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自称:音楽愛好家
 
第1章 アルデンテ
1999/10/19 (火) 12:09

昨晩、先輩と一緒に夕食をするためにイタリアンレストランに入った。

「オランダは食べ物がまずいんだよね。」と彼はつぶやいていたが、僕は、こちらのサンドイッチや中華料理など特にまずいと思っていなかったので、「へぇ、そうですかねぇ。」などという調子で、彼の言葉を軽く受け流していた。

僕はトマトソースのボンゴレを注文した。

フォッカッチャ、そしてサラダが出てきたので、それをほおばりながら話に夢中だった。フォッカッチャについてきたアオカビのチーズがなかなかおいしく、先輩が言っていた「オランダは食べ物がまずいんだよね。」という言葉をすっかり忘れていた。

「さぁ、どうぞ。」といってウエイターが持ってきたボンゴレを一口食べてすぐに思った。

「ま、ま、まずい・・・。」

ソースの出来は悪くない。しかし、麺が最悪なのだ。とにかく柔らか過ぎ。おそらくこれでもかというくらいに茹でてあって、ほとんどコシが無い。彼に聞くと、オランダのスパゲッティはどこの店でも麺が柔らか過ぎると言う。

閉口しながらも、それを口に入れながら思った。
「オランダ人はイタリアに行ったことが無いのかなぁ。」
きっと、そんなことは無いと思うが、昔から茹でるのが好きな文化なんだろうと思うほかなかった。

同じヨーロッパでもイタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー といったカトリック文化圏は食べ物がおいしい。それにひきかえ、オランダ、ドイツ、イギリス、などのプロテスタントの国は総じて食べ物がまずいと いう。

プロテスタントが「清貧」を美徳にしていたため、食文化が発達しなかったという説もあるが、それにしても同じEU圏内で、こんなに食べ物の差があるなんて、ヨーロッパ恐るべしである。

つづく

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