< 在留特別許可とは >
在留特別許可:
在留特別許可とは、本来なら退去強制されるべき者に対して、退去強制手続の最終段階で法務大臣が特別な事情を考慮し、自由裁量に基づいて与える特例措置です。従って、在留関連手続のように許可を申請するものではありません。
在留特別許可は、不法残留者などが帰国することなく正規に在留を続けることを認める唯一のものとなっています。
退去強制手続の流れ(在留特別許可までの手続):
退去強制手続は、次のとおり4つの段階に分かれており、在留特別許可は、最終段階(第4段階)になって初めて与えられることになっています。
1)第1段階(入国警備官の違反審査)
退去強制事由に該当する外国人を摘発した場合や外国人が自ら 入国管理局に出頭した場合は、まず入国警備官が違反事実の調査 を行い、容疑が固まると収容令書により容疑者を収容します。
在留特別許可を希望するのであれば、自ら出頭する方が賢明で す。この場合、原則として収容されず、取り調べの後、在宅での 違反調査が行われます。また、取り調べの際に希望を申し出て、 資料の提出や書面で許可の必要性、婚姻関係や生活の安定性、 素行の善良性などを立証する必要があります。
万一収容された場合には、次のように仮放免の申請をします。
− 仮放免は、本人・代理人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹の いずれかが申請し、保証人及び保証金が必要となります。
− 保証金は、上限300万円と規定されていますが、運用上 10万円から30万円程度となっており、在留特別許可を 取得した後に返還してもらえます。
− 許可要件として、相当強い理由があることや逃亡などの恐 れがないことなどがあります。また、居住地の指定、移動 範囲の制限、一定期間毎の出頭などの条件が付きます。
− 退去強制令書が出された後では、仮放免はほとんど許可さ れません。
入国警備官には容疑者を放免(釈放)する権限がないので、容 疑者収容後48時間以内に入国審査官に引き渡すことになって います。
2)第2段階(入国審査官の違反審査)
入国審査官は、容疑者の引き渡しを受けて、退去強制事由に該 当するか否かを審査します。
収容中に行った仮放免の申請は、引き渡し後すぐに許可される ことがあります。この段階で許可されない場合は、再度申請しま す。また、自ら出頭し在宅での違反調査となった場合は、特段の 事情がない限り、形式的に収容して同時に仮放免が与えられてい ます。
違反審査の結果とそれに続く手続は、次のとおりです。
− 退去強制事由に該当しないと認定された場合には、直ちに 放免されます。
− 退去強制事由に該当すると認定され、容疑者が認定に従う (異議なし)場合には、直ちに退去強制令書が発布され、 送還されます。
− 退去強制事由に該当すると認定されたが、容疑者が認定に 従わない(異議あり)場合には、認定日より3日以内に、 次の段階である特別審理官による口頭審理を請求でき、認 定の際に渡される口頭審理請求の書面に署名して提出しま す。 在留特別許可を希望する場合には、必ず口頭審理を請求しなけ ればなりません。
3)第3段階(特別審理官による口頭審理)
特別審理官は、口頭審理の請求を受けて、入国審査官の違反認 定に誤りがないかを審理します(退去強制事由に該当するか否か の第2審となります)。
口頭審理の結果とそれに続く手続は、次のとおりです。
− 認定に誤りありと判定された場合には、直ちに放免されま す。
− 認定に誤りなしと判定され、容疑者が判定に従う(異議な し)場合には、直ちに退去強制令書が発布され、送還されま す。
− 認定に誤りなしと判定されたが、容疑者が認定に従わない (異議あり)場合には、判定日より3日以内に、次の段階 である法務大臣による裁決を請求できます。判定の際に 異議申出の書面を渡されますので署名して提出します。 在留特別許可を希望する場合には、必ず法務大臣の裁決を請求 しなければなりません。
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