンティティーが懐かしくなってしまいます。彼女が必死で逃げるというシーンはラン・ローラ・ラン(下までスクロールして下さい)をパクったつもりなのかも知れません。パクるにしてもちゃんとやってくれと言いたい。

なぜポテンテがこの作品に出たのかは見終わって仲間内でも暫く話題になっていました。主催者も珍しくマイナスの批評を口にしています。仲間の大半は大金を積まれたからだろうという予想。しかし制作は英国とドイツで、大金が行き来するハリウッドではありません。私はポテンテがホラー映画のスクリーム・クイーンという地位を確固たる物にしたかったのかとも思いました。しかしアナトミーのようなそのジャンルの佳作と比べると、0:34 レイジ34フンは明らかに駄作。出ると評判を落としてしまいます。それにスクリーム・クイーンというタイトルは本人が喜んでいないケースも多いですからポテンテがそれを望んだかは分かりません。彼女はボーン・アイデンティティー続編にも出演し、ハリウッドでは多少ましな作品に出ることができる人です。ドイツに戻れば彼女を使いたがる監督は列をなしてやって来るでしょう。

色々な面から見てフェスティバルに不似合いな作品でしたし、ポテンテらしくない作品でもあります。残念!!(あっ、真似しちゃった。)

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