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自称:音楽愛好家
 
第12章 Tea
1999/12/08 (水) 19:57

買い物ついでに、商店街の喫茶店に入って昼食を取った。ごく普通の喫茶店。
買い物を終えた主婦達や、老人、学生達が楽しげに会話しながら食事をしている。

「あーあ、一人で来て失敗したなぁ」と思いながらも、本日の定食をウエイターに頼んだ。もちろん、オランダでは席に着くなりお冷やを持ってきてくれることは滅多にない。

「お飲み物は何にしましょうか?」とウエイターは続けて尋ねた。
飲み物なしで食事をするのはつらいので、たいていミネラルウォーターやビールなどを注文するのだが、仕事があるのでビールはやめにして、メニューを眺めた。

「あ、紅茶があるや」と思い、「Thee alstublieft (テイ アッシュビーフ、Tea Pleaseの意)」と覚えたたてのオランダ語で注文をした。どうやら通じたようで、ちょっと満足。タバコに火をつけて人間観察。

数分すると、ウエイターが葉巻でも入ってそうな木の箱を持ってこちらに向かってくる。「はて?」と思いながら見ていると、彼はおもむろにその箱を開け、「どれにいたしましょうか?」と聞く。

「はぁ?」と思いながら中を見ると、ティー・パックが一杯詰まってる。
ダージリン、アップル、アッサム・・・と様々な種類が綺麗に並べてある。
何だか良く分からなかったがダージリン・ティーを選ぶと、彼はお湯を入れた透明なコップ(というかティーカップ)を続けて持ってきた。

「どうぞ、ごゆっくり」と言って、ティーパックとコップを追いてったまま彼は立ち去った。どうやら自分でパックをあけて、お湯に浸せということらしい。

「ふーん。」と思いながら、斜め後ろの二人の主婦を見ると、彼女達もヒタヒタとやっている。すごいサービスである。食器屋さんには茶漉しとか売ってるのになぁ。

コーヒーはわざわざドリップするのに、紅茶はティーパックなのかぁ?

勘定が終わって、レシートをみると、紅茶の値段はコーヒーの値段と変わらなかった。なんか腑に落ちなかったが、どうやらコーヒーの国オランダではこれが当たり前らしい。

紅茶党の人にはちょっと気の毒だ。

つづく

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