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モチは餅でも

トライした時期:2006年9月

今月のまえがきに「モチを自分で作ってみようかなどと考えています。」などと無謀な事を書いてしまいました。ファースト・トライの結果は

《成功》とは言えないが、失敗でもない《不成功》。

何たる負け惜しみ。(笑ってもいいです。)

少なくとも餃子騒動の時のような騒動にはなっておりません。白い粉をしたたか鼻から吸って死にかけるといったルールズ・オブ・アトラクションもどきの危険な出来事は起きませんでした。「では考えていたようなモチは作れたか」と聞かれると、「まだできなかった」のであります。一生懸命負け惜しんでおります。

何をしたかと言いますと・・・、まずはレシピの捜索。何しろアイディアを思いついたのは、韓国製の《モチ》を食べてからのこと。日本製ではないので、韓国人が呼ぶ名前しか分かりません。韓国人が「モチ」と言うと、《小型で大福のような柔らかい皮に包まれた漉し餡の入った丸い物》のことを指します。韓国の食料品店や、アジア全般の食料品を扱っている店に行くと買えるのですが、製造元は韓国関係者。どの韓国人に聞いても「モチ」と言えば同じような製品が出て来ます。

しかし日本人の私に取っては、餅というのは特定の料理やお菓子を指す名前ではなく、ほぼ一般名詞のようなもので、もち米から作った、普通は白い塊に過ぎません。それを色々に変えると、あんころ餅になったり、大福餅になったり、草餅になったりすると考えていたのです。ですから最初に韓国製のモチを知った時は、カルチャーショック。しかしこれを食べると緑茶が楽しく飲めると分かったので、その後時々買っていました。しかし割高。となると、饅頭怖いのように、友達を騙して、自宅へ饅頭を持って来させるしか手がありません。しかしここには「お前の怖い物は何だ」と聞いてくれたり、「あいつを怖がらせてやろう」とご丁寧に饅頭を大量に持って来てくれる友達はいません。

トリックの山田に負けないジリ貧生活を送っている私としては、自分で作れる物はできるだけ自分で作りたい。電車に乗ってモチをジェイソン・ボーンが散歩していたアレクサンダー広場まで買いに行くと、定期の無い人はそれだけで、片道 2€ と 10¢(300円ちょっと) かかるのです。往復すると、モチ10個入りより高くなってしまいます。1回モチを買うためにかかるお金は 4€ 20¢ とモチ代 3€ 45¢(500円ちょっと)、計 7€ 65¢(1100円ちょっと)。何となく割り切れない気持ちになってしまいます。

インターネットを探そうにも私は韓国語が分からないので、韓国のサイトでレシピを探すのは無理。ドイツ語や英語で探してもだめだろうと思い、日本語で探し始めました。和菓子レシピのページをあれこれ見ていると、《○○餅のレシピ》というのが時々見えます。適当に当たりをつけて、大福餅など似ていそうなページを当たって見ました。すると出て来ました、数件。そして何と白玉団子の粉でも作れると書いてあるのです。白玉団子の粉はベルリンでも手に入ります。以前作ったことがあります。で、喜んで近所の韓国食料品店へ。

ダメで元々と一応「もち米の粉売ってるか」聞いてみたら、「売ってる」と言うではありませんか。言われた場所に行くと白玉団子の粉と両方あります。一応モチを作ろうと思っていたので、もち米の粉を買いました。400グラム70¢(100円ほど)。1€ にもなりません。何と言う安さ。粉が見つかったら次は餡子。以前は中国製の漉し餡があり、それを使うと中村屋のあんまんみたいな味になるのですが、それは売っておらず、代わりに見つかったのは韓国製と北海道製の粒餡。その方が高級と思い、文句を言わず1缶買いました。これが 2€ 50¢。しかし使い切れないぐらい入っていますので損はありません。

これを持ってレジに行くと「モチを作るのか」の一言。きっとあれは「(うちで売っている)モチを買わずに自分で作るのか」の略だったのです。(ちなみにアレクサンダー広場のモチは近所のモチより安いです。電車代を考えると落ち込んでしまいますが。)ばれてしまいました。ちょうどいい、それなら聞いてやろうとばかりに、「ゆでるのか、蒸すのか」と二言。おじさんは「蒸す」と答えました。となると道具を置いてある地下室に行って、蒸し器を探さなければなりません。やれやれ。ところがレシピの1つに電子レンジを使う方法が載っていたので、これに決定。すぐ横着してしまいます。

私はベルリンに来てからよくドイツ人に「お前は自分で料理するのか、偉い」と誉められてしまいます。実はほとんどが買って来た材料をそのまま横に並べるか、鍋に放り込んでいるだけで、大した事はしていないのですが、一応八百屋さんや肉屋さんで買って来た物を包丁でどがちゃかやって食卓に並べているので、《料理をした》という解釈も成り立ちます。主婦をやっている方ならすぐご理解いただけると思いますが、やる事はかなりアバウト。塩を入れてちょっと辛過ぎると、水を入れてごまかす、クリームが無かったらミルクでごまかす、とまあ味見とごまかしの結果が私の《料理》です。

ですから私は「ケーキは作れるが料理ができない」と私を見て悲しそうに、うらやましそうに言うドイツ人が理解できないのです。ケーキというのはレシピをしっかり守らないととんでもない事になってしまう世界。それをさっさとやってしまうドイツ人の方がその辺の物を適当にかき集めてバター、塩、胡椒を放り込んでできあがりという私とは格が違います。そういう私が今度モチに挑戦しようということになったのですから無謀と言えば無謀な話。

作り始めてやはりケーキを作る人と私ではメンタリティーが違うと思いました。何しろのっけから計量カップと秤が必要。「もち米の粉を100グラム、砂糖を40グラム、塩少々、水150cc用意せい」と書いてありました。砂糖はいんちきして30グラム。もうアバウトが始まります。粉の物を最初によく混ぜておいたら後で仕事が楽だろうと思い、水を入れる前にかき混ぜました。そこまでは順調。次に水。白玉団子を作る時と同じで、1度にばっと入れると後が大変。それで最初半分ぐらい入れ、次に残りの半分ぐらいを入れ、それで十分柔らかくなったので最後の4分の1は残しておきました。これ、災いの元でした。

次が摩訶不思議。「混ぜた物にラップをかけて、電子レンジに放り込め。1分から2分温めろ」とあるのですが、ワット数がありません。困った。日本には何も書いていない時は500ワットとか、何か取り決めがあるのか、外国にいる者だけがそれを知らないのか、云々。色々考えた末に、安全そうな560ワットにして、分数は少な目の1分で様子を見ようと思ったのです。

うちの電子レンジはチーンではないのですが、混ぜた物を放り込み、取り敢えず《1分間待つのだぞ》。すると「ピーップ」と鳴ります。見てみるとまだダメな様子。半透明の柔らか過ぎるお餅のような物ができるはずなのです。で、もう1分。まだ変わった様子はありませんが、一応2分とあったので、能書き通り、出して混ぜて見ました。びっくり。

ちゃんとべたっとした粘土のような物に変わっていました。どうやら水が少な過ぎた様子。4分の1残したのが行けなかったようです。慌てて残りを入れてへらで混ぜて見ましたが、ヤマト糊のようにはならず、べっとりしたペーストのような部分と、小粒の団子みたいな部分ができてしまいました。やっぱり私はお菓子には向かないなあと諦めの境地。

しかしここまで来てしまったので、できてしまったヤマト糊と団子のミックスを何とかしなければなりません。この後2度混ぜながら30秒ずつ2度過熱とあったので、一生懸命混ぜましたが、やはり全部がヤマト糊とは行きません。仕方ない、ファースト・トライとしてはこの辺で妥協かと諦めました。

次にこのべとっとしたものを延ばし、さめないうちに餡子を入れて丸くするとのこと。近くに片栗粉を用意しておけとあったので、べとつくのだと予想はしましたが、これが1番大変でした。店で売っているようなきれいな形にはなりません。せっかくいい形になったと思っても手についていたのと一緒になってしまい、すぐ形が崩れてしまいます。餡子を入れてきれいに封をしようと思っても、どこかに穴が空いていて、そこから餡子が出て来てしまいます。一体店の人はどうやってああいう風に上手い具合に作るんだろう。

結局できあがったのは、形の崩れた饅頭のゾンビ、饅頭のモンスターで、本当に饅頭怖い。とても人様に出せるものではありません。ただし味の方は結構行けます。店で買ったのに比べ、砂糖を減らしたので、中の餡だけが甘く、外の皮はうっすらとした甘味だけ。喉が掻き毟られるような甘さではありません。

これは是非ともセカンド・トライをしなければと思いました。次回は昼食の横っちょで作るのではなく、きちんと気合を入れてやらなければだめ。今日作ったのは400グラム中100グラムの粉使用。それで普通のお饅頭5個ぐらいの量。アレクサンダー広場のモチの大きさで計算すると8個ぐらいは行けそう。と言うことは70¢でお饅頭20個分の皮が作れます。餡子は缶詰1缶開けるとお饅頭20個作り終わってもまだ余りそうです。アレクサンダー広場のモチですとほんの少ししか入っていないので、この量で計算すると1缶でかなり長い間行けそう。モチ20個を店で買うお金で買えるもち米の粉は10袋弱。餡子も買うので、無論200個作れるというわけではありませんが、かなりお徳。

しかし自分で作ったお饅頭でも甘い。数個食べるとしてお茶は2リッターぐらい飲まないと。やっぱり肉まんのレシピを探した方がいいのかな。

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