映画のページ
2014年3月29日 - 30日
個々の記事を見た順に並べ替えました。
会場に行く途中日本の大使館を通るのですが、そこに植えられている桜が最高。満開でした。植えられた頃はしょぼかったのですが、すばらしく変身していました。
2日目が終わり、合計10本見ました。初日に見た香港映画が、時間が経つにつれ「いいなあ」と思えて来て、徐々にランクを上げ、私の頭の中では1位に上昇。他の人と話してみると同じ減少が仲間の間でも起きていました。
初日の5本では、最初の2本が駄作。2本目には良い要素も入っているのですが、筋が軽過ぎて、せっかくの良い要素がもったいない感じでした。
3本目からはパワーアップ。香港製幽霊映画はユニークでした。これまでに見た香港映画の要素を幽霊映画に上手く取り入れ、筋だけ聞いたらアホらしいはずの作品を輝く、楽しめる作品に変えていました。
4本目はこの日のハイライト。主催者側から見ると本来のハイライトは5本目のつもりだったのかも知れませんが、4本目の方が質が高かったです。
5本目はスター動員、壮大な構想、映画ではたまにしか無い景色、結構お金をかけたように見えるセットなど、色々取り揃えてありましたが、コンセプトが幼児的で、4本目を見てしまうと子供っぽく見えます。元ネタが漫画なので幼児的でいいはずですが、その漫画の構想が有名な思想を元にしているので、それにしてはちょっと幼児性を強調し過ぎた感じがします。
追加が出ました。本数を数えるとこれで全部だと思います。まだ全部のトレイラーを見る時間が無いので、取り敢えずは客観的な情報中心です。
春のファンタの作品の発表が始まりました。今年は多分10本ぐらいでしょう。
最初に紹介された3作には「予定外の展開」と「(カルト、人喰い人種などの)集団」という特徴が見られます。
普段はあまり映画を見に行ったりDVDを借りたりする時間が無いのですが、春のファンタには参加します。
ウルフクリーク 猟奇殺人谷の続編。第1作は実話で、バックパッカー誘拐監禁事件。ウルフクリークは事件のあったオーストラリアの地名。オーストラリアで行方不明になる人は結構多いそうで、砂漠地帯もあるので発見もそう簡単ではなさそう。この種の話はあまり好きでないんです、私は。
後記: 初日最低作品。スリラーの要素は無く、ホラー、スプラッターとして紹介すべき。
2作目にも実話を元にして・・・という説明があり、最後に関係者の1人がどういう事になったかも書いてあります。オープン・ウォーターの地上版のような話で、そこへスピールバーグの激突などをパクっています。実話がこうだったのだとすれば新味が無くても仕方ないですが、話はつまらなく、主人公が苦しむ様子が延々続くだけ。前半3分の1はドイツ人バックパッカーで、その次が英語を話すジープに乗った青年。どちらもつまらない事から悪人主人公に目をつけられ、痛い目に遭うというだけの話です。拷問のための拷問ソウより工夫が足りない。
主演のミック・テイラー役俳優は10年前からの続投。髪型を変えると、普通の感じのおっさん。なので恐怖を出しているのは俳優としての実力。見ている最中は気づきませんでしたが、そうなるとこの作品も力のある俳優をしょ〜もない作品で無駄遣いしたことに。
ドイツ人出演場面の俳優は主催者の話だとドイツ人でないとか。とにかく大根役者で、「ドイツ語の台詞の部分は英語の字幕を見て理解するように(大笑)」と主催者から事前にアドバイスがあったほど。
アベックが夜田舎をドライブ中道に迷う。暗い上に見知らぬ人間が登場・・・。
後記: 筋はほとんどウルフクリーク 猟奇殺人谷のまま。オープン・ウォーター(この記事は2作目)の森版。ただ最低と言わないのは、アリス・エングラートの木目の細かい演技と、ロケーションの選択の良さがあったから。
それから英国の女性の立場が良く見えます。大陸側に住んでいると英国で女性解放運動があまり盛んでない事をつい忘れてしまいますが、多少英国に知り合いがいた事もあって、「そう言えば」と改めて思い出しました。30年経ってもあまり変わっていないんですね。
監督デビュー。制作清水崇。
生活に困窮した元俳優が化け物屋敷の噂のあるアパートに越して来る。確かに変な人たちが暮らしている・・・。あまり怖くないアクション・ホラー。
後記: 原題は漢字2文字なのですが、変換できません。
私は呪怨やリングといった作品は好きではないのですが、その清水が制作に参加し、清水色を出しています。香港色と非常によく溶け込んで、香港のチープな雰囲気と清水の比較的決めの細かい幽霊の登場場面とすばらしくマッチしています。場を変えたことで清水の良さがとてもいい形になっています。
香港映画で高級アパートやセレブっぽく暮らしている人が出て来ると、現実味が無いのですが、安食堂でご飯を食べている人など大多数の人の暮らしを表現すると気持がすっと映画に入って行きます。そこへ清水の超常現象が加わり、香港人独特ののんびりした話し方とユーモアが加わるので、見ていてとても楽しいです。もう1度見ようかな。
筋は・・・ほんの一瞬の話。落ちぶれて夢も希望も失ったかつてのスターが自殺を図るために安アパートに引っ越して来ます。到着早々自殺をし、死にいたる一瞬前に頭を過ぎる色々な出来事。そこにたっぷり幽霊と、悪霊のハンター、母親と消えた子供、変死した老人、さらにその前に起きた死亡事件がからみ、その複雑なこと。でもただ座って物語を見ていればいいのです。
映像に美的な工夫もあり、チープな場面が多いのに、セレブのアパートを見るよりずっと中身が濃いです。
後々記: この作品を今年の春のファンタ1位に選んだ人が見終わってからじわじわと増えていました。
ゾンビが蔓延する世界で予防策が発見される。その予防薬の原料が品薄になって来る・・・。主人公はゾンビ治療の病院で働いている。
後記: ゾンビ物としては 28日後・・・など過去の作品を一ひねりした作品がちょくちょく出ていますが、またひねった作品が出ました。ゾンビ事件自体ではなく、視点に工夫があります。
この日の後半3本はジャンルが違うので比べにくく、優劣もつけにくいです。私の気持としては上に書いた幽霊物がお気に入りになりましが、The Returned も良く考えて書かれた脚本をうまく映像化してあり、プロットも映画化するに値するなあと感じます。俳優の実力はそこそこですが、みすぼらしいことは無く、役柄に合った人を連れて来ています。
1台の列車に階級世界を作り出し、下層階級が上層階級に対して革命を起こそうと企てる設定。予告を見ると支配層は嫌味雪國列車に描かれちょっと図式的過ぎる印象だが、今の世界を描こうとしたのなら一応当を得ているのかも。元ネタはジャン・マーク・ロシェットの漫画。なので制作にフランスが噛んでいる。
映画祭全体を通してSFが少ないので楽しみにしています。
後記: フランスと韓国は近年漫画部門で緊密な関係になっており、それで生まれた企画なのかと思います。大スターも呼んで来ており、大掛かりなお金をかけたらしいセット、すばらしい雪景色など、力を入れてあり、主催者もこの日のハイライトと考えていたようです。
私の目にはしかしその前の3作目、4作目よりは劣るように見えます。韓国は北側に大きな大陸が開け広々とした世界観を持ってもおかしくなく、日本は周囲を海に囲まれ閉ざされた土地に住んでいるので閉ざされた世界観を持ってもおかしくないのですが、実際には韓国の方が閉鎖的になっているような印象を受けます。日本は限られた現実の空間から世界観では大きく広がる事が多々あり、江戸時代までの文化にそれが色濃く残っています。住んでいる場所が狭いと頭の中では大きな世界が広がるのかなと思います。
雪國列車は世界の動植物が全て雪の下に埋もれて絶滅、生き残っている僅かな人間は何十両連結かの列車の中に住み、居住スペースはそこだけ。上層階級の人は恵まれているとは言え、車外に出ることはできず、いつも同じ人物と顔を合わせているだけ。下層階級はぎゅうぎゅう詰めで、戦時中のドイツをイメージさせる作りになっています。
筋はプリズナーをパクっていて、欧米では有名な思想も取り入れてあります。壮大な構想を持って作ったストーリーだろうという事は想像できるのですが、表現が非常に幼児的になってしまい、漫画にしては思想が強過ぎ、思想書を読むつもりで見ると子供っぽさが強過ぎ、こけています。
有名な出演者もいつもどおりの演技で、新味がありませんでした。豪快だと思えるのは列車が走るシーン。そこは見ごたえがあります。
制作にイーライ・ロス(エリ・ロート?)が加わっています。
失踪した女性を探す話。彼女は宗教団体に関わり、メンバーが集団で暮らす場所に行き着く。1人の教祖の下に200人ほどの人が集まって共同生活をしており、失踪した女性もそこにいる。出演者は教団のメンバー役がほとんど。
後記: 2日目は1日目の後半に比べ作品の力強さが減り、ポップコーン映画や、昔懐かしいヌーベルバーグに回帰したような作品になりましたが、その中でテーマの扱いに力が感じられたのがこの作品。
比較的若い人でも見ているうちに1978年にガイアナで起きた、そっくりな事件の報道を思い出す人がいました。私は良く覚えています。
【本当の事件】
発生地: ガイアナ
教祖: ジム・ジョーンズ
宗教: キリスト教に共産主義を混ぜたような平等世界を目指すカルト集団
死者: 教唆、強制による900人強の自殺者、襲撃による死亡者若干
経営: 強制か自主的な奉仕による入植
大量死亡のきっかけ: ジョーンズたちが米国からガイアナに集団移住した後噂が立ち、脱会信者の身内から話を聞いた民主党国会議員の大掛かりな調査が入る。何かのはずみで信者側が議員団を襲撃。教祖が「もはやこれまで」と決め、信者に毒を飲ませた。教祖は毒ではなく、自殺他殺不明の銃弾で死亡。
《サクラメント》は宗教用語で、抽象的、雲をつかむような話ではなく、《現世の具体的な神のご利益》のこと。作品の内容をつかんだタイトルです。
ジョーンズ事件を知る者としては、現場の植物と気候がやや違う、当時はインターネット報道、携帯電話が無かったという程度で、他はほとんど報道の通りに描かれています。話の中心になる女性の良く状況を理解した上での演技が怖いです。
トレイラーを見る限り愉快な印象です。
強盗が逃亡中に変な村に逃げ込み、とんでもない目に遭うらしいです。元々はモロッコが目的地だったのに、アフリカに渡る前にバスク地方に迷い込み、そこに魔女が住んでいたものだからさあ大変。
後記: 後半の前半がマトリックスの2作目以降のようになってしまい、大勢の人間が集まってわ〜わ〜言っているだけ。そこを何とかすれば他は大爆笑成功作品。
処刑山 デッド・スノウの続編。前作では8人の医学生が雪の山でナチの財宝と、亡霊ゾンビに出くわすという話。
ハチャメチャな前作の続きなので、第1作をおさらいしておく方がいいですが、現在はその暇がありません。
後記: 何匹目かの泥鰌を狙って続編を作る事が増えた昨今。ファンタでもいくつか番号付きの作品が出ています。私はほとんどに反対。この作品はそれ自体続編で、ショーダウンを見ると3も作る予定らしいです。いいかげんにネタの使いまわしは止めてもらいたいです。
相変わらずナチを悪者にしておけば世の中が丸く収まるようで、どうしてナチのような政党が当時あれほど支持を受けたのかという視点が隠れていますが、最近は悪いのはナチだけではなくというわけで、一緒にノーテンキなアメリカも馬鹿にして笑い飛ばす作品が出ます。そんな感じで、ナチでも笑い、アメリカでも笑うコンセプトの作品。全体はつまらないですが、所々笑えるギャグまじり。1人散々な目に遭うゾンビがいて、そのランニング・ギャグは成功しています。全体を見ると、続編を作る必要があったのか疑問。
歴史学教授のはずのアダムは、俳優で映画の中で演技をしている自分と瓜二つの人物を発見。興味を引かれて俳優について調べ始める。その俳優を知るに至り、その俳優の生活の中に無理に入って行く。無論そんな事をして問題が起きないはずはなく・・・。
後記: タイトルが良く分かりませんでした。別に敵ではない感じなので。
今時なぜヌーベルバーグなのと思いますが、ベルモンド全盛時代のヌーベルバーグの香りのする作品です。なので説明不足、論理の詰めが甘い、後は自分で勝手に解釈しろ、理解できない君はインテリじゃないってな感じ。
学生に飽きられるつまらない授業をしている教授の役がギレンホールのはずなのですが、何と彼の講義の分かり易いこと。私は映画の展開は止めて、あのまま彼の授業を聞いている方が良かったと思いました。
双子物としては哲学性は薄いですがファンタに出た Duplicity の方が良かったです
あまり言うとネタバレになるので控えますが、アガサ・クリスティーのアクロイド殺し的な掟破りっぽいイメージ操作があり観客は騙されます。
この間チリ地震で死んでしまったはずのロートが監督する作品。チリ地震の時の監督ロペスは脚本に加わっています。もう1人アモエードを加えた同じ3人組で仕事をしているようです。出演者にも両作品に参加している人(赤)がいます。
80年代に作られた人食い人種系のホラーに触発された作品のようです。
ニューヨークの学生活動家が絶滅しかかっている人食い部族を救おうとアマゾンへ出かけて行きます。ところがよりによって飛行機が墜落し、その部族の人質になってしまうという話。人を救おうと外国へ乗り込んで来る活動家の運命やいかに。
後記: 溜飲晴らし作戦用の作品。内容にはある程度納得します。アメリカで人権問題などに取り組んでいる人は大きく分けると2つ。1つはノーテンキで、机上の空論を唱える理想主義者と、それに触発された若い学生。相変わらずフォークソングを歌い、プラカードを掲げれば世界が動くと思い込んでいます。もう1つは世界の現実をきっちり理解し、利用する勢力を知り、そちらと協調するんだとはっきり意識して動いている人たち。理想主義に幻滅しそちらに動いて行く人や、もう傭兵のように疑問を持たなくなってしまった人が混ざり、トップには映画で極悪人として表現されるような人たちがいます。
グリーン・インフェルノはノーテンキ派の側に立ちながら、こういった構図を分かり易く説明し、後で揉めないようにショーダウンは人権派で落ち着かせています。
英語圏ではイーライ・ロスとして知られるエリ・ロートはテーマ選択、表現で、慧眼。俳優としてもイケメンでいいですが、プロデューサー、脚本家、監督としても、寝とぼけていないぞという所を発揮しています。1人で全部できますが、忙しい時は主演などを他の人に譲っているようです。彼に良く似た印象のイケメンの若者が主演集団の1人。
作品としては若い女子がギャーギャー叫び、男がワーワー叫び、いかにもという現地人を登場させる安っぽい作りですが、物語には筋が1本通っています。ロートの頭の隅に伝説的な1932年の作品フリークスがあったのかなと思わせる作品です。
ちなみにこの作品の参考になる事件としてマイケル・ロックフェラー失踪事件があります。元々民俗学専攻の学生で、死亡時期はハーバード大学を卒業したばかり。ちょうどグリーン・インフェルノに出て来る若い学生ぐらいの年です。ニューギニアの民族研究中に行方不明になり、首狩族に食べられたという噂が残っています。
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