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(12.7.16)
名古屋高裁の不当決定は断じて許されません
事件発生から51年に及ぶ奥西勝さんの真実の叫びが、またもや非情にも拒否されました。私たち支援者・国民の10万名に及ぶ思いが無惨にも踏みにじられました。
5月25日、名古屋高等裁判所刑事第2部(下山保男裁判長)は、本事件について再審の扉を開けることを頑なに拒否しました。この決定は、「疑わしきは被告人 (再審請求人)の利益に」という「刑事裁判の鉄則」を逸脱し、司法の真実に対する謙虚さや公正かつ厳正になされるべきはずの「国民の裁判を受ける権利」を 踏みにじりました。
私たちは、奥西さんの無実を確信し、長年にわたり「生きて返せ」と運動を展開してきた者として、満身の怒りに震えながら、今回の不当決定を厳しく糾弾し、断固抗議するものです。
いますぐ再審無罪を!!
奥西さんを死刑台から取り戻す4・5集会のご案内
(11.1.11)
4月5日は再審開始決定の日であり、再審開始決定を取り消した名古屋高裁の決定を最高裁が差戻しした日でもあります。奥西さんにとっても忘れられないこの日、共に集い、再審の扉を開くために支援の輪をさらに広げて願いを実現させる集会にしましょう!皆さまのお越しを心よりお待ちしています!
チラシダウンロード
最高裁が差戻し決定
(10.4.9)
最高裁判所第三小法廷、堀籠幸男裁判長は、名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求特別抗告審で、再審開始を取り消した名古屋高裁刑事第2部の決定を破棄し、名古屋高裁に差し戻す決定を行いました。
最高裁決定は、第7次再審請求で提出された新証拠1〜5のうち、その四つを証拠から排除しましたが、毒物に関する新証拠については、名古屋高裁決定が「科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、推論過程に誤りがある疑いがある」と指摘し、審理をやり直すよう命じました。
奥西勝さんが84歳の高齢であり、第1審が無罪、第7次再審請求審で一度は再審開始を命じたことを前提に考えれば、最高裁特別抗告審で、弁護側は既に新証拠を出しており、検察側は2年6ヶ月の間何もせず、説得力ある反論をしていないのであり、「再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りる」という1975年の白鳥決定の見地からすれば、差戻しによってさらに審理を継続させることなく、自判して、再審開始決定を確定させるべきであったと思います。
しかし、最高裁が審理を名古屋高裁に差し戻したことは、再審開始への大きな第1歩であることは間違いありません。
名古屋高裁での2度目の再審開始に向けて、改めて奮闘する決意ですので、引き続き皆さんのご支援をお願い致します。
[ 最高裁決定全文 ]
★4.22(木)最高裁差し戻し決定報告集会のご案内
いま、“ムーブメント”に! 11月20日支援集会報告
(09.12.4)
いま最高裁で重要な段階を迎えている名張事件と布川事件で再審開始を勝ちとろうと11月20日、市ヶ谷のエデュカス東京で支援集会(奥西勝さんを守る東京の会と再審・えん罪事件全国連絡会の共催)が開かれ、160人の方に参加していただき、成功しました。
集会は、まず、再審開始を勝ちとった足利事件の菅家利和さんが登壇。菅家さんは突然家に警察官が来て「お前がやったろう」と言われ、いくら「やっていない」と言っても聞いてくれず、疲れてウソの「自白」をしてしまったなど、みずからの体験を語り、自分の事件とともに名張、布川事件の再審勝利を呼びかけました。
つづいてジャーナリストの江川紹子さんが講演をおこないました。江川さんは、名張事件との出会いや取材についての話をしたあと、無罪判決と有罪判決の「読みやすさ」についてふれました。無罪判決・再審開始決定は読みやすく、有罪判決・再審棄却決定は読みにくい・わかりにくい、その理由は、無罪判決は論理立っていて筋が通っているが、逆に有罪判決は論理をねじ曲げた上に、「~ではないとはいえない」などの二重否定や、理屈をこね回していると指摘し、その理由について「すんなり有罪判決が書けないから」だと述べ、そういう場合は「疑わしきは被告人の利益に」の原則で判断すべきと述べました。
また江川さんは、奥西さんが無実だと腹に落ちた理由の一つとして、みずからに不利な点をとことん主張した点(ニッカリンTを買った店が、事件に関わるのを嫌い「奥西さんには売っていない」と警察に話したことについて、奥西さんはあくまでその店で買ったと主張したなど)や、死刑判決をうけた後に死刑廃止を求める人たちからの誘いをうけた奥西さんが、自分は死刑になりたくないから無罪を主張しているのではなく、無実だから無罪を主張しているとその申し出を断ったことなどを紹介しました。最後に江川さんは、「奥西さんにいまかけたい言葉は?」との質問に、「無実を信じてみんなが待っているよ、と声をかけたい」と述べました。
つづいて両事件の弁護団から報告。名張事件からは伊藤和子弁護士が最高裁をめぐるたたかいについて報告。伊藤弁護士は、これまで9回の補充書を最高裁に提出し、裁判官を助ける調査官と6回面会し、パワーポイントを使ってなぜ異議審決定が間違っているかをわかりやすく説明したことを紹介。また、最高裁が7月に最高検に異例の答弁書を求めたこと、10月23日に出された最高検の答弁書は200ページに及ぶもので、その多くを毒物鑑定問題に割いていること、そのなかで出ている大学准教授の意見は異議審当時で照会されていたもので、今頃になって時間稼ぎをしている検察の姿勢を批判。弁護団としては、しっかりとした反論を出して、なんとして再審開始を勝ちとりたい、そのためにもいっそうの支援をお願いしたいと訴えました。
事件当事者のあいさつでは、名張事件では、獄中の奥西さんに変わり、特別面会人の稲生昌三さんが愛知から駆けつけ、奥西さんの様子を紹介しました。今年全国を支援に訴え歩いた稲生さんが、各地で「40年間も死刑判決を受け、耐え続けた奥西さんはすごい人ですね」と言われる、しかし「菅家さんと釣りバカ日誌の三国連太郎さんを混ぜた感じ」の普通の人と紹介し、なぜ40年間たたかってこられたのか、その理由を 毒殺の汚名を晴らしたい、 子どもや孫に会いたい、 普通の生活に戻りたい、このような思いが奥西さんの心の中にはあるのではないかと述べました。その後、布川事件の杉山卓男さんと桜井昌司さんが、最高裁で勝利する決意を語りました。
集会も終了間際、漫画家のやくみつるさんが番組の収録を終え駆けつけてくれました。やくさんは、「いまムーブメント(動き)にしないといけない」、死刑再審4事件など相次いで再審が開かれた時期には「ムーブメント」があったが、いま足利事件もあり、「ムーブメント」を起こしたいと述べ、「少しでも力になりたい。頑張りましょう」と述べました。
集会は最後に、最高裁に宛てた、名張事件と布川事件の再審開始を求める決議を採択し、終了しました。
●この日の集会のために奥西勝さんからお手紙が届きました 手紙(pdf)
やくみつるさん招き集会 100人超で成功
3月14日ホワイトデー集会
(09.3.15)
テレビのコメンテーターとしても活躍中の漫画家・やくみつるさんを招いて、名張毒ぶどう酒事件東京守る会が支援集会を3月14日、東京で開き、100人を超える参加者で成功しました。
インタビューに応えたやくさんは、江川紹子さんの著書『6人目の犠牲者―名張毒ブドウ酒殺人事件』で事件を知ったといいます。事件直後の関係者の証言が変遷し、どこに落ちていたかわからないビンの王冠など、あいまいな証拠を根拠に死刑判決が出されていることに、冤罪であると感じたといいます。
やくさんは、「奥西さんを社会に引き戻して温泉のひとつも入れてあげたい。他人事と受け流すべきではない」と述べたあと、「黙して裁判官にすべてをゆだねることが危険であることは、その後の歴史も証明している。我々は黙することなく声をあげていきたい」と結び、会場から大きな拍手が送られました。
最後に、参加者全員でやくさんをかこみ記念写真を撮影しました。
再審開始、取消し (2006.12.26)
2006年12月26日午前10時、名古屋高等裁判所刑事第2部は、名張毒ぶどう酒事件異議申立審について、検察側の異議申立を認め、再審開始を取消しました。
決定(要旨)
2005年4月5日に下された第7次再審請求審での再審開始決定(名古屋高等裁判所刑事第1部)は、証拠を子細に検討し、犯行に使われた毒物が奥西勝さんの持っていた農薬ではない可能性が高く、自白は信用できないと認定するなど、これまでの多くの証拠を客観的に分析し、それに基づいた判断をしました。
そしてさらに、今回の異議申立審においても鑑定証人の尋問を行い、この尋問の中でも奥西勝さんの無実が一層明らかになったにもかかわらず、不当にも再審開始を認めなかったもので、でたらめな裁判としか言いようがありません。
裁判所の権威を失墜させるに等しい決定を下した名古屋高裁刑事第2部に対して、私たちは厳重に抗議します。
最高裁での再審開始に向けて一層の支援を!
奥西勝さんは名古屋拘置所から、ずっと無実を叫び続けています。今回の不当決定に対し、奥西勝さんと弁護団は直ちに特別抗告し、再審開始を最高裁で争うことを表明しています。
最高裁での再審開始と、奥西勝さんの1日も早い釈放に向けて、皆さんの一層のご支援をお願い致します。
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