ロッテルダムにもマクドナルドやケンタッキー、バーガーキングなんていうファーストフード店はある。
アルデンテなイタリア料理よりマシなので2〜3回位訪れたことがあるのだが、見慣れたメニューのため非常に注文しやすい。
メニューはオランダ語で書かれているけど写真が載っているので、黒人のおねーちゃんに「これ一つ」てな具合でゼスチャーをする。そして僕は続けて「I will eat in. And Coke please」と彼女に告げた。
彼女は無愛想に奥の厨房に注文を叫んだ後、睨みながら振り返って僕に聞いた。
「マヨネーズorケチャップ?」
一瞬、何のことか聞き取れず、たじろいだ。
「何か変なことを言ったんだろうか?」
勇気を出して「Pardon?」と切り出してみたが、彼女はあきれた顔で「マヨネーズorケチャップ?」とぶっきらぼうに言うだけだった。
「マヨネーズ?ケチャップ?何でそんなことを聞いてくるんだ?」とまどいながらも、とりあえず「Yeah, ケチャップ・・・。」と言うと、小さなケチャップの袋を出し、トレーにポンと置いた。
「Want more?」
「Ahh.... Yeah....」
頼んだバーガーセットとケチャップの袋が2つ載ったトレーを横目に見ながら勘定を済ませるとメニューに書かれている値段よりちょっと高い。何だか彼女が怖かったので、とりあえずお釣りを貰ってそのまま席についた。
「値段を間違えたんじゃないのかぁ」と思いながらレシートを見ると、しっかりケチャップの値段が取られている。
「なんじゃ、そりゃ。がめついなぁ」
大した値段じゃなかったけど、「こんな小さなケチャップくらいタダにしろよな」と思いながらハンバーガーをほおばっていると、隣のオランダ人がフライドポテトにマヨネーズをベタベタつけながら食っている。
「ん、なんか変だぞ?」
少し離れた家族連れもマヨネーズをベタベタつけながら笑っている。フライドポテトにケチャップをつけてるのは僕だけだ。
その時ようやく気づいた。「オランダ人はマヨネーズが好きなんだ・・・。」
ロッテルダムのハンバーガー屋だけではなかった。アムステルダムのレストランでも、ハーグのお店でもそうだった。「マヨネーズorケチャップ?」フライドポテトを頼むと、店員はみなこう聞いてくる。
フライドポテトにマヨネーズをつけることくらいそんなに大したことじゃないんだけど、「フライドポテトにはケチャップ」と思ってた僕には軽いカルチャーショックだった。
もしかしたらアメリカ人がフライドポテトにケチャップをつけるのが好きなだけで、他のヨーロッパの国でもフライドポテトにマヨネーズをつけているのだろうか。気になるところである。今度、出張に行ったときに調べてみよう。
つづく
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