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自称:音楽愛好家
 
第8章 旅の仕方
1999/11/20 (土) 0:55

道行く車、駐車してる車、たいてい後ろのバンパーの下にU字型の突起を見つけることができる。

オランダに来た当初、「ワイヤーで車を引っ張るために付いてるのかな?」と思っていたが、どうやら違うらしい。そのフックにキャンピングカーや荷車、ボートなどを引っ掛けて移動するのだ。実際、高速道路を走ってるとそんな車をバンバン見かける。

ボートなんかを引っ掛けてるのは日本でも見かけるが、キャンピングカーを引っ掛けながら走ってるのはそうそうお目にかからない。

オランダ人いわく「宿泊にかかるお金は節約して、遊ぶ方にお金をまわすんだ。」 「そんでもってキャンピングカーの部分は普段使わないから、駐車場に置いておけば経済的だろ」と得意げである。

なんともオランダ人らしい考え方だ。。。

オランダ人は基本的に節約家で、合理的で、そして余計な所にはお金を払わない。他のヨーロッパ人には「どケチ」と思われているらしいが、いっこうに気にする気配はない。オランダ人にとっては、目的地に着いて観光したり遊んだりすることが旅行であり、宿泊することや移動することは旅行の手段でしかないようだ。

フランス人はそんなオランダ人のみみっちいスタイルが大嫌いなようだ。オランダ人がキャンピングカーを引っ張りながら走ってるのを見ると、露骨にイヤな顔をする。「そこまでしてケチんなくていいじゃない。」と思ってるらしい。

そういうフランス人はどうするかというと、車一杯に荷物を詰め込んで安い宿に長期滞在をきめこむらしい。宿が多少汚くても、車で寝るような事は好まない。フランス人にとって宿泊することは旅行の一部だが、移動することは手段でしかないようだ。

一方、アメリカ人は普段使う車の他に、大きなキャンピングカーも買ってしまい、それで旅をする。

特にアメリカの田舎に行くと、土地も余ってるし、キャンピングカー1台を置いておくスペースなんかいくらでもあるから、キャンピングカー所有率が高い。そういえばフォードやダッジのキャンピングカーはあるが、プジョーやルノーのキャンピングカーは聞いたことがない。

移動する時、ちっちゃな車を使うのはアメリカ人の性に会わないのだろう。おそらくアメリカ人は旅をするプロセス自体を楽しむんだと思う。

ミネソタ州にホームステイしていた時も、キャンピングカーで3回旅行をした。その時の家族会議で「どこそこに行って、これをしよう!」ではなく、「ここに行ってみよう!」という事しか決めなかった。

キャンピングカーの方が安上がりに旅行はできるが、それ以上に旅行する道程をいかに楽しく過ごせるかで、乗用車より快適な移動ツールとして選ばれてるのだろう。アメリカ人にとって移動する時間とプロセスが旅行であり、現地で何をしたかは付随するもののように思える。

全ての人がそうではないだろう。でも、あながちハズレでもないと思う。
どの民族が旅行上手かは分からない。
ただ、旅のスタイル一つにも国民性が出てる気がする。
日本人はどうなんだ?

今日は金曜日。また一台、キャンピングカーを引っ張る車が通っていく。
彼らはきっと週末旅行の途中に違いない・・・。

つづく

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