How_to_Making つくる楽しさ



何にもまして、ものをつくる楽しさ、できる喜びは大きいものです。

形になってあらわれ、音として聞こえるものをつくるということは、

人にとって、もっとも重要なセンサーでもある視覚と聴覚を中心に展開することのできる創造活動なのです。

つくるための道具類や工具・冶具、備品の中にもいろいろなものがあります。

 ・製作上、絶対に不可欠なもの

・なくてもできるがあれば便利というもの

・市販されていて簡単に入手できるもの

・輸入品以外には手にはいらないもの、などなど。

買えるものは買えばすみますが、売っていないものはつくらなければなりません。

わたしのように独学派のものにとっては、マニュアル本と必要にせまられた製作意思だけで、

あれば便利という冶具までつくってきました。

その中から、自画自賛、すぐれもののいくつかを別ページの詳細をふくめ紹介します。

このページでは、以下のようなヴァイオリン製作の簡単な手順と、それに必要な工具・冶具などを紹介いたします。

◇ テンプレート(型紙)づくりと内形製作
◇  表板・裏板の接ぎ合わせ、型抜き、削り
◇  胴(側板)の部分の製作、内型、ブロック成形
◇  パフリング(象嵌)などの化粧
◇ ネックの成形と取り付け
◇ 筆者の工房(作業所)の様子

製作過程・手づくり冶具・工具

どんなモデルの何をつくるか、まずは、図面の選定から
   
図面から、内形用のテンプレート(右)と外形の切り抜き用のテンプレート(左)は必ずつくらなければなりません。
型紙として、しっかりしたボール紙でもいいでしょうが筆者は板厚2.5mmのいちばん薄いベニヤでつくっています。
プロは、真鍮板などの金属板ででつくる人もいますが、細かな細工がしにくいし、所詮、当方、趣味家。
つくりやすく精度が出しやすい、安いベニヤが最適、それで愛用しています。塩ビやアクリル樹脂の薄板でもいいでしょう。
内形は、筆者が最初に憶えたようなドイツ式の、リブ幅(標準のヴァイオリンで30mm)で板厚をとった、21+9mmベニヤの組合せと、イタリア式の18〜24mmのベニヤを使ったつくり方とがあります。
これは内形ですから、内形用のテンプレートを使ってつくります。
また、これはドイツ式の、21と9mmベニヤです。
   
基本の基になるものですから、丁寧に、正確につくります。 厚いベニヤでも、直角は正確にチェックして、ペーパーややすりを使って修正します。ご覧のような、100均で売っている金定規でも・・・、
   
木とアクリル板を使ってつくったお手製の直角定規でも可。 悪い部分は、コクソのようなウッドパテを使ったりして修正します。
   
リブ材(側板)を貼り付ける際、ニカワがついて接着してしまわないように、関係ない箇所にはロウを溶かして塗っておきます。 こちらは、空き缶でつくったアルコールランプ専用の、ごく小型のコンロで溶かし、塗っているところ。上の鍋は頂き物の水羊羹の空き缶です。
ご覧のように、しっかり塗ってあると、色が沈んで見えています。
 
ブロックを切り出して貼り付けますが、あとの成形を考え、木目の目方向や、正確に削りやすい目方向になるように考えて木取りします。
右から、ネックブロック、左右のコーナー・ブロック、そして左側のエンドブロック。
 
  ここでも、写真のように、コーナー部の先端を尖らせるようにしてテンプレートに合わせ、しっかりと成形します。
裏板のライニングを貼るために、ここで9mmベニヤを外します。  
表板、裏板ともはぎ合わせる 型に合わせ、曲線に削ってい
 
   

1. 二枚に割った板を、背中合わせにしっかり ニカワで貼り付けます。

はぎ合わせたものに、図面から起こした「型紙」を乗せて鉛筆で線を引き、所定のサイズより1〜2ミリ程度大きく、 ミシンノコで荒切りします。

写真、右側のアルミシャーシーにステンレスバットが、わたしのお手製 「電気ニカワ湯煎器」 です。 サーモ内蔵で、ちょうどよくニカワが溶ける60〜65度になるようになっています。

2.裏板、表板とも、写真のように図面からつくった「曲線定規」を使って、丸ノミ、丸カンナを使い、 正しい曲線になるように少しずつ削りだしていきます。

荒削りができたら、
スクレーパーでていねいに仕上げていきます。

板の厚さは、音色や耐久性にかかわる、非常に重要な要素となります。

キャリパー という厚さの測定器で測りながら、所定の厚さになるまで、少しずつ削って仕上げます。

C部の角など6カ所に、ブロックを貼る 型通りに整形する
   

3.一方では、しっかりとした「内型」や「押さえ型」をつくります。必要なコーナーには、 『ブロック』と呼ばれている四角い小さな木片を、内型の所定の場所に貼りつけます。

4.それぞれのブロックを型に合わせ、上下は緩やかなカーブ、C部の出隅はとがらせ、整形します。 水平面に対して、正しく直角になるように、正確に削ります。


側板はアイロンで曲げる 側板をていねいに貼る
   

5.側板(リブともいう)は、厚さ1.3ミリ、幅32ミリほどの薄いカエデの板です。

それを水で濡らしてから、手製の
ベンディング・アイロンで必要な曲線に曲げます。

ただし、濡らしたリブを曲げる際、アルミのビール缶を開いてつくった35ミリ幅の帯板を後ろにあてがって、 蒸気を逃がさないようにして、蒸らすようするとかたいカエデでもきれいに曲げられます。

最初から所定のCの形をした専門用具が市販品としてあることを後で知りましたが、 このアイロンに慣れた今では欲しいと思わないほど具合良く曲げられます。

C型をした専門用具では、ヴァイオリン用はヴァイオリンしか使えませんが、この手製アイロンはただの丸ですから、 あてがい方や曲げる強さで、分数系のヴァイオリンからビオラまで、自由な曲線がとれます。

6.曲げた側板を押さえ型を使って、ブロック部分だけにニカワで貼りつけます。 この押さえにも側板にキズを付けないためにコルクシートを貼ってあります。

合わせ目を整形し、ぐるっと一周 側板に2×8ミリのライニングを貼る
   

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7.9.C部の先端がすっきりなるように整形しながら、ぐるっと一周まわります。

8.側板の1.3ミリに、厚さ2ミリの接着補助材「ライニング 」を貼ります。 押さえは、少しバネが強く、ゴムパッキングのついた良質な洗濯バサミを流用しました。

このライニングの目的は、1.3ミリの側板に直接、裏板、表板を貼っても耐久性がないので、 しっかり貼り付けるための補助部材になります。つまり、1.3ミリに2ミリのライニングが加わるため、 接着断面が3.3ミリになり、丈夫に貼れるわけです。

軽くするため、側板の振動を少しでも多く助けるために、ライニングは接着する方を底辺とした高さ8ミリの三角になるよう、 不要部分を削り取ります。
つまり、接着する方の面は2ミリですが、反対の内側は0ミリ近くになるわけです。

 ライニングを貼った状態  側板が完成、裏板を貼れる
   

9.ライニングは、ブロックにあたるところにほぞ穴を彫り、 そのほぞ穴に差し込むように貼りつけます。

10. 内型をすっかり外して、ブロックの余分なところを削り取り、これに裏板から貼っていきます。

 裏板から貼り、表板も貼る パフリングの溝掘り
   

11.表板側にもライニングを貼り、表板を貼ると共鳴箱本体ができます。
この
クランプ(締め具)も独特な構造ですが、簡単につくれます。

12.周囲には、幅1.3ミリ、深さ1.2ミリのパフリング(象嵌)の溝を、 パフリング・カッターと1ミリの彫刻刀、 で掘っていきます。

パフリング ネックの仕上げ 
 

 

13.黒、白、黒と細くサンドイッチになっているパフリング材をはめ込み、ニカワ付けする。

14.ニカワが乾く間に、ネックや指板なども平行してつくっていきます。

15.ボディに、ネックを差し込むホゾを刻み、ネックに指板を仮付けして駒からの高さを見ながら、 そのほぞ穴を微調整します。それが決まりますと、ニカワでしっかり取り付けます。

16.これで、ほぼボディが完成し、ニス仕上げに入ります。

指板など、つくりかたの詳細はこちら

物置の一区画を改造してつくった、『工房』と呼ぶにはちょっと抵抗があるわたしの作業所。


宮崎 駿原作のアニメ・『耳をすませば』を見て、あんな風な工房なら狭いところでも使いやすそう、と思ってつくったものです。

宮崎氏は、こうした細かなところにも「こだわり」があり、実際、考証にも本当の工房(確か「茶位工房」)に足を運んでおられるようで、

巻末の字幕タイトルにも工房名が紹介されていました。


正面の棚の枠は、ちょうどベニヤ一枚分、よく使う主要な工具はこれでほぼ収納できました。

左から、'99年kの暮れまでに仕上がった小型のビオラ、その兄弟木でつくったヴァイオリンなどなど・・。

中央右の小さいのは、孫のためにつくった1/4スケール。

仕上げのニスも、そのときの気分で配合を変え、色も変えています。(Nov.1999)

ほとんど変わりばえはしませんが、ホーム・ウィンドウの写真が現在(Feb.2003)のものです。

画像が多く重いこと、そして、かなり圧縮しましたのでややピンぼけに見えたり、 上の写真のように、
ノイズでニスむらのような見え方になってしまいました点、ご了解下さい。

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