★sand storm★
ZORO ★SANJI
★2★
「なあ、いつまで続くと思う?」
サンジは砂嵐の音を聞いていると嫌な気分になった。
昔からそうだった。
嵐は、嫌いだ。
いやな思い出と重なる。
この嫌な音を聞いていたくない。
ごうごうと吹き荒れる風。
岩に打ちつける砂音。
聞きたくねえ。
「さあな」
ゾロはそっけなく答える。
天の事は天に。
地の事は地に。
すべてはなるようになる。
あがいても無駄な時はただじっとしていればいい。
「てめえ、ナミさんやビビちゃんのことが心配じゃねえのかよ」
相変わらずサンジは返事をするのもバカらしいような事を言う。
・・・アホか。
ゾロは眉をつりあげた。
いや、間違い無くアホだ。
なのになんでかオレはコイツが気になる。
コイツを見てるとムカつく。
コイツを見てるとイライラする。
だからついケンカしちまう。
雪山で女たちに引きずられていたサンジ。
「勝手なことする」
そう言って怒っていたルフィ。
「ナミさんのためなら命も惜しくありません」
そう言ってナミに笑いかけたサンジ。
冗談じゃねえ。
あの女のために命を捨てるだと?
ふざけるな。
てめえの命は、勝手に好きにさせねえ。
サンジが怪我をしたという雪山。
どうしてオレはそこにいなかったのか。
それは、後悔。
このオレが。
最悪だ。
いくら考えても答えは一つ。
「ケガなどさせたくなかった」
サンジの肌にうっすらと残る傷跡。
オレはそれを見るたび胸がチリチリする。
オレはもっと強くなる。
このアホに怪我などさせねえくらいに。
返事をしないゾロにサンジも再び沈黙を続け、
あたりには闇と嵐の音だけが存在する。
サンジはぼんやりと砂音を聞いていた。
このまま・・・。
出られなかったら、
どうなる?
そういえば、
雪山で雪に埋もれたこともあったな。
「なあ、意識を失う前に思う相手って大切なヤツのことかな」
どうしてこんなことを言っているのか。
全部、嵐のせいだ。
「あの時、ルフィのことを思って、
ナミさんのことを思って、
クソジジイのことを思って・・・・。
なのに最後にてめえのツラが浮かんできた」
ゾロは大きく目を見開いた。
あの時って、
雪山でのことか。
何だって?
あのオーナーでなく、
オレを思い浮かべた?
コイツ自分の言ってること、分かってんのか?
「どうしてくれンだよ。
・・・責任とれよ」
サンジはぼそりとつぶやいた。
そりゃあ、オレはゾロとヤってるよ。
ていうかヤられてんだけど。
まっすぐに前を見て進む剣士。
脇目もふらず目標に向かう。
・・・オレにはそんな生き方は出来ねえ。
バカばかしい。
だけど、惹かれる。
オレの持たぬ意志の強さに。
オレのもたぬ激しさに。
てめえの足を切ってでも戦おうとするなんて。
迷いもせずに、そういうことをする。
ひたすらに高き目標を追いつづける。
オレはコイツが欲しい。
心の隙間をうめつくせるほどに。
体の隙間をうめつくせるほどに。