2000年3月
31(金)
どーもくんのぬいぐるみが欲しいです。フレンチトースト食べたいです。TSUTAYAの500円分チケット、普通のレシートとともに捨ててしまった。ああしかし、やる気というものがまだ復活しない。
船木亨『メルロ=ポンティ入門』(ちくま新書)
恩田陸『月の裏側』(幻冬舎)
天藤真『炎の背景』(創元推理文庫)
を買って、『メルロ=ポンティ入門』を読んでいる。とても平易な文章でいいんだけど、メルロ=ポンティ自体を読んだほうが面白いかも、とも思う。
N先生(手術してくれた先生)は今日、8時間の手術があるって言ってたなあ。どうやら日記で人気の先生ですが、癌研に8年いて、私が病気になった器官では権威らしいです、あれでも。といっても「今後、私、半年に一回の検診で大丈夫なんですか?」と言った時に、「もちろん何かおかしなことがあったら来なくちゃだけど、ボクが癌で死なせることはないしね!」と豪語できるくらい、実際、数百人の命を救ってるらしい。最初はそんなこと全然知らないまま、ただ家の近くの病院に行っただけで、「この先生大丈夫かしらん」なんて思ってたんでした。だって、年齢不詳だし(近くで見ると若くって、遠くで見ると老けて見える。普通逆じゃないですか?)、「キューピー+虫+文珍」みたいな顔立ちだし、妙に軽いし。今じゃ会うのが楽しみです(楽しみだからって、病気になって頻繁に会うはめになってもいけないけど)。入院生活の楽しみは、食事時間と先生との会話だったでしたよ、ほんとに。
喜んでるんだからいいじゃないですか〜。
30(木)
先生のところへお見舞いに行った。起き上がってTVを見ていられるくらい元気だったけど、「結局もう、手術ができないくらい手の施しようがないんだって」なんて言われちゃって、返答に困る。あとは死ぬのを待つだけなんて言わないで欲しい。私が見舞いに来たことをかなり喜んでいるようなのが、せつないです。今は本当は勉強する意欲が全然なくなってしまっている。けど、先生が「身体の様子を見ながら、できる頃になったら連絡ちょうだい」と言うので、「じゃ、当初言ってた、10日から」と答えると、「そう。あなたに教えるのは楽しみだからはりが出るよ」なんてまたそういう発言をする。やだなあ。
日記とは別にワンポイントメモみたいのがあるので最後にそれを。
・白目が青い(コンタクト生活じゃなく、眼鏡になり、睡眠時間も長かったため、白目が健康的になったという意味)。
・ひまだからといって、物事が進むわけではない。気分の問題。
・散歩は景色が変わるから楽しい。
・世のだんな連は優しい(観察の結果)。
・明るい色のタオルを持っていると嬉しい(ことあるごとに使うもの。エルモの赤とか、見ていると元気になれる感じ)。
・横になっていると、さいけつもわりと平気っていうか、逃げられないから覚悟が決まる(一度も騒がなかったのです)。
・寝つきが悪いほうなのかもしれない。枕が変わると眠れないのか、知らない人と一緒には眠れないのか。
・1人になれる時間がとても必要だと思った。だから屋上を歩き回った。
ちなみに、カフェオレ飲み比べは5種類で行いました。好きなものから順番に並べるとこんな。
・WONDA(ASAHI)……豆の味するため、甘ったるくなくて良い。
・カフェオレ・ブラジオーレ(ネスカフェ)……バランス良。ねっとりしてなくて良い。
・FIRE……わりとミルク感強いけど、バランスはいい。さめるにしたがい甘ったるく感じなくなる。
・ル・カフェ(ジョージア)……バランス良い。後味があまり…。
・珈琲タイム(ヤクルト)……ミルクが後味悪い。
えへへ。ただいま〜。
29(水)
今日から出勤。まだ痛いですけど、じっとしてても同じだし、仕事してるほうが時間が経つの早いし。私の傷は15センチくらいあるかな。わりとまともに傷をみてみたら、なるほど先生が言ってた「ぬいしろ」みたいなのがあるー。傷自体は残るらしいけど、でも、先生が自慢しただけあって、わりときれいな傷じゃないでしょうか(とは言え、手術後の傷を他に見たことはないのですが)。
痛さを説明するとしたら、そうだなあ、身体に「谷折り線」が入ったような感じ。そして、ちくちく+つっぱり+おなかの張り、です。ちなみに横に切ってます。
素朴な疑問。お産後も1ヶ月くらいは静養しますよね。本も読んではいけないと聞きます。お産と手術を両方経験したことがある方、どっちの経験後がつらいですか?
入院前に、習い事している先生に電話をしたら留守電になっていたので、失礼と思いつつ、入院する旨といつから復帰できるかを伝言しておいた。さっき、退院したことを伝えようと電話をしたら奥さんが出て、なんと、先生も先週から入院していると告げられる。もともと心臓が悪く、過去に手術もしているのだけど、今回は肺に水がたまっているらしい。先週からの経過を、どきどきしながら聞く。今日は元気に起き上がっていたらしいけれど…。私のことも心配してくれていたそうなので、明日お見舞いに行く。そろって入院していたなんて、びっくりです。はあ、どきどきした。
28(火)
髪を切りに行った。23日に病院から予約を入れたのです。何にもする気がない今、少しでも新鮮な気持ちになれるようなことは、リハビリとなる。素朴なものが食べたいなあ。とはいえ自分で作るしかないのだった。
17日、18日、19日、20日、21日を追加。いろいろあったなあ、と少し前なのに懐かしく。
27(月)
退院しました。久しぶりにパソコンに触っています。やはり、病院ではパソコンには触れず……というより、全然そういう気分じゃなかったです。16日入院、17日手術で、21日になって初めて、さかのぼってメモをつけはじめ、そこからは閑にあかせてちょこちょこと。後から読んだら面白いと思うので、今日から少しずつ書き写すことにします。とりあえず、16日分から。
朝の看護婦さんの回診で、「N先生って年齢不詳ですよねー」という話をしていたら、「あんなに若づくりなのは、ずいぶん若い奥さんをもらってるからだ」という情報を得る。…という話で盛り上がる。
8:00頃、先生に「8:25頃、下の外来へ来て」と言われる。25分頃に下へ降りようとしたら、5Fナースステーションで先生がまだ書き物をしている。先に行っていればいいか、と歩いていたら、追いついて来られ、階段で抜かされる。負けじと後追ったら、「お、早いね」とムキになられる。子供みたいな人だなあ。
最後に診察をされ、「問題なし」と太鼓判を押された。「ジーンズとか、お腹を締め付けるものは、しばらくはかないように。なるべくスカートをはくように。はかないかもしれないけどね!」と言われたので、「はきますよー」と言ったら「ええっ」と言われる。おしまい。入院会計まで病室で人と話し待つ。終わりはあっけない。
退院したその足で、お見舞いのお返しを買いに行ったりしたらさすがに疲れた。食欲がまったくない。おぼろ豆腐を夕食にしようと買って帰る。
26(日)
検温は7度ジャスト。昨日はミンザイを飲まなかったので、やはりあまりよく眠れなかった。たくさんたくさん夢を見た。いろんな人がごたまぜに出てきたなあ。
午前中は天気が良いので屋上で30分くらい歩き回る。
先生は、8:00頃、「おっはよー!」と、いつものポーズを付けながら登場。どうやら「棒をふりに行く」(ゴルフ)らしい。それで白衣の下がポロシャツなわけか。「今日も一日遊んでてください」だって。
ポケモンは面白いけど、病院で遊んでいると、時間つぶしという感じになってしまう。なんだかさみしいのだ。
最後の夜だけど、なんだかあまり嬉しくないような、なにか変な気分。嬉しくないというより、このまま溶け込んでしまいそうなのが怖いなあという気持ちか。
25(土)
ミンザイを飲んでぐっすり。5:30にさいけつ。そんなに痛く感じなかった。朝食を食べ、8:00頃ふらっと屋上へ。戻ってきたら、また先生が「あ、いた」という顔で近づいてきて、「また院内放送かけるところだったよ」と言われる。傷の状態を確認された後、「自分で腹帯できる?」と聞かれたので、「うーん(できるかな?)」という顔をすると、「しょうがない。おじさんがやってあげましょう。……あ、おじさんと言ってしまった!」と言いながら、先生自ら巻いて下さる。「昨日は、じゅうはっさいと言ってたのにねー」。先生が「イケメン」なる言葉を遣うので、「そんな言葉初めて聞きました」と今までのお返しをさせていただいた。本日は、黄色のシャツ。
午前午後と屋上を歩き回る。
昼食後、満腹で、「ふー」と息をついていたら、これまた先生がやってきて、パカッと器のふたを開けるので、「全部食べましたよ」と付け足す。血液検査の問題なしとのこと。
夕食を食べていたら、隣のおばあさんのところに、だんなさんであるおじいさんがやってきた。おばあさんは、おじいさんに、とにかく、あれやってこれやってと頼む頼む。おじいさんは優しく聞いている。おばあさんが「靴を上(の棚)に上げて」と言うのに、さすがにおじいさん、「なんで靴を上にあげるの……」とあきれたような困ったような声で答える。その内容とテンポに、思わず、ふーっとふきだしてしまった。カーテン閉まってたし、「ぶーっ」じゃないので、多分ごまかせたとは思うけど、またツボに入ってしまい、思い出し笑いに苦しむ。
24(金)
6度8分。昨晩は薬を飲まずに寝たら、1.5時間ごとに目がさめてしまう。9:00の消灯からずいぶん良く寝たと思って目が覚めたので時計を見たら、10:30でショック。
9:00少し前、先生が抜糸に登場。ハサミの感触と、糸を抜く感触。そんなに細かく縫っているわけじゃないんだろうか?という気がした。今日の服は青い丸首のセーターだ。珍しい。
「そんなにしぶい顔しないの。痛くないでしょ?」と言われたので、「はい、でも想像できなくて」と答える。傷を横断するようにテープをピッと貼られ、その上にガーゼを当て、横にピーッと青いビニールテープを貼られる。「うーん、熱海のストリップショーに出て欲しいね!」どうやら傷跡はきれいなのだと言いたいらしい。「こういうのを自画自賛って言うんだろうけど天才的って思うんだよね!」と、相変わらず自信家である。もちろん、そういう先生のこと好きですけどね!
「お昼過ぎにシャワーを浴びてよいよ。その後には、消毒とガーゼを看護婦さんに当ててもらうように。退院するまで腹帯はつけておくように」と言われる。そして、「午後はつまらない話をします」とのこと。退院に関してだろう。
抜糸が終わり、9:10-9:50まで階段2往復+屋上行ったり来たり。天気は良くないがそれほど風が強くなく気持ちいい!太陽も一応照っている。深呼吸してみて、入院して初めて口からハミングが出た。「たちどまりーいきをするーあたたかなちがながれていくー」(オザケン)のメロディー。そのまま、いろんな歌を適当に知ってるところだけをつぎはぎに歌う。フルで覚えてなくて残念。
そんなこんなで、やたら屋上を歩き回ってから5Fへ降り、お財布を取って1Fの売店で雑誌を買おうとするも面白そうなのがないのでやめた。カフェオレ缶だけ買って階段をのぼる。自販機にある全てのカフェオレの飲み比べをしようと決めた(ひまなんだもの)。
チェス本を相変わらず読む。
うちの親は、やはりドライっつーか、クールなのか?手術前日から1人で当日迎えるのが当たり前かと思ってたら、結構そうでもないような。他の人たちを見ていると、日数があれば毎日1時間は平気でいるし、前日入院であっても一緒に来てやはりずっと一緒にいる。やっとベッドの上で動けるようになった18日、来たと思ったら開口一番「定期貸してよ!」で、私は管を3つも付けながらごそごそ出してさー。手術当日の朝だって、ものの2,3分でロビーに行くし。ストレッチャーに乗せられてから下へ降りるエレベーターに同乗してたわけでもなく、2Fに自分で降りて待ってたら、「あら、いらしてたんですか」と看護婦さんに言われたみたい。毎日顔は出すものの、1分くらいしかいないんじゃないか?洗濯物の交換で終わりって感じ。こんなにつまらなくって、たいくつしてるのに。
昼食後、シャワーを浴びさせてもらう。傷を見るのが怖くて、目をつぶって腹帯を外す。こういう時だけは、目の悪いのも悪くないと思う。
3:30頃、屋上にあがってすぐに降りてきて病室に戻ろうとしたら、先生が看護婦さんたちと4人くらいで輪になってた。で、私の方をみて「あ、いた」という顔をして「不良患者。いないから、今、院内放送かけちゃったよ」と言う。「午後のつまらない話」をしようと病室に来たら私がいなかったからのようだ。
カンファレンス室で、退院後の生活についての説明を受ける。それから今後の検診についてなど。質問は?と聞かれたので、私はどれくらい前からこうだったのか、と聞いてみた。1年くらい前から、らしい。1ヶ月でこうなってたら、それは間違いなく悪性。「ほかには?」との問いに「先生、おいくつなんですか?」とたたみかけたら、「じゅうはち!」と即答された。それがデフォルトで用意してる答えなのね。どうしても教えてくれない。「先生って年齢不詳ですよね。それがウリですか?」。
先生からは、「いつも本読んでない?」と言われてしまったので、「午前と午後、ちゃんと歩いてますよおー」と言い返す。部屋にいたら「まただらだらして」と怒るくせに、いないと放送かけられちゃうんだよ!
4:20 陽がさしてきた。ちょっと屋上へ行ってみる。1年前からこう、と言われたので、「三年日記」の1年前から読んでみてる。8行分しかないのに、結構面白い。
4:40 いっとき整形外科病棟の患者さんに使われていた左隣のベッドの片づけをしに、ヘルパーさんが2人来た。文句を言いながら「つかれたー」とか「最近こういうの多いよねー」と作業している。「看護婦さんたちの仕事でもあるのよね」とかね。いろいろあるんだな。大変。
薬剤師さんが来て、寝る前に時々もらっている、「ミンザイ」と呼ばれてた青い薬は、「睡眠導入剤」なのだと初めて知った。「睡眠薬」じゃなかったのだ。眠るまでの2,3時間くらい効いて、後の眠る力は本人次第というもの。・飲み慣れてない人には効く。・昼間眠いと強すぎるかもなので半分にします。・常用性はないので、安心して飲んで下さい。などと説明してくれる。それから、今飲んでいる3つの薬の内容も教えてくれた。抗生物質と消炎剤と胃の薬。
花は、よく香っている。今朝水をやったら茎がぴんとした。
左隣におばあさんが入った。いろいろいろいろ看護婦さんからの質問に答えたあと、「入院に関してこれだけは聞いておきたいことはありますか?」との質問に、「布団が固いんですね。もっとやわらかいのがいいです。借りられないんですか」。その口調というか、はずしかたというか、ツボに入ってしまい(笑いに飢えてたこともあるかも)、笑いをこらえるのにまいった。
眼鏡をなくしたと思ったら、ナースステーションに届け物としてあった。夜、ゲームボーイ+ポケモンが届く。
23(木)
午前中、15分程度の運動。天気は良くない。
10:30位からも5分ほど、屋上にのぼったりして歩く。保坂和志『アウトブリード』を読み終わり、『ファミリー!』の1〜11巻まで読み終える。吉本ばなな『不倫と南米』もいつだっけ?読み終えました。
2:00頃 公衆電話から美容室にカットの予約を入れていたら先生が通りかかり、手帳をのぞくフリをして去っていった。タイミングを逃してしまった。残念。
3:00頃 会社の上司が来てくれてびっくり。
3:30頃 母が来て話していたところに、先生が来る。明日の抜糸のことや、その他今回の病気関係についてのもろもろ話。今日の先生の服は、グレー地に細い白いストライプが入ったシャツ+黒地にピンクの花一輪のネクタイという、ものすごいものだった。
夕方、初めてCDを聴く気分になり、ショコラ『ハムスター』と、Chappie『New Chappie』を続けて聴いていたところに、今度は会社でお昼をいつも一緒に食べている3人がお見舞いに来てくれた。人生で二度目の花をもらい、ポストペットのサプリメントや、お菓子やらいただく。「顔色もいいし安心した」と言われ、少しお喋りする。
22(水)
6:00 起床。ぼーっとしているのは、ミンザイのせいかも。検温と食事量くらいの看護婦さんの回診。
7:30 朝食。
朝、先生来ず。屋上にのぼってみたが、風が強いので長くいられない。階段1F-7Fを、3往復くらいする。4人部屋だったのが、ずっとあいていた左隣に人が入り、少しうろうろして戻ってきたらベッドがまた1つ増えて、午前中に6人部屋になった。
右隣のくせものおばさんは、「昨日は夜眠れなかった」と言っていて、大笑い(心の中で)。
昼食後、2:00過ぎ、眠くて仕方がなくなり(絶対ミンザイのせいだ)、保坂和志『アウトブリード』を、横にならずには読めなくなり、仰向けになって読んでいた。うつらうつら、もう少し深い眠りへいきそうな時に先生が来て起こされた。
「ずいぶん大胆な寝方するねー」と言われてしまう。……仰向けになって、大の字で寝ていたようだ。「ミンザイのせいか、朝から眠くって」と言い訳すると「強すぎるかな」と。
「もう退屈。先生、私どうして退院できないんですかっ」と言うと、「どうしてだろうねー。……決まりなんですよ。アメリカじゃ3日くらいで退院させちゃうけど、日本は保険もあるでしょ。何かあったら責められるのは医者なので」「目の届く範囲にってことかー」「(手術が)下手だったら、今ごろもっと七転八倒してるところだけど、ボク上手だからさ。もっと下手にやれば良かったね」だってさ。
「医学部は、ひととおり全部勉強しますよね?先生は、どうしてこの科に?」「なりゆき。仲良しの友達と一緒の科に行きたかった。なかなか2人一緒となると枠の範囲もあって難しくって、いっそ駅(信濃町と言ったので、これで慶應だとわかった)から学校への道で一番最初に会った先生の科に行こうと決めたわけ。それがこの科だったの。これも何かの縁かなと思って」
ほか、器用だったから外科系には行きたかった、家庭科はいつも5だった、と言うので「編物なんかも?」と聞くと、「編物なんて手術に比べればね!」と言われちゃう。
「麻酔の前に肩に注射を打たれますよね。あれ以降記憶がないんです。あれはでも、麻酔じゃないんでしょう?なんなんですか?」「あれは、催眠剤とか自白剤みたいなもの。本当に眠らせてしまうと、身体を動かすのが大変なので、自分で動いてもらうためにあの注射にしている。意識はさめていて、言われたことには答えられるし、指示もできる。実はこわい薬なわけ。だから、劇薬指定で取り扱うのに資格がいる。結局、医師の資格だけ持っていても使えないので、若いときに数十種類の資格を取ったんですよ。100人のうち3人くらいしか受からないやつとかね(それとなく自慢も忘れない先生)」
あとは、手術は科によって麻酔の仕方なんかも違うとか、劇薬は床に一つ落としても始末書を書くとか、血の苦手な医者もいるとか、学生の頃、マージャンばかりしてたとか。先生は話好きなので振るとどんどん話をしてくれた。「機械相手じゃなくて人間相手だから面白い」とも。
消灯前に、看護婦さんは何も言わずにミンザイを出してくれる。おかげでぐっすり。
21(火)
5:30 さいけつ。
朝の看護婦さんの回診で、「昨日よりお腹がしまってるー」と言われる。検温、入院して初めての6度台。6度5分。
7:30 朝食
8:00 先生が来る。「お腹が張ってるので、もっと歩くように!」とのこと。しょうがないので、
8:30-9:00 5F-1F-7Fを3つ、と屋上を5往復。
9:15-30頃 身体を拭きにヘルパーさんが来てくれる。気持ちいい!新しい人が右隣に。どうやら、なかなかのくせものである。
昼食後、2:00くらいからまた階段ののぼりおりをした。時間としては20分くらい。部屋に戻ると寝具の取り替えをしていたので、財布だけ取ってまた下へ降り、お茶を買うことに。その後は、『スラムダンク』を読んで読んで読んで過ごす。夕食前に読み終わる。最後の試合シーンに感動、ジーンとした。あとは、思い出せる限り、16日から20日までの分を、さかのぼって記録しはじめてみた。書いてみるとどんどん思い出してくる。
5:30頃 先生が来る。「退院はいつにしよう」という話になり、27日になった。「次の日から働きなさいね!」だってさ。「どういう仕事をしてるか知らないけど、次の日から仕事ができるようにの準備がこの1週間ですよ」と。
9:00 消灯でまっくらになったのはいいが、10分位シーンとしてたと思ったら、斜め前の人の「スースー」という寝息が聞こえたのを合図に、右の問題児が「グーゴー」とやりだした。おまけに入り口近くのおばあさんまで…。これがあと6夜も続くのかと思ったら、悲しくて情けなくなり、「ゆっくり眠りたいよー」と思っていたら涙がにじんできた。「うるさいなーもー」とつぶやき、9:40、我慢するのも意味ないので、ミンザイをもらいに行った。
これで眠れるんだろうかと心配しつつ、気付いたら6:00の起床だった。
20(月)…21日記す
この日から、朝食後と夕食後に飲む薬をもらう。3錠ずつ。
『スラムダンク』にかかりっきりの一日。疲れるので、読むスピードは、いつもより遅い。でも、15巻まで読む。どんどん面白くなってきた。
飲み物で、むしょうに飲みたかったのが、「バナナ牛乳」。普段なら絶対考えないようなシロモノである。午前にサプリを買いに売店に行き、午後は、「バナナ牛乳」を求めて自販機を見てみると、あるある。すっごくおいしかった。
午前中、階段(1F-7F)を2往復。午後、1往復する。
消灯時、「明日の朝、さいけつとおしょうすいの検査があります」と言われたので、どきどきする。
19(日)…21日記す
三重苦で始まる朝。朝食が普通に出る。薄い食パン2枚とおかずと牛乳と果物。「食べていいのかな」と不安になり、よくよくよく噛みながら、ちょびちょびと食べる。あまり食べられなかった。昼と夜は、おかずは普通で主食がおかゆだった。
3:30 背中の痛み止め終わり。「点滴、これが最後です。あと2,3時間かな」と言われた時には、嬉しくて嬉しくて、時計とにらめっこ。最後のほうには「もう終わりでいいかしらん」と起き上がり、落ちてゆく点滴をじーっと眺めてたりした。
5:40 尿管の管、終わり。これであとは点滴だけだ。
6:00 夕食前に点滴終わり。
一番最初に歩いたのは、夕食の食器片付けだった。持ってきてもらってた「三年日記」のほうに、さかのぼって記入をはじめてみた。『スラムダンク』をまともに読み始める。昨日とは気分が違う。
18(土)…21日記す
6:00 起床。検温とさいけつ。寝返りをうっても良いですよと言われる。水分も採って良いとのこと。水を持ってきてくれた。でも、不思議とのども渇いてない。
午前中、先生が来て、「今日からは起き上がるように」と宣言され、「ためしに起き上がってみ」と強要される。そんなの無理だーと思いつつ頑張って起き上がってみたら、「お、さすが若いね!」。「くらくらします」「それはずっと寝てたから」。先生、冷たいです。背中から痛み止めの管と薬瓶がつながってるので、あまり自由はきかないけど、なるべく動くようにね、と。後ろから前に、肩の上から瓶を回され、胸の上のほうでテープで止めてくれた。「胸がないからとめやすくて良かったね!」と言われたので、「へいへい」と答える。もっと元気ならもっと元気に言い返せたんだけど、あまり気力がなく…。くそう。隣の人に、「良く起きられるねー」と言われ、ささやかな喜びを感じる。けなげだわ!
なるべく寝返りをうつように努力するも、痛いのに変わりはない。動くたびにお腹は痛く、左右どっちを向いても楽な姿勢がとれない。3度くらい起き上がることに挑戦。暇は暇なので、『スラムダンク』に挑戦しようとしたんだけど、頭がくらくらして全然入ってこない。ベッドの上で座っているのも結構つらい。のでやめた。
優しかった隣の人が退院していった。
禁飲食は続く。明日から朝食が出るとのこと。が、点滴をしているとお腹が空かないのです。隣の人が食べていても全然平気。
ミンザイをもらって熟睡することにした。
点滴(左腕)+管(尿道)+痛み止め薬(脊髄?)の三重苦、二日目。
17(金)…21日記す
5:30 浣腸。検温で7度5分あり、心配される。T字帯をつけ、着替える。
7:30 点滴開始。左腕を差し出し、手には汗をかいてしまう。看護婦さんも緊張していて、手首よりにさされたのを一度失敗され、「ごめんっ、腫れちゃった」と針を抜かれる。「ああ、ごめんねごめんねー」と繰り返され、「手に汗かいてるねー」と言われたので、「手術よりもこれが一番こわいと思ってるんです…」と力なく答えると、「ああ、私も緊張してきちゃった。あとでまた来るね」と言って去ってった。あああああ、すごくこわい。2度目でひじと手首の中心あたりにさされ、成功。思ったより全然全然痛くない。場所も良い。嬉しい。点滴と一緒に、「禁飲食」の札がかけられた(昨晩9時から続いている)。
9時少し前に母が来る。パソコンを持って帰ってもらうことに。そしてすぐに行ってしまった。看護婦さんから、9時半頃出発しますみたいなことを言われ、身体に何もつけてないことを確認される(化粧・ピアス・指輪など)。熱のことを心配されるが「全然平気です!」と答える(手術が延びるのはいやだったので)。
9:30 少し前にトイレに行くように言われ、点滴台をひきずりながら歩く。誰がこの姿を想像しただろうか!帰ってきて、ストレッチャー(担架に車がついたようなやつ)まで案内される。眼鏡をかけたままだったのに気付き、慌てて戻る。5Fロビーに母がいたようなので、見えない目で手を振る。ストレッチャーは結構高さがあり、勢いをつけて乗ったら跳ねた。笑ってしまう。点滴の針刺し恐怖も済んで、全然余裕だわ。
さて、ここから先、右肩に筋肉注射を打たれてからの記憶が曖昧。「ちょっと痛いですよー」と言われ、ぎゅうっと筋肉に入る感覚と、手術室に着き、なんだか音楽が流れているのと、身体を移動させられた記憶。多分それらが手術前の最後の記憶。
「おわりましたよー」が初めて気付いた声。ちょろっと目を開けた記憶。何か聞かれていたような。次に気付いたら自分のベッドの上だった。口に酸素マスクを当てられてた。舌が回らない。母らが話し掛けるのだけど、枕してなくて頭も上がらないし、面倒くさいし、すっごく疲れているので答えられない。察して(実は隣のベッドの人が話し掛けないほうがいいと言ってくれていたようだ)ほどなく帰ってった。
その「おわりましたよー」の前に、「○○さーん」とか「いたいですかー」という呼びかけもしていたらしい。「いたくないです」って答えてたという。「眠い」と良く言ってたとのこと。
寝ては起き、起きては寝る。気付くと電気毛布がかかってて、暑くてたまらなくなったので看護婦さんを呼びたくなったのだけど、ナースコールの場所がわからない。というか手が伸びない。回らない口で「看護婦さんを呼ぶにはどうしたらー」と、もごもご言ってたら、「何か言ってる!」と隣の人が気付いてくれて、押してくれた。ぐっしょり汗をかいてしまってたので、パジャマと毛布を替えてくれた。
「痛い」と言ったからか、夕方に一度痛み止めの注射を打ってくれた。まくらも夕方から復活。寝返りをうってはだめ。足も動かせなくって、左足首かかとが、やったら痛い。看護婦さんにそれを言ったら、タオルを丸めたのを下にしいてくれた。
夕方、寝てるところに肩を叩かれ、振り向くと先生がいて、「手術は完璧すぎるほど完璧です」と言われる。朦朧とした記憶。
消灯時に、「痛いですか?」と聞かれたので「ちょっと。夕方の注射はどれくらいもつんですか?あまり打たないほうがいいんですよね?」と聞くと、「そうですねえ。半日はもつようになってます」とのこと。「ミンザイはもらえないんですか?」と聞くと「水分を採っちゃいけないので、だめなんです…。あまり痛かったら言って下さい」と言われる。そりゃ、生身の身体を切ったんだもの、痛いに決まってるし、きっと人魚姫のほうが痛かったのだと(なんのこっちゃだ)、やせ我慢しようと思った。
が、消灯になり、やっぱりシクシク痛くて眠れそうにない。点滴をかえに来てくれた看護婦さんに「すみません。やっぱり痛み止めの注射お願いしていいですか」と頼み、夕方とは反対の左肩に打ってもらう。その後熟睡(注射には眠り薬が入っているらしい)。
禁飲食。そして、点滴(左腕)+管(尿道)+痛み止め薬(脊髄?)の三重苦、一日目。
16(木)……21日記す
10:00 病院着
10:30〜 病室へ。#510。5Fが外科の階のようだ。パジャマに着替えて検温。電子体温計の使い方がわからず看護婦さんに聞く(まぬけ)。7度4分。看護婦さんから質問される。初めて病院に来たのはいつ、病名を聞いてどう思ったか、先生からは病気をどのように説明されたか、自分の性格はどうだと思うか(何の関係があるのだろう)、など。手術に備えて毛を剃られる(ゲラゲラ笑ってしまい、お腹がくすぐったがりなのだと知る)。その間、過敏症検査のため右腕に針をさされる。ギャーギャー言うひまなし。
12:00 昼食
2:50 シャワーを浴びる
3:00 ひまし油を飲む。鉱物っぽい味がする。自分が機械になった気がする。味というより、感触がぶきみ!先生が来ておしゃべりする。
ひまし油(を使うの)が好きだという。手術の際に腸を折りたたむんだけど、ひまし油を使うと見事に腸がペタンコになるので、先生は楽。だから好き(自分は飲んだことないくせに)。一度使ったのと使わないので比べたことがあるけど、やっぱりひまし油の威力はすごい。ひまし油派閥あり(東大は割と多い。先生は慶應だと後日知る)。また、手術の時には、麻酔のせいで、切ったところがびよーんとのびるので、ほかに悪いところがないか、その時に手で触ってみるのだという。横隔膜にさえぎられるところまでは見られる、と(こういう話は大丈夫なんだよなあ)。
私の病気は100人に1人はかかるらしい。高い確率だと思う。また、その病気になった人が、2,3年以内にまたかかる可能性が、10人に1人だという。というわけで、これから半年に一度は診てもらいに行くことに。
ひまし油を飲んで2時間くらいして、お腹がゴロゴロ言い出す。
5:30〜 心電図をとる。手術室の看護婦さんが麻酔についての説明をしに来る。麻酔についてのパンフとともに…。安心させるためのものなのに、余計こえー。モリタカをソフトにしたような看護婦さんだなあと眺める。すごいなあ手術室の看護婦さんかー、とそれだけで尊敬。「明日、がんばりましょう」と言って去ってった。
説明の内容。
ストレッチャーに乗った後、注射を一本(この注射の正体は後日聞いてみた)打ちます。それで大半の人が眠くなって後のことは覚えてません。その後、手術室に入ったら、背中に手術後の痛み止めの薬を入れる管を入れ、麻酔注射を打ちます。
8:00 初めて浣腸をする。10〜15分我慢するように言われ、つらい。ミンザイ(睡眠導入剤だったのだと後日知る)と下剤を2包飲むように言われる。これまた初めて粉薬をオブラートなしで飲む。明日はこれを着るようにと、看護婦さんにT字帯と着替を渡される。T字帯とは何かって、それはいわゆる「フンドシ」です。つけかたがわからないので聞く(布部分を後ろにして、前で紐を結ぶ。お尻側から前へ布を渡し、下から結んだ紐に通す。以上)。
夜また先生が来る。「ごきげんだね〜」と言われる。実際、手術そのものよりも、浣腸と点滴のほうが心配だったので、一つ済んでほっとしてたというのが本音。再度、麻酔についての説明を受け、「眠れるための薬を出しておくけど、別に眠れなくてもかまわないから!」と言って颯爽と去ってった。
遥洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(筑摩書房)を読み終わる。探偵小説研究会『2000本格ミステリ・ベスト10』(東京創元社)をあちこち飛び飛びに読む。
15(水)
結局CDを3枚買った。ちなみに、12日に買ったカジヒデキ『Mini Skirt』は、最初の「ラ・ブーム」で、「カジヒデキバンザイ」って思った。それが最初の印象。
ともさかりえ『むらさき。』(TOCT-24061)……「カプチーノ」「木蓮のクリーム」(ともに椎名林檎)は、やっぱり良いです。
ショコラ『ハムスター』(ESCB-2020)……「光あれ」、最高。
Chappie『NEW CHAPPIE』(AICT-1126)……ほんとに、どう聴いてもモリタカにしか聞こえないです>「七夕の夜、君に逢いたい」
その他に、本と漫画を。18日には天藤真の文庫が出るようで、待ち遠しい。
探偵小説研究会『2000本格ミステリ・ベスト10』(東京創元社)…出てました。
文藝別冊『Jミステリー』(河出書房新社)…奥泉光と笠井潔の対談あり。昔、今はなき「海燕」誌で、この2人+山口雅也の鼎談が載っていたことがある。
田村由美『BASARA』(27)(小学館・フラワーコミックス)…番外編の2冊目。これで本当に最後。一気読みの勢いのまま読んだほうが面白いかも(忘れている人多数だったため)。
"なつめさんのことですから,ひぇー,とかいいながら,だははと笑ってることでしょう(←こういう位置付け)。"
とは、某すすむ氏の弁。ひでぇなあと思いつつ、確かに恐怖のあまり笑ってるのは想像できる。でも、「だはは」じゃなくて「うわーっ」というジタバタとともに。
健康診断を一緒に受けに行った時に私の醜態を見ている人は、「(手術)かわいそうに」と言いながら、ゲラゲラ思い出し笑いをするー。看護婦さんに腕を引っ張られても、「手が伸びないんですー」と言って腕を曲げたまま、身体ごと看護婦さんのほうへ移動するだけだったり、「ちょ、ちょっと待ってください」と言いながら「はああああ」と深呼吸するので、とても面白かったらしい。この間の手術前検査でも、廊下に接している部屋で、検査してくれる人が、途中で、「ドア閉めましょうね」と言ったくらいで、まったく自分でもこんなに騒ぐのはいやなんだけど、身体が言うこと聞かない。歯医者のがよっぽどいいし、一人でお化け屋敷入るほうがマシだし、究極の選択となるのは、バンジージャンプかスカイダイビング? こんな損な性質はいや!
今一番の不安は、爪は自分で切らせてもらえるのかどうかです。「もっと切りましょう」なんて言わないでお願い。
14(火)
すごく昔に読んだ記憶があって懐かしくなったので、和田慎二『銀色の髪の亜里沙』(大都社)を買う。和田慎二の描く女の子が好き。
それから、アフタヌーン・ティーでフタ付マグカップを買う。中に茶こしが付いている。柄は2種類あって、ラベンダー柄と、花柄に青い鳥が鳴いているもの。私が買ったのは青い鳥。本当は、パジャマも欲しい。でも\7,500.-もするので買えません。
ビーニー・ベイビーズも欲しいです。ぬいぐるみ類は、一つも持ってないくらい興味がないんだけど、なんだかこれは、隣で一緒に寝るってのもいいなあとか。なにを言ってるのだか。最後の「CCC Club Home Page」で自分の誕生日のビーニーがわかるんだけど、ない!
「Ty」 http://www.ty.com/
「BEANIE BABIES」 http://www.modd.com/neat/index.html
「CCC
Club Home Page」http://shop.commercecity.or.jp/shopper/SC_EXEC/cccmall/beanie/beanie
さて、ン・ジャンユーの姿を探していたら、みつけたので、 リンク。その1、その2
>ゲームボーイカラー
何色をお持ちですか? 黄色しかなかったんですけど、ピカチューの色だし結構かわいいし、と思って納得。いつか対戦しましょう!
12(日)
このごろの私は、歩幅も狭く、ちょこちょこ歩いていて、まるで私らしくない。人ごみが怖く、駆けられないもどかしさに、妊婦さんの気持ちってこんななのかも、と思いながら歩いている。早く軽やかに小走りしたーい。
親は、こちらの気が抜けるほどのあっさりした反応。私は確かにこの人たちの子供なのだと実感。むしろ、トルコ旅行に関して、「2週間」と言ってたのが、直前になって「実は2ヶ月」と白状した時のほうが大変だった。半分だましていたのだから、怒られて当然か。ただ、父は、「死ぬ時は死ぬんだから」と最初から最後まであっさり。心からそう思っているのか、実際は不安に思ってるのか、いつも表情から読み取れずにいる。でもちゃんと愛を感じるんだよ。
ゲームボーイの黄色を、 ポケモン銀とともに買う。カジヒデキ『MINI SKIRT』(PSCR-5555)を買う。ともさかりえのベストを買おうと探したけれど、『むらさき。』しか見つからず。しかし「木蓮のクリーム」は、『むらさき。』アレンジのほうが良いとの情報を いただき、気持ちは『むらさき。』のほうへ。
11(土)
今週買った本。
・『いまどきの「ブンガク」』(宝島社)
・吉本ばなな『不倫と南米』(幻冬舎)
・遥洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(筑摩書房)
・『映画ガイドブック2000』(ちくま文庫)
・郷原宏『このミステリーを読め!海外篇』(三笠書房・王様文庫)
・小黒きみえ『ぜったいプリン』(NHK出版)
・橋本光平『国際情勢早わかり』(PHP出版)
・島崎晋『目からウロコの世界史』(PHP出版)
・『世界史図説』(東京書籍)
・エクトル・マロ『家なき娘』(上・下)(岩波文庫)…復刊フェア。旧かなづかいがたまらない。昔TVでやっていた『ペリーヌ物語』が好きだったので。すごく好きだった場面は原作にもあるんだろうか?
家族とともに病院へ行き、手術前検査の続き、レントゲンを2枚を撮影後、手術の詳しい説明を聞く。手術前検査では、ほかに何ら異常は発見されなかったとのこと。私の血は濃いらしい。どうりでどんなに気持ち悪いよ〜と思っても気絶しないわけだ!(それは違う?) この間のように、いっそ気絶したほうが楽なのにと思う時もあるのに、そうならないってのもつらい。身の置き所がないから。わかってくれてる?
手術はどのように行われるか。麻酔の方法。所要時間。しゅっけつりょう。後遺症はあるか。抜糸時期。入院期間。
診断書をお願いすると、「5000円するし、後でもよければ、退院時に書いたほうがいいでしょ。どれくらい”自宅療養”ってことにするかってのもあるし」と。診断書というものはやはり、先生にお願いすればいくらでも書きようがあるものなのだと知る。芸能人や政治家が世間に見せる診断書なんて……。
「入院のご案内」という小冊子と、「手術についての説明」という紙をもらう。手術時に用意すべきもののリストを見、売店で揃えられるものは買って帰る。ちなみにバスタオル2枚、タオル2枚、T字帯2枚、腹帯2枚……など。ぞっとしない。
会計を済ませている間、なんだか力が抜けて、へなっとなる。座り込みたくなる。はあ〜脱力〜という感じ。終わりと始まりの予感っていうか(おおげさ)。
家に帰ってきて、「手術についての説明」を読んでいると、腰が抜けそう。へらへら笑えてくる。人間、本当に恐怖な時って笑っちゃうんだね!初めてすることばっかりでこわいよ。当たり前なんだけど……。
1.手術前日までに行うこと
・手術承諾書・問診票を書いてもらいます。
・手術によっては、ベッド上での生活となりますので、尿・便器・食事・洗面などを練習してもらいます。
・手術前・後に抗生物質の点滴を行う為、過敏症のテストを行います。(点滴と聞いただけで気分悪い)
・手術部位の毛を剃ることがあります。
・毛を剃った後、入浴又は清拭・洗髪・手足の爪を切ります。
・前日の夜9時以降は、飲食・飲水・喫煙はできません。
2.手術当日
・朝、浣腸を行います。
・朝食は食べられませんが、はみがき・ひげ剃りは行って下さい。
・取り外しできる、さし歯・入れ歯・時計・メガネ・指輪・コンタクトレンズ・ネックレス・ヘアピン・マニキュアなどはとっておいて下さい。
・ 時 分より手術の準備をしますのでその前に、排尿・排便は済ませて下さい。その後、ストレッチャーにのっていただき、筋肉注射をします。(筋肉注射って痛いんですよね)
3.手術後の注意
・麻酔から、覚めるまでは枕はしません。(3〜4時間位)
・手術により、酸素吸入をする場合があります。
・許可があるまで飲食・飲水は出来ません。
・時により、手術室より尿道に管を入れて帰室する事があります。
・しばらくの間、点滴は続きます。(勘弁して欲しいです)
・家族の方にお願いです。出来れば、麻酔から覚めるまで付き添っていただきたいと思います。
10(金)
みなちゃん、Hchi、Hkoちゃんと食事@国立。私以外の3人が電話を持ってて連絡を取り合う姿を見てると、うーん便利!と思う。「なるべく腹筋を使わないように」と言われている身には、この会合は残酷だ。はあはあと死にそうになりながら笑う笑う笑う。
本日の私の発言。「同じ伝統芸能(?)なら、染五郎より歌丸だよ!」。
全員で会う前、先に落ち合ったみなちゃんにだけ、今回のことを話す。私のことを、普段はこう思ってるのに、今回はあんな表現をしたから、こう思った、というのを聞いて、興味深かった。人と私との距離によっても、それは微妙に変わってくるんだろう。
愛することよりも、愛されることに慣れてないってのは、確実にわかるんだけど、愛を感じたことがないというのとは違う。目に見えない愛には慣れていても、目に見える愛・表現される愛には慣れてないのかも。心で愛は感じるのに、抱きしめられたり、言葉で何かを言ってもらったりの愛に飢えている?
今週買った本はたくさん。明日メモしてみる。ビデオ『ワンダフルライフ』(2000/4/15にみました)を借りるつもりが、『Be My Boy』を借りてきてしまった。ン・ジャンユーが出ているからね!(いい役らしい)
8(水)
『ジェネックス・コップ』@新宿ジョイシネマ。みおわって、映画館から出たとたん、「サイコー!」と言い合う。
最初の30秒で、DVD出たら買おうと思った。それほどオープニングがかっこいい。期待感にドキドキしてた。サム・リー&ニコラス・ツェー&スティーブン・フォン、ダニエル・ウー、テレンス・イン、この中に『美少年の恋』に出演した3人も入っている。チャン刑事役のエリック・ツァン(『ラヴソング』での泣かせ役っ)も、はまり役。仲村トオルが元日本人やくざの役で重要な悪役。出番も多く、かっこよく映っている。とても魅力的。しかし、なんと言っても、今回の注目は、やはり悪役のン・ジャンユー。『欲望の街』(古惑仔)での悪者ぶりもすごかったけれど、今回のは、もうもうもう! あまりにかっこ良すぎてくらくらした。惚れました。サム・リー&ニコラス・ツェー&スティーブン・フォンの3人が束になっても、彼の渋さにはかないません。だめです、彼等はまだおこちゃまです。ン・ジャンユーのことばっかり口にしてしまい、「みんな、ン・ジャンユーに惚れるはずだよね!」とMneさんに力説したら、「なつめさんほど思ってないかもしれない…」と、お腹を抱えて笑われる。「スティーブン・フォンのこと、全然口にしてないじゃない! もうファンやめちゃったのー?」とか言われたり。ン・ジャンユーって、ゲイリー・オールドマンに似てると思う。
しかし、この映画は、もっともっとみられていいはずだよ、もったいない!なんで?なんでみないんだ?話も丁寧、アクションも迫力、俳優も今が旬、脇もがっちり、どこにも文句のつけようがないのに。おかしいなあ。
TmiさんとMneさんがファン・パーティに行った、イーキン・チェン、とうとう4月から、焼酎「トライアングル」のCMに登場のようです。とてもかっこいい人なので、きっと人気出るね。
7(火)
お久しぶりです。結果が出るまでメールと日記を断ってました。
MRI初体験。輪切りに撮影されました。カツカツカツ、とか、非常ベルみたいな音がずっと聞こえるので、「寝てていいですよ」って言われても全然だめ眠れなかった。天井との距離は案外なくって、閉所恐怖症の人は大丈夫なのかなあと思った。注意書きが面白い。マスカラも最近は金属が入ってることがありますので、お化粧を落としていただく場合があります。などなど。
結果。手術決定。自分の身体の写真を見るのってぞっとしない。先週のさいけつでの、腫瘍マーカーチェックでは、ほぼ良性だろうと結果が出たものの、先週より小さくはなってないので、手術するしかないみたい。誕生日は病院のベッドで迎えるなんて、せつないなああ。くそう。
手術前の検査ということでちをとられる。耳からと、腕から。耳からのは、とまるまでの時間をはかるため。腕からのも、やたらと時間が長い長い長い。うえ、書いてて気持ち悪くなってきた。まったく、突き飛ばして逃げようかと思いました。すごくじたばたしてしまったので、検査してくれる人には悪いことした。でもうらみたい。何分で止まったかなんて言うなよ!!! でも、こういうとき結局倒れずに済むって、私の血の気が多いってこと? じゃないや、なんていうんだろう。
というわけで、今月中、10日間くらい消えます。入院中、何をして過ごそうか考えておこう。
飛んだり跳ねたり走ったりが禁止。禁止されてみると、いかに日頃自分が、駆けってるか気付きます。
気合いを入れるためにケーキを買って帰った。明日はMneさんと『ジェネックス・コップ』をみに行って来ます。
2(木)
今ほど人恋しいことはないな。そのくせ話せることがなにもない。からっぽ。
足の裏の面積だけで立ってるのが不安で、座っていたり、寝ていたり、地(面)と接している面積が大きいほど安心する。
これくらいは勘弁してください。
1(水)
最近一番美しいと思ったものは、東京オペラシティの楽器屋に置いてあったチェロ。飴色というか、メープルシロップ色というか…、そして光沢。先日、至近距離でうっとり眺めてきました。
小澤征爾『ボクの音楽武者修行』(新潮文庫)を読み終わる。