*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【社会教育あれこれ?】

 社会教育に携わっていると,あれやこれやと考えなければいけないことが多くて,迷ってばかりになります。そんなとき,ちょっと立ち止まって,あれやこれやを一つずつ整理してみることも大切です。ただその作業を自分一人でするよりも,たくさんの識者の意見を聞くことも得策です。

「社会教育」3月号:No.753 誌上パネルディスカッション「平成20年度の社会教育・生涯学習は進展したのか停滞したのか」より

○中教審答申にも出されていた「個人の要望に基づく生涯学習」という考え方と「社会の要請に基づく社会教育」,このイメージが大事。
○学校教育と社会教育を対比的に捉え,学校外の教育活動を社会教育とするという考え方は止めた方がいい。(学校教育中心の考え方?)
○ものづくり社会から人づくり社会への社会教育時代になった。
○生涯学習は社会教育と学校教育とを合わせて,なおかつ個人として学習する活動で,誰か教育する側がいなくても自分でやるということも含めて生涯学習であり,ある学習機会を提供されるのであれば,それはどこでもよいのです。社会教育は教育する側,教育する主体があり,その意思というものがある。
○いろいろな機会が提供されているので,もはや教育委員会だけが社会教育的な活動をやっているわけではない。それをどうコーディネートしていくか,ネットワークしていくか。
○価値観が多様化し拡散しているとき,「みんな」が消えてしまった今の時代には,相手の持っているイメージと自分が持っているイメージをすり合わせて「こういうものですよ」と前提とした上で議論なり話をしていかないと伝わらない。
○違う意見を言いながら一つの意見に共有化されていけば良いものが出てくるのですが,すれ違っていて全く対話が成立しなかったら,新しいものは出てこない。
○趣味の講座も,人が集まり関係性を作る講座と捉えると社会教育となる。
○事業が人づくりや地域づくりにつながっているかチェックをせよ。
○学校支援(学校教育活動では?)を通して地域づくりをする。目的と手段をはっきりと押さえること。
○人が住んでいるだけという「関係性を持たない社会」をつくってきた。人との関係性とかはうっとうしい,個人が「個」として,もっと極端には「孤」としていられることの安楽感の方が先行した。地域づくりというと良く聞こえるけれど,じつは「うっとうしい関係性」をつくり出すこと。

 いくつかのご意見を拾い上げましたが,そこには拾い上げる者の尺度があります。共鳴できる意見を拾ってしまいます。残っている意見にも大事なものがあるはずですので,ご自分で拾い直して下さい。
 常日頃考えている社会教育観を,別の言葉で表現してもらっているという感想です。誌上意見と類似点があるということが励みになると同時に,進むべき方向に間違いがないという確信を得た思いです。

(2009年04月20日)