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【PTA総会での祝辞7?】
第53号,第72号,第86号,第111号,,第125号,第138号の「PTA総会での祝辞」からさらに1年刻みが重なりました。学校評議員の役を受けているので現役員との馴染みがあるせいでしょうか,元会長という縁を連ねて,PTA総会にご招待を受け,祝辞を述べる機会をいただいています。度重なるご依頼になっていますが,そこそこに無難な内容と評価していただいているのでしょう。
という成り行きで,平成22年度の総会でも祝辞を述べることになりました。過去の祝辞を紐解いて,重なりのないことに注意して,短いお話を組み上げます。
おはようございます。本日,ここにPTA総会が開催されますことをお祝い申し上げます。○○小学校の子どもたちは,これまで,先生方の熱心なご指導により,学び甲斐,働き甲斐,過ごし甲斐という重点目標のもとで健やかに育っています。例えば,掃除をする姿が素晴らしいと,他校の先生方が視察に来られるということもお聞きして,大変うれしく思っています。
一方,PTAでは,21年度に,環境の整備,子どもの権利の理解,家庭・地域教育の向上を努力目標に掲げて活動を進められて来られました。PTAが発信している運営委員会だよりを拝見していると,「我が家の家庭学習」が掲載されております。宿題をきちんとさせている姿が伺えますが,少し気になることがありました。そのことをお話ししておきたいと思います。
宿題は学校の学習の延長でしかありません。家庭でなければできない家庭学習とは言いがたいものです。では,家庭では何をすればいいのでしょう。学習において最も大事なことは,なにという疑問です。その後に,なぜ,どうしてという疑問が続いていきます。疑問を持つことは,知りたいという欲求を育て,学ぶ意欲を高めます。知る喜び,学ぶ喜びは,疑問を持つという下ごしらえによって作り上げることができます。しなさいと言われてする学びからは,分かったという感動がありません。
算数の勉強で,少数を習います。半分は0.5となります。このときの点.を小数点といいます。分数を習います。0.5=1/2です。このときの/は何と言うのでしょう? 疑問が生まれました。学校で先生に聞いてみようと楽しみが生まれます。答えは括線といいます。先ず疑問を持って,次に答えが分かると,そうなんだと少しうれしくなりませんか。
括弧という言葉がありますが,弧で括るということです。孤は曲がっていますから,括弧は周りから内側を守るような機能を発揮します。括線とは線で括ることです。分子の1と分母の2,二つの違った意味の数字を線で括っているのです。真っ直ぐな線ですから,どちらにも肩入れせずに,両方を大切にしています。線は線引きするというように違ったものを区分けするという機能があります。しかし同時に,結びつけるという機能も持っています。4月29日を,4/29と表記するような場合です。
総会資料をお持ちですが,この資料に使っている紙の厚さはどれくらいだろうと考えてみませんか? 小学生が持っている物差しを使って,測ることはできないでしょうか? そんなことは無理と諦めますか? 皆が持っている資料を集めて,例えば1cmになるまで重ねていきます。その枚数で割れば,1枚の紙の厚さが計算できます。そうかと解決できたらうれしくなりますね。割り算ができると役に立ちます。家庭での暮らしの中には,たくさんの疑問が埋まっています。それをお子さんといっしょに掘り起こしてください。
皆さんの活動が,今日の総会を節目として,新たなステージに展開されることをお祈りして,祝辞を終わります。ありがとうございました。
子どもの疑問に答えられたら,一流の学者になれると言われることがあります。子どもが疑問を持つことを支えること,身近にある疑問を見つける力を育てることが,家庭における学習のポイントであると知って欲しいと思っています。疑問があるから学びが楽しくなる,その導きが考える力を育てることになると知って貰えたら,幸いなのですが・・・。
(2010年04月24日)
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