作品賞・ドラマ

• キャプテン・フィリップス

2009年に実際にあった海賊人質事件の映画化。元ネタは船長の出版した回想録キャプテンの責務。

• それでも夜は明ける

監督の名前がスティーヴ・マックイーンなどというのでびっくりしますが、あのマックイーンとは別人。出演者は名前を知らない人ばかり。
奴隷が残っている時代に自分で商売をして食べていた自由黒人が騙されて、奴隷に売られてしまう・・・。その体験を12年経って解放され本人が本にしたものが原作として使われています。

• ゼロ・グラビティ

去年のファンタの後忙しくなり、映画を見る時間が取れず、ここに挙がった作品も全く見ていません。
サンドラ・ブロックの宇宙物は見るつもりでマークしていたのですが、それも時間が無くて実現しませんでした。井上さんが先に見て記事にしています。
今年のノミネート作品の中では数少ないフィクションらしいです。事故の原因を作ったのはロシアという筋ですが、ちょっと前に中国が似たような爆破を行っています。なのでSFとは言ってもリアリティーがあります。

• ラッシュ　プライドと友情

監督はロン・ハワード。主演はドイツの元若手（間もなく中年）ダニエル・ブリュール。彼はスペイン語も行け、ファンタでも活躍。
ラッシュ　プライドと友情はニキ・ラウダの話なので、ドイツ語が話せる人がいいという事でブリュールに話が行ったのでしょう。でもあのオーストリー訛りをちゃんと話すんだろうか。この作品もいずれ見ようと思っています。

ラウダは1976年の事故で顔面も含む重症火傷を負っており、いわば仲間の1人に当たります。大金持ちの彼はその気になれば火傷の痕をきれいに治す事も可能ですが（ドイツの場合ですと、それすら大きな部分は健康保険）、本人は外見に無関心で、医学的な治癒が終わった後、整形手術を受けた形跡がありません。私自身事故の後何ヶ月かお岩の幽霊状態だったのですが、自己治癒力で顔は整形せずに何とか元に戻りました。ラウダも顔はどうやら自己治癒力で何とかなったようです。皮膚の色も質も目茶苦茶状態から始まるので非常に忍耐は必要ですが、かなりの部分は自分の力で回復可能です。それを的確に判断できる医者がいれば、ちょっと見にはそんな事があったとも分からないぐらい治ります。

火傷で困るのは外見よりも、傷口に大穴が空いてしまって塞がらないとか、治癒後筋肉が縮まって手足がちゃんと伸ばせない問題の方。そういう時は美容整形とは違う意味ですが整形手術が必要です。その点ラウダの顔は何とかなったようです。（他の部分をどうしたのかは分かりません。） しかも年を取ると普通の人でも皮膚が乾いたり、皺やしみが出るので、火傷の痕がそこにうまく紛れてしまいます。俳優やファッション・モデルのような職業でなければそれで十分。

• あなたを抱きしめる日まで
実話。マグダレンの祈りの亜流。フィクションにしろ、ノンフィクションにしろ扱うテーマが同じなので、話が似るのは仕方ありません。近年はカソリックの教会を批判すると客足が伸びるので、その路線。時代が古いと多くの国の宗教で似たような出来事にはきつい処分がありました。

主演女優賞・ドラマ

• ケイト・ブランシェット （ブルージャスミン）
ウディー・アレンが監督。ブランシェットはアレンの御指名。
元セレブ生活をしていた人が離婚を機に生活レベルの没落に。作品の成功はブランシェットの演技にかかっていた様子。欲望という名の電車系統の話らしい。
• サンドラ・ブロック （ゼロ・グラビティ）
彼女の1人芝居に近いという話。レッドフォードの海の遭難話の宇宙版か。
• ジュディ・デンチ （あなたを抱きしめる日まで）
• エマ・トンプソン （ウォルト・ディズニーの約束）
メリー・ポピンズの原作者の話。トム・ハンクスはこの作品にもウォルト・ディズニー役で登場。トンプソンは映画化大反対の原作者役。
• ケイト・ウィンスレット （とらわれて夏）
小説の映画化。「危害を加えないから」と約束されて脱獄囚をかくまう事になってしまうシングル・マザーと少年。少年の父親代わりにもなり、家事を手伝ってくれる脱獄男・・・。

主演男優賞・ドラマ

• キウェテル・イジョフォー （それでも夜は明ける）
• イドリス・エルバ （Mandela: Long Walk To Freedom）
武闘派マンデラの伝記。当時の南アフリカの状況を考えると武闘派もやむを得なかったのでしょうが、支配する側も抵抗する側もこの話にどういう説明をするのかに興味があります。映画のプレミア上映中にマンデラ本人は死亡。
• トム・ハンクス （キャプテン・フィリップス）
ソマリアの海賊とやりあう船長の話。実在の人物はまじめなベテラン船長。いかにもトム・ハンクスがやりそうな役ですが、ウィリアム・ペーターセンでも良かったかなと思います。
• マシュー・マコノヒー （ダラス・バイヤーズクラブ）
実話。エイズの研究が進んでいなかった80年代に陽性と診断された男が、アメリカで認可されていない薬の手配を試みる。タイトル通りのクラブを設立し、会員に安価でエイズに効きそうな薬を外国から手配。しかし法律に触れたため揉め事が始まる・・・。余命30日と言われた割には長生きし、しかし健康人よりは早く死亡。30日が6年に延びたのは良かったけれど。

後記: 主演、助演とも大御所を抑えて受賞。

• ロバート・レッドフォード （オール・イズ・ロスト　 最後の手紙）
どうやらフィクションらしい。インド洋で遭難した船乗りの話。太平洋で遭難した辛坊さんと似たような感じで航海に出たようですが、違うのは主人公はきままな一人旅、辛坊氏は休暇を取った趣味の旅とは言え、1人の人物に対する責任を負っていた（責任感を持っていた）点と、無線機が辛坊さんの方では機能した点。似ているのはその辺に浮かんでいた物や魚にぶつかった不可抗力だった点と、悪天候だった点。飢え、渇き、孤独があったか、無かったかの違いがありますが、命が危ないというところは共通。
作品はレッドフォードの完全1人芝居。

作品を見ないでの発言ですが、ハンクスとレッドフォードにはご遠慮願って、あまり名前の知られていない俳優にあげたいです。ネルソン・マンデラの役はモーガン・フリーマンに行くものと長い間思っていましたが、違う人、それもあまり似ていない人が演じたようです。
レッドフォードの作品はほとんど台詞が無いそうで、表情が勝負なのだそうです。まあ、彼ががんばりたいという気持ちは分かりますが・・・。

作品賞・ミュージカル&コメディー

• Her　世界でひとつの彼女
SFの恋愛物。スパイク・ジョーンズのオリジナル作品。離婚した中年男が実体の無いコンピューターの擬似人物（音声を発するオペレーティング・システム）に惹かれて行く話。
賞が取れるかは分かりませんが、話はおもしろそう。主人公の職業からして変わっています。
• アメリカン・ハッスル
実際に起きたアブスキャム事件が元ネタ。ベイルが演じるのは司法取引で捜査に協力する詐欺師。アラブの大金持ちという人物を仕立て上げ、カジノ利権に群がる国会議員を引っ掛ける作戦。実際にとっ捕まった議員がいたそうです。
• インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
フォークソングが盛んだった60年代の話。映画の中ではどこまで実話か分かりませんが、モデルになる人物がいたようです。朝日の当たる家を歌ったデイヴ・ヴァン・ロンク。
• ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
ダーン家は親子共に俳優をやっていますが、父親はグローブもオスカーもノミネートのみ。娘はグローブを6回ノミネート中4つとっています（全てテレビ）。
詐欺っぽい話に乗せられ、ネブラスカに向かう父親を気遣い同行する息子。白黒映画。
• ウルフ・オブ・ウォールストリート
これも元ネタは実話らしく、ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生という株のブローカーの回想録を元にしています。
似たような人物をスピールバーグ監督で演じた事のあるカプリオ。話としてはマネー・トレーダー 銀行崩壊系なのかも知れません。 主人公は20歳代で大富豪になり、30歳代で犯罪者。

主演女優・ミュージカル&コメディー

• エイミー・アダムス （アメリカン・ハッスル）
ベイル演じる主人公と愛人関係にあり、捜査に協力する女性の役。
• ジュリー・デルピー （ビフォア・ミッドナイト）
キリング・ゾーイでゾーイを演じた人物。
イーサン・ホークがやっているシリーズの1作。（ビフォア・ミッドナイト、ビフォア・サンライズ、恋人までの距離（原題：ビフォア・サンセット）、ウェイキング・ライフ）
• グレタ・ガーウィグ （Frances Ha）
• ジュリア・ルイス・ドレイフュス （Enough Said）
コメディアン。私が見た作品はファーザーズ・デイ、地球は女で回ってる、バグズ・ライフ。
• メリル・ストリープ （8月の家族たち）
元ネタはブラックなコメディーの戯曲。
スターもデフレ時代に入って久しいですが、ストリープと、ジュリア・ロバーツが共演。問題ありの家族が父親の失踪を機に集合。家族の秘密が次々にばれる話。他の共演者も1人で主演を張れるレベル。大デフレ時代到来です。感じがいいのは主演の2人がブロンドにせず、こげ茶色の髪にしている点。

後記：　実力はあるんだろうけれど、ストリープもそろそろ遠慮していただきたい。有能な新人に注目したいです。

主演男優賞・ミュージカル&コメディー

• クリスチャン・ベイル （アメリカン・ハッスル）
• ブルース・ダーン （ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅）
• レオナルド・ディカプリオ （ウルフ・オブ・ウォールストリート）

後記: スコシージ監督、カプリオ主演で受賞。オスカーに繋がるかは別問題。

• オスカー・アイザック （インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌）
• ホアキン・フェニックス （Her）

競合しています。ベイルは本人はがんばっているのに好きになれない俳優。ブルース・ダーンはなぜ今頃という気がします。若い頃賞を取れるような作品に多々出ていたように思います。カプリオはそろそろ手抜き仕事を改めて実力を出してもらいたいところ。ドイツのメディアでは今年は気合を入れているからオスカーも取るかも知れないなどと書いています。親戚がドイツ人だから贔屓はあるでしょうね。フェニックスにはいつかオスカーを取ってもらいたいところ。歌も上手いし。

外国語映画

• アデル、ブルーは熱い色
• La Grande Bellezza
• 偽りなき者
• ある過去の行方
• 風立ちぬ

日本も参加しています。

助演女優賞・ドラマ

• サリー・ホーキンス （ブルージャスミン）
• ジェニファー・ローレンス （アメリカン・ハッスル）
• ルピタ・ニョンゴ （それでも夜は明ける）
• ジュリア・ロバーツ （8月の家族たち）
どうやら性格俳優に転向した様子。
• ジューン・スキッブ （ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅）

ブッシュの時代はとうに終わったのにジュリア・ロバーツが出て来たのでびっくり。

助演男優賞・ドラマ

• バーカッド・アブディ （キャプテン・フィリップス）
ソマリアはモガジシオ生まれなのでテーマに近い人物。戦火を逃れて家族が外国へ移住。俳優の訓練は受けておらず、今後このノミネートを機に伸びるかが注目。
• ダニエル・ブリュール （ラッシュ　プライドと友情）
ドイツとスペインでは名の通ったスター。演技はドイツの俳優学校をすっ飛ばしているためドイツっぽくなく、世界に通用します。
• ブラッドリー・クーパー （アメリカン・ハッスル）
ファンタに来るような劇映画に時々出演。テレビ出演が多い。
• ミヒャエル・ファスベンダー （それでも夜は明ける）
ハイデルベルク出身でマイケル・コリンズの子孫。英語とドイツ語が分かる。犯罪物やファンタに来そうな劇映画に出演。
• ジャレッド・レト （ダラス・バイヤーズクラブ）
エイズ患者で主人公の友人役。
レトは好きかと聞かれるとすぐイエスと言いませんが、注目はしている俳優。非常に整った容姿にも関わらず、それは時たま売りにする程度、もっぱら演技やややこしい役柄で勝負。容姿を売りにする時も一筋縄では行かない役が多い。
役によって太ったり痩せたりするが、今回はガリガリに痩せる役。

注目しているのはブリュールとレト。ブリュールはニキ・ラウダ役です。たまたま今引退したシューマッハーがレース中の事故でないのに重傷で入院中。ラウダは無事引退し、まだ存命。レーサーの鏡。F1レーサーには無事引退生活を送ってもらいたいと心から願うのですが、グレアム・ヒルも飛行機事故で亡くなってしまい、好きだったスター・レーサーの多くがレース中の事故で亡くなってしまっため、F1を追いかけるのは止めてしまいました。

後記: レトが有力だったわけではなく、他も重要な助演として存在感のある人たち。レトは個性はあるけれど賞では見過ごされ易い人でした。ブリュールはアメリカではまだ知名度が低い。

監督賞

• アルフォンソ・キュアロン （ゼロ・グラビティ）
• ポール・グリーングラス （キャプテン・フィリップス）
• スティーヴ・マックィーン （それでも夜は明ける）
• アレクサンダー・ペイン （ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅）
• デヴィッド・Ｏ・ラッセル （アメリカン・ハッスル）

作品はどれも見ていないのですが、ここに並んだ監督の作品が他の部門でもたくさんノミネートされており、かなりの競争になりそうです。票は割れそう。

脚本

• スパイク・ジョーンズ （Her）
• ボブ・ネルソン （ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅）
• スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ （あなたを抱きしめる日まで）
• ジョン・リドリー （それでも夜は明ける）
• エリック・シンガー、デヴィッド・Ｏ・ラッセル （アメリカン・ハッスル）

音楽（オリジナル）

• ジョン・ウィリアムズ （やさしい本泥棒）
• ハンス・ツィンマー （それでも夜は明ける）
• アレクサンダー・エーバート （オール・イズ・ロスト　最後の手紙）
• アレックス・ヘッフェス （Mandela: Long Walk to Freedom）
• スティーヴン・プライス （ゼロ・グラビティ）

ウィリアムズとツィンマーは常連。

音楽（オリジナル・ソング）

• Chris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion - Atlas （ハンガー・ゲーム2）

元ネタは小説。シリーズ物。

• ロバート・ロペス、クリスティン・アンダーソン・ロペス - Let It Go （アナと雪の女王）

アンデルセンの童話が元ネタ。

• Bono, Adam Clayton, The Edge, Larry Mullen Jr., Brian Burton - Ordinary Love （Mandela: Long Walk to Freedom）
• T・ボーン・バーネット、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョージ・クロマティ、 エド・ラッシュ - Please Mr. Kennedy （インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌）

後記：　音楽や歌手がテーマの作品ですが、受賞を逃しました。

• ジャック・アントノーフ、テイラー・スウィフト - Sweeter Than Fiction （ワン チャンス）

実話。本人はホセ・カレラスを聞いて、オペラ歌手を目指す。プロになるほど自信が持てず、大学を卒業し、普通に就職。その間議員になるなどしている。歌は趣味として続ける。オーディション番組で賞金を貰い、短期間音楽留学。その後も職業としてではなくオペラを続けるが、私生活では健康問題などを抱え不運続き。入院費も稼がなければならず、お金に困りながら英国で有名なオーディション番組に参加。これでダメなら歌は諦めるという覚悟が吉と出て、大絶賛。本職の携帯販売会社は音楽で生活が立てられるようになり、退社。

容姿はぱっとしませんが、彼をメジャーにしたオーディション番組にはよくそういう人がサプライズの才能を持ち込んで来ます。イギリス人ではなく、パバロッティーかと思えるような歌唱力と声量。パバロッティー亡き後彼が代役に入ってもおかしくありません。クラシック音楽の世界では劣勢の英国からこういう人が出るとはねえ。絶賛も当然。私も知っている無礼な意地悪審査員も唖然。・・・本人はそれでグローブの音楽賞ぐらい取ってもおかしくないのですが、その彼を映画化した作品の方はどうだったんだろう。ドキュメンタリーではないから、俳優が演じて歌っているはず。

長編アニメ

• 怪盗グルーのミニオン危機一発
• クルードさんちのはじめての冒険
• アナと雪の女王

TVシリーズ・ドラマ

• ブレイキング・バッド
• ダウントン・アビー
• グッド・ワイフ
• ハウス・オブ・カード 野望の階段
• Masters of Sex

ハウス・オブ・カード 野望の階段は第1シーズンを見終わったところです。ワシントン政界のえぐい部分を描いたドラマ。主演の3人の憎ったらしいこと。政界の実情を知っている人なら、さもありなんと思えるエピソードに気づく事ができるのだと思いますが、そこまで詳しくなくてもついて行ける筋です。

TVシリーズ主演女優賞・ドラマ

• ロビン・ ライト （ハウス・オブ・カード 野望の階段）
• ジュリアナ・マルグリース （グッド・ワイフ）
• ケリー・ワシントン （スキャンダル 託された秘密）
• タチアナ・マズラニー （Orphan Black）
• テイラー・シリング （Orange Is the New Black）

ケビン・スペーシーの妻役のロビン・ライトもおよそシンパシーを感じないような役を演じています。彼女は去年のファンタでも見たのですが、どうもここ暫く感じの悪い役に選ばれているようです。ただその役柄を本人は良く理解して感じ悪く演じているので、俳優としてはそれでいいのだと思います。コニー・ニールセンと似て容姿に妙な透明感がある人なのですが、それがプラスに働かず、感じ悪〜いです。ま、そういうキャラクターを望まれているんだからいいんだろうけれど。もう1人スペーシーの愛人ジャーナリストの役の女優もがんばっています。ところが彼女はノミネートされず、男性の助演が入っています。

後記：　ライトはそれなりに個性を出して演じています。彼女が受賞にふさわしいかはライバルの様子を見ないと分かりませんが、私は他の作品は全部見ていません。なので判断ができない。

TVシリーズ主演男優賞・ドラマ

• ブライアン・クランストン （ブレイキング・バッド）
• ケビン・スペイシー （ハウス・オブ・カード 野望の階段）
• リエフ・シュライバー （レイ・ドノヴァン　ザ・フィクサー）
• マイケル・シーン （Masters of Sex）
• ジェーム ズ・スペイダー （ブラックリスト）

スペーシーは余裕で悪役を演じています。1つ損をしているのはスペーシーが観客に直接語りかけるシーン。アメリカン・ビューティーを意識して取り入れたのかと思いますが、この演出は実力ある俳優の評価を下げます。スーペーシーにそのシーンでは台詞は与えず、カメラに向かってとぼけた顔を見せれば効果があったかと思えますが。

後記：　スペーシーはもっと凄い演技もできる事が知られているので今回は外されたのかも知れません。俳優の演技と脚本とのマッチ、その効果を考えるとユージュアル・サスペクツの方が絶妙な演技だったと言えます。ハウス・オブ・カード 野望の階段にもあのおとぼけぶりと、政界の残酷さを混ぜればよかったと思います。そこへあのロビン・ライトが加われば、二人揃って受賞もあったかも知れません。脚本があと一歩でした。力のある俳優はとことん使わなければ。

TVシリーズ・ミュージカル＆コメディー

• ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則
• モダン・ファミリー
• Brooklyn Nine-Nine
• Girls
• Parks and Recreation

テレビ部門は普段は見られないので全くコメントできずに来ましたが、ドラマ部門は今年は見たので、少しコメントしました（上）。ミュージカル、コメディー部門は今年も手が出ません。

TVシリーズ主演女優賞・ミュージカル＆コメディー

• ズーイー・デシャネル （New Girl 　ダサかわ女子と三銃士）
• レナ・ダナム （Girls）
• イーディ・ファルコ （ナース・ジャッキー）
• ジュリア・ルイス・ドレイファス （Veep）
• エイミー・ポーラー （Parks and Recreation）

後記：　知らない人ばかりなのでノーコメント。

TVシリーズ主演男優賞・ミュージカル＆コメディー

• ドン・チードル （House of Lies）
• ジェイソン・ベイトマン （ブルース一家は大暴走）
• ジム・パーソンズ （ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則）
• マイケル・J・フォックス （The Michael J. Fox Show）
• アンディ・サムバーグ （Brooklyn Nine-Nine）

後記：　俳優は一部知っていますが、作品を知らないのでノーコメント。

TVミニ・シリーズ＆テレビ用に製作された映画

• American Horror Story
• 恋するリベラーチェ
• トップ・オブ・ザ・レイク〜消えた少女
• Dancing on the Edge
• The White Queen

恋するリベラーチェは歌手と愛人関係にあった男性の自伝を元に作られた作品。ゲイらしくないダグラスとデイモンが主演というところがご愛嬌。
リベラーチェにはクラシックのコンサート・ピアニストになる道も開かれていたのですが（評価は受けていた）、当時襲って来た大不況のため、ポピュラー畑で直接お金を稼ぐ事に。ポピュラー路線は大成功し、大金持ちに。派手な衣装のために（派手ではありますが、巷で言われるほど下品には見えませんでした。きっちりしたスーツにやたら光るものをつけたりしています。彼より後でラス・ベガスに出演したスターよりはまともな格好だと思いました）実はクラシックの曲を弾けるきちんとしたピアニストだという面はあまり注目されなかったようです。とは言うものの時々クラシックに関連する催しもやっており、ポピュラーの演奏に時々クラシックも混ぜています。私が聞く限りしっかりしたクラシックの基礎があるだけではなく、曲の解釈もしっかりしているので、もう少し何度もクラシック・コンサートをするなり、クラシック・アルバムを出すなりすれば良かったと思います。どうやらクラシック畑の人からは反感を買ったらしく、良い評価は受けていませんが、私には大きな才能があったように見えます（聞こえます）。
ゲイだったのですが、ゲイの話が公にできるようになっても公表はせず、エイズが原因で死去。
生前のビデオを見ましたが、ピアニストに向いた大きな手をしていて、大して踏ん張らずに力強い音を叩き出します（という事は必要な筋肉を必要な場所に揃えているということ）。ばかでかいグランドピアノが小さく見えるのはさすが。しかも腱鞘炎にかかっていない様子。さすが職業をきちんと意識しています。びっくりするのは大きな指輪をたくさんはめて演奏している点。音楽の趣味は合わないですが、非常に達者な演奏家です。乾いた鋭い音のピアノをそろえており、自分の演奏スタイルに合わせています。生前はほんの僅かしか見ませんでしたが、こんなに上手いのならもう少し見ておけば良かったと悔やまれます。

後記：　リベラーチェ家にも色々あって大変だったようですが、マット・デイモンが演じている役の本人はあまりいい感じの人物ではありません。関係を解消し、一定の退職金を貰って口をつぐむのが英国風。アメリカ風だとテレビに出て来て喋ったり、本を書いたりするんですね。ま、色々あったんだろうけれど。
デイモンは容姿を良く研究して本人に似せています。

主演女優賞・TVミニ・シリーズ＆テレビ用に製作された映画

• エリザベス・モス （トップ・オブ・ザ・レイク〜消えた少女）
• ヘレナ・ボナム・カーター （Burton and Taylor）
• レベッカ・ファーガソン （The White Queen）
• ジェシカ・ラング （American Horror Story）
• ヘレン・ミレン （Phil Spector）

後記：　知っている女優が多いですが、作品を知らないのでノーコメント。

主演男優賞・TVミニ・シリーズ＆テレビ用に製作された映画

• イドリス・エルバ （刑事ジョン・ルーサー）
• マット・デイモン　+　マイケル・ダグラス （恋するリベラーチェ）
• キウェテル・イジョフォー （Dancing on the Edge）
• アル・パシーノ （Phil Spector）

Phil Spector は芸能界で多大な影響を残したまま刑務所に言ってしまったフィル・スペクターの話。これほどあくの強い人物ならある・パシーの起用も納得。

後記：　デイモンではなく、ダグラスが受賞。役者としてのデイモンに感心した事が無いので、この決定に納得。2人が主演の時に無理して1人を助演にしなかったのは賢い。
ダグラスは音楽のパーフォーマンスをどうしたんだろう（�@上手くごまかして演奏シーン無しにした、�A本人にある程度音楽の素養があるので、ピアノぐらい弾ける、�B一応音楽の素養があり、上手にふりをしてそこへプロのピアニストの音をかぶせた、�C音楽は苦手で、音の出ないピアノを使って弾いているふりをした、�Dそれでも音楽の素養が無いのでばればれに見える　-　どれだろう。興味津々。）

助演女優賞・TVミニ・シリーズ＆テレビ用に製作された映画

• ソフィア・ベルガラ （モダン・ファミリー）
• ジャネット・マクティア （The White Queen）
• モニカ・ポッター （Parenthood）
• ヘイデン・パネッティーア （ナッシュビル）
• ジャクリーン・ビセット （Dancing on the Edge）

後記：　作品は全部知らない。それにしても随分古い女優に賞をあげたものです。

助演男優賞・TVミニ・シリーズ＆テレビ用に製作された映画

• アーロン・ポール （Breaking Bad）
• ジョン・ヴォイト （Ray Donovan）
• コリー・ストル （ハウス・オブ・カード 野望の階段）
• ロブ・ロウ （恋するリベラーチェ）
• ジョシュ・チャールズ （グッド・ワイフ）

コリー・ストルはビン・ディーゼルをちょっと間延びさせたような風貌。第1シリーズの最後彼は死んでしまいます。やっては行けない事をやってしまい、自分を律せない役を説得力ある演技でやっています。

後記：　全作品お手上げ。

セシル・B・デミル賞

• ウディ・アレン
後記：　911も一段落ついたと思ってか欠席。名誉賞が来るという事は引退勧告かとも思いますが、今年も作品を作ってノミネートされ、主演女優賞を取っています。