*****《ある町の社会教育委員のメモ》*****

【社会教育関係団体等連絡会議とは?】

 わが町では,社会教育関係団体等連絡会議という会議を年2回のペースで開いています。平成20年度の夏季会議の概要については第129号で述べておきました。今年度も開催に向けて準備のために社会教育委員の会議で協議をしました。委員の交代があり,過去の体験がないために,連絡会議それ自体の意味の議論からはじまったのですが,議論の誘導や情報の提供を控えて,どこに向かうのか静観しておきました。どういう意味づけが現れてくるか,期待したからです。
 連絡会議は器です。社会教育関係団体の代表者が一堂に会する機会を持ち,まちづくりという目的に各団体による活動がどのような位置づけになるのかを明らかにすることが目的です。その手段としてのつながる場を設定することが会議開催の意図です。その器に何を盛り込めるか,参加している団体指導者が決めればいいのです。
 ところで,主催者が何の目的で招集したかということを明らかにすることが通常の会議の進め方でしょう。出席者が何のために集められたか分からないでは,協議に参加できません。そのために,主催者である委員の会は協議のテーマを提示する必要があります。そのテーマについて,各委員に提案を求めました。その協議が進む中で,出席する代表者の立場について,委員の意見が二つに分かれていきました。一つは,まちづくりに関わる社会教育関係団体であるという立場を意識するもの,もう一つは,社会教育関係団体の独自の立場を意識するものでした。それぞれの団体の代表者は,社会教育の一翼を担っているとするか,単に団体代表でしかないという捉え方の違いです。それぞれの立場から協議テーマを提案すると,前者ではまちづくりに関するテーマが,後者では団体活動の活性化に関するテーマが出てきます。
 さらに,会議のあり方に対する懸念が出てきました。テーマについて協議をした結果がどう生かされているかということです。協議から何らかの課題が明らかになったとして,その課題を解決するフォローはどうなっているかということです。単に課題を持ち出すだけでは,会議の意味がないのではという指摘です。ごく妥当な懸念です。そのことを意識した上で,協議テーマを設定する必要があります。
 もう一度委員の会議がありますので,どのような収束を迎えるか楽しみです。

 因みに,これまでの会議の顛末を概観しておきます。
 19年度の夏の会議では,○○○の子どもに求める力について,ワークショップを開き,具体的な力を思いつく限り提案していただきました。それらの力を社会教育委員の会議で整理・分類し,子育ち12基礎力の提言としてまとめることができました。この提言については,広報で啓発し,またパンフレットとして保護者家庭に配布しています。この会議では,○○○の子どもに対する各団体指導者の方々の願いを伺うことができました。まちの未来に対する協議への参加です。

 20年夏の会議では,「社会教育関係団体としての活動について 〜○○町を住んでよかった町にするために〜」というテーマで協議をしていただきました。三つの分散会で出てきた意見等は,以下の通りです。

(1)各団体で,人づくり,健康づくり,まちづくりを実施している。活動が個別であり,他団体との交流不足となっているので,このような機会が期待される。青年団・空と海の会・子育連の間で行った共同活動は成功であった。子育連で育てているジュニアリーダーの活動機会が少なく,また中高校生になると町とつながらないようだ。大人の苦労が子どもに伝わっていないので,知り合うことが必要であり,先ずあいさつから始めよう。老人クラブの活動が子どもたちに分かりにくい。

(2)各団体では,美化活動,あいさつ運動,健康づくりなどを行っている。まちについては,例えば,あいさつが返ってこない,結びつきが弱いことなどを感じる。各団体との縦・横のつながりが少ない。地域の人と子どもたちの交流が大事。協議の場を持ってほしいし,一貫した指導を求めたい。

(3)PTAでは4校交流を進めている。環境問題については猫が問題になる。団体間の交流が芽生えてきた。子どもの教育サポートの場で,子どもがお客さんになっていないか? リーダーの育成を学校だけではなく社会教育で実施して欲しい。活動については,人が集まらない,縦のつながりがない,地域の声かけが少ないといった悩みがある。子どもの悪い所じゃなくてよい所を見る。ヒト・モノ・コトを大切にすることを再確認したい。

 課題を抜き出すと,
 ・他団体との交流の機会(→関係団体連絡会議)
 ・人が集まらない(→成人教育・重点目標)
 ・ジュニアリーダーの活動機会(→成人教育・青年:準備項目)
 ・大人から子どもへの縦のつながりがない(→青少年:具体的実践)
 ・子どものお客さん化(→公民館・通学合宿)
 ・地域の声かけが少ない・地域の人と子どもの交流(→成人教育:文化伝承)
 ・結びつきが弱い(→まちづくりのテーマ)
 ・あいさつが返らない(→あいさつ運動)
 ・一貫した指導(→子ども12指針,青少年:学校地域の連携)
などとなります。各項の括弧付記は,社会教育計画書などに課題解決として織り込まれているポイントです。

 社会教育関係団体等連絡会議における協議の続きは,21年度のまちの社会教育計画書に陰に陽に組み込まれているのです。連絡会議として閉じた顛末とするのではなく,社会教育計画という各社会教育関係団体に関わる指針の作成につながっていく開かれた会議になっています。

 ここで,念のために,各団体が掲げている目的をまとめておきます。
○青年団
  本団は,団員相互の連絡提携を図り専念の教養を高め,自主的,民主的に活動し,
  明るい郷土社会建設に寄与することを目的とする。
○空と海の会
  本会は,よりよい社会人となるための教養を高め,会員相互の親睦を深めるとともに,
  郷土発展に寄与することを目的とする。
○子ども会育成会連絡協議会
  この会は,町内各区子ども会を育成し,相互連絡調整とその充実発展を図り,
  心身とも健全な子どもの育成を図ることを目的とする。
○小・中学校PTA連絡協議会
  本会は,小・中学校教育並びに社会教育の振興を図ることを目的とする。
○婦人会
  本会は,会員相互の親和を図り,教養を高め,自主的民主的な活動を通して,
  明るい郷土づくりに寄与することを目的とする。
○体育協会
  この協会は,○○町の社会体育の普及振興を図り,町民の体位向上とスポーツ精神を
  養うとともに,町民相互の融和と青少年健全育成を図ることを目的とする。
○文化協会
  本会は,芸術・文化団体の連携と交流並びに会員相互の親睦を深めることにより,
  町民の豊かな心とうるおいのある生活の醸成をはかり,芸術・文化の普及向上に
  寄与することを目的とする。

 各団体とも,会員のみならず,町民や郷土かすやへの貢献を目的としています。その目的の達成を可能にする機会を創ることが求められています。それは連携であり,協働であり,まちの社会教育への関与でしょう。各団体の特色を生かすことによって,まちづくりに貢献する方策を各団体の当事者が考察する場となることが,この連絡会議の位置づけとなります。

(2009年07月16日)