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イルミナシオン
bleu
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12
「ゾロ、オレはお前と海賊王になりたい」
ゾロはルフィの言葉を思いだす。
夢と、
信念と。
生のすべて。
それを捨てるには馬鹿馬鹿しい相手。
分かっている。
なのに熱病のようにアホコックを求めてしまう。
人はオレを魔獣と言う。
そういう呼び名はくだらねえと思っていた。
だがサンジに対しては、
確かにそうかもしれねえ。
この感情は何だ。
憎しみとか。
執着とか。
自らの手で壊してしまいたい程の渇望。
ルフィを選ぶか、
サンジを選ぶか。
サンジを選ぶということは身の破滅だ。
夢も捨て、
剣も捨てて色欲に狂う。
ならば、ルフィを選ぶしかない。
サンジが側にいる限り、
自分は大剣豪にはなれない。
それは予感。
狂ったように淫らな世界に浸り、
限りない渇望に身を焦がす。
度を過ぎた性交。
ヤるたびに激しさを増し、
虜になるのはオレ。
あいつを壊すたびに、
自分も壊れる。
あいつを性欲まみれにするたびに、
自分も性欲まみれになっている。
あいつは淫乱だ。
自分ではそれを制止できない。
だが抱くものもそれを制止できない。
ひきずられ、
ともに闇に落ちる。
今までやったこともないような、
痴態をあいつに要求し、
強要し、
情欲にまみれる。
どす黒い欲望。
破壊だとか、
蹂躙だとか、
征服だとか、
冷血で冷酷な男になっていくのがわかる。
サンジに関してだけ、
そうなる。
理性がとんで、
獣性だけが露になる。
これがオレの本能か。
これがオレの本性か。
ケダモノだ。
ケダモノ。
体をめちゃめちゃにするケダモノ。
だがいくらヤっても満足しねえのは何故だ。
より激しくなり、
より支配的になり、
より威圧的になり、
命令どおりに動かないと、
サンジが壊れるほど抱く。
何がそうさせる。
度を越した性欲と執着。
そうだ執着だ、これは。
ほろびていったクロコダイル。
あの男は知っていたのか。
ただの抱き人形がただの抱き人形じゃなかったことを。
捨てられない、
かけがえのないものだったってことを。
最後に気がついたか?
ついてねえよな。
あいつはアホだから、
あんまりアホだから、
体だけじゃ分からない。
知りたくなかった答え。
ただの性欲処理の相手だとずっと思っていたのに。
振りまわされているのはオレか。
生き方や夢まで根こそぎ、
サンジに持っていかれた。
たかだか肉欲だと思っていたのに。
オレとルフィは協定を結んだ。
サンジがヤりたいと言わないと手を出せない。
毎夜、ヤリ狂ってたのに、
いきなりなくなると体が火照る。
だが、ざらざらした気分はおさまらない。
体のなかでドロドロした欲望が叫ぶ。
サンジを犯せと。
いつものようにヤれと。
同時にそれをしてはいけないという禁止の声もする。
それは理想とか、
夢とか、
ヒトとしての良心てやつかもしれねえ。
それがサンジに手をだすなと警告する。
両方の感情に責めさいなまれる。
サンジを抱いたら、
いつか欲望の炎で身を焼き焦がす。
確実な予感。
危険だ。
危険。
オレにはまだ剣がある。
大丈夫だ。
流されるわけにはいかねえ。
色欲の世界になんざ。
オレは大剣豪になる。
あのエロコックとどちらを選ぶ?
おかしいじゃねえか。
何ですぐに答えがでねえ。
オレにひざまずき、
脚をひろげながらも、
いつも怯えた目をしているサンジ。
そんなヤツと、
オレの夢がどうして比較できるんだ。
あいつが笑ってるとムカつくんだ。
オレには絶対に笑わねえから。
ルフィはソファで眠るサンジを見つけた。
ゾロが手を引き、
ルフィも手を引いたので、
サンジはとまどっていた。
ゾロのガマン。
オレのガマン。
だってお前、セックス依存症だよな。
逃避の手段。
だから、ヤリすぎで壊してなんてやらない。
一番に壊れるのは誰か。
オレ、それともゾロ?
ルフィは眠りつづけるサンジにそっと口付けた。
オレのコック。
大切な大切な、
たった一人のコック。
オレが決めた。
ゾロには悪いけど、
お前はオレがもらう。
「愛されたい」
「愛したい」
しししし。
本当は誰だっていいんだ、お前は。
だから、オレを好きになれ。
好きになって、それから自分を好きになれ。
オレの大切なコック。
それはオレの沢山の宝の一つ。
この船に乗ってるやつはみんなオレの宝だ。
だけど、
どうしてだか、
お前には分からない。
どんなに自分が大切かが。
いくらシても伝わらない体。
いくら言っても伝わらない心。
他に方法がないから、
ゾロはヒドクしてたんだ。
体は喜ぶから。
だけど心はもらえない。
どうやって、伝えたらいいのかな。
オレもゾロも。
だけどやっぱりサンジはゾロにはやれない。
だって、オレのモノになるんだから。
だから、オレはいつも言う。
スキだって。
アイシテルって。
絶対にうなずかないサンジ。
ほんとに強情なんだから。
きっと体が柔らかすぎるからだ。
誰にでも答える体。
誰にも答えない心。
両方もらってはじめてサンジを手に入れたことになるんだ。
開かれすぎた体と反して閉ざされた心。
だけどオレはそれを手に入れる。
サンジも、
ゾロも、
オレのもんだ。
オレが決めた。
大切なオレの仲間。
オレはゾロがいないとダメだ。
オレはサンジがいないとダメだ。
ナミがいないとダメだ。
ウソップがいないとダメだ。
チョッパーがいないとダメだ。
みんな、
みんな、
オレの夢の中にいるから。
だけど、アイシテルのはサンジなんだけど。
ぎゅってして、
エロいことしたいのはサンジだけなんだけど。
伝わる。
伝える。
心は伝わるんだ。
心を伝えるんだ。
だから、オレは言う。
アイシテルって。
伝わるまで、伝える。