|
|
|
|
|
イルミナシオン
blanc
|
3
ナミはぼんやりと横に座るサンジの様子を見た。
朝から顔色が悪い。
立っているのがやっとのような感じだ。
「ミスター・プリンス」
新しくバロックワークスに入った青鼻のトナカイが呼ばれた。
サンジ君大丈夫なのかしら・・・・。
しばらくサンジも呼ばれて別室にこもっていたが、
やがてトナカイだけが出てきた。
「今日は、お前が行け」
そう言われて、ナミとともに仕事に出る。
「ねえ、チョッパーどういうことなの?」
チョッパーというのはトナカイの本名だ。
ナミはチョッパーが「ヒルルクの桜製造機」の行方を探していることを知っていた。
そしてサンジが「ゼフの航海日誌」のためにバロックワークスにいることを。
彼等はお互いの目ざすものが同じようなものであることを知っていた。
彼等の間では本名で話もしていた。
彼等のかけがえのない宝。
おそらくクロコダイルのちょっとした楽しみのために集められた物。
だけど、それらがどこにあるのか分からない。
消去法でいくつかの倉庫や宝置き場は調べた。
クロコダイルが顧みもしないような物のために、
わたしたちは必死になってる。
クロコダイルはあちこちから集めた宝を置くところを「ガラクタ置き場」
と呼んでいる。
許せない。
気分次第で「ガラクタ置き場」の物は誰かに与えられる。
そんな「ガラクタ置き場」は数多くあって調べ切れない。
どこかにそのデータがあるはず。
レインディナーズからのコンピュータでは見つからなかった。
クロコダイルの部屋のデスクの上のコンピュータ。
あれが見れたら・・・・。
サンジ君には体をはって、
前の護衛を引きつけてもらった。
だけど、ミス・オールサンデーは日をあけずに、
新しい護衛をつけた。
ロロノア・ゾロ。
彼は隙がない。
彼の目を盗んでコンピュータを触れない。
だけど、敵ではない。
ゾロの目的がわかったら、
協力することができる。
チョッパーは体を震わせた。
ここは嫌なところだ。
「うん、カギ爪での傷があった。
それを綺麗になおせって・・・」
ナミはきつい瞳でチョッパーを見た。
「サンジは何も言わないから・・・。
でもクロコダイルが言った。
誰かに触れさせたらまたつけるって・・・」
恐ろしい。
ナミは瞳を閉じた。
ゾロの前任者はサンジの誘惑にのって、抱きついただけだ。
それだけで消された。
日々強くなる執着。
一番それに怯えているのはサンジ。
クロコダイルに体を差し出せと言ったナミ。
情報を得るために自分ならそうすると言った。
「ナミさんが体はるより、
オレがはった方がいい」
そう言って笑ったサンジ。
同罪だ。
いやもっと重い。
私達はもう消せない罪を犯した。
なんてふざけたコードネーム。
プリンスとプリンセス。
嘘に固められた生活。
だけどもう引き返せない。