WIZARDRY RPG
- OutLaws Edition -
■ルールセクション■
◇魔法◇
多くのファンタジーRPGと同様に『WIZ OE』の世界にも魔法が存在します。数知れぬ怪物が徘徊するこの世界では、剣の力だけに頼っていては生き残る事はできません。魔法は独自の法則によって導き出される物理現象で、その効果を制御するためにはいくつかの決まり事が存在します。ここではその強力ですが、限られた法則を持つ魔法をご紹介します。
1−1.魔法の系統
魔法には大きく分けて五つの系統に分かれます。
・魔術師系魔法 | …… | 『魔術』 | 魔術師、侍、吟遊詩人、司教、探求者、魔女、妖術師、英雄、全能者が習得可能 |
・僧侶系魔法 | …… | 『法術』 | 僧侶、君主、闇騎士、戦乙女、司教、聖、妖術師、英雄、全能者が習得可能 |
・錬金術師系魔法 | …… | 『錬金術』 | 錬金術師、弓使い、探求者、陰陽師、忍者、全能者が習得可能 |
・霊能者系魔法 | …… | 『心霊術』 | 霊能者、聖、陰陽師、修道僧、全能者が習得可能 |
・召喚師系魔法 | …… | 『召喚術』 | 召喚師、魔女、妖術師 |
それぞれの系統はそれぞれの技能に対応しており、1から7までのレベルがあり、レベルが高いほど強力な呪文が存在します。
1−2.マジックポイント (MP)
マジックポイント(MP)とはそれぞれの系統の魔法を習得したキャラクターが呪文を使用できる容量を示します。MPは術者の職業とレベル、その系統の魔法に関連する特性値によって決定されます。まず、職業によって基本MPが決まり(下記の表参照)、これに関連する特性値(「魔術」「錬金術」「召喚術」なら【知性】、「法術」「心霊術」なら【敬虔】)によるMP補正を加えて算出されます。MPはレベルアップ毎に上昇していきます。
術者は、すでに習得した呪文をMPがある限り行使することができます。各呪文はその所属する系統のMPから、魔法レベルと同じポイントだけのMPを消費します。例えば、1レベル『魔術』のカティノを使用した場合、『魔術』MPから1ポイントのMPを消費します。その後まだ『魔術』MPが残っていれば他の『魔術』系呪文を使用することができます。
使用して減ったMPは、8時間以上ぐっすりと眠れば回復します。ただし、術者が心身ともリラックスできる環境で、連続して睡眠を摂らねば回復しません(詳細は「休息と回復」の項を参照してください)。
◇基本MP表◇
・専門職 : 魔術師、僧侶、錬金術師、霊能者、召喚師
・補助職 : 君主、闇騎士、戦乙女、侍、弓使い、吟遊詩人、修道僧、忍者
・複合職 : 司教、聖、探求者、陰陽師、魔女、妖術師、英雄、全能者
専門職 | 補助職 | 複合職 | |
基本MP値 | 6 | 2 | 4 |
呪文を使うためには、それぞれの魔法系統に属する呪文を習得する必要があります。新しい呪文を習得するためには、まずその魔法の技能を習得する必要があります。
その上で呪文を習得するには、呪文習得ポイントが必要となります。これはレベルアップごとに、以下の表によって獲得できます。これに関連する特性値(「魔術」「錬金術」なら【知性】、「法術」「心霊術」なら【敬虔】)の呪文習得補正を加えたポイントが、最終的な呪文獲得ポイントとなります。これは、習得できる呪文の習得レベルの合計を表します。つまり呪文習得ポイント4あれば、2レベル呪文2つか、4レベル呪文1つが習得できます。
◇呪文習得ポイント◇
・専門職 : 魔術師、僧侶、錬金術師、霊能者
・補助職 : 君主、闇騎士、戦乙女、侍、弓使い、吟遊詩人、修道僧、忍者
・複合職 : 司教、聖、探求者、陰陽師、魔女、妖術師、英雄、全能者
レベル | 専門職 | 補助職 複合職 |
1 | 3 | 2 |
2 | 3 | 2 |
3 | 6 | 4 |
4 | 6 | 4 |
5 | 9 | 6 |
6 | 9 | 6 |
7 | 12 | 8 |
8 | 12 | 8 |
9 | 15 | 10 |
10 | 15 | 10 |
11 | 18 | 12 |
12 | 18 | 12 |
13 | 21 | 14 |
14 | 21 | 14 |
15 | 24 | 16 |
16 | 24 | 16 |
17 | 27 | 18 |
18 | 27 | 18 |
19 | 30 | 20 |
20 | 30 | 20 |
習得した呪文も、何の制限も無しにいつでも使えるわけではありません。ここでは、魔法の規則を解説します。
3−1.分類
<常時><戦闘><非戦闘><ダメージ>の4種類があります。<常時>は文字通り、いつでも使用のできる呪文です。<戦闘>の呪文はその戦闘が終了すると効果が消失します。その代わり、その戦闘中は重ねてかけると効果が重複します(一部例外もあります)。<非戦闘>の呪文は、高度な精神統一と慎重な準備が必要となるため、戦闘中やそれに類する状況では使用できません。<ダメージ>は相手にダメージを与える呪文です。<戦闘>の一種ともいえますが、レジストの方法が特殊なので、分けて分類します。複数の目標に使用する場合は、それぞれ別個にダメージを算出します。
3−2.効果範囲
呪文の効果を与える対象を表します。大きく分けると「人」(あるいは怪物など)が対象なものと、「場所」が対象のものがあります。場所が対象の場合、<1*3>という具合に表記されます。これは戦闘シート上のマスをあらわしていて、その効果内にいる目標に効果があるということです。この時、その効果範囲内ならば敵も味方も関係無く効果があることに注意してください。範囲は連続していれば、縦にしても横にしてもかまいませんが、斜めにすることはできません。<1*3>といえば、縦ないし横に一直線の3マスということです。途中で折れ曲がった3マスにかけることはできません。<2*3>といえば、完全な長方形でなければなりません。<2*2><3*3>といえば正方形でなければなりません。ただし、効果範囲が戦闘シートの外にはみ出すのはかまいません。
呪文の有効範囲は、戦闘シート内に限られます。また、目標が目視できていないのに呪文の対象に指定することはできません。
3−3.レジスト (魔法抵抗)
魔法を掛けられたときに、どれくらいの難度で抵抗し、回避できるかをあらわします。普通は<知性*3>とか<敬虔*2>というように表現されます。この<知性*3>とは、魔法をかけられたキャラクターの【知性】を3倍した数値以下をD100で振れば、その魔法の攻撃に耐えられるということを表します。
レジストに成功すると、ダメージ魔法の場合は受けるダメージが減少し(通常の成功ならダメージ1/2、キャラクターレベル以下ならダメージ1/4、いずれも端数切捨て)、それ以外の魔法の場合は効果がまったく現れなくなります。
レジストできる魔法でも、受けたキャラクターの意思によってレジストしないのは自由です。その場合、魔法はフルに効果を発揮します。
【知性】や【敬虔】などの特性値を持たないモンスターは、固有の魔法回避値を代わりに使用します。また、モンスターの中には魔法の効果を一定の確率で無効化する特殊能力を持つものもいます。
3−4.魔法威力
ダメージを与える呪文とHPを回復させる呪文に関しては、術者の能力によって効果が増加します。
ダメージまたはHP回復のダイスを振る際に、「魔術」「錬金術」の場合は、【知性】とそれぞれの技能の魔法威力補正、「法術」「心霊術」の場合は、【敬虔】とそれぞれの技能の魔法威力補正を足すことができます。
(1) どの魔法をかけるかを宣言します。戦闘中であれば、(【敏捷】による)自分の行動順番のときに行います。
(2) どこに、または誰に魔法を使うのかを宣言します。魔法の効果範囲はそれぞれ違うため、個別の魔法リストを参照願います。
(3) 使う魔法の分類やレジストの項目を確認します。レジストが可能な魔法や、分類がダメージ魔法である場合は(4)に進みます。それ以外の魔法であれば、魔法リストの説明にある効果が現れます。
(4) その魔法の効果が現れたにせよ、失敗したにせよ、魔法の術者は決められたMPを消費します。
ほとんどの戦闘補助系の呪文は重ねて掛けることによって効果が重複し、より高い効果を上げることができます。しかし、無制限に呪文の効果を累積させることはできません。
(1)AC補正 : ACを上下させる効果は±10までしか効果が累積しません。
(2)攻撃補正 : 攻撃命中補正の増加についての効果は最大+50%まで、ダメージ補正は最大+5までしか効果が累積しません。
(3)魔法無効化 : 魔法を無効化させる効果は最大90%まで、減少できる魔法ダメージは最大5D6までしか効果が累積しません。
(4)命中無効化 : 攻撃の命中を無効化させる効果は、最大90%までしか効果が累積しません
(5)行動順補正 : 行動順(【敏捷】)を上昇させる効果は、最大+5までしか効果が累積しません。
(6)魔法ダメージ : 魔法ダメージ増加についての効果は、最大5Dまでしか効果が累積しません。
召喚呪文とは、「魔術」ソコルディ、「法術」バモルディ、「錬金術」ガルディ、「心霊術」ザカルディのことを指します。これらはそれぞれ自分の従僕とも呼ぶべきモンスターを召喚して使役することによって戦闘に参加させることができます。
ここでは、それら召喚したモンスターの扱いについて説明します。
6−1.モンスターの召喚
召喚呪文を使用することによって、モンスターを呼び出すことが可能です。そのモンスターの召喚にあたって、より高いエネルギーを使用することによって、より強力なモンスターを召喚することができます。具体的には、呪文を使用する際に消費するMPを増やすことによって、高ランクのモンスターの召喚ができるようになります。通常の呪文を使用する場合、その呪文のレベルと同じ値のMPを消費します。召喚呪文の場合、さらに多くのMPを消費することによって、召喚できるモンスターのランクを高くすることができます。
召喚したモンスターは、術者が自由に戦闘シート上に配置することができます。ただし、召喚されて出現したラウンドには行動することができず、次のラウンドからの行動となります。
召喚されたモンスターは基本的に効果時間(6ラウンド)の間、破壊されるまで戦います。効果時間の終了までに破壊される、もしくは戦闘が終了した場合、元の世界に帰還します。
◇消費MPと召喚モンスターランク表◇
消費MP | 召喚モンスターランク | 制御難度 | 暴走率 |
5(基本) | 1 | 0% | 96%以上 |
6 | 2 | −5% | 96%以上 |
7 | 3 | −10% | 91%以上 |
8 | 4 | −15% | 91%以上 |
9 | 5 | −20% | 86%以上 |
10 | 6 | −25% | 86%以上 |
11 | 7 | −30% | 81%以上 |
6−2.召喚モンスターの制御
召喚したモンスターに命令し、行動を強制するには、モンスターの制御に成功する必要があります。高ランクの強力なモンスターになればなるほど、モンスターの意志が強く、制御が難しくなります。
モンスターの行動を制御するには、制御判定に成功する必要があります。制御判定は、「魔術」「錬金術」の場合、(【知性】*3)+(「魔術」/「錬金術」*5)%を目標値に、「法術」「心霊術」の場合は、(【敬虔】*3)+(「法術」/「心霊術」技能レベル*5)%を目標値に、D100を行います。強力なモンスターほど制御が難しくなり、制御難度というペナルティがつきます。目標値から制御難度を差し引き、それ以下の出目が出た場合、制御は成功します。
制御に成功すれば、モンスターは術者の指示通りの行動を行います。しかし、制御に失敗した場合は、モンスターは自らの意志でランダムに行動します。さらに制御判定で暴走率以上の出目で失敗した場合は、モンスターは術者の支配下から逃れ、術者に襲いかかります!
一度暴走したモンスターを再び支配することはできません。術者を倒すか、返り討ちで破壊された場合、モンスターは元の世界に帰還します。
制御判定は召喚された次のラウンド以降、毎戦闘ラウンドの最初に行います。
6−3.制御失敗時の召喚モンスターの行動
基本的に召喚されたモンスターの行動は、単純であまり賢くはなく、前進してもっとも手近な敵に攻撃を仕掛けます。モンスターによっては、魔法や特殊能力を使用できるものもありますが、それを効果的に使用することはあまりありません。モンスターが独自の行動を取る場合は、ダイスを振ってランダムに行動を決定します。
◇制御失敗時の召喚モンスターの行動表◇ (1D6)
出目 | 行動 | 備考 |
1 | 混乱 | 何も行動しない |
2 | 移動 | 隣接のマスにランダムで移動 |
3 | 攻撃 | |
4 | 攻撃 | |
5 | 魔法 | 魔法の使用が可能な場合のみ |
6 | 特殊能力 | ブレス、仲間を呼ぶ、など、特殊能力の使用が可能な場合のみ |
召喚術は呪文による召喚とは異なる方法によって、自分の従僕とも呼ぶべきモンスターを召喚して使役することによって戦闘に参加させることができます。
ここでは、それら召喚したモンスターの扱いについて説明します。
7−1.モンスターとの契約
召喚術でのモンスター召喚を行うためにはまずモンスターとの契約を行う必要があります。召喚の準備として、床に辰砂のチョークで魔法円を描き、その中心に異界との接点となるペンタグラムを置きます。その後、儀式に則って召喚するモンスターを呼び出します。モンスターを召喚した際に、召喚したモンスターのランクに応じたMPが消費されます。
召喚したモンスターは最初、術者の指示には従いません。そのため、召喚したモンスターを戦闘で倒し、これを屈服させる必要があります。召喚したモンスターとの戦闘に勝利した場合、そのモンスターと契約を結ぶことが可能となります。
召喚術レベルが低いうちは高レベルのモンスターを召喚することはできませんが、召喚術レベルが高くなるにつれ、より強力なモンスターを召喚して契約を結ぶことが可能となります。
◇召喚できるモンスターランク表◇
召喚術レベル | 召喚できるモンスターランク | 消費MP |
1 | 1 | 1 |
2 | 2 | 2 |
3 | 3 | 3 |
4 | 4 | 4 |
5 | 5 | 5 |
6 | 6 | 6 |
7 | 7 | 7 |
7−2.モンスターの召喚
一度契約を結んだモンスターは任意のタイミングで召喚を行うことが可能となります。召喚には契約の時と同じく儀式を要するので、探索を開始する際に召喚を行うと良いでしょう。モンスターを召喚した際に、召喚したモンスターのランクに応じたMPが消費されます。
以後、召喚したモンスターは常に術者の指示に従って行動します。効果時間は現実時間の1時間ほど持続します。以後、持続時間を継続する毎にMPが消費されます。
7−3.モンスターの送還
召喚したモンスターを持続時間内に元の世界に戻したい場合は、任意のタイミングで送還を命ずることが可能です。
魔法を使用できる職業は、魔力を多く消費することによって魔法の威力を強化させる能力を取得しています。1日に魔法強化を行える回数は、職業によって異なります。
◇魔法強化回数表◇
・専門職 : 魔術師、僧侶、錬金術師、霊能者
・補助職 : 君主、闇騎士、戦乙女、侍、弓使い、吟遊詩人、修道僧、忍者
・複合職 : 司教、聖、探求者、魔女、妖術師、英雄、全能者
レベル | 専門職 複合職 |
補助職 |
1 | 1 | 0 |
2 | 2 | 1 |
3 | 3 | 1 |
4 | 4 | 2 |
5 | 5 | 2 |
6 | 6 | 3 |
7 | 7 | 3 |
8 | 8 | 4 |
9 | 9 | 4 |
10 | 10 | 5 |
11 | 11 | 5 |
12 | 12 | 6 |
13 | 13 | 6 |
14 | 14 | 7 |
15 | 15 | 7 |
16 | 16 | 8 |
17 | 17 | 8 |
18 | 18 | 9 |
19 | 19 | 9 |
20 | 20 | 10 |
魔法を強化して使用する際に、その魔法を「強化する」と宣言して消費MPを二倍消費することによって、以下の効果を発揮します。
(1)抵抗半減 : 対象のレジスト(魔法抵抗)率が半減します。
(2)無効化半減 : 対象の魔法無効化率(特殊能力やコルツなどの効果)を半減させます。
(3)威力二倍 : 魔法の効果を二倍に強化します(ダメージ系ならばダメージが二倍となり、AC上下系ならば効果が二倍となります)。
(4)範囲二倍 : 魔法の範囲(対象)を二倍にします(効果範囲がマス数の呪文は縦か横どちらか二倍になり、効果範囲が1体の呪文は2体にかけることができます)。
(5)時間延長 : 魔法の効果時間を二倍にします(効果時間が3ラウンドのものは6ラウンドに、現実時間で1時間のものは2時間となります)。
また、ひとつの魔法に異なる魔法強化を複数適用させることもできます。その場合、魔法強化のMP消費と魔法強化の回数はその反映させる効果の数だけ消費することとなります。
(例) 3レベルの魔術師が、3レベル魔術マハリトに魔法強化を行って範囲拡大と威力強化を使用する場合、マハリトの消費MP3を3倍してMPを9点消費して、魔法強化を2回行うことになります。その場合、この魔術師は同日に魔法強化をあと1回行えます。