cello_repair2_1
Repair_index

バラバラのチェロ修復 PartU-1

Feb.2007

HOME
Next

正月も、まだ5日のこと、県外のOさんという方から、次のようなメールが入りました。

◇ 依頼を受けた経緯とその内容 ⇒

◇ ページ構成

P.1 依頼を受けた経緯とその内容
 
P.2 まずは現状の把握

P.3 どういう手順ですすめたらベターか

P.4 気になるところ、悪いところを修整
 
P.5 音を左右するバスバー
 
P.6 裏板の、穴埋めなどの修整

P.7 いよいよ裏板も接着

P.8 フィッティング・完成

 

古い楽器が好きで、知人より譲り受けた壊れた古いチェロを一台所有しており、 修理していただける人をネットで検索していたところ、最初に、このホームページを見つけました。

修理の過程において、楽器と弾く人に対する愛情が溢れ出ていて、とても感動いたしました。

一度、私のチェロも診察して修復もしていただけませんか。

私のチェロの持ち主は既に他界しており、生前、学生時代に弾いていて、その、40年間も蔵に入ったままの楽器を私に譲ってくれました。

原型はとどめていますが、板は剥がれている箇所が多いです。
高級品ではありませんが、昔の様式をみていると何故か心が安らぎ、音が出る状態で手元に置いておきたいのです。

演奏活動に使う事は考えておりません。

このままほっておくとバラバラになりそうで、せめて楽器として持ち運びが出来る程度にしておいてあげたいのです。

(右・原文通り : のように、実名のサインがしてあるとても真面目なメールでした。)

「高級品ではない」ということ、「持ち運びができる程度」で「遊びの範囲で使えるように」ということでしたので、 私が趣味家であり、プロではないことをお断りし、『私で差し支えなければ喜んで・・・』と、お受けするつもりになりました。
そこで、とりあえず写真からでも判定したかったので、以下4枚のデジカメ写真を添付して送っていただきました。

写真:最初の4枚は、O氏から送られてきたほぼオリジナル。3枚目以降は、送られた元のものから必要な部分をアップにしたり、トリミングしたもの。

2便にわたって送られてきた写真の、最初の一枚がこれ。
部品だけをみると、まさにバラバラ。でも、ハガレは下半分だけに見えます。
表板、中央の接ぎ目も半分は剥がれ、裏板が後ろに白っぽく見えることから、リブも、結構、剥がれているようです。
裏板の中央も半分以上は剥がれており、表板の内側にはノミ跡がくっきり残っているのが見られます。

全体の下半分だけのハガレですから、前回のものとは違い、多分、Oさんがお住まいの地域は、 以前、集中豪雨で河川が氾濫したことがあり、そうした何かの災害で、下半分だけが水に浸かり剥がれただろうと思います。
下だけが、リブだけではなくライニングまでがきれいに剥がれているからです。

Oさんとは、メールで細かな説明する際、お互いに誤解のないよう、部材などの呼称を統一しておいた方がいいと考え、 いただいた写真に、このように写っている部品の呼び名をつけてお送りしました。

これらの写真から、あきらかに欠落しているところもうかがえました。
エンドピン側のリブの一部には、三角の欠損があったり・・・、エンドピンの穴も、なぜか左右で違っていたり???

裏板の下には、小さな三角の穴も空いています。

Oさんは、コントラバスを演奏する方で、このチェロにはケースはありません。

そこで、まず、当方のソフト・キャンバスケースをお送りし、その中に収納して送ってもらうことにしました。

その結果、荷詰めの際に、さらにハガレは進んだと伺いましたが・・・・。

見てみるのが楽しみでした。

宅配便って、ほんとうに便利になりましたね。

Repair_index HOME Next